ヒルドイドってどんな薬?保湿と血流改善に使われる塗り薬をわかりやすく解説
ヒルドイドってどんな薬?
保湿と血流改善に使われる塗り薬をわかりやすく解説

乾燥肌で『ヒルドイドローション』を使っています。

ヒルドイドは、有効成分として
ヘパリン類似物質(Heparinoid)0.3%を含む
血行促進・皮膚保湿剤です。
皮膚のうるおいを保ち、血流を促します。
ヒルドイドはオンラインで処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)とは
ヒルドイドは、有効成分としてヘパリン類似物質(Heparinoid)0.3%を含む、血行促進・皮膚保湿剤です。
皮膚のうるおいを保ち、血流を促すことで、以下のような症状に使われます:
- 乾燥性皮膚(皮脂欠乏症)
- 瘢痕(はんこん:しわ・ひきつれ)
- 打撲・捻挫後の腫れ
剤形は以下の4種類があります:
- クリーム
- ソフト軟膏
- ローション
- フォーム(泡)
目次
ヒルドイドの特徴
※開発の経緯をもとに要点整理
- 1949年にドイツで発売、1954年に日本で販売開始された歴史ある製剤です。
- 1988年に「皮脂欠乏症」で効能追加を申請し、1990年に承認。
- その後も利便性を高めるために以下の剤形が追加されました:
| 年 | 剤形 |
|---|---|
| 1996年 | ソフト軟膏 |
| 2001年 | ローション |
| 2018年 | フォーム(泡タイプ) |
- 有効成分「ヘパリン類似物質」はブタ軟骨由来の多糖体で、水となじみやすく(親水性)、角質のうるおい保持を助けます。
確認されている薬理作用
- 保湿作用
- 血液凝固抑制作用(血が固まりにくくなる)
- 血流量増加作用
- 線維芽細胞増殖抑制(瘢痕の盛り上がり抑制に関与)
- 抗炎症作用
効能・効果(どんな症状に使う?)
以下の病態・症状に適応があります(添付文書より抜粋):
- 皮脂欠乏症(乾燥肌)
- 進行性指掌角皮症(指の皮膚が厚く、ひび割れる疾患)
- 肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防
- 血栓性静脈炎(ぢ〈痔核〉を含む)や注射後のしこり・痛みなど
- 凍瘡(とうそう)=しもやけ
- 打撲・捻挫・挫傷による腫れ、血腫、腱鞘炎、筋肉痛、関節炎
- 筋性斜頸(きんせいしゃけい):乳児期に首が傾いた状態
有効性(臨床試験データ)
臨床試験で確認された有効率
クリーム0.3%(2,192例・二重盲検比較含む)
- 皮脂欠乏症:91.2%
- 進行性指掌角皮症:71.6%
- 凍瘡(しもやけ):90.8%
- 肥厚性瘢痕・ケロイド:75.5%
- 外傷後の腫脹・血腫・腱鞘炎・関節炎など:75.5%
ソフト軟膏0.3%
- 皮脂欠乏症:93.3〜96.7%
- 進行性指掌角皮症:70.0〜72.4%
ローション0.3%
- 皮脂欠乏症:98.1%
- 進行性指掌角皮症:85.2%
- 瘢痕・ケロイド(8週):66.7%
- 外傷(捻挫・挫傷):100%(10日間)
フォーム0.3%
- ソフト軟膏からの切替後も効果維持
- 生物学的同等性:薬物量の分布や保湿効果はクリームと同等
- パッチテスト等でも皮膚刺激性なし
ポイント
いずれの剤形でも、効果は安定しています。
使用感や塗りやすさで選ぶのが基本です。
「乳剤性」と「水性」の違い
※主にローションの話です
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 乳剤性ローション(例:ヒルドイドローション) | 水中油型。油分あり。しっとり感。乾燥が強い方におすすめ。 |
| 水性ローション(例:後発品の一部) | 油分なし。さらっとした使用感。ベタつきが苦手な方におすすめ。 |
一般名コードの分割(2025年8月~)
以前は「ヘパリン類似物質外用液0.3%」として一括管理されていた処方コードが、
「乳剤性」と「水性」に分かれました。
- 医師の処方意図がより明確に反映されるようになり、薬局での混同が防がれます。
- 使用感に希望がある場合は、診察時に相談するとスムーズです。
用法・用量(正しい使い方)
基本の使い方
- 通常、1日1〜数回、適量をやさしく塗り広げます。
剤形別の使用方法
- クリーム/ソフト軟膏:塗布またはガーゼにのばして貼付
- ローション/フォーム:薄く均一に塗布
フォームの注意点
- よく振ってから使用
- 横向き・逆さでは使えない
- 可燃性(LPG使用):火気・高温注意!使い切ってから捨てましょう
塗布量の目安
- 試験では「FTU(finger tip unit)」という指先の長さを基準にした量が使用されました。
- 実際には、患部の広さや症状により調整します。
使用できない方(禁忌)
次の方は使用できません:
- 出血性の血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑病など)
- 軽い出血でも重症化する恐れがある方
※ヒルドイドには血液を固まりにくくする作用があります
注意が必要な方・薬剤
- 特定の併用禁忌薬は明記されていませんが、
抗凝固薬・抗血小板薬などを使用中の方は、自己判断で併用せず、必ず相談を。 - 妊婦や妊娠の可能性がある方も、使用前に医師と相談を。
副作用と発生頻度
よくあるもの(0.1〜5%未満)
- 皮膚炎、かゆみ、赤み、発疹、潮紅(ちょうこう:皮膚が赤くなる)など
頻度不明
- 軽い刺激感、投与部位の紫斑(あざ)
※異常を感じたら使用をやめ、医師に相談しましょう。
まとめ
OTC(市販薬)でも類似成分製品がありますが、迷ったときは医師や薬剤師に相談を。
ヒルドイドは、保湿+血流促進作用で乾燥肌、瘢痕、外傷後の腫れに効果あり。
クリーム・軟膏・ローション・泡タイプがあり、使用感の好みと部位に合わせて選ぶ。
ローションは2025年8月から「乳剤性/水性」の区別が明確化。
潰瘍・びらん面には使わない、泡タイプは火気厳禁など、使用上の注意を守ること。
出血リスクがある方、妊娠中・授乳中の方は必ず医師に相談。
参考文献・出典
医薬品添付文書(マルホ株式会社)
ヒルドイドクリーム/ソフト軟膏/ローション/フォーム(最新版:2025年7月改訂)
KEGG DRUG:D04799(ヘパリン類似物質)
厚生労働省「一般名処方マスタ」改訂(2025年8月):乳剤性/水性コード分割
主要論文
藤村昭夫ら, 臨床医薬, 34(2), 109–114, (2018)
川島眞ら, 皮膚の科学, 16(5), 356–365, (2017)
長島正治ら, 臨床医薬, 10(7), 1671–1693, (1994)
原田昭太郎ら, 臨床医薬, 17(7), 1051–1062, (2001)
よくある質問(Q&A)
-
この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?
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ヒルドイドは「ヘパリン類似物質を含む保湿・血行促進薬」の中でも、最も古くから臨床データが蓄積された先発薬です。
同成分の後発品(ジェネリック)は多くありますが、ヒルドイドの強みは以下の点です。- 4つの剤形(クリーム・ソフト軟膏・ローション・フォーム)を持ち、使用部位や季節で選びやすい
- 保湿+血流改善+炎症抑制の作用が一貫して確認されている
- 国内外の臨床試験データが豊富(総計2,000例以上)
- ローションタイプに「乳剤性」を採用し、乾燥肌でもしっとり感が持続する
同じ有効成分を使った後発品も多いですが、油分や基剤が異なるため使用感や保湿持続性には差があります。
肌の乾燥が強い人、傷あと・瘢痕(はんこん)ケアをしたい人には、しっとりタイプのヒルドイドが選ばれやすいです。
-
先発薬の発売年はいつ?
-
ヒルドイドは1949年にドイツで発売、日本では1954年にマルホ株式会社から発売されました。
その後、剤形の追加は以下の通りです。剤形 発売年 特徴 ヒルドイドクリーム0.3% 1954年 初代製剤。保湿と血行促進を両立。 ヒルドイドソフト軟膏0.3% 1996年 しっとり感が高く、乾燥肌向け。 ヒルドイドローション0.3% 2001年 広範囲に塗りやすい。 ヒルドイドフォーム0.3% 2018年 泡状で広範囲に素早く塗布可能。
-
1か月(30日)処方時の薬価と実際の自己負担額は?
-
ヒルドイドは医療用医薬品として保険適用があります。
1日あたり約3〜5gを使用した場合の30日間(約150g)使用時の薬価と自己負担額(3割負担想定)は次の通りです。剤形 薬価(1gあたり) 30日分の薬価 自己負担(3割) ヒルドイドクリーム0.3% 18.2円 約2,730円 約820円 ヒルドイドソフト軟膏0.3% 18.2円 約2,730円 約820円 ヒルドイドローション0.3% 18.2円 約2,730円 約820円 ヒルドイドフォーム0.3% 18.7円 約2,805円 約840円 ※自己負担額はあくまで目安であり、実際は処方量や調剤料によって変動します。
※後発品(ジェネリック)では薬価が3〜9円/g程度まで下がります。
-
この薬の作用が出るまでの時間と、効果の持続時間は?
-
ヒルドイドは外用(塗り薬)のため、即効性というより「じわじわ効くタイプ」です。
- 作用発現時間:塗布後数時間以内に角層の水分量が上昇(保湿作用)
- 血行促進・腫れ改善効果:1日〜数日で徐々に改善がみられることが多い
- 効果持続時間:1回塗布でおよそ6〜8時間程度保湿が持続
そのため、1日2〜3回の使用で効果を安定させるのが一般的です。
-
妊娠中に使っても大丈夫?
-
妊娠中でも、必要な場合に限って医師の判断で使用可能です。
ヒルドイドの成分は皮膚の表面で作用し、全身への吸収はごくわずかです。- 添付文書上の注意:「治療上の有益性が危険性を上回る場合に使用すること」
- 妊婦での明確なリスク報告はありませんが、血液凝固抑制作用があるため、
出血傾向がある方や強くこする部位への使用は避けましょう。
自己判断での長期使用は避け, 必ず主治医に相談してから使うようにしましょう。
-
授乳中に使っても大丈夫?
-
授乳中の使用も、基本的には医師の判断で可とされています。
塗布後に成分が母乳へ移行する可能性は極めて低いとされています。ただし以下の点には注意が必要です:
- 乳頭部(乳首)への直接塗布は避ける
- 授乳直前に塗った場合は、授乳前に拭き取る
- 赤ちゃんの口に入る部位には使わない
皮膚トラブルがある場合や、母乳への影響が不安な場合は医師や薬剤師に相談を。
-
子ども(乳幼児)にも使えるの?
-
はい、乳児から使用可能です。
実際に「乳児期の筋性斜頸」や「乾燥肌(小児皮脂欠乏症)」にも使用例があります。ただし以下に注意しましょう:
- 傷やただれた部分には塗らない
- 強くこすらない(皮膚が薄くダメージを受けやすい)
- 1日2〜3回程度の薄塗りで十分効果が得られます
乾燥肌やしもやけのケアとして広く使われていますが、赤みやかゆみが出たら中止し、小児科へ相談してください。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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