かゆみ・赤みに効く薬「ベトネベートN軟膏」って?どんな時に使うの?効果と注意点をやさしく解説

かゆみ・赤みに効く薬「ベトネベートN軟膏」って?
どんな時に使うの?効果と注意点をやさしく解説

感染して赤く腫れているのですが『ベトネベートN軟膏』を使えますか?

ベトネベートN軟膏(Betnevate N Ointment)は、

強力なステロイド「ベタメタゾン吉草酸エステル」と、

抗菌作用をもつ「フラジオマイシン硫酸塩(アミノグリコシド系抗生物質)」を

組み合わせた外用薬です。ベトネベートN軟膏はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。



ベトネベートN軟膏とは

ベトネベートN軟膏(Betnevate N Ointment)は、
強力なステロイド「ベタメタゾン吉草酸エステル」と、
抗菌作用をもつ「フラジオマイシン硫酸塩(アミノグリコシド系抗生物質)」を組み合わせた外用薬です。

  • 炎症(赤み・かゆみ・腫れ)を抑える効果
  • 感染予防にも対応できる

この2つの作用があるため、ジクジクした皮膚炎や、化膿(かのう)を伴う湿疹(しっしん)に適しています。


ベトネベートN軟膏の特徴

~開発の経緯と剤形~

  • 英国グラクソ・ラボラトリーズが開発し、
    日本では1966年に発売。1980年に再評価が実施されました。
  • 剤形:油脂性の白色半透明軟膏
     → 患部を保護しつつ、乾燥を防ぎたい時に適しています。
  • ステロイドの強さ:Strong(ストロング=強力群)
     → 中等度以上の炎症に適応あり。
  • 目の周囲(眼瞼)には使用不可。
     眼圧上昇や白内障など重い副作用
    の報告あり(※後述参照)。

効能・効果

適応菌種

  • フラジオマイシン感性菌

適応症

以下のような皮膚症状に適応があります。

  • 深在性皮膚感染症、慢性膿皮症(ちょうひしょう)
  • 湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、放射線皮膚炎、日光皮膚炎など)
  • 乾癬(かんせん)、虫さされ、痒疹群(ようしんぐん)
  • 外傷・熱傷・手術創の二次感染
  • 耳鼻咽喉科の術後処置

※ 鼓膜穿孔(こまくせんこう)がある場合の耳内使用は禁忌です


有効性

強い抗炎症作用

  • ベタメタゾン吉草酸エステルは皮膚の血管収縮試験(McKenzie法)で
    ヒドロコルチゾンの約360倍
    フルオシノロンの約3.6倍の強さを示しました【McKenzie 1962,1964】

化膿病巣への抗菌作用

  • フラジオマイシン硫酸塩は黄色ブドウ球菌などに対し
    in vitro(試験管内)で抗菌力を示します【Livingood 1954】

作用機序(しくみ)

  • ステロイド:炎症性サイトカインの産生を抑え、アラキドン酸代謝をブロック
  • 抗菌薬(フラジオマイシン):細菌のたんぱく質合成を妨げ、増殖を防ぐ

「炎症+感染」両方をこれ1本で治療できるのが大きな利点です


用法・用量(使い方)

  • 通常は1日1〜数回、患部に薄く塗る
  • ガーゼにのばして貼る方法も可
  • 症状に応じて量や回数は調整可

使用上の注意

  • 密封法(ODT)は吸収が急増し、副作用が出やすくなるため避けます
  • 顔・目の周囲は特に注意(吸収がよく、副作用が出やすい)
  • 化粧下やひげそり後など治療以外には使用不可

使用できない方(禁忌)

以下に該当する方は使用できません:

  • フラジオマイシン耐性菌・非感性菌の皮膚感染
  • 真菌(カビ)・ウイルス・スピロヘータなどによる皮膚病
  • 疥癬(かいせん)やけじらみなどの動物性疾患
  • 鼓膜に穴がある方への耳内使用
  • 成分に過敏症の既往がある方
  • アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン等)やバシトラシンでアレルギー歴がある方
  • 潰瘍部位(ベーチェット病は除く)、深在性熱傷や凍傷

使用に注意が必要な方・薬

  • 同系統の外用抗生物質(例:ゲンタシンなど)
     → 交差アレルギーに注意
  • 他のステロイド剤との併用
     → 長期使用になりやすく副作用リスクが増加
  • 妊婦または可能性がある方
     → 動物実験で胎児への影響報告あり
  • 小児
     → 長期使用やおむつ(=密封効果)で発育障害のリスク
  • 高齢者
     → 副作用が出やすいため慎重に使用

💡受診時は:
市販薬や他の病院の処方(特に塗り薬)を医師に伝えましょう


副作用とその頻度

重大な副作用(頻度不明)

  • 眼圧亢進(がんあつこうしん)緑内障後嚢白内障
     → 目の周囲に使用すると起こりやすい
     → 目のかすみ、視力低下、目の痛み等が出たら即受診を

その他の副作用(頻度不明)

  • 皮膚感染症:耐性菌、真菌、ウイルス感染症など
    (特にODTで発生しやすい)
  • 過敏症状:刺激感、かぶれ、発疹
  • 皮膚の変化
     - ステロイドざ瘡(にきび様症状)
     - 皮膚の薄化・毛細血管拡張
     - 酒さ様皮膚炎(しゅさよう)
     - 色素脱失・紫斑・多毛など
  • 全身の影響
     - 副腎機能の抑制
     - 中心性漿液性網脈絡膜症(ちゅうしんせいしょうえきせいもうみゃくらくまくしょう)
     - 長期使用での腎障害難聴(フラジオマイシンによる)

🚫 長期大量使用後は急にやめず、医師の指示で徐々に減らす必要があります


まとめ(当院からのご案内)

ベトネベートN軟膏は、
「炎症+感染」という複雑な症状に対応できる
強力なステロイド+抗菌薬の外用剤です。

使用時のポイント

  • 1日1〜数回、薄く塗るのが基本
  • 長期使用・広範囲・ODTは避ける
  • 顔・目の周囲への使用は慎重に
  • 耳の中(鼓膜穿孔あり)には使わない

こんな時はすぐ受診を

  • 目の異常(かすみ、痛みなど)
  • 強いかゆみや赤み
  • 市販薬との併用で悪化した場合

市販薬や他の外用薬と併用することで、
思わぬ副作用が出ることがあります。
必ず医師に相談の上、ご使用ください。


よくあるお悩み例

  • 「赤みとかゆみが強く、ジクジクしてきた」
  • 「市販の薬で悪化した」
  • 「子どものおむつかぶれがなかなか治らない」

これらは感染が隠れていることもあります。
診察のうえで、ベトネベートN軟膏が適切か、
あるいは抗真菌薬など他の治療が必要かを見極めます。


参考文献・出典

医薬品添付文書(最新版:2024年7月改訂 第2版
 → PMDA 添付文書検索

KEGG DRUG ID: D04796

主な参考文献
 - McKenzie AW, Arch Dermatol, 1962, 1964(ステロイド強度比較)
 - Livingood CS, AMA Arch Derm Syphilol, 1954(フラジオマイシンの抗菌活性)

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?

「炎症+感染」に一度に効くのが最大の特長です。

ステロイドだけの塗り薬は多いですが、ベトネベートN軟膏ステロイド+抗菌薬の合剤です。
たとえば「ロコイド」や「キンダベート」は炎症を抑えるだけですが、ベトネベートNはかゆみや赤みに加えて、ジクジク・化膿した部位の細菌にも対応できます

また、含まれるステロイド(ベタメタゾン吉草酸エステル)は「ストロング(強め)」に分類されており、赤みやかゆみが強い症状にも対応可能です。

ベトネベートN軟膏はいつ発売された薬ですか?

日本では1966年に発売され、1980年に再評価が行われています。

開発は英国のグラクソ・ラボラトリーズ社(現グラクソ・スミスクライン)。
50年以上の使用実績があり、信頼性の高い塗り薬です。

1ヶ月(30日)使うと薬代はいくらくらい?

保険適用3割負担で、約160〜180円程度です(1本30g使用の場合)。

  • 薬価:17.9円/g
  • 1本30g使用 → 537円(薬価ベース)
  • 3割負担の場合 → 約161円(+調剤料等別途)

※1日1〜2回の使用で30gは一般的な量です。用法や症状により異なるため、実際は医師にご確認ください。

どれくらいで効き始める?効果はどれくらい続く?

多くは1〜数日で赤み・かゆみが改善します。効果は数時間〜半日程度です。

ステロイド成分(ベタメタゾン吉草酸エステル)は、数時間以内に炎症を抑えはじめます

抗菌成分(フラジオマイシン)は、塗布後数時間かけて局所に作用し、1日1〜数回塗布で効果が持続します

※効果の持続時間は、部位や症状、塗る量などによって変わります。

妊娠中の使用はできますか?リスクはある?

広範囲・長期間の使用は避けた方が安全です。

  • 妊娠中の安全性は確立していません。
  • 動物実験で胎児の成長に影響が出た報告があります(生存胎児数の減少など)。
  • 必要最小限の範囲・期間に限って使用するのが原則です。
  • 特に密封法(ODT)や顔への使用は避けるべきとされています。

※妊娠しているかもしれない方も、医師に相談のうえ使用を決めてください。

授乳中でも使えますか?母乳に薬は移行しますか?

原則として局所使用であれば使用できますが、注意が必要です。

  • 成分の母乳中への移行はごく微量とされています
  • ただし、乳首や乳輪に塗ることは避けてください(赤ちゃんがなめる可能性があるため)。
  • 広範囲や長期使用は避け、授乳後に使用・次の授乳前に拭き取るなどの工夫を。

母乳育児中で塗布部位が乳房近くの場合は、必ず医師に相談してください。

子どもに使っても大丈夫?注意点は?

医師の指示があれば使えますが、注意点が多いです。

  • 小児に対しては皮膚が薄く、吸収されやすいため副作用のリスクが高くなります
  • おむつの中は密封環境と同じなので、ステロイドが強く効きすぎるおそれがあります
  • 長期間使うと発育に影響が出るリスクも報告されています

必ず医師の指示のもと、決められた量・期間を守って使いましょう。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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