血糖値の薬トラゼンタってどんな薬?1日1回で効くって本当?

血糖値の薬トラゼンタってどんな薬?
1日1回で効くって本当?

糖尿病で『トラゼンタ®錠』使っています

トラゼンタ®錠は、2型糖尿病の治療に用いられる

DPP-4阻害薬(一般名:リナグリプチン)です。

胆汁を介して未変化のまま糞中へ排泄されるため、

腎機能が落ちていても用量調整が不要です。

トラゼンタ®錠はオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。


トラゼンタ®錠(リナグリプチン)とは

トラゼンタ®錠は、2型糖尿病の治療に用いられる DPP-4阻害薬(一般名:リナグリプチン)です。

食後に分泌される体内ホルモン(GLP-1GIP)の働きを持続させて、

  • インスリンの分泌を促進
  • グルカゴン(血糖を上げるホルモン)の分泌を抑制

することで血糖を下げます。

✅ 1日1回1錠(5mg)で効果が24時間持続
腎機能・肝機能にかかわらず原則同じ用量で使用できます


トラゼンタ®錠の特徴

  • ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社が開発した選択的DPP-4阻害薬です。
  • 胆汁を介して未変化のまま糞中へ排泄されるため、腎機能が落ちていても用量調整が不要です。
  • 海外・日本ともに2011年に承認
     日本では当初「食事・運動で不十分な場合」のみ適応 → 2013年以降、2型糖尿病全般が対象に拡大されました。
  • 1日1回の服用で、
     ✅ 単独療法
     ✅ 他の経口薬やインスリンとの併用療法
    いずれにおいても、有効性と安全性が確認されています。

効能・効果

2型糖尿病

※基本は食事療法・運動療法を行ったうえで、それでも血糖が十分に下がらない場合に使用します。


有効性(臨床試験結果)

すべて5mgを1日1回投与した場合のデータです。

■ 単独療法(12週間)

  • プラセボ群と比較して、HbA1cが約0.9%低下(−0.87%)
  • この効果は52週間まで持続

■ 他の経口薬との併用(52週間)

  • HbA1cが0.70〜0.91%低下
  • 対象の併用薬:
     ・ビグアナイド
     ・速効型インスリン分泌促進薬
     ・チアゾリジン薬
     ・スルホニルウレア(SU)
     ・α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

■ 基礎インスリンとの併用(24〜52週間)

  • プラセボとの比較で、HbA1c低下量の差は
     ・24週:−0.63%
     ・日本人(52週):−0.58%

※すべて平均的な効果です。個人差があります。


用法・用量

  • 通常、成人に5mgを1日1回経口投与します。
  • 食前・食後の区別は不要です。
  • 開始後は定期的に血糖値をチェックし、約3か月で効果が不十分な場合は治療内容の見直しを行います。

使用できない方(禁忌)

次の方には使用できません。

  • 本剤の成分に過敏症の既往がある方
  • 1型糖尿病
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、昏睡/前昏睡
  • 重症感染症、手術前後、重度の外傷(※インスリン管理が優先される)

🔶 妊婦・授乳中・小児などへの投与は個別に判断されます。受診時にご相談ください。


飲み合わせに注意が必要な薬

血糖値に影響する薬と併用すると、効果が強く出たり弱く出たりする可能性があります。

■ 低血糖のリスクが上がる薬

  • スルホニルウレア(SU)薬、インスリン
     → 低血糖のリスク増。必要に応じて減量を検討します。
  • その他の糖尿病薬:
     ビグアナイド、チアゾリジン、速効型インスリン分泌促進薬、α-GI、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬 など
     → 併用可能ですが、GLP-1受容体作動薬との併用はデータ不足です。

■ 血糖を下げすぎるおそれがある薬

  • サリチル酸、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬、リトナビル など
    → 効き過ぎに注意が必要です。

■ 血糖を上げやすくする薬

  • アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、リファンピシン など
    → トラゼンタの効果が弱まる可能性があります。

💡 必ずお薬手帳を提示し、医師にご相談ください。


副作用と発生頻度

国内試験(1,170例)では、11.5%に副作用(検査値の変化含む)が認められました。

■ よくある副作用

  • 低血糖:2.1%(特にSU薬・インスリン併用で増加)
  • 便秘:1.7%
  • 鼓腸(こちょう/おなかにガスがたまる):1.0%
  • 腹部膨満(おなかの張り):0.6%

■ 重大な副作用(頻度不明含む)

  • 低血糖(意識障害のおそれあり)
  • イレウス(腸閉塞)
  • 肝機能障害
  • 類天疱瘡(るいてんぽうそう/水ぶくれができる皮膚病)
  • 間質性肺炎(かんしつせいはいえん)
  • 急性膵炎(きゅうせいすいえん)

■ 以下の症状があればすぐ受診

  • 強い空腹感・冷や汗・震え → 低血糖
  • 強い腹痛・吐き気 → 急性膵炎
  • 息苦しさ・熱・長引く咳 → 間質性肺炎
  • 水ぶくれやただれ → 類天疱瘡
  • 頑固な便秘やお腹の強い張り → イレウス

💡 単独療法では重い低血糖は少ないですが、SU剤・インスリン併用時は注意
運転や高所作業を行う場合は、低血糖のサインや対処法を理解してからにしましょう。


まとめ

強い腹痛、息切れ、発疹・水ぶくれ、重度の便秘などがあれば、速やかに医療機関を受診してください。

トラゼンタ®錠(リナグリプチン)は、DPP-4阻害薬の1つで、1日1回の服用で食後高血糖に効果的です。

腎機能・肝機能に左右されず、用量調整が原則不要です。

HbA1cを0.6〜0.9%程度低下させる効果が、国内外の試験で確認されています。

SU薬・インスリン併用では低血糖が増えるため、用量調整や自己血糖測定が重要です。

参考文献・出典

【添付文書】
 厚労省の「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」で最新版を確認できます。
 → https://www.pmda.go.jp

【くすりのしおり(一般向け)】
 → https://www.rad-ar.or.jp/siori/

【学術論文】
 Horie Y, et al. Clin Ther. 2011;33(7):973-989.
 Graefe-Mody U, et al. Clin Ther. 2011;33(8):1096-1103.
 Retlich S, et al. Clin Pharmacokinet. 2010;49(12):829-840.

【KEGG DRUGデータベース】
 KEGG DRUG ID:D09566

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?

DPP-4阻害薬の中でも、トラゼンタの大きな特長は「腎機能が悪くても用量調整が不要」なことです。

他のDPP-4阻害薬(ジャヌビア、ネシーナ、エクアなど)は、腎機能によって減量が必要なことが多く、特に高齢者や慢性腎臓病の方には注意が必要です。

薬剤名腎機能による用量調整排泄経路
トラゼンタ不要胆汁→糞中(未変化体)
ジャヌビア必要(eGFRで調整)腎排泄主体
ネシーナ必要腎排泄主体
エクア必要腎排泄主体

トラゼンタは腎機能が低下している方でも同じ用量で使えるというのが最大の利点です。

先発薬の発売年はいつ?

トラゼンタ錠(リナグリプチン)は、
2011年7月に日本で承認・発売されました。

同年、アメリカ(5月)、ヨーロッパ(8月)でも承認されています。

1か月(30日)処方されたときの薬価と自己負担額は?

トラゼンタ錠5mgの薬価は
118.9円/1錠(2023年4月時点)

▶︎ 30日分(30錠)では

  • 薬価合計:3,567円
  • 自己負担額(3割負担):約1,070円
  • 自己負担額(1割負担/高齢者等):約360円

💡 調剤料や薬局での技術料などは別途かかるため、実際は+500〜1,000円程度の請求になることもあります。

作用の発現時間と持続時間は?

作用の出はじめ(発現時間):服用後1〜2時間で血糖降下作用が始まるとされています。

持続時間24時間持続するため、1日1回の服用で安定した効果が期待できます。

※効果の実感には数日〜数週間かかることがあります。定期的な血糖測定で評価します。

妊娠中は使える?リスクや注意点は?

原則として、妊娠中の使用は推奨されていません

  • 動物実験では胎児への移行が確認されており、ヒトでの安全性データは十分ではありません
  • 治療上どうしても必要な場合に限り、リスクとベネフィットを比較して医師が判断します。

💡 妊娠を希望している方、妊娠の可能性がある方は、あらかじめ医師に相談しましょう。るべきです。

授乳中の使用は?母乳への移行はある?

動物実験(ラット)では乳汁中への移行が確認されています。

人での母乳移行に関するデータはありませんが、
授乳の継続・中止を含め、個別判断が必要です。

🔶 使用する場合は、赤ちゃんの状態に注意しながら、医師の指導のもと慎重に行います。

子どもへの使用はできる?

トラゼンタは現在、小児(15歳未満)に対する使用は承認されていません

  • 国内外ともに、子どもを対象とした十分な臨床試験が行われていないためです。
  • 小児2型糖尿病には他の薬剤(例:メトホルミン)を選択することが多いです。

💡 子どもに血糖値の薬が必要な場合は、小児科専門医とよく相談してください。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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