吸入ステロイドのアニュイティってどう?1日1回で続けやすい喘息の薬

吸入ステロイドのアニュイティってどう?
1日1回で続けやすい喘息の薬

喘息で『アニュイティ®』を使っています。

吸入ステロイド薬(ICS)1日1回吸入のタイプですね。

吸入器「エリプタ®」はフタを開けて吸うだけのシンプル構造で、

使い方がわかりやすいのが特徴です。

アニュイティ®はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

フルチカゾンフランカルボン酸エステル〈アニュイティ®〉とは

アニュイティ®(ARNUITY ELLIPTA)は、吸入ステロイド薬(ICS)のひとつで、有効成分はフルチカゾンフランカルボン酸エステル(Fluticasone Furoate:FF)です。

1日1回の吸入で、気道の炎症を抑え、咳(せき)・ぜん鳴(ぜんめい:ゼーゼー音)・息苦しさなどの症状を出にくくします。

● 吸入器「エリプタ®」の特徴

「エリプタ®」という専用デバイスを使い、ふたを開けて吸うだけのワンアクション操作で、誰でも簡単に使える設計になっています。


アニュイティ®の特徴

● 吸入ステロイドは治療の基本

喘息治療では、吸入ステロイド薬(ICS)は重症度に関係なく基本薬として位置づけられています

● 強い抗炎症作用が期待される薬理特性

フルチカゾンフランカルボン酸エステルは、グルココルチコイド受容体との結びつき(親和性)が強く、強い抗炎症作用が期待できるとされています。

● 継続しやすい1日1回の投与

半減期(薬の効果が半分になる時間)は約24〜33時間で、毎日同じ時間に吸うことで安定した効果が得られます。


効能・効果

  • 適応症: 気管支喘息

※発作が頻繁に起きている時や、急激な悪化時には使用できません(緊急対応薬ではありません)。


有効性(臨床試験での効果)

アニュイティ®は、複数の臨床試験により効果が確認されています。以下は主な試験結果の要約です。

● FF 100μg vs プラセボ(偽薬)による12週間試験

  • 目的: 吸入薬を使っていない人に対して、アニュイティ®が肺機能を改善するかを検証
  • 結果:
    • 息を吐く力(トラフFEV₁)が+0.136L改善
    • プラセボと比べて、明らかに有効(有意差あり)

※FEV₁(1秒量):息を思いきり吐いたときの最初の1秒間の吐き出し量。喘息ではこの数値が低くなる傾向があります。


● FF 200μg vs フルチカゾンプロピオン酸500μg×1日2回(24週間)

  • 目的: 従来薬とアニュイティ®との効果の比較
  • 結果:
    • 肺機能の改善効果にほとんど差なし(差:0.018L)
    • アニュイティ®は1日1回でも従来薬と同程度の効果

● 日本人ステップダウン試験(VI/FF → FF100μg)

  • 目的: 配合薬(LABA併用)からアニュイティ®単剤に切り替えてもコントロールできるか
  • 結果:
    • 喘息コントロール良好率:89.5%
    • コントロール不良による中止率:4.9%のみ

● 日本人長期試験(52週間)

  • 目的: 1年間使用した際の効果と安全性の検証
  • 結果:
    • ピークフロー(PEF)は12週目で改善
    • その後も治療期間を通して良好な状態を維持

※PEF(ピークフロー):息を一気に吐き出したときの最高速度。喘息のコントロール指標として使われます。


用法・用量

  • 通常: 100μgを1日1回1吸入
  • 必要に応じて: 200μgに増量する場合もあります

使い方のポイント

  • 毎日同じ時間に吸入しましょう
  • 吸入後は必ずうがい(口すすぎ)を行い、口腔カンジダ症や嗄声(声がれ)を予防
  • 自己判断での中止や減量はNG
  • 口から期間に吸入する薬であり、飲み込んでも効果はありません

使用できない方(禁忌)

  • 有効な抗菌薬がない感染症や深在性真菌症の方
  • アニュイティ®に過敏症(アレルギー)がある方

注意が必要な方(慎重投与)

  • 結核や感染症の既往がある方
  • 肝機能障害のある方(血中濃度が上がる可能性あり)
  • 長期・大量の全身ステロイド使用中の方
  • 妊娠中・授乳中の方(医師とリスク・ベネフィットを相談)

飲み合わせに注意すべき薬

アニュイティ®はCYP3A4という肝臓の酵素で代謝されるため、以下の薬と併用すると副作用が出やすくなることがあります。

  • リトナビル(抗HIV薬)
  • ケトコナゾール(経口抗真菌薬)
  • エリスロマイシン(抗生物質)

💡 サプリや市販薬も影響することがあるため、医師に必ず申告しましょう。


副作用とその頻度

● よくある副作用(承認時)

  • 口腔・中咽頭カンジダ症:約1%
  • 頭痛:約0.7%
  • 発声障害(嗄声):約0.7%

● 国内長期試験(52週)

  • 副作用の発現率: 約18%
  • 発声障害:6.7%
  • 口腔カンジダ症:3.3%
  • 味覚異常:2.2%

● まれな重い副作用

  • アナフィラキシー反応(のどの腫れ、けいれんなど)
    → もし出現したら、すぐに医療機関へ

その他の注意点

  • 吸入後のうがいで副作用予防ができます
  • 200μg使用時は肺炎リスクがやや増加する傾向あり
    → 息切れ・発熱などがあれば早めに受診を
  • 長期・高用量で使用すると、副腎機能の低下・骨密度低下・白内障・緑内障などの副作用が出ることがあります

まとめ

吸入後のうがい、定期受診、薬の飲み合わせへの配慮を忘れずにになる症状があればすぐに医療機関へ。

アニュイティ®は1日1回の吸入で使える吸入ステロイド薬(ICS)

吸入器「エリプタ®」は簡単で使いやすく、継続しやすい

臨床試験で肺機能の改善やコントロール維持が証明されており、日本人のデータでも良好な成績

毎日続けることが大切(発作止めとしては使用不可)


参考文献・出典

PMDA添付文書https://www.pmda.go.jp

KEGG DRUG データベースhttps://www.genome.jp/kegg-bin/search_pathway_text?map=dr

  • アニュイティ:KEGG DRUG「D06315」

喘息予防・管理ガイドライン(JGL)

  • 日本アレルギー学会が出している国内の喘息管理指針

PubMed等の論文

例)Nakahara N et al., Int J Clin Pharmacol Ther. 2013
O'Byrne PM et al., Eur Respir J. 2014

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の薬と比べて、どこが強みなの?

吸入ステロイド薬(ICS)の中でも、アニュイティ®は“1日1回の吸入で効果が持続する”のが大きな特長です。

また、吸入器「エリプタ®」はフタを開けて吸うだけのシンプル構造で、使い方がわかりやすいのもポイントです。

成分のフルチカゾンフランカルボン酸エステルは、受容体への親和性が高く、抗炎症作用が長く続くとされています。

同じICSでも1日2回吸入が必要な薬がある中、アニュイティ®は継続しやすく、吸入タイミングを覚えやすいというメリットがあります。

アニュイティの先発薬はいつ発売されたの?

アニュイティ®は日本では2017年3月に「気管支喘息」の適応で承認・発売されました。
海外では2014年8月に米国で承認されています。

アニュイティを30日分処方されたら、薬代はどのくらい?

薬価(2023年9月改定)は以下のとおりです:

規格薬価(1キット)3割負担の自己負担額(目安)
アニュイティ100μgエリプタ30吸入用1,301.2円約390円
アニュイティ200μgエリプタ30吸入用1,683.5円約505円

※これは薬剤費のみの目安で、調剤料・処方料は含みません。

アニュイティって吸ってからどれくらいで効く?効果はどれくらい持つの?

作用発現時間:吸入してから数時間以内に徐々に効果が現れます(即効性はありません)。

持続時間約24時間作用が続くため、1日1回の吸入で十分効果を保ちます。

※急な発作時には別途「発作止め(SABA)」の使用が必要です。

妊娠中だけどアニュイティは使ってもいいの?

妊娠中でも、医師の判断のもとで必要な場合には使用できます

妊娠中の吸入ステロイド薬の使用に関しては、胎児への影響は極めて少ないとされており、喘息の悪化を防ぐ方が重要と考えられています。

動物実験では高用量での影響報告がありますが、通常量であれば大きな問題は報告されていません。

自己判断で中止せず、妊娠の可能性がある場合も必ず主治医に伝えましょう。

授乳中に使っても赤ちゃんに影響はないの?

他のステロイド薬同様、フルチカゾンも母乳中へ少量移行する可能性があります。

しかし、吸入薬は全身への移行が非常に少ないため、授乳中でも通常は使用可能です。

もし不安がある場合は、授乳直後に吸入することでさらに影響を減らす工夫も可能です。

授乳中でも喘息コントロールは重要なので、医師と相談しながら継続的に使用しましょう。で使用してください。

子どもにもアニュイティは使えるの?

日本国内では、小児に対する適応は取得されていません(2025年時点)。

そのため、子どもへの使用は原則避けるか、特別な医師の判断が必要になります。

✅ 海外では小児用量での使用例もありますが、日本では成人向けの薬として使われています。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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