依存の少ない睡眠薬はデエビゴよりクービビック?効き方や注意点をくわしく解説

依存の少ない睡眠薬はデエビゴよりクービビック?
効き方や注意点をくわしく解説

不眠で『クービビック®錠』を使っています。

薬の切れ味(早く効き、早めに消える)がよく、デエビゴで朝の眠気が残る方に処方されます。

クービビック®錠はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

クービビックの特徴

● 脳の「過覚醒」をしずめる新しいアプローチ

不眠の背景には、**脳が起きたままリラックスできない状態(過覚醒)**が関係していることがあります。
クービビックはこの「過覚醒」を引き起こすオレキシンの2つの受容体(OX₁R・OX₂R)を同時にブロックすることで、自然な眠りへ導きます

● 翌朝まで薬が残りにくい設計

クービビックの**半減期(薬の効果が半分になる時間)**は約6〜9時間。
朝までに効果が切れやすいため、翌朝の眠気やだるさが出にくいとされています。

● 海外でも承認済、日本独自の試験も実施

  • 2022年に米国・EUで承認済み
  • 日本では第Ⅲ相試験にて以下の改善が確認されました:

 - 総睡眠時間(sTST):+20.3分(50mg時)
 - 入眠までの時間(sLSO):−10.66分(50mg時)


効能・効果

不眠症(入眠障害・中途覚醒の両方)


有効性(日本での臨床試験結果)

投与量総睡眠時間(sTST)入眠までの時間(sLSO)
プラセボ+19.7分−5.6分
25mg+29.3分−13.0分
50mg+41.0分−16.8分
  • 試験期間:4週間
  • 対象者:489人(うち65歳以上は約30%)
  • 50mg群は統計的に明らかな改善を示しました

用法・用量

通常、50mgを就寝直前に1回服用します。

ただし、以下のような場合は25mgへの減量が検討されます:

  • 高齢の方
  • 肝機能が中程度まで低下している方
  • 一部の薬を併用している方(※後述)

服用時の注意点

  • 必ず就寝直前に服用し、途中で起きる可能性がある夜は避けてください
  • 脂っこい食事の直後に飲むと、効き始めが遅れることがあります

🚫 使用できない方(禁忌)

以下に該当する方は、クービビックを使用できません

  • 本剤にアレルギーのある方
  • **重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)**のある方
  • 以下の薬を現在使用している方
💊 分類🧪 代表的な薬剤名
抗真菌薬イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール
抗菌薬クラリスロマイシン
抗ウイルス薬リトナビル、コビシスタット、ゾコーバ(エンシトレルビル)
抗がん剤セリチニブ

⚠ これらの薬剤は、クービビックの血中濃度を過剰に上げるリスクがあり、併用が禁止されています。


💊 飲み合わせに注意が必要な薬

以下の薬と併用する場合は、量の調整や慎重な使用が必要です。

分類代表薬対応
中程度のCYP3A阻害薬ジルチアゼム、ベラパミル、エリスロマイシン、フルコナゾールなど25mgに減量して慎重に使用
中枢神経抑制薬(眠気を強める)睡眠薬・安定剤・アルコールなど強い眠気が出るため注意。必要に応じて減量や併用回避
CYP3A誘導薬リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピンなど効果が弱まる恐れ。代替薬の検討も必要

※CYP3A阻害薬・誘導薬とは?

肝臓で薬を分解する酵素(CYP3A)の働きを止めたり強めたりする薬のことです。
この働きが変化すると、クービビックが効きすぎたり、逆に効かなくなったりするため注意が必要です。


主な副作用とその頻度

● よくある副作用(1%以上)

  • 傾眠(強い眠気):6.8%
  • 頭痛/頭の重さ
  • 倦怠感(だるさ)、疲れ
  • 悪夢
  • めまい(ふらつき)

● まれだが注意が必要な副作用

  • 睡眠時麻痺(いわゆる金縛り)
  • 夢の中の行動を現実にしてしまう(夢遊症)などの睡眠行動異常
  • アレルギー反応(発疹、じんましんなど)

🚨 過量投与について

  • 特別な解毒薬はありません
  • 200mgを超えて服用した場合、以下のような症状が報告されています:

 - 強い眠気
 - 筋力の低下
 - 便秘


✅ まとめ

  • クービビック®は「脳が起きすぎて眠れない状態(過覚醒)」にアプローチする新しい睡眠薬
  • 翌朝に薬が残りにくい設計で、自然な目覚めをサポート
  • 就寝直前の服用が必要。途中で起きる日は避けること
  • 一部の薬やアルコールとの併用は危険。必ず医師に相談を
  • 肝臓に病気がある方、特定の抗菌薬・抗真菌薬を使っている方は使用不可


参考文献・出典

PMDA 医薬品医療機器総合機構 添付文書

KEGG DRUG(D11887)

厚生労働省 医薬品リスク管理計画(RMP)

薬価基準収載情報(YJコード:1190033F2024 等)

国内第Ⅲ相試験(ID-078A304 試験)結果報告書

「医薬品インタビューフォーム」(ネクセラファーマジャパン社)

よくある質問(Q&A)


クービビックの特徴は?同じ系統の薬とどう違う?

クービビックは「デュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)」という睡眠薬の一種です。オレキシンという覚醒物質の働きをOX1RとOX2Rの両方で抑えることで、自然な眠気を誘導し、睡眠を維持する作用があります。

同じDORA系の薬には、以下のような既成薬があります:

薬剤名特徴クービビックとの違い
ベルソムラ(スボレキサント)初のDORA、半減期が約12時間翌朝の眠気が出やすいことも
デエビゴ(レンボレキサント)睡眠維持にやや強い半減期が長め(約17時間)
クービビック(ダリドレキサント)半減期が短く(6〜9時間)、翌朝に持ち越しにくい入眠と維持のバランスがよく、副作用(眠気や倦怠感など)も比較的少ない傾向

クービビックは「持ち越しにくさと効果のバランス」が最大の強みです。

クービビックの発売はいつ?

クービビックは2024年9月に日本で承認・発売されました。
欧米ではそれに先立ち、米国で2022年1月、EUで2022年4月に承認されています。

クービビックを1か月処方された場合の薬価と自己負担額は?

薬価は以下の通りです(2024年時点):

  • 25mg錠:57.3円/錠
  • 50mg錠:90.8円/錠

▶ 月30日分処方時の薬剤費(目安):

用量30日分の薬価3割負担の自己負担額
25mg1,719円約516円
50mg2,724円約817円

※処方料・調剤料などは別途かかります。

※現時点では2週間の処方制限があります(2025/08)

クービビックの効果はどれくらいで出る?どれくらい続く?

作用発現時間(Tmax):約1時間前後(就寝直前に飲むのが推奨)

効果の持続時間(半減期):約6〜9時間(日本人データ)

持続時間が短いため、翌朝に眠気が残りにくいのが特長です。
ただし、飲酒や他の睡眠薬との併用で効果や副作用が強まる場合があるため注意が必要です。

妊娠中にクービビックを使っても大丈夫?

妊娠中の使用は原則として慎重に判断する必要があります。

  • ヒトでの十分なデータはなく、安全性は確立していません。
  • 治療上の有益性がリスクを上回る場合に限って使用が検討される薬です。

妊娠している、または妊娠の可能性がある場合は、必ず医師に相談してください。

授乳中にクービビックを飲んでも大丈夫?

授乳中の使用についても注意が必要です。

医師は「授乳を中止して服用する」か「薬を中止して授乳を続ける」かを相談しながら決めます。

ヒトの母乳中への移行が確認されているため、授乳中の投与は慎重に判断されます。

クービビックは子どもに使える?

いいえ、小児への安全性・有効性は確認されていません。

小児を対象とした臨床試験は行われていません。

現時点での適応は**成人(18歳以上)**に限られています。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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