食欲がない・冷えやすい…そんな時に「人参湯」がおすすめの理由

食欲がない・冷えやすい…
そんな時に「人参湯」がおすすめの理由

虚弱体質で『人参湯』を飲んでいます。

胃腸が弱りやすい

冷えやすい食欲がない水のような便が出やすい

体力が落ちていて、胃腸の不調を感じる方に幅広く使われている漢方です。

人参湯は、オンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

人参湯とは

人参湯(にんじんとう)は、中国の古典『傷寒論(しょうかんろん)』『金匱要略(きんきようりゃく)』に記載される漢方薬です。

● どんな体質に向いている?

  • 胃腸が弱りやすい
  • 冷えやすい
  • 食欲がない
  • 水のような便が出やすい

このような体質(虚寒(きょかん)・胃内停水(いないていすい))の改善を目指します。
体力が落ちていて、胃腸の不調を感じる方に幅広く使われている漢方です。

● 冷えと胃腸機能の低下を整える

  • 体を内側から温める
  • 胃腸の働きと水分バランスを整える

といった効果を持つ生薬(人参・乾姜(かんきょう)・甘草など)で構成されています。


効能・効果

人参湯は、以下のような体力が落ちている方・虚弱体質の方に使われます。

◉ 適応される症状

  • 急性・慢性の胃腸カタル(かたる)
  • 胃アトニー症(胃の動きが弱くなる)
  • 胃拡張
  • つわり(悪阻(おそ))
  • 萎縮腎(いしゅくじん)による全身のだるさ、食欲不振

有効性(臨床・使用実感)

● 胃腸症状の改善率が高い

慢性胃炎や胃アトニーの患者さんにおいて、
「食欲」「お腹のはり」「冷え」などのスコアが、服用4週間で明らかに改善したとの報告があります。


用法・用量

  • 成人:1日7.5g2〜3回に分けて食前または食間に服用します。
  • 年齢・体重・症状に応じて量を調整します。

● 飲みやすくする工夫

顆粒がそのままだと飲みにくい場合は、ぬるま湯に溶かすとスムーズに服用できます。


使用できない方(禁忌)

以下のような病気・状態の方は服用できません

禁忌対象理由
アルドステロン症むくみ・血圧上昇を悪化させるおそれ
ミオパチー(筋肉の病気)筋力低下を悪化させるおそれ
低カリウム血症(けっしょう)偽アルドステロン症やミオパチーを引き起こしやすくなる

飲み合わせに注意が必要な薬

人参湯には甘草(かんぞう)という生薬が含まれており、カリウム値を下げる作用があります。
そのため、次のような薬と併用すると副作用が出やすくなる
可能性があります。

● 組み合わせに注意する薬

  • 甘草を含む漢方:芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散 など
  • グリチルリチン酸を含む薬剤
  • 利尿薬
     └ ループ系:フロセミド、アゾセミド
     └ チアジド系:トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド など

副作用と発生頻度

副作用名頻度症状と対応
偽アルドステロン症(ぎあるどすてろんしょう)※頻度不明(まれ)むくみ・体重増加・血圧上昇。カリウム値が下がっていれば服用中止と補正を行う。
ミオパチー(筋肉の異常)※頻度不明手足の脱力、けいれんなど。低カリウムが原因のことが多く、服用を中止。
アレルギー反応(発しん・じんましん)※頻度不明異常があれば服用をやめ、症状に合わせて対処する。

⚠️ ポイント

重大な副作用はまれですが、「甘草入り」の薬であることを認識し、
むくみや筋力の低下に気づいたら早めに医師へ相談してください。


まとめ

  • 人参湯エキス顆粒は、胃腸の弱り・冷え・食欲不振を伴う虚弱体質の改善に使われる漢方薬です。
  • 成分が安定していて保存しやすく、飲みやすい顆粒タイプ
  • 服用方法:1日7.5g(成人)、食前または食間に
  • 甘草による副作用(偽アルドステロン症・低カリウム血症)には注意が必要です。
     利尿薬や他の甘草製剤を使っている場合は、医師の管理下で併用しましょう。

参考文献・出典

添付文書(ツムラ人参湯エキス顆粒・医療用)

JAPIC医薬品データベース

KEGG DRUG:D07027

日本漢方生薬製剤協会の公開資料

『漢方医学』(日本東洋医学会誌)に掲載された人参湯関連の臨床研究

よくある質問(Q&A)


この薬(人参湯)の同じ系統の漢方に対する強みは?

人参湯は、胃腸の弱りや冷えに特化した処方で、他の消化器系漢方(六君子湯など)よりも体を温める力が強い点が特徴です。

  • 「冷え」や「水っぽい下痢」「食欲不振」など、冷えによる胃腸不調に的中しやすい処方です。
  • 顆粒化(乾式造粒法)により、成分が均一で飲みやすく、保存性が高い点も優れています。

先発薬の発売年はいつ?

人参湯の医療用エキス顆粒は、1986年に承認、1987年に販売開始されました。

1か月(30日)処方時の薬価・自己負担の目安は?

代表的なツムラ製品(薬価13.9円/g)で、1日7.5gを30日分処方した場合:

  • 薬価: 約3,127円(13.9円 × 7.5g × 30日)
  • 自己負担(3割負担): 約940円程度

※他メーカー(クラシエ、コタローなど)は薬価が9.5〜17.4円/gと幅があります。
※片頭痛治療では「必要なときだけ服用」が基本なので、月10錠以内の方も多いです。

作用発現時間と持続時間は?

作用発現: 数日〜1週間程度で胃腸の動きや食欲改善を感じやすいとされています。

持続時間: 体質改善の漢方であるため、即効性は西洋薬より劣りますが、飲み続けることで2〜4週間で安定した効果が出やすいです。

妊娠中の使用は大丈夫?

使用可否: 妊娠中でも、医師が必要と判断した場合には使用されることがあります。

リスク・注意点: 甘草(かんぞう)を含むため、むくみや血圧上昇、低カリウム血症が出ることがあり、妊娠高血圧症候群のリスクがある方は要注意です。

授乳中の使用は大丈夫?

母乳への移行: 生薬成分が微量に母乳へ移る可能性はありますが、重大な報告は少ないです。

使用可否: 医師の指示のもとで使用可能とされます。

子どもへの使用はできる?注意点は?

使用可否: 子どもにも使われますが、年齢や体重に応じて減量する必要があります。

注意点: 甘草による副作用(むくみ、筋力低下)に注意し、小児科で処方された場合のみ使用することが安全です。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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