ステロイド以外のアトピー薬がほしい人へ|コレクチム軟膏の特徴と注意点
ステロイド以外のアトピー薬がほしい人へ
コレクチム軟膏の特徴と注意点

アトピー性皮膚炎に『コレクチム軟膏』が処方されました。

コレクチム軟膏は、アトピー性皮膚炎に使う塗り薬です。
かゆみや赤みを起こす「サイトカイン」という物質の信号を止めることで炎症を抑えます。
コレクチム軟膏はオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
コレクチム軟膏とは
コレクチム軟膏(一般名:デルゴシチニブ)は、
アトピー性皮膚炎の治療に使われる塗り薬です。
皮膚の炎症やかゆみを引き起こす反応を、
内側からしずめるしくみをもつ薬で、
これまでのステロイド外用薬とは異なるタイプとして開発されました。
有効成分:デルゴシチニブ
濃度:0.5パーセント、0.25パーセントの2種類
形状:油分を含んだ軟膏
区分:医師の処方が必要な薬(市販はされていません)
コレクチムは、
炎症やかゆみの原因となる「体の中の信号」を抑えることで、
アトピー性皮膚炎の症状を改善します。
2020年に日本で承認され、
現在は生後6か月以上の乳幼児から成人まで使用できる塗り薬です。
目次
コレクチム軟膏の特徴
1)日本で開発された新しいタイプの塗り薬
コレクチムは、日本で開発されたアトピー性皮膚炎の治療薬です。
まず成人用として承認され、
その後、安全性と有効性を確認しながら
小児、乳幼児へと使用できる年齢が段階的に広げられてきました。
現在では、
乳幼児から大人まで同じ成分で治療できる
数少ない外用薬のひとつです。
2)炎症・かゆみ・肌の弱さをまとめて改善
アトピー性皮膚炎では、
・皮膚に炎症が起こる
・強いかゆみが出る
・皮膚のバリア機能が弱くなる
という悪循環が起きています。
コレクチムは、
・炎症を起こす反応をしずめる
・かゆみを強める信号を抑える
・皮膚のバリア機能が保たれるよう助ける
この3つの面から、
アトピー性皮膚炎の悪循環を断ち切ることを目的に作られた薬です。
3)ステロイドとは違う働き方の薬
コレクチムは、ステロイド外用薬ではありません。
また、タクロリムス軟膏(プロトピック)とも
作用の仕方が異なります。
これまでの試験では、
・皮膚がうすくなる
・血管が目立つようになる
といった副作用は認められていません。
そのため、
症状が長く続く方や、
長期間の治療が必要な方にとって、
治療の選択肢のひとつとして期待されています。
※ただし、副作用が絶対に起きないという意味ではありません。
使用中は皮膚の状態を観察することが大切です。
効能・効果
コレクチム軟膏の効能・効果は、
アトピー性皮膚炎
のみです。
じんましん、虫刺され、かぶれなどには使用できません。
海外では他の皮膚疾患への研究も行われていますが、
日本ではアトピー性皮膚炎にのみ承認されています。
有効性(試験結果から分かっていること)
成人(16歳以上)
成人を対象とした試験では、
コレクチムを使用した人で
皮膚の症状がはっきり改善することが確認されました。
薬の成分を含まない塗り薬と比べても、
コレクチムを使った方が
赤みや湿疹の改善が明らかに大きい結果でした。
1年間使用した試験でも、
効果はおおむね維持されていました。
小児(2〜16歳)
小児を対象とした試験でも、
・症状が改善した
・悪化しにくくなった
という結果が得られています。
成長期の子どもでも、
効果が保たれることが確認されました。
乳幼児(生後6か月〜2歳未満)
乳幼児を対象とした試験でも、
・比較的早い時期から症状が改善
・その後も良い状態が続いた
という結果が報告されています。
乳幼児にも使用できる
数少ない新しい治療薬のひとつです。
用法・用量
※以下は一般的な使い方です。
実際の使用方法は、必ず医師の指示に従ってください。
基本的な使い方
・1日2回(朝と夜など)
・患部にうすくのばして塗ります
1回あたりの使用量の上限
・大人・小児:5グラムまで
・乳幼児(6か月〜2歳未満):2.5グラムまで
年齢による使い分け
成人(16歳以上)
・0.5パーセントを使用
小児(2歳以上〜16歳未満)
・基本は0.25パーセント
・症状が強い場合は、医師の判断で0.5パーセントを使用することがあります
乳幼児(6か月以上〜2歳未満)
・症状に応じて0.25パーセントまたは0.5パーセントを使用します
使用範囲と期間の目安
・1回に塗る範囲は、体全体の3割程度までが目安です
(両腕と顔くらい)
・0.5パーセントを4週間使用しても改善がない場合は、
自己判断で続けず、治療方針を見直します
・症状が落ち着いてきたら、
0.25パーセントへ切り替えることもあります
塗る量の目安
目安として、
人差し指の先から第一関節まで出した量で、
手のひら2枚分くらいの範囲に塗れます。
診察時に、
「どのくらい使っているか」を伝えると、
量の調整がしやすくなります。
使用できない方
以下の方は使用できません。
・この薬で強いアレルギー症状が出たことがある方
以前に、
強い赤み、かゆみ、息苦しさなどが出た場合は、
必ず医師に伝えてください。
注意が必要な方
皮膚に感染症がある場合
とびひ、ヘルペス、水ぶくれがある場合などは、
その部分を避けて使用します。
必要に応じて、
抗菌薬や抗ウイルス薬を併用します。
妊娠中・妊娠の可能性がある方
動物を使った試験で、
胎児への影響が報告されています。
そのため、
治療のメリットがリスクを上回る場合に限って使用されます。
授乳中の方
母乳に薬が移行することが分かっています。
授乳を続けるか、
治療を優先するかについて、
医師と相談して決めます。
生後6か月未満の乳児
この年齢では試験が行われておらず、
現在は使用できません。
併用に注意が必要な薬
以下の薬を使用している場合は、
必ず医師に伝えてください。
・飲み薬のステロイド
・免疫を抑える薬
・注射によるアトピー治療薬
・他の同系統の治療薬
これらを組み合わせると、
感染症にかかりやすくなる可能性があります。
副作用について
比較的よく見られるもの
・毛穴の炎症(にきびのようなぶつぶつ)
・塗った部分のヒリヒリ感や赤み
・一時的なかゆみの悪化
多くは軽い症状で、
続く場合は医師に相談します。
感染症に関する注意
・水ぶくれ
・ジュクジュクした発疹
・痛みを伴う皮疹
が急に出た場合は、
早めに受診してください。
重い副作用について
人を対象とした試験では、
重い副作用は確認されていません。
体の中に入る量も非常に少ない薬です。
ただし、
長期的な安全性については、
現在も継続して確認が行われています。
まとめ:コレクチム軟膏を検討している方へ
コレクチムは、
・炎症
・かゆみ
・皮膚の弱さ
にまとめて作用する、
新しいタイプのアトピー治療薬です。
生後6か月から使用でき、
ステロイドとは異なる選択肢として使われています。
使い方を守り、
不安な点は早めに相談することで、
安全に治療を続けることができます。
最後に
この記事は、
コレクチム軟膏を
「これから使うかもしれない方」「すでに使っている方」
に向けて、できるだけ分かりやすくまとめたものです。
治療について不安がある場合や、
他の薬との使い分けに迷ったときは、
診察時に遠慮なく相談してください。
治療は、一人ひとりの症状や生活に合わせて調整されます。
参考文献・出典
✔ 厚生労働省 添付文書
✔ PMDA 医薬品医療機器総合機構 情報
✔ 日本皮膚科学会 治療ガイドライン
✔ ClinicalTrials.gov(試験情報)
✔ PubMed(臨床論文)
✔ DermNet(臨床皮膚科情報)
✔ KEGG DRUG(薬理分子情報)
よくある質問(Q&A)
-
コレクチムはどんな薬?どんな場面で使うの?
-
コレクチム軟膏は、アトピー性皮膚炎に使う塗り薬です。
かゆみや赤みを起こす「サイトカイン」という物質の信号を止めることで炎症を抑えます。✔ ステロイドではない
✔ プロトピック(タクロリムス)とも違う
✔ 生後6か月〜大人まで使える特に、かゆみが強くて掻いてしまうタイプのアトピーに処方されることが多いです。
-
この薬の同じ系統(JAK阻害薬)の既製薬に対する強みは?
-
同じJAK阻害薬でも、「経口(飲み薬)」と「外用(塗り薬)」で働き方が違います。
分類 例 特徴 外用JAK阻害薬 コレクチム 局所にとどまりやすい、赤み/かゆみに効く 経口JAK阻害薬 アブロシチニブ等 全身性に作用、効果が強いが全身性副作用もあり コレクチムの強みは:
✔ 皮膚だけに作用するので全身の副作用が少ない
✔ 乳幼児にも使える(生後6か月〜)
✔ ステロイドではないので皮膚が薄くなる心配が少ない
✔ かゆみの生成経路(IL-31)にも作用するため掻きむしりへの効果が期待できる
✔ 長期使用の選択肢になりやすい一方で、広範囲の強い炎症や重症例では内服JAKの方が有効な場面もあります。
-
先発薬の発売年は?
-
コレクチム軟膏 0.5%(成人用):2020年発売
0.25%+小児適応:2021年追加
乳幼児(生後6か月〜)適応:2023年追加
→ 世界初の外用JAK阻害薬として承認された薬です。
-
どのくらいで効き始める?作用発現時間は?
-
以臨床試験では早い人で数日から改善が見られます。
ざっくりしたイメージは:
- かゆみ:数日〜2週で改善しやすい
- 赤み・皮疹:2〜4週で改善しやすい
添付文書上は、
0.5%製剤で4週間使っても改善がなければ続行せず、治療方針を見直す
とされています。
-
効果はどのくらい続く?持続時間は?
-
局所作用なので「何時間持つ」という指標は明記されていませんが、臨床試験では:
- 1日2回塗布で改善維持
- 52週間(1年)の長期試験でも効果継続
というデータが出ています。
-
1か月(30日)処方された場合の薬価と自己負担額は?
-
薬価(2023年基準):
- 0.5%:1gあたり 143円
- 0.25%:1gあたり 137.6円
一般的な処方量の目安:
- 成人で1日5g → 30日で150g
- 小児で1日2〜4g → 30日で60〜120g
価格例(成人:0.5%で150g処方時)
自己負担額
- 3割負担 → 約6,435円
- 2割負担 → 約4,290円
- 1割負担 → 約2,145円
※診察料や調剤料は別
※患部範囲により必要量は大幅に変わります
-
妊娠中は使っていいの?
-
妊娠中は慎重に判断される薬です。
ポイント3つ:
- 胎児に移行する可能性が動物で確認されている
- 胎児死亡率の増加が高用量で報告されている
- 人での安全データは不十分
医師判断としては:
「治療のメリットがデメリットを上回るときのみ使用可能」
自己判断で中止/再開しないことが重要です。
-
授乳中は使える?
-
授乳中は条件付きで使用されます。
理由:
- 動物で母乳への移行が確認
- ただし外用なので全身移行は少ないと考えられる
医師は以下を考慮します:
✔ 授乳を続けるか
✔ 一時的に中止するか
✔ 部位(乳頭付近は避ける)
✔ 使用範囲と量基本ルール
使うなら最小量+短期間で評価
乳首や乳輪付近には塗らない
赤ちゃんの口に触れる部位には避ける
-
子どもは使える?年齢制限は?
-
✔ 生後6か月〜使用できる
年齢ごとの使い方:
- 6か月〜2歳未満:0.25% or 0.5%
- 2歳〜16歳未満:原則0.25%から開始
- 16歳以上:0.5%
注意点:
- 体格に合わせて量を調整
- 感染している皮膚には塗らない
- 4週使って改善なければ再評価
- 6か月未満は適応なし
ステロイドを避けたい保護者の方に説明されることも多い薬です。
-
副作用はどんなものがある?
-
よくある副作用(軽度が多い):
- 毛包炎(もうほうえん:毛穴の炎症)
- ざ瘡(ざそう:ニキビ)
- 刺激感(ヒリヒリ)
- 赤み
- そう痒感(かゆみ)
注意すべき感染症:
- カポジ水痘様発疹(ヘルペスの一種)
- 口唇ヘルペス
- 帯状疱疹
- とびひ
違和感のある水ぶくれや痛みは早めに受診。
-
他の薬(ステロイドやプロトピック)と併用できる?
-
併用は状況によって可能です。
皮膚科では実際に:
- 部位ごとに使い分け(顔はタクロリムス、体はコレクチム等)
- 時間帯で使い分け
- 保湿剤との同時併用
が行われています。
ただし、
- 免疫抑制薬
- 内服ステロイド
- 内服JAK阻害薬
は慎重に扱われます。
-
ステロイドで良くならないときに使う薬なの?
-
使われるパターンとして多いのは:
- ステロイドで薄くなりやすい部位(顔/首/皮膚の薄いところ)
- 長期間ステロイドを避けたいケース
- かゆみが強く掻破(そうは)するケース
ただし、全例でステロイドの代わりになる薬ではありません。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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