ヤーズフレックスとは?120日間生理を止められるピルの特徴と注意点
ヤーズフレックスとは?
120日間生理を止められるピルの特徴と注意

月経が辛くて『ヤーズフレックス』を使っています。

ヤーズフレックスの最大の特長は、最大120日間の連続服用が可能である点です。
ホルモンの量をさらに低減し血栓症リスクの低減も期待されます。
ヤーズフレックスはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ヤーズフレックスとは
ヤーズフレックス®配合錠(一般名:ドロスピレノン/エチニルエストラジオール・ベータデクス)は、日本で初めて最大120日間の連続服用が認められた超低用量LEP製剤(※)です。
※LEP:Low-dose Estrogen-Progestin(低用量の女性ホルモン製剤)
子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)や月経困難症(げっけいこんなんしょう)による骨盤痛や月経痛の緩和を目的として使われます。
避妊目的では使用されません。
ヤーズフレックスの特徴
🔹 長期連続投与設計
従来の28日周期ピル(24日実薬+4日休薬)では、毎月の出血による痛みが負担になるケースが多くありました。
ヤーズフレックスは、最大120日間休薬なしで連続服用できるため、
- 出血頻度が減り、
- 月経痛のピークも大幅に軽減
されることが期待できます。(とはいえ、90日等の途中で月経が起こる方が多いです。)
🔹 切り替えがしやすい
ヤーズフレックスは、ヤーズ配合錠と同じ成分・同じ含量なので、
使用中の方も無理なく移行可能です。
また、ライフスタイルに応じて28日周期に戻すこともできます。
🔹 超低用量のエストロゲン採用
エチニルエストラジオール(EE)0.020mgを採用しており、
ホルモンの量をさらに低減。その結果、
- 体への負担が少なく
- 血栓症リスクの低減も期待されます。
🔹 生殖補助医療でも使用可能
2022年に公知申請(※)により承認され、「調節卵巣刺激の開始時期の調整」にも使えるようになりました。
(婦人科をご紹介します。当院では対応しておりません。)
※公知申請:広く医学的に認められた使い方として、追加の臨床試験を省略して承認される制度
効能・効果
- 子宮内膜症に伴う疼痛(とうつう)の改善
- 月経困難症(機能性・器質性の両方)
- 生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整
有効性(主要な臨床試験)
■ 子宮内膜症
国内第Ⅲ相比較試験(n=114 vs 117)にて、
最重度の骨盤痛VASスコア改善量:‐36.6mm
(プラセボ群:‐10.7mm)→ 有意差あり
■ 月経困難症
- 28日周期群との比較試験(n=99 vs 91)で、
月経痛を伴う日数が約3.4日短縮(11.9日 vs 15.3日) - 52週の長期試験でも有効性は持続。
中間期出血率:12.6%(許容範囲内)
用法・用量
● 子宮内膜症・月経困難症
【連続投与レジメン】(1シート28錠)
- 1日1錠を24日間連続服用
- 25日目以降に3日以上連続出血または120日間到達で4日間休薬
- その後は出血の有無に関わらず再開
【28日周期レジメン】
- 24日間服用+4日間休薬=1周期
- 29日目から次の周期を開始
● 生殖補助医療
- 通常14〜28日間連続服用
- 消退出血(せいてつしゅっけつ)により刺激開始時期を調整
✅ ポイント
- 毎日同じ時刻に服用すること
- 飲み忘れたら「気づいた時点で前日の錠剤+当日分をいつもの時間に」服用
使用できない方(禁忌)
以下の方には使用できません:
- 血栓症の既往や素因がある方
- 重度高血圧
- 35歳以上で1日15本以上の喫煙者
- エストロゲン依存性のがん(乳がん・子宮体がん等)の方
- 重い肝臓・腎臓の病気のある方
- 妊娠中/授乳中
- 骨の成長が終わっていないと思われる思春期
- 前兆を伴う片頭痛、抗リン脂質抗体症候群
- 手術前後、出産直後、長期安静が必要な状態
飲み合わせに注意が必要な薬
| 併用薬の例 | 主な影響と注意点 |
|---|---|
| リファンピシン/バルビツール酸系/フェニトイン等(酵素誘導薬) | ヤーズフレックスの効果が弱まり、不正出血が増えるおそれあり |
| ボリコナゾール/フルコナゾール(CYP3A4阻害薬) | ヤーズフレックスの血中濃度が上がり、副作用リスクが増加 |
| セント・ジョーンズ・ワート含有食品 | 効果減弱・不正出血が増える可能性あり |
| カリウム保持薬/ACE阻害薬など | 高カリウム血症リスク → 血清カリウム値のチェックが必要 |
💡自己判断でサプリや市販薬を追加しないようにし、必ず処方医に相談してください。
副作用と発生頻度
■ 重大な副作用(まれだが重篤)
- 血栓症(0.3%)
- 急な足の痛み・腫れ
- 息切れ・胸痛
- 視覚障害・頭痛・手足の麻痺 など
➡️ これらの症状が出たら、すぐに服用を中止して受診してください。
■ よくある副作用(5%以上)
- 頭痛(25.5%)
- 性器出血・不正出血(23.7%)
- 悪心(20.8%)
まとめ
ヤーズフレックスは、長期的に月経痛や子宮内膜症の痛みをコントロールしたい方に適した超低用量ピルです。
- 最大120日間の連続服用により、
- 月経の回数が減り、生活の質(QOL)が向上します。
ただし、血栓症などの重い副作用のリスクがあるため、服用には医師の管理と定期チェックが重要です。
参考文献・出典
【学術論文】
国内第Ⅲ相試験、長期投与試験、ドロスピレノンの血栓症リスクに関する海外疫学データ等(CochraneやPubMed検索)
【PMDA医薬品情報】
ヤーズフレックス添付文書(最新版)
→ 安全性・用法・副作用情報が記載された公式資料です。
【KEGG医薬品データベース】
KEGG DRUG:D09741
【厚労省・公知申請情報】
「適応外使用に係る医薬品の取扱いについて」令和3年7月30日通知
→ 生殖補助医療での承認経緯に関する通知。
よくある質問(Q&A)
-
最長120日間連続服用する場合、「服用25日目以降で3日間連続する出血があったら4日間休薬する」ということですが、この場合の出血量の目安はどの程度以上の量と考えれば良いのでしょうか?
-
パンティーライナー(おりものシート)でカバーできる程度の出血量を目安としていただくと良いでしょう。
-
お薬を最長120日間連続服用する方法で飲み始めて25日目から2日間連続で出血がありました。お薬をこのまま飲み続けても大丈夫ですか?
-
出血が1~2日であればそのまま服用を継続してください。
連続した出血が2日以内であれば、そのまま服用を継続していただいて問題ありません。 飲み始めてから25日目以降に3日連続で出血した場合は4日間休薬してください。
-
ヤーズフレックスの先発薬はいつ発売されたの?
-
ヤーズフレックス配合錠は、2016年12月に日本で「子宮内膜症」および「月経困難症」に対して承認されました。
同一成分・含量のヤーズ配合錠(28日周期タイプ)は、2010年7月に先に承認されています。
-
ヤーズフレックスを1か月(30日間)処方された場合の薬価や自己負担額の目安は?
-
ヤーズフレックス配合錠の薬価は280.1円/錠です。
30日分(1日1錠×30日)で8,403円になります。※別途、調剤料や処方料が数百円~かかります。
3割負担の自己負担額:約2,520円
-
ヤーズフレックスの効果はどのくらいで出る?持続時間は?
-
排卵抑制などの効果は、服用開始後1週間ほどで現れるとされています。
持続時間については、連続服用している間は安定してホルモンが作用し続けるため、連続性が重要です。休薬によりホルモンレベルが低下すると、数日で消退出血(生理のような出血)が起こるしくみです。
-
妊娠中にヤーズフレックスを服用しても大丈夫?
-
妊娠中にはヤーズフレックスを服用してはいけません(禁忌)。
妊娠が判明した時点で、直ちに服用を中止する必要があります。
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授乳中にヤーズフレックスを飲んでもいいの?母乳への影響は?
-
授乳中も使用は避けるべき(禁忌)です。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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