「週1回でOKの糖尿病の薬『マリゼブ』。効果・飲み方・注意点を医師がやさしく解説」
「週1回でOKの糖尿病の薬『マリゼブ』。
効果・飲み方・注意点を医師がやさしく解説」

糖尿病で『マリゼフ』を使っています。

マリゼブ錠は週1回で続けやすいDPP-4阻害薬です。
糖尿病が落ち着いている方は、オンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
マリゼブ錠とは
マリゼブ錠(一般名:オマリグリプチン)は、DPP-4阻害薬という種類の2型糖尿病治療薬です。
食事のときに腸から出るホルモン「インクレチン(GLP-1・GIP)」が壊れにくくなることで、
- 血糖値に応じてインスリンが出やすくなる
- グルカゴン(血糖を上げるホルモン)が抑えられる
という仕組みで血糖値を改善します。
最大の特徴は、週1回の内服で効果が続くこと。
毎日飲む手間が減り、飲み忘れが少なくなるよう設計されています。
マリゼブ錠の特徴
● 週1回で安定した効き目
腎臓での再吸収の仕組みを利用し、24時間×7日間しっかりDPP-4を阻害できるように作られています。
● 既存薬と比べても効果は十分
日本人の臨床試験では、シタグリプチン(毎日飲むタイプ)に対して非劣性(=効果は遜色(そんしょく)ないこと)が示されました。
● 長期の使い心地も確認
52週(約1年)のデータで、HbA1cの持続的な改善と、概ね良好な副作用の少なさが確認されています。
● 製造販売の流れ
創製はMSD社で、2024年9月からキッセイ薬品工業が製造販売を行っています。
効能・効果
2型糖尿病
まずは食事療法・運動療法を十分に行い、それでも不十分な場合に使用する薬です。
※1型糖尿病、糖尿病性昏睡、重症ケトーシスには使えません。
有効性(有効性試験など)
目次
日本人第III相試験(単剤・24週)
● HbA1cの変化量
- マリゼブ:−0.7%(プラセボ比 −0.8%, p<0.001)
- シタグリプチン:−0.6%(プラセボ比 −0.8%, p<0.001)
→
マリゼブはシタグリプチンに対し、非劣性(=同じくらい効果がある)でした。
● 長期成績(52週)
52週のHbA1cは−0.4%の改善を維持。
単剤52週での低血糖報告は 0.0%(なし) でした。
他の経口糖尿病薬への追加投与(24週)
- SU剤
- 速効型インスリン分泌薬
- メトホルミン
- チアゾリジン
- α-GI
いずれに追加しても、HbA1cを有意に低下。
プラセボとの差は −0.8〜−1.2%。
52週でも−0.4〜−0.6%の改善を維持。
インスリン製剤への追加(16週)
- プラセボ差 −0.9%と明確な改善
- 52週では −0.6%
週1回の内服でも、インスリン併用でしっかり血糖改善が期待できます。
用法・用量
● 通常
25mgを週1回、同じ曜日に内服します。
● 飲み忘れた場合
- 気づいた時点で 1回分だけ 飲む
- 次週はまた元の曜日に戻す
- ※同じ日に2回飲まないこと
● 腎機能が低下している方・透析の方
12.5mgを週1回に減量。
透析との時間は気にしなくて大丈夫です。
● 効果判定
開始後は定期的に血糖を確認し、3か月で十分な改善がない場合は治療方針を再検討します。
使用できない方(禁忌)
- 本剤の成分に過敏症のある方
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡・前昏睡
- 1型糖尿病
- 重症感染症、手術前後、重篤な外傷で、インスリン管理が望ましい方
飲み合わせに注意が必要な薬
● 低血糖が起こりやすくなる組み合わせ
- インスリン
- SU剤
- (その他の糖尿病薬:速効型インスリン分泌薬、メトホルミン、チアゾリジン、α-GI、SGLT2阻害薬など)
※必要に応じてインスリン・SU剤は減量します。
● 作用が強まる(血糖が下がりやすくなる)薬
- β遮断薬
- サリチル酸系
- MAO阻害薬 など
→血糖・体調をこまめに確認します。
● 作用が弱まる(血糖が上がりやすくなる)薬
- アドレナリン
- ステロイド
- 甲状腺ホルモン
● 併用実績(相互作用試験)
- メトホルミン
- グリメピリド
- アトルバスタチン
- 経口避妊薬
→ 臨床的に大きな問題は認められていません。
※GLP-1受容体作動薬との併用は試験がなく、有効性・安全性は不明。
副作用と発生頻度
重大な副作用(早めの受診が必要)
● 低血糖(1.5%)
症状:ふるえ、冷や汗、動悸、強い空腹、眠気、集中力低下など
SU剤・インスリン併用で増えやすいため注意。
※α-GI併用時は、低血糖時はブドウ糖を使用。
● 類天疱瘡(頻度不明)
皮膚の水ぶくれ・ただれが特徴。早めの受診を。
● 急性膵炎
持続する強いみぞおちの痛み、吐き気・嘔吐がサイン。
● イレウス(腸閉塞)
強い便秘、腹部膨満、持続する腹痛。
症状がある場合は内服中止を含め主治医と相談。
その他の副作用(0.2〜1%未満)
- 便秘
- 下痢
- 発疹
- ALT上昇
- 血糖・HbA1c上昇 など
生活上の注意
- 低血糖時に危険が伴う作業(車の運転・高所作業など)は注意
- 中止後もしばらく作用が残るため、切り替え時は必ず医師の指示を
まとめ
- マリゼブ錠は週1回で続けやすいDPP-4阻害薬
- 日本人データで確かなHbA1c改善と副作用の少なさが示されています
- 基本は25mg週1回。腎機能が低下している方は12.5mg
- 低血糖・膵炎・類天疱瘡・腸閉塞には要注意
- 特にSU剤・インスリン併用時は低血糖対策が必須
「マリゼブが自分に合うのか」「別の糖尿病薬に切り替えるべきか」など、遠慮なくご相談ください。
症状・腎機能・併用薬をふまえて、最適な治療を一緒に選びましょう。
参考文献・出典
● 公的資料
- 医薬品添付文書(2025年10月改訂 第5版)
- インタビューフォーム(IF)
- PMDA 医薬品医療機器総合機構:審査報告書
- RMP(医薬品リスク管理計画)
● 主要な臨床試験・論文
Omarigliptin vs Sitagliptin 非劣性試験(国際誌)
日本人第III相試験(単剤・併用)
インスリン併用第IV相試験
よくある質問(Q&A)
-
マリゼブは、ほかの同じ系統(DPP-4阻害薬)と比べてどんな強みがありますか?
-
一番の強みは「週1回でいい」という点です。
ほかのDPP-4阻害薬(ジャヌビア、エクア、ネシーナなど)は、基本的に毎日1回の内服が必要です。マリゼブの強みは次の通り:
- 週1回でOK → 飲み忘れが大幅に減る
- 24時間×7日しっかり効くように設計されている
- 毎日薬を飲むのが負担に感じる人に向いている
- インスリン追加や他の経口薬との併用でも安定したHbA1c改善を確認
- 単剤52週では低血糖の報告0%(毎日飲む薬と同等の安全性)
「薬が多い」「毎日飲むのが大変」という方にメリットが大きい薬です。
-
マリゼブの先発薬はいつ発売されたの?
-
2015年(平成27年)に発売されました。
- 2015年9月:MSDが日本で発売
- 2024年9月:製造販売がMSD → キッセイ薬品工業へ承継
ほかのDPP-4阻害薬(ジャヌビア:2009年発売)より少し後に登場した、比較的新しい薬です。
-
マリゼブを30日間(1か月)処方した場合の薬価と、自己負担額(目安)は?
-
25mg錠を週1回(月4回)として計算すると下記の通りです。
● 薬価(先発品)
- 25mg:576円/錠
- 12.5mg:308.5円/錠
● 1か月(4回)の薬価
- 25mg:576円 × 4回 = 2,304円
- 12.5mg:308.5円 × 4回 = 1,234円
● 自己負担額(3割負担の例)
- 25mg:2,304円 → 約690円/月
- 12.5mg:1,234円 → 約370円/月
※診察料・検査代などは別。
※実際は処方日数(28日、30日)で若干前後します。
-
マリゼブの作用はいつから出る?どれくらい続くの?
-
飲み始めの日から作用は始まり、1週間しっかり効きます。
- 作用発現:内服後すぐにDPP-4阻害が始まります
- 最大の特徴:
→ 約7日間(24時間×7日)持続する長い半減期(39〜80時間) - 効果の実感:
→ HbA1c改善は通常2〜4週間頃から少しずつ現れる
つまり、
飲んだその週はずっと効果が続くように作られた薬です。
-
妊娠中にマリゼブは使ってもいいの?
-
基本的には “慎重に判断” となり、使用は推奨されません。
- 妊娠中の十分なデータは不足
- 胎児への安全性が確立していない
- 必要な場合は、インスリンなど他の治療を検討することが多い
妊娠希望中・妊娠がわかった時点で、必ず主治医に相談してください。
-
授乳中にマリゼブを飲んでも大丈夫?(母乳への移行は?)
-
基本的には「慎重に検討」で、医師と相談のうえで使用します。
- 有効成分が母乳へ移行する可能性がある
- 乳児への影響データが不十分
- 授乳を続けるか薬を優先するかを医師と相談しながら決める
授乳中の治療は、赤ちゃんの安全性を最優先で判断します。
-
子どもはマリゼブを使えるの?
-
小児(18歳未満)への使用は推奨されていません。
安全性・効果が確認されていないため、原則として使わない薬です
小児での臨床試験データがありません
-
マリゼブはどんな人に向いているの?
-
以下の方に向いています:
インスリンや他の薬を使っているが、もう少し血糖改善したい
毎日薬を飲むのが負担
忙しくて飲み忘れをしやすい
HbA1cがなかなか下がらない
-
マリゼブと一緒に飲むと注意が必要な薬は?
-
特に「低血糖になりやすい組み合わせ」に注意。
- インスリン
- SU剤
- 速効型インスリン分泌薬
- SGLT2阻害薬など
逆に、
甲状腺ホルモン
などは血糖を上げやすく、薬の効果が弱まることがあります。ステロイド
アドレナリン
-
マリゼブの副作用でよくあるものと、注意すべきものは?
-
よくある副作用(0.2〜1%未満)
- 便秘
- 下痢
- 発疹
- ALT上昇
注意すべき重大なもの
- 急性膵炎(強いみぞおちの痛み)
- 低血糖(インスリン・SU併用時)
- 類天疱瘡(皮膚の水ぶくれ)
- 腸閉塞(強いお腹の張りや痛み)
気になる症状が出たら早めに受診しましょう。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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