血糖値が高いと言われたら?メトホルミンって安全?どんな薬?
血糖値が高いと言われたら?
メトホルミンって安全?どんな薬?

長年糖尿病があり『メトホルミン』を使っています。

メトホルミンは、膵臓からインスリンを出させないタイプの経口血糖降下薬です。
腸からの糖の吸収を抑えます
肝臓での糖の産生を抑えます(=糖新生の抑制)
筋肉などが糖を効率よく使えるようにします
メトホルミンは糖尿病が落ち着いている方はオンラインで処方することができます。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
目次
メトホルミンとは
メトホルミン(一般名:メトホルミン塩酸塩)は、膵臓からインスリンを出させないタイプの経口血糖降下薬です(ビグアナイド系)。
主な作用は以下の3つです:
- 肝臓での糖の産生を抑える(=糖新生の抑制)
- 筋肉などが糖を効率よく使えるようにする
- 腸からの糖の吸収を抑える
これらは、体のエネルギーセンサーとも言われる「AMPキナーゼ」を活性化することで実現されます。
日本では1961年に登場しました
メトホルミンの特徴
- インスリンに頼らない作用が中心なので、単独での低血糖は起こりにくい薬です(※ゼロではありません)。
- 体内ではほとんど代謝されず、腎臓からそのまま排泄されます。このため、腎機能が安全性のカギになります。
- 一部製品では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)での排卵誘発・生殖補助医療での適応追加があります。
- ※ただし、製品ごとに適応の有無が異なるため、処方時は添付文書での確認が必須です。
効能・効果
- 2型糖尿病
ただし、以下のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限ります:
- 食事療法・運動療法のみ
- 食事療法・運動療法+スルホニルウレア(SU)剤
※PCOSへの使用は製品ごとに異なります。
有効性(臨床試験データ)
- 国内の試験(684例)での有効率は65.6%
- 副作用の発現率は23.7%で、主に以下の消化器症状:
- 下痢:6.8%
- 胃腸症状:6.1%
- 食欲不振:4.0%
- 一部のジェネリック(例:「SN」など)は、グリコラン錠250mgとの生物学的同等性が確認されています。
用法・用量
- 開始量:通常、成人は1日500mgから。
- 飲み方:1日2~3回に分けて、食後に内服
- 増量:効果を見ながら、最大750mg/日まで増やす
腎機能が中等度に低下している方(eGFR 30~60)
- 少量から慎重に開始
- eGFRなど腎機能をこまめにチェック
- eGFRが30~45の方には、「治療の有益性が上回ると判断されるときのみ」使用を検討
シックデイ(体調不良)のとき
- 発熱、下痢、嘔吐、食事がとれない等の場合、脱水が疑われるときはいったん服用を中止し、医師に相談しましょう。
使用できない方(禁忌)
以下のような方には使用できません:
- 乳酸アシドーシスの既往がある
- 重い腎障害(eGFR<30)や透析中
- 重度の肝機能障害
- 心不全、ショック、心筋梗塞、肺塞栓など酸素不足になりやすい状態
- 脱水、または脱水のおそれがある
- アルコールを大量に飲む方(過度の飲酒)
- 1型糖尿病、糖尿病性昏睡、重症ケトーシス
- 重症感染症・手術前後・重度の外傷(インスリンが必要な状態)
- 栄養不良・飢餓・衰弱、下垂体機能不全、副腎機能不全
- 妊婦または妊娠の可能性がある方
- メトホルミンやビグアナイド系に過敏症歴がある方
飲み合わせに注意が必要な薬・場面
❌ 絶対に避けるべき(併用禁忌)
- アルコールの過度摂取
→乳酸アシドーシスの危険が高まります。多量の飲酒は厳禁。
⚠ 特に注意すべき薬や検査
| 種類 | 例 | 注意点 |
|---|---|---|
| ヨード造影剤 | CT検査など | 検査前に服用中止し、48時間は再開しない |
| 利尿薬・SGLT2阻害薬 | フロセミドなど | 脱水→乳酸アシドーシスのリスク |
| 腎毒性抗菌薬 | ゲンタマイシンなど | 腎機能悪化によりリスク増、必要に応じて中止 |
| 他の糖尿病薬 | SU剤、インスリンなど | 低血糖に注意(特にSU剤併用) |
| 血糖上昇させる薬 | 副腎皮質ステロイド、甲状腺ホルモン、利尿薬など | 効果減弱に注意 |
| 排泄を阻害する薬 | シメチジン、ドルテグラビル等 | メトホルミン濃度上昇 → 用量調整を検討 |
| β遮断薬 | プロプラノロールなど | 低血糖の自覚症状を感じにくくなる場合あり |
副作用とその頻度
重い副作用(すぐ受診)
- 乳酸アシドーシス:息切れ、筋肉痛、強いだるさ、吐き気など(頻度不明)
- 低血糖:脱力感、強い空腹感、発汗(併用薬によるリスク上昇あり)
- 肝機能障害・黄疸:尿が濃い色、肌や白目が黄色い、強いだるさ
- 横紋筋融解症:筋肉痛・脱力、茶色い尿、CK上昇など
よくある副作用
- 消化器症状:
- 下痢(約6.8%)
- 胃腸症状(約6.1%)
- 食欲不振(約4.0%)
- その他:
- 頭痛
- 眠気
- めまい・ふらつき
- 発疹、かゆみ
- 倦怠感 など
※長期使用ではビタミンB12の吸収低下にも注意
運転・作業に関して
- 単独使用ではまれですが、他剤との併用では低血糖を起こす可能性もあるため、高所作業や車の運転などは体調に注意してください。
まとめ
- メトホルミンはインスリンに頼らず血糖を下げる薬
- 腎機能の管理と脱水の予防が特に重要
- 開始は1日500mg/食後分割投与
- 体調不良(シックデイ)や造影検査前後は中止を検討
- 消化器症状は多いが、重い副作用(乳酸アシドーシスなど)は稀でも注意が必要
- 他院処方薬・市販薬・サプリ・飲酒習慣については、必ず医師に伝えてください
🔍 当院では、腎機能や併用薬をチェックしながら、安全に使用できる用量を提案しています。
検査結果や体調の変化があった際は、遠慮なくご相談ください。
当院での対応
🔍 当院では、腎機能や併用薬をチェックしながら、安全に使用できる用量を提案しています。
検査結果や体調の変化があった際は、遠慮なくご相談ください。
参考文献・出典
“The mechanisms of action of metformin” — PMC, 2017. PMC
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン 2024」/関連章。 日本データサイエンス協会+1
日本糖尿病学会「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」 (2020‑03‑18) nittokyo.or.jp+1
日本薬局方および添付文書:メトホルミン塩酸塩錠250 mg MT「日医工」等。 Japic Pins+1
DrugBank “Metformin: Uses, Interactions, Mechanism of Action” — DrugBank Online. DrugBank
厚生労働省「メトホルミンにおける禁忌『腎機能障害』等の見直しについて」資料。 厚生労働省
よくある質問(Q&A)
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この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?
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メトホルミンは「ビグアナイド系」と呼ばれる糖尿病治療薬の中で、現在でも第一選択薬とされる標準的な薬です。
以下の点が強みです:- インスリンに頼らない作用で、単独では低血糖を起こしにくい
- 体重増加のリスクが低い
- 血糖値だけでなく、心血管イベントの抑制効果も示唆
- ジェネリックが多く、薬価が非常に安い
一方で、乳酸アシドーシスという重い副作用リスクもあるため、腎機能や体調の把握が不可欠です。
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先発薬の発売年はいつ?
-
日本では、1961年にメトホルミン塩酸塩が最初に承認されました。
当初は「グリコラン®(日本新薬)」が先発品でしたが、その後「メトグルコ®(住友ファーマ)」も登場し、より使いやすい製剤設計がされています。現在はさまざまな後発医薬品(ジェネリック)が流通しており、有効成分はすべて同じです。
-
1か月(30日)処方時の薬価・実際の目安価格は?
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ジェネリック品はどの銘柄でも1錠10.4円(250mgまたは500mg)が標準です。
例えば500mgを1日2回(1,000mg/日)服用する場合:
- 30日分:60錠 × 10.4円 = 624円(薬価ベース)
- 3割負担の場合:約190円前後
調剤料や管理料などが加わりますが、1か月でも数百円程度で済む非常に経済的な薬です。
-
効果が出るまでの時間(作用発現時間)と持続時間は?
-
- 作用発現:服用後2~3時間で血中濃度がピーク(Cmax)に達します。
- 持続時間:おおよそ8~12時間程度とされており、1日2~3回の分割投与が基本です。
- 食事と一緒に飲むことで、胃腸症状を軽減し、吸収も安定します。
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妊娠中にメトホルミンは使えますか?
-
妊婦)
原則として使用は推奨されていません。- 胎児への移行性あり(動物実験で確認)
- 一部で催奇形性の可能性が報告されており、日本の添付文書では妊婦または妊娠の可能性がある女性への投与は禁止(禁忌)とされています。
ただし、欧米では妊娠糖尿病やPCOSでの使用例もあり、ガイドラインにより対応が異なるため、担当医との相談が不可欠です。
-
授乳中でも飲めますか?
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(授乳婦)
使用可能な場合もありますが、慎重な判断が必要です。母乳中に少量が移行する可能性があります。
授乳中の安全性は完全には確立されていないため、
医師が治療上の必要性と母乳栄養のメリットを比較しながら判断します。
必要に応じて「授乳を一時中止する」または「母乳栄養を継続しながら慎重に観察する」対応を取ります。
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子どもにも使えますか?使用上の注意点は?
-
(小児)
小児は体重や腎機能の変動が大きく、用量調整が難しいため、専門医のもとで慎重に使用されます。
原則として、10歳未満の小児に対する使用は想定されていません。
一部の製品では、10歳以上の小児への使用が承認されています(例:メトグルコ)。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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