喘息の薬・フルチカゾン〈フルタイド〉の効果は?吸入のコツや注意点をやさしく解説

喘息の薬・フルチカゾン〈フルタイド〉の効果は?
吸入のコツや注意点をやさしく解説

喘息で『フルタイド®』を使っています。

古くからある1日2回の吸入ステロイド剤ですね。現在は1回タイプが主流です。

フルタイド®はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

フルチカゾンプロピオン酸エステル〈フルタイド®〉とは?

フルタイド®(一般名:フルチカゾンプロピオン酸エステル)は、気管支喘息の予防に使われる「吸入ステロイド薬(ICS)」です。
発作が起きてから使う薬ではなく、毎日使うことで発作を起きにくくする薬です。

発作が起きたときは、別の「短時間作用型β₂刺激薬(SABA)」を使用します。

フルタイドには、以下の2つの吸入器(デバイス)があり、症状や年齢に応じて使い分けます:

  • ディスカス®(DPI)
  • エアゾール(pMDI)

フルタイド®の吸入デバイス(器具)の違い

● ディスカス®(DPI:ドライパウダー吸入器)

  • 粉タイプの薬剤が内蔵された吸入器です。
  • レバーを操作して薬をセットし、勢いよく吸い込むだけで薬が肺に届きます。
  • 吸入のたびにカウンターで残量がわかる設計です。
  • 自分の吸う力で薬を吸い込む必要があります。

向いている人:吸う力のある大人や小児
メリット:簡単操作、薬の残量が見える


● エアゾール(pMDI:定量噴霧式吸入器)

  • スプレーのように薬を噴霧するタイプ。
  • 吸入のタイミングとスプレーのタイミングを同時に合わせる必要があるため、使い方に少しコツが要ります
  • タイミングが難しい方には、**スペーサー(補助器具)**を併用すると安心です。

向いている人:小児や高齢者、吸う力が弱い人
メリット:吸う力が弱くても使用可能、補助具で扱いやすくできる


フルタイド®の特徴

✔ 強力な抗炎症作用 × 低い全身副作用リスク

  • 抗炎症効果はベクロメタゾンの約2倍
  • 飲み込まれた成分も肝臓ですぐに分解されるため、全身への影響が少ない

✔ 1日2回の吸入でしっかりコントロール

  • 継続的に吸入することで、肺の状態が安定
  • 発作の頻度も減り、日常生活の質が改善

✔ 使いやすく実用性の高い器具

  • ディスカス®やロタディスク®には残量カウンター
  • pMDIも選択肢として有用。スペーサー併用でより扱いやすく

効能・効果

  • 気管支喘息の維持療法(小児〜成人)
  • ※急な発作時には使用できません

フルタイド®は、毎日使用することで炎症を抑え、発作が起きにくい状態を維持する薬です。


有効性データ(国内)

✔ 成人

  • 臨床試験370例で有効率79.7%
  • ベクロメタゾン(1日4回)よりも、効果・安全性・使いやすさが優れている

✔ 小児

  • 第Ⅲ相試験で有効率82.4%
  • 市販後調査では**約98〜100%**と非常に高い評価
  • 長期使用でもコントロール良好との報告

用法・用量

  • 成人:100μg × 1日2回(最大800μg/日)
  • 小児:50μg × 1日2回(最大200μg/日)

治療のポイント

  • 症状が改善しても勝手に中止しない
  • 安定したら、最小有効量に減量することを検討
  • 吸入後は必ずうがいか口をすすぐこと(副作用予防)
  • 吸入器の使い方は非常に重要なので、初回は医師・薬剤師の指導を受けてください
  • アルミ包装は吸入直前に開封(湿気対策)

使用できない方(禁忌)

  • 有効な抗菌薬がない感染症、深在性真菌症のある方
  • 本剤の成分にアレルギーの既往歴がある方

注意が必要な方(医師と要相談)

  • 結核や感染症の既往歴がある方
  • 糖尿病の方
  • 痰が多く出る方(吸入前に分泌抑制が必要なことも)
  • 長期・高容量のステロイド内服歴がある方(副腎の働きを確認
  • 5歳未満の小児(データが少ないため慎重に)
  • 妊娠・授乳中の方(医師の判断で有益性が上回る場合のみ使用)

飲み合わせに注意が必要な薬

✔ CYP3A4阻害薬(例:リトナビルなど)

  • フルタイド®の分解が抑えられ、血中濃度が高くなる
  • → クッシング症候群(満月様顔貌・体重増加など)
  • → 副腎機能の低下
  • 基本的に併用は避けることが推奨

サプリや市販薬も含め、使用中のすべての薬を医師に伝えてください。


よくある副作用と発生頻度

✔ 軽い症状が多い(局所的なもの)

  • のどの刺激感・むせ・声がれ(嗄声)
  • 口の乾燥・カンジダ症(白い苔のようなもの)
  • 味覚異常など

✔ 日本国内のデータ

  • 成人:口腔・のどの症状1.2%、嗄声1.1%、悪心0.2%
  • 小児:副作用全体で0.9%
  • 重大な副作用:アナフィラキシー(頻度不明)

長期使用で注意が必要なこと(まれだけど重要)

  • クッシング様症状(顔のむくみ・丸顔)
  • 副腎機能抑制
  • 小児では成長への影響も(定期フォローが重要)
  • 骨密度の低下、白内障、緑内障、中⼼性漿液性網脈絡膜症

最小有効量で使い、定期的な検査を受けましょう。


まとめ

  • フルタイド®は予防目的の吸入ステロイド薬
  • 毎日継続使用して効果を発揮
  • 発作時には別の薬(SABA)を併用

参考文献・出典

PMDA医薬品添付文書情報
https://www.pmda.go.jp
フルタイドの添付文書、RMP(リスク管理計画)情報など。

KEGG DRUG(D01708)
→ 化学構造や薬理情報が確認できます。

日本アレルギー学会 ガイドライン(喘息)
→ フルチカゾンを含む吸入ステロイドの位置づけ・使用法が詳しく掲載。

臨床医薬(1990〜2000年代の国内臨床試験論文)
→ フルチカゾン vs ベクロメタゾンの比較試験等の成績あり

よくある質問(Q&A)


この薬(フルタイド®)は他の吸入ステロイドと比べてどんな強みがあるの?

フルタイド®は、他の吸入ステロイド薬(ICS)と比べて強力な局所抗炎症作用を持ちながら、全身への影響が少ないのが特長です。
特に、以前から使われているベクロメタゾン(ベコタイド®)と比べて約2倍の抗炎症効果があるとされます。

また、ディスカス®/エアゾール®といったデバイスの選択肢があり、残量カウンターもついているため、自己管理もしやすい設計です

フルタイド®の発売はいつ?歴史は長いの?

フルタイド®は、英国では1993年にDPIタイプ(ロタディスク®)が初承認され、その後MDIタイプも追加。
日本では1998年にロタディスク®が承認され、2001年にディスカス®、2002年にエアゾール剤が追加されました。
20年以上の使用実績がある薬です。

1か月(30日)処方されたときの薬価と自己負担額の目安は?

フルタイド®ディスカスの薬価は以下の通りです(2024年現在):

製品名吸入回数薬価(税込)自己負担額(3割負担)
フルタイド50ディスカス60吸入用646.5円/個約195円
フルタイド100ディスカス60吸入用950円/個約285円
フルタイド200ディスカス60吸入用1247.6円/個約374円
フルタイド100μgエアゾール60吸入用952.5円/瓶約286円

※1日2回使用で30日使用できる設計。薬局での実際の支払額は調剤料などで前後します。

作用が出るまでどれくらい?どのくらい効果が続くの?

作用発現時間:数日~1週間程度で効果を実感する人が多いです。
※ただし急性の発作には使えません。

持続時間:1日2回の定期使用で、24時間の炎症抑制効果を維持できます。

妊娠中に使っても大丈夫?

妊娠中の使用は、医師が「治療上の利益がリスクを上回る」と判断した場合のみ使用可能です。

動物実験では、他のステロイドと同様に胎児の発育抑制や奇形の報告がありますが、ヒトでの明確な危険性は不明です。
喘息の悪化は母体にも胎児にも悪影響を及ぼすため、コントロールが必要な場合には医師と相談のうえ、最少有効量での使用が推奨されます。

授乳中の使用は可能?母乳に移行するの?

授乳中の使用も、医師と相談のうえ可否を判断します。
フルチカゾンは動物実験で乳汁中への移行が報告されていますが、ヒトでの影響は明確ではありません。

日本の添付文書では「授乳の継続か中止かを慎重に検討すること」とされており、吸入薬としての全身移行が少ない特性を考慮しつつ、個別対応となります。さい。

子どもにも使える薬?注意点は?

はい、小児にも使用可能です。実際に5歳以上の小児を対象とした臨床試験で、**有効率82.4~99%**という良好な成績が出ています。

ただし以下の点に注意してください:

5歳未満は十分な試験がないため、原則として使用されません。

**成長への影響(身長など)**を考慮し、最少有効量での使用が大切です。

吸入手技を正しく身につける必要があるため、保護者のサポートと定期的な指導が欠かせません。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら