デベルザはどんな薬?血糖を下げるしくみを簡単に説明

デベルザはどんな薬?
血糖を下げるしくみを簡単に説明

糖尿病で『デベルザ』を使っています。

デベルザは「SGLT2阻害薬」という種類の薬で、

腎臓で再吸収される糖を外に出して血糖を下げるタイプの薬です。

糖尿病が落ち着いている方は、オンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

デベルザ錠とは

デベルザ錠20mgは、

  • 一般名:トホグリフロジン水和物
  • 薬の種類:SGLT2阻害薬(選択的SGLT2阻害剤)
  • 用途:2型糖尿病の治療薬(内服薬)

です。

腎臓には、血液中から「こし出された糖を再び体に戻す仕組み(SGLT2)」があります。
デベルザはこの SGLT2だけを狙ってブロックし、余分な糖を尿に出す薬 です。

デベルザのポイント

  • インスリンとは別の仕組みで血糖を下げる
  • そのため、インスリンの効きが悪くなった方でも効果が期待できる
  • 低血糖は起こりにくいが、尿路感染・脱水・ケトアシドーシスなど特有の注意点がある

デベルザ錠の特徴

1. 日本で創製されたSGLT2阻害薬

デベルザは、日本の製薬企業(中外製薬が創製し、サノフィ・興和と共同開発)で生まれた薬です。
1980年代、リンゴやナシの樹皮に含まれる「フロリジン」という物質がSGLTを阻害することが見つかり、その仕組みを応用して開発が進みました。

2. SGLT2に対する「高い選択性」

SGLTには主に以下の2種類があります。

  • SGLT2:腎臓に多い
  • SGLT1:腎臓と小腸に分布

デベルザは、
SGLT1よりもSGLT2へ非常に高い選択性 を持つように作られています。

選択性が高いと何が良い?

  • SGLT2をしっかり抑える
    → 腎臓での糖の再吸収が減り、尿に糖が排泄される
  • SGLT1への余計な影響が少ない
    → 小腸での糖吸収に影響しにくく、消化器症状が出にくい ことが期待される

3. インスリン非依存的で、低血糖が少ない

多くの糖尿病薬は「インスリンを出す/効きをよくする」タイプですが、
デベルザは 体の外に糖を捨てて血糖を下げる薬 です。

そのため、

  • 低血糖のリスクが低い(ただし他剤併用時は注意)
  • インスリン分泌能が低下した方でも効果が期待できる

という特徴があります。

4. 体重減少が期待できる

臨床試験では、24〜52週間で

  • 約3kgの体重減少

が維持されました。

糖=エネルギーを尿に出すため、体重や内臓脂肪が減りやすい薬です。


効能・効果

対象は 2型糖尿病 です。

  • 食事療法・運動療法をしても血糖コントロールが不十分な場合
  • 単独でも併用でも使用可能(メトホルミン、SU、DPP-4阻害薬、インスリンなど)

1型糖尿病には使いません。
ケトアシドーシス(危険な酸性血液状態)のリスクが高まるためです。


有効性(臨床試験の結果)


1. 単独療法(他の糖尿病薬なし)

  • 投与:デベルザ20mgを1日1回 × 24週間
  • 投与前 HbA1c:約 8.3%

結果

  • HbA1c 約1.0%低下
  • 体重 約2.8kg減少

52週間の長期でも、血糖と体重の改善がある程度維持されました。


2. 他の経口血糖降下薬との併用

メトホルミン・SU薬・DPP-4阻害薬など1剤では不十分な場合に追加すると、

  • HbA1c 約0.8%前後低下

多くの薬剤との併用で、概ね同程度の改善がみられています。


3. インスリンとの併用

インスリン治療中の方に追加した16週間試験では、

  • プラセボ:HbA1c 約0.5%上昇
  • デベルザ:HbA1c 約0.6%低下

差は約1.1%改善

52週間では約0.8%低下が維持されました。


4. GLP-1受容体作動薬との併用

リラグルチドなどで治療中の方に追加すると、

  • 52週間でHbA1c 約0.6%低下

用法・用量

  • 20mgを1日1回、朝食前または朝食後に内服

毎日同じタイミングで服用することが推奨されます。
自己判断で増減・中止しないよう注意が必要です。


使用できない方(禁忌・原則使用しない方)

【禁忌(使ってはいけない)】

  • アレルギー歴
  • 重症ケトーシス・糖尿病性昏睡(すぐに点滴・インスリンが必要な状態)
  • 重症感染症・手術前後・重い外傷(インスリン管理が必要)

【原則として使用しない/慎重投与】

  • 1型糖尿病
  • 重い腎機能障害・透析中(効果が期待できない)
  • 妊婦・妊娠の可能性(インスリンへの切替が原則)
  • 授乳中(乳汁移行が報告されているため)
  • 小児
  • 重い肝機能障害

飲み合わせに注意が必要な薬

1. 他の糖尿病薬

低血糖が起こりやすくなる組み合わせ:

  • SU薬(グリメピリドなど)
  • グリニド系
  • メトホルミン
  • α-GI(ボグリボース等)
  • DPP-4阻害薬
  • チアゾリジン薬
  • インスリン
  • GLP-1受容体作動薬

特に SU・インスリン併用は低血糖リスク大 のため、減量を検討します。

2. 低血糖を起こしやすくする薬

  • β遮断薬
  • 高用量アスピリン
  • フィブラート系
  • MAO阻害薬

3. 利尿薬

デベルザは尿を増やす作用があり、利尿薬と併用すると

  • 脱水
  • 血圧低下
  • めまい

などが起こりやすくなります。

4. プロベネシド(痛風の薬)

デベルザの血中濃度が上がるため注意。

5. 血糖を上げる薬

  • ステロイド
  • 甲状腺ホルモン

効果が弱く見えることがあります。


副作用と頻度

1. 重大な副作用(必ず知っておくべきもの)

① 低血糖(1.5〜約40%)

SU薬・インスリン併用で起こりやすい。

症状: 冷や汗、ふるえ、空腹感、動悸など
→ ブドウ糖または糖分のある飲料を摂取し、医師へ連絡。


② 尿路・性器感染症

(腎盂腎炎、陰部カンジダ症、まれにフルニエ壊疽など)

症状: 排尿痛、頻尿、発熱、陰部の腫れ・赤み など
→ 早めに受診し、必要に応じて治療。


③ 脱水・血圧低下・血栓症

尿が増えるため、

  • 強い口渇
  • ふらつき
  • 血圧低下

につながることがあります。

高齢者・利尿薬使用者は特に注意。


④ ケトアシドーシス

(※「正常血糖ケトアシドーシス=血糖がそこまで高くなくても起こるタイプ」もあり)

症状: 強いだるさ、吐き気、息苦しさ、腹痛、口の渇き など

起こりやすい状況:

  • インスリンの急な減量
  • 極端な糖質制限・絶食
  • 脱水
  • 感染症
  • 手術前後

→ 症状があればすぐに受診し、服用を中止。


2. 比較的よくある副作用

  • 頻尿・尿量増加
  • 口渇
  • 体重減少
  • 性器感染症
  • めまい
  • 便秘・下痢

まとめ:デベルザ錠を安全に活かすために

デベルザ錠(トホグリフロジン)は、

  • 日本で開発
  • 1日1回で効果
  • HbA1cを約1%改善
  • 体重減少も期待できる

というメリットがあります。

一方で、

  • 尿路・性器感染症
  • 脱水
  • 低血糖(併用時)
  • ケトアシドーシス

といった特有のリスクがあります。

当院では…

腎機能・併用薬・生活スタイル・年齢・妊娠の可能性などを総合的に判断し、
メリットがデメリットを上回るかどうか を一緒に考えながら治療方針を決めます。

注意すべき症状がある方へ

  • 尿のトラブル
  • 強い口渇やふらつき
  • 気持ち悪さ・息苦しさ
  • 理由の分からない体調不良

などが出た場合は、自己判断で中止せず、必ずご相談ください。

「自分に合っているか知りたい」「治療方針を整理したい」という方も、どうぞ受診時にお話しください。

参考文献・出典

公的・公式情報

  • PMDA 添付文書・インタビューフォーム
    (最新の公式情報。副作用・臨床成績を確認できる)
  • 厚生労働省「糖尿病治療薬の適正使用に関するガイドライン」
  • 日本糖尿病学会「治療ガイド」

● 学術論文(一般向けにわかりやすいテーマ)

SGLT2阻害薬全体の心血管・腎臓保護効果に関するレビュー論文

トホグリフロジンの長期有効性(52週)を示す国内臨床試験

インスリン併用時のHbA1c改善を示す臨床試験

よくある質問(Q&A)


デベルザ錠の特徴は?どんな人に向いている薬?

デベルザは「SGLT2阻害薬」という種類の薬で、腎臓で再吸収される糖を外に出して血糖を下げるタイプの薬です。

向いている人の例

  • インスリンの効きが弱くなってきた人
  • 体重を減らしたい人
  • 血糖の“波”が大きい人

特徴

血糖だけでなく心血管・腎臓にも良い作用が報告されている同系統薬も多い

低血糖が起こりにくい(ただし他の糖尿病薬と併用時は注意)

体重が減りやすい

この薬の同じ系統(SGLT2阻害薬)での強みは?他の薬と比較すると?

デベルザの強みを簡単にまとめると以下の3点です。

① SGLT2への“選択性”が高い

→ 小腸のSGLT1への影響が少なく、消化器症状が出にくい設計。

② 尿糖排泄による体重減少効果が比較的一貫している

→ 長期試験(52週)でも約3kgの体重減少が維持。

③ 日本で開発された薬で、日本人のデータが豊富

→ 日本人はSGLT2阻害薬との相性が良いと言われ、国内臨床試験も多い。

※他のSGLT2阻害薬との比較(簡潔版)

薬剤名強み
デベルザ(トホグリフロジン)選択性が高い、体重減少が安定、日本のデータ豊富
フォシーガ心不全・腎臓病への効果エビデンスが強い
ジャディアンス心臓に関するエビデンスが非常に強い
スーグラ日本で開発、日本人データ多い
ルセフィSGLT1にも作用し、GLP-1増加作用が報告されている

デベルザは「安全性と選択性を重視した設計」が特徴と言えます。

デベルザ錠の先発薬はいつ発売された?

デベルザ錠20mgは
2014年9月に日本で発売 されました。

日本生まれのSGLT2阻害薬のひとつです。

1か月(30日)続けた場合の薬価と、実際の自己負担額は?

● 薬価

  • デベルザ錠20mg:1錠 123.6円前後

● 30日分(1日1錠)

  • 3,708円(薬価ベース)

● 自己負担額の目安

負担割合1か月の支払い目安
3割負担1,110円
2割負担740円
1割負担370円

※ 調剤料などは含まれないため、実際はもう少し高くなることがあります。

作用が出るまでの時間(作用発現時間)と、どれくらい続く?(持続時間)

作用発現時間

内服後
1〜2時間ほどで尿に糖が出始め、血糖が下がり始めます。

● 持続時間

24時間程度持続するため、1日1回でOKです。

● 体重減少などの変化

HbA1c:1〜2か月で改善が見え始める

体重:数週間〜1か月で変化を感じる人が多い

妊娠中はデベルザを使ってもいい?(妊婦)

結論:妊娠中は原則として使わない方がよい薬です。

理由

  • 胎児の腎臓に影響が出る可能性が報告されている
  • 安全性データが少ない
  • 妊娠中はインスリンの方が安全性が確立している

どうする?

妊娠希望がある → 事前に相談し、他の薬へ変更することが多い

デベルザを飲んでいる人が妊娠した場合 → 医師にすぐ相談し、薬の切り替えを検討

授乳中は使える?母乳に薬は移行する?(授乳婦)

結論:授乳中の使用は推奨されません。

理由

  • 動物実験で母乳への移行が確認されている
  • 乳児の腎臓機能に影響する可能性がある

どう対応する?

授乳を続けたい場合 → 他の薬へ切り替える のが一般的

使用するなら「授乳をやめる」必要がある

子どもはデベルザを使える?(小児)

結論:17歳以下は原則使用できません。

理由

  • 小児のデータが極めて少ない
  • 腎臓機能への影響が不明
  • 低血糖や脱水が起こりやすく危険性が高い可能性

注意点

小児・思春期で血糖コントロールが悪い場合は
インスリン治療が中心となります。

デベルザを飲んでいると「尿が増える」「喉が渇く」のはなぜ?

デベルザは、糖を尿として出すため、
尿の量が増える → 水分が失われる → 喉が渇く
という反応が起こります。

水分はこまめに取り、脱水に注意しましょう。

この薬と飲み合わせが悪い薬はある?

特に注意が必要なのは、

  • SU薬・インスリン:低血糖リスク上昇
  • 利尿薬:脱水やふらつきが強くなる
  • ステロイド:血糖が上がりやすくなる
  • プロベネシド:デベルザの濃度が上がる可能性

服薬状況は必ず医師に伝えてください。

デベルザの副作用で一番注意すべきものは?

尿路感染症・性器感染症

脱水・血圧低下

低血糖(併用時)

ケトアシドーシス(糖が高くなくても起こるタイプ)

「だるい・息苦しい・吐き気・強い喉の渇き」が出た場合は
受診が必要です。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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