咳や息苦しさがつらい人に|吸入ステロイド「オルベスコ」の使い方と効果
咳や息苦しさがつらい人に
吸入ステロイド「オルベスコ」の使い方と効果

喘息で『オルベスコ』を使っています。

シンプルな、吸入ステロイド薬(ICS)ですね。
咳・ゼーゼー・息苦しさを予防する薬で、
すでに発作が起きているときにすぐ効く薬ではありません。
オルベスコはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
目次
シクレソニド(オルベスコ®)とは
有効成分:シクレソニド(Ciclesonide)
薬の分類:吸入ステロイド薬(ICS:吸入によって気道の炎症を抑える薬)
剤形:定量噴霧式エアゾール(pMDI:プッシュ式で一定量の薬剤が霧状に出る吸入器)
●この薬の役割
シクレソニドは、気道(空気の通り道)の炎症をしずめることで、咳・ゼーゼー(喘鳴:ぜんめい)・息苦しさを起きにくくするお薬です。
毎日継続して使うことで、喘息の悪化や発作を防ぐ「長期管理薬」に分類されます。
※ただし、すでに起きている発作をすぐに止める効果はありません。発作が起きたときには、すぐに気道を広げる作用のある「短時間作用型β₂刺激薬(SABA:サルブタモールなど)」を使用します。
シクレソニド(オルベスコ®)の特徴
●肺で効くように設計された薬(プロドラッグ)
この薬は「プロドラッグ」という、吸入したときにはまだ効かず、肺に到達してから体内の酵素で“活性体”という本来の効く形に変わるタイプの薬です。
これにより、肺の中でだけ作用しやすく、他の臓器などに余分な影響を与えにくい=副作用が出にくい構造となっています。
●肺までしっかり届く
吸入された薬のうち、約52%が肺に沈着することが確認されています。これは吸入薬の中でも高い到達率で、効き目の確実さにつながります。
●1日1回の吸入でOK
効果が長く続くため、1日1回の吸入で十分です。特に夜の吸入がすすめられています。
夜に吸入することで、朝から日中の症状悪化を防ぎやすく、毎日の習慣として継続しやすいというメリットがあります。
効能・効果
●適応となる病気
- 気管支喘息の長期管理(予防・悪化の抑制)
ただし、発作がすでに起きているときには効き目が遅く、即効性のある薬(SABA:サルブタモールなど)を使う必要があります。
有効性(臨床試験の結果)
●成人:プラセボ(偽薬)との比較試験(8週間)
100・200・400μg/日で投与したところ、
朝のピークフロー(PEF:息を一気に吐いたときの勢い)が、プラセボより25〜29 L/min改善しました。
●成人:従来の吸入ステロイド薬(BDP-CFC)との比較(8週間)
800μg/日で投与した場合、従来薬より約18 L/minの改善がみられました。
※BDP-CFCは以前から使われている吸入ステロイド薬のひとつです。
●成人:長期試験(12か月)
投与2週目から改善効果が現れ、1年後も5.6~10.5 L/minの改善を維持。
●小児(5〜15歳)
50・100・200μg/日いずれの用量でもPEFが明確に改善。
28週にわたる継続試験でも、副作用の頻度は低く、安全性は良好でした。
用法・用量(使い方と注意点)
●成人
- 通常:100〜400μgを1日1回
- 症状により調整可能(最大800μg/日)
- 800μg/日の場合は、朝・夜の2回に分けて使用
●小児(5歳以上)
- 通常:100〜200μg/日(1回)
- 症状が安定していれば、50μg/日まで減量可能
●使用タイミング
- 1日1回なら、夜の使用がより効果的
●吸入後のケア
- うがいは必ず行ってください(口腔カンジダや声枯れの予防)
- うがいが難しい場合は、口をすすぐだけでも効果あり
使用できない方(禁忌)
●使用できないケース
- 有効な抗菌薬のない感染症
- 深在性真菌症(体の奥に感染が広がっているタイプ)
- 本剤の成分にアレルギーがある方
●注意が必要な方
- 結核や他の感染症がある
- 痰が多い(他の薬で痰を減らしてから使う必要あり)
- 他のステロイド薬を長期間・大量に使っている、または使った直後
- 妊娠・授乳中の方(医師とよく相談を)
- 高齢者・肝機能が低下している方(薬が体にたまりやすく慎重に使用)
飲み合わせに注意(相互作用)
この薬は体内で「CYP3A4」という酵素によって分解されます。
そのため、CYP3A4の働きを邪魔する薬(阻害薬)と一緒に使うと、薬の血中濃度が上がりすぎて副作用のリスクが高まることがあります。
●注意が必要な薬の例
- リトナビル(抗ウイルス薬)
- イトラコナゾール・ケトコナゾール(抗真菌薬)
※たとえば、ケトコナゾールと一緒に使った場合、薬の効果成分の血中濃度が約3.6倍に増加したという報告があります。
👉 飲み合わせについては、必ず医師または薬剤師に相談し、自己判断での変更や中止は避けましょう。
副作用と発生頻度
●よくある副作用(多くは軽く、一時的)
- 口やのどの症状:声がれ(嗄声)、のどの違和感、口腔カンジダ、口の渇き、味覚の変化、咳など
- 皮膚や全身症状:発疹、かゆみ、頭痛、だるさなど
- 血液検査でわかる変化:AST・ALT(肝機能値)の上昇
●頻度(臨床試験より)
| 試験 | 副作用頻度 |
|---|---|
| 成人 二重盲検試験 | 3.8~7.2% |
| 成人 対照比較試験 | 3.7~8.5% |
| 成人 長期試験 | 5.6% |
| 小児 試験 | 0~4.8% |
※ほとんどの副作用は「1%未満」または頻度不明で、ごく軽度にとどまります。
●まれに起きる重い副作用
- 気管支けいれん
- アレルギー反応(血管浮腫など)
- 全身性ステロイドによる影響:
- 副腎機能の抑制
- 骨密度の低下
- 白内障や緑内障
- 小児の成長の遅れ など
👉 異常を感じたときは吸入を中断せず、まず医師に相談してください。
強い症状があるときはすぐに医療機関を受診しましょう。
まとめ
シクレソニド(オルベスコ®)は、肺で初めて効果を発揮するように作られた吸入ステロイド薬です。
1日1回、特に夜の使用が推奨されており、長期的に喘息をコントロールしやすいお薬です。
- 症状が安定していても、毎日の吸入とうがいを忘れずに
- 発作時は、すぐに効く薬(SABA)を使用
- 減量や中止は、必ず医師と相談のうえで行いましょう
👉 吸入方法が正しいかどうかも治療効果に大きく関わります。
診察の際に、症状や生活スタイルに合わせて最小の効果的な量を調整し、吸入手技の確認も受けましょう。
参考文献・出典
PMDA 添付文書(オルベスコ 吸入剤)
KEGG DRUG:D01703(薬効・代謝経路の情報)
「薬理と治療」2006年34巻11号(開発と薬理作用の論文)
JAPIC 医療用医薬品情報データベース
PubMed論文:Stoeck M, Nave R ほか、オルベスコの薬物動態・安全性に関する報告あり
質問(Q&A)
-
オルベスコはどんな吸入薬?どんな人に使うの?
-
オルベスコ(成分名:シクレソニド)は、気管支喘息の症状をおさえるための吸入ステロイド薬(ICS)です。
喘息を予防する長期管理薬で、すでに発作が起きているときにすぐ効く薬ではありません。
大人も子どもも使え、1日1回の吸入で済むので、続けやすいのが特徴です。
-
この薬の同じ系統の薬に比べた強みは?
-
吸入ステロイド薬の中でもオルベスコの特長は以下の通りです:
においや味が気にならない:無香料で吸入時の違和感が少ないのもメリットです
肺で活性化するプロドラッグ型:吸入された後に肺で変化して効くため、のど・口の副作用が少なめです
肺への到達率が高い:吸入薬の中でも約52%が肺に届くというデータがあります
1日1回でOK:夜1回の吸入だけで症状がコントロールできるため、継続しやすい
-
オルベスコっていつ発売されたの?
-
日本では、オルベスコは以下のように承認・発売されています:
小児への適応:2011年に適応追加(5歳以上)。
成人への適応:2007年に承認・発売
-
オルベスコの薬価は?30日分だといくらくらい?
-
以下は先発品の薬価(2025年時点)です。保険3割負担の自己負担額も目安で記載します。
製品名(先発品) 吸入数 薬価(1キット) 自己負担目安(3割) オルベスコ100μgインヘラー112吸入用 112吸入(約1か月分) 1256.9円 約377円 オルベスコ200μgインヘラー56吸入用 56吸入(1日2吸入×28日) 1112.1円 約334円 ※用量に応じて適切な製剤が処方されます。実際の自己負担額は処方箋料・調剤料を含め変動します。
-
オルベスコの効き始めはいつ?どれくらい続くの?
-
オルベスコは数日~2週間で効果が見え始め、長く続けることでしっかり効いてくる薬です。
単回投与での薬の血中濃度のピークは吸入後30~60分程度で、
活性体の半減期は2.5〜3時間ほどありますが、抗炎症効果は1日以上持続します。
-
妊娠中でもオルベスコは使えるの?
-
基本的には医師の判断のもと、使われることがあります。
添付文書では「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用」とされています。- 動物実験では胎盤通過性が報告あり
- 妊娠中の喘息悪化は母体・胎児に悪影響を及ぼすため、コントロールが優先されるケースが多いです
👉 使っていいかどうかは必ず主治医に相談しましょう。
-
授乳中に吸っても大丈夫?母乳に移行するの?
-
授乳中にもオルベスコを使うことがあります。添付文書では以下の通り:
- ラットの実験で乳汁移行が確認されています(ごく微量)
- ヒトでの詳細データはないものの、全身への移行が少ない吸入ステロイドであるため
「必要に応じて使用できる」とされることも多いです。
授乳を続けるかどうかも含め、医師と相談して使うかどうかを決めるのが安心です。
-
子どもも使えるの?使うときの注意点は?
-
はい、5歳以上の子どもに使えます。小児への使用では以下の点に注意します:
吸入方法をきちんと指導し、正しく吸えているか確認することが大切です
用量は100〜200μg/日が標準。安定すれば50μgまで減量できることもあります
長期で使う場合は、身長など成長への影響をモニタリングします
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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