朝・夕に飲む糖尿病の薬、エクアって安全?副作用や低血糖リスクも解説
朝・夕に飲む糖尿病の薬、エクアって安全?
副作用や低血糖リスクも解説

軽い糖尿病で『エクア®錠』使っています

エクア®錠は、2型糖尿病の治療で広く使われている標準的な薬です。
単独で使う場合は低血糖を起こしにくく、安心して続けやすい薬ですが、
SU薬やインスリンと併用すると低血糖のリスクが上がります。
糖尿病が落ち着いている方はオンラインで処方することができます。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
💊エクア®錠とは
エクア®錠(一般名:ビルダグリプチン)は、2型糖尿病の治療に使われる薬です。
この薬は「DPP-4阻害薬(ディーピーピーフォーそがいやく)」という種類で、体の中の酵素DPP-4の働きをおさえます。
この酵素をおさえることで、GLP-1(インクレチン)というホルモンの量が増え、
・食事に合わせてインスリンの分泌を助ける
・血糖を上げるホルモン(グルカゴン)をおさえる
といった効果により、食後の血糖上昇をゆるやかにします。
※1型糖尿病や糖尿病性ケトアシドーシス(血が酸性に傾く状態)には使えません。
食事・運動療法だけでは血糖コントロールが難しいときに使われます。
⚙️エクア®錠の特徴
◆ しっかりした作用のしくみ
- DPP-4を選択的かつ可逆的に阻害します。
(つまり、必要なときにしっかり効き、不要なときは元に戻る作用です) - 血糖が高いときにだけ作用するため、低血糖を起こしにくいのが特徴です。
◆ 他の薬との相性が良い
- 薬の代謝に関わる酵素「CYP(シップ)」の影響をあまり受けないため、
他の薬と一緒に使ってもぶつかりにくいです。
◆ 飲みやすい用量
- 通常は1日2回(朝と夕)服用します。
- 腎臓の働きが弱い方は、1日1回(朝のみ)に減らすこともできます。
🩺効能・効果
- 対象:2型糖尿病
- 食事や運動だけでは血糖が下がらない場合に使用されます。
📈効果のデータ(国内臨床試験)
第II相試験(プラセボ※比較・12週)
- 50mgを1日2回:HbA1c −0.92%
- プラセボ(偽薬)は+0.28% → 差 −1.20%
- 低血糖はごく少数でした。
第III相試験(12週)
- 50mg 1日1回:−0.78%
- 50mg 1日2回:−0.86%
- プラセボ:+0.13%
➡いずれも有意に改善し、低血糖は起きませんでした。
他の薬との比較(ボグリボース 0.2mg・12週)
- ビルダグリプチン:−0.95%
- ボグリボース:−0.38%
➡空腹時・食後血糖ともにエクア®の方がよく下がりました。
低血糖は0%です。
SU薬との併用(12週)
- HbA1c:−1.00%
- プラセボ:−0.06%
➡低血糖:エクア®併用で2.0%、プラセボで1.0%
長期試験(52週)
- 単剤:HbA1c −0.80%(低血糖0%)
- SU併用:−0.64%(低血糖3.8%)
他の薬との併用(52週)
- メトホルミン:−0.75%
- チアゾリジン:−0.92%
- α-GI:−0.94%
- グリニド:−0.64%
➡低血糖はほとんどなく、メトホルミン併用で1例のみ。
インスリン±メトホルミン併用(12週)
- HbA1c:−1.01%(プラセボ:−0.11%)
- 低血糖:6.4%(プラセボ:1.3%)
💊用法・用量
- 通常:50mgを1日2回(朝・夕)に服用します。
- 腎臓の働きが低下している方は、1日1回(朝)が推奨されます。
- 肝臓の検査(AST、ALTなど)は定期的に受けてください(開始後1年は3か月ごと、その後も定期チェック)。
⛔使用できない方(禁忌)
- ビルダグリプチンにアレルギーのある方
- 1型糖尿病、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(こんすい)
- 重い肝臓の病気のある方
- 重い感染症、手術前後、重いけがのある方
⚠️注意が必要な方
- 心不全がある方(とくに重い場合)は慎重に使用します。
- 低血糖を起こしやすい状態の方:
例)副腎や下垂体の病気、栄養不足、不規則な食事、激しい運動、多量の飲酒など。 - お腹の手術を受けた方・腸閉塞(ちょうへいそく)の経験がある方:注意が必要です。
- 妊娠・授乳中の方:お腹の赤ちゃんや母乳への移行があるため、医師とよく相談してください。
- 小児・高齢者:使用データが少ないため、慎重に経過を見ながら使います。
🔄一緒に使うとき注意が必要な薬
◆ 血糖を下げすぎる可能性がある薬(低血糖に注意)
- SU薬、グリニド、インスリン
- メトホルミン、チアゾリジン、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、イメグリミン
- その他:β遮断薬、サリチル酸剤、MAO阻害薬、フィブラート系薬
※とくにSU薬・インスリンを一緒に使うときは量を減らすこともあります。
◆ 血糖を上げてしまう薬(効果を弱める)
- アドレナリン(気管支ぜんそく薬など)
- 副腎皮質ステロイド
- 甲状腺ホルモン薬
◆ 特別な注意点
- ACE阻害薬と一緒に使うと「血管浮腫(むくみ)」が出ることがあります。
- ただし、エクア®はCYP酵素の影響が少ないため、全体的に相互作用は少なめです。
- GLP-1受容体作動薬との併用は推奨されていません(効果・安全性のデータ不足のため)。
🚨副作用とその対応
◆ 重大な副作用(頻度は少ないですが注意)
| 副作用 | 主な症状 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 肝機能障害・肝炎 | 黄疸(肌や白目が黄色い)、強いだるさ | 異常を感じたらすぐ受診 |
| 血管浮腫 | 顔や舌の腫れ、息苦しさ | ACE阻害薬併用時に注意 |
| 低血糖 | ふるえ、冷汗、動悸(どうき) | 糖分をとる(ブドウ糖が効果的) |
| 急性膵炎(すいえん) | 強い腹痛や嘔吐 | すぐ受診 |
| 横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう) | 筋肉痛、力が入らない、茶色い尿 | 早めに受診 |
| 腸閉塞 | 便が出ない、腹部のはりや痛み | 既往がある方は注意 |
| 間質性肺炎(かんしつせいはいえん) | 咳、息切れ、発熱 | すぐ胸部検査 |
| 類天疱瘡(るいてんぽうそう) | 水ぶくれ、ただれ | 皮膚科を受診 |
◆ その他の副作用(よくあるもの)
- めまい、便秘、腹部のはり
- 頭痛、下痢、吐き気
- 発疹(ほっしん)やかゆみ
- 検査値の変化(AST/ALT、γ-GTP、CK、CRPなどが上昇)
- むくみ、体重増加
🏥こんなときはすぐ受診を
次のような症状が出たときは、すぐ医療機関を受診してください:
- 肌や目が黄色い(黄疸)
- 強いお腹の痛み
- 水ぶくれやただれ
- 息切れ・高熱
- 茶色い尿
- 冷汗・ふるえ・動悸など低血糖の症状(糖分補給をすぐに)
※エクア®とα-GI(アルファグルコシダーゼ阻害薬)を一緒に使っている場合は、
砂糖ではなくブドウ糖で補給してください。
💬まとめ(当院からのメッセージ)
エクア®錠は、2型糖尿病の治療で広く使われている標準的な薬です。
単独で使う場合は低血糖を起こしにくく、安心して続けやすい薬ですが、
SU薬やインスリンと併用すると低血糖のリスクが上がります。
定期的な肝機能検査を受けて、
膵炎(すいえん)や皮膚の水ぶくれなどのサインに注意しましょう。
腎臓の働きが弱い方は1日1回の服用が基本です。
ジェネリック医薬品もあり、費用の相談も可能です。
ご不安なことがあれば、いつでも主治医や薬剤師にご相談ください。可能です。お薬手帳をご持参のうえ、ご不安なことは診察時にご相談ください。
参考文献・出典
添付文書(2024年9月改訂 第4版)
インタビューフォーム(医療関係者用資料)
KEGG DRUG:D07080
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」
菊池方利ほか「新薬と臨牀」誌(複数論文あり)
He Y-L らによる薬物動態・相互作用に関する国際論文
よくある質問(Q&A)
-
この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?
-
エクア(ビルダグリプチン)はDPP-4阻害薬に分類され、同じ系統にはジャヌビア(シタグリプチン)、ネシーナ(アログリプチン)などがあります。エクアはDPP-4を可逆的かつ選択的に阻害し、GLP-1濃度を高めて血糖を下げます。
特徴的なのは「CYP代謝に関与しないため相互作用が少ない点」や、「GLP-1を増やして血糖依存的に作用するため、単剤では低血糖のリスクが低い設計」であることです。ジェネリックも豊富で、価格面でも選択肢があります。
-
エクアの先発薬の発売年は?
-
日本国内では2010年にノバルティスファーマより「エクア錠50mg」として発売されました。その後、2024年に複数のジェネリック医薬品が登場しています。
-
1か月(30日)処方時の薬価と実際の自己負担額は?
-
先発品(エクア錠50mg)は42.7円/錠、後発品は18.4円/錠(2025年現在)です。
例えば、1日2回(50mg×2)を30日間服用した場合:
- 先発薬:約2,562円(3割負担:約768円)
- 後発薬:約1,104円(3割負担:約331円)
※調剤料や薬局による加算などは別途必要です。。
-
効果はどのくらいで現れて、どのくらい持続しますか?
-
エクアは服用後1〜2時間で血中濃度が最大となり、効果が現れ始めます。作用の半減期は約2時間ですが、1日2回投与設計で持続的なDPP-4阻害作用が得られます。食後血糖も安定して改善することが臨床試験で示されています。
-
妊娠中の使用はできますか?
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原則として妊娠中の使用は避けられています。ラットおよびウサギで胎児への移行が確認されており、安全性が確立していません。どうしても必要な場合は、主治医と十分に相談してリスクと利益を比較して判断します。
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授乳中の使用はできますか?
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動物実験(ラット)で母乳中への移行が報告されており、ヒトでの安全性は不明です。授乳を継続するか中止するかは、治療上の有益性と授乳の重要性を主治医と相談して決定する必要があります。
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子どもへの使用はできますか?
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小児に対する臨床試験は実施されておらず、安全性や有効性は確立していません。そのため、原則として小児には使用しません。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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