毎日の咳に悩む方へ。パルミコート吸入液の使い方と注意点をやさしく解説
毎日の咳に悩む方へ。
パルミコート吸入液の使い方と注意点をやさしく解説

喘息で『パルミコート吸入液』を使っています。

子供でも使いやすいネブライザー(吸入器)で
自然呼吸でも吸える吸入ステロイド薬(ICS)ですね。
パルミコート吸入液はオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ブデソニド〈パルミコート®〉とは
ブデソニドは、吸入ステロイド薬(ICS:Inhaled Corticosteroid)の一種です。
パルミコート®吸入液(Pulmicort® Respules®)は、薬を霧状にして自然な呼吸で吸い込む機械(ネブライザー)を使って吸入するタイプのお薬です。
操作が難しい乳幼児や高齢者、吸入が苦手な方でも使いやすい設計です。
💡 注意:この薬は、発作をすぐに止める「救急薬」ではありません。毎日使用して気道の炎症を抑えるための薬です。
目次
ブデソニド〈パルミコート®〉の特徴
海外での歴史
- 1990年:フィンランドで初承認
- 現在は世界100か国以上で使用されています。
日本での歴史
- 1999年:**DPI(ドライパウダー吸入器。粉末を強く吸い込むタイプ)**が承認
- 2002年:DPI製剤が発売
- 2006年:ネブライザー用の吸入液が、6か月〜5歳未満の小児用として承認・発売
- 2010年:5歳以上や成人にも適応拡大
医療ニーズと適応
DPIやpMDI(定量噴霧式吸入器:スプレーのように薬が出るタイプ)は、吸い方にコツが必要なため、吸入操作が難しい方(乳幼児・高齢者など)には扱いが難しいことがあります。
一方で、ネブライザーは自然な呼吸で薬を吸入できるため、こうした方にも適しています。
🌟日本では喘息による死亡率は減少していますが、0〜4歳の乳幼児の入院率は高く、吸入液のニーズは引き続き高い状況です。
効能・効果
- 気管支喘息の長期管理(全年齢対象)
- 炎症をコントロールし、発作を起こりにくくする
❗ 急な息苦しさには、短時間作用型β₂刺激薬(SABA)など、即効性のある発作止めの薬が別途必要です。
有効性(臨床試験から)
成人(105例・国内第III相試験)
- DPI(タービュヘイラー®)と同等の効果
- 朝のピークフロー(PEF:呼吸機能の指標)が改善
小児(6ヵ月〜5歳未満・61例)
- 発作回数が週あたり9.92回 → 2.93回へ大きく減少(p<0.001)
長期使用(最大96週)
- 「良好」「非常に良好」と評価された方が86.8%
効果が出るタイミング
- 2〜8日以内に効果が出始め、4〜6週で最大効果が期待されます。
用法・用量(ネブライザー吸入)
成人
- 0.5mgを1日2回 または 1mgを1日1回
- 1日最大:2mgまで
小児
- 0.25mgを1日2回 または 0.5mgを1日1回
- 1日最大:1mgまで
使用方法と注意点
- 必ずジェット式ネブライザー(圧縮空気で薬を霧にするタイプ)を使用してください。
※機種によって使用方法が異なるため、医師や薬剤師の指導を受けましょう。 - 吸入後は、うがい・口をゆすぐ・顔を洗うことで副作用(口内炎やカンジダ症)を予防できます。
- 症状が落ち着いてきたら、必要最小限の量へ減量していくことが大切です。
- 自己判断で中止・増量しないようにしましょう。
使用できない方(禁忌)
- 有効な抗菌薬が効かない感染症のある方
- 体の深い部分にカビが生じる深在性真菌症のある方
- 本剤の成分に**アレルギーやかぶれ(接触性皮膚炎など)**がある方
注意が必要な方
- 結核やその他の感染症をお持ちの方
- 痰(たん)が多く分泌物が出やすい方
- 全身用ステロイド薬を長期使用中、または減量中の方
- 重い肝臓の病気がある乳幼児
飲み合わせに注意が必要な薬
- CYP3A4阻害薬(例:イトラコナゾール、ケトコナゾールなど)
これらと一緒に使うと、ブデソニドの血中濃度が高くなり、副作用が出やすくなるおそれがあります。
⚠ 併用する場合は、用量調整や症状のチェックが必要です。
副作用と頻度
成人(105例中15例)
- 発生率:14.3%
- 主な症状:口やのどの不快感、咽頭痛など
乳幼児(合計1,554例)
- 発生率:10.6%
- 主な症状:カンジダ症(白い斑点)、落ち着きがなくなる、咽頭痛など
小児(国内調査)
- 試験(61例):口腔カンジダ症、口内炎、皮膚炎など
- 使用成績調査(783例):副作用率7.8%(主に気管支炎、喘息悪化、上気道炎)
まれに起きる重要な副作用
- 成長の抑制(長期使用で平均1cm程度の差)
- 白内障の報告
- 副腎機能の低下(高用量・長期使用時)
✅ 予防のポイント
- 吸入後のうがい・顔洗いの徹底
- 最小限の量で維持すること
- 定期的な診察(身長・目・副腎機能など)
まとめ
- パルミコート®吸入液は、ネブライザーで自然に吸入できるステロイド薬
- 乳幼児・高齢者・吸入が苦手な方に適している
- 効果は2〜8日で出始め、4〜6週間で最大
- 毎日継続することで発作を予防
- 急な症状にはSABAなど別の薬を使用
- CYP3A4阻害薬との併用に注意
- うがい・顔洗いなどのセルフケアが大切
参考文献・出典
医薬品インタビューフォーム(アストラゼネカ発行)
添付文書・使用上の注意改訂情報(PMDA)
日本小児アレルギー学会誌:「吸入ステロイド薬の小児使用に関する報告」
KEGG DRUGデータベース:ブデソニド(D00246)
PubMed掲載論文:Falt A et al., J Allergy Clin Immunol., 2007 ほか
よくある質問(Q&A)
-
この薬と同じような吸入ステロイド薬と比べて、パルミコート吸入液の強みは何ですか?
-
パルミコート吸入液(ブデソニド)は、ネブライザー(吸入器)で自然呼吸でも吸える吸入ステロイド薬(ICS)です。
同じくICSに分類される薬には、ドライパウダー吸入薬(DPI)や加圧式定量噴霧器(pMDI)タイプがありますが、これらはある程度の吸う力やタイミングに合わせる技術が必要です。一方、パルミコート吸入液は:
- 吸入の力が弱い乳幼児や高齢者でも使用しやすい
- 自然な呼吸だけで効果的に薬が届く
- ネブライザー対応で、確実に吸入ができる
という点が大きなメリットです。
特に6か月から使える承認を得ている数少ないICS製剤です。
-
パルミコート吸入液はいつ発売された薬ですか?
-
DPIタイプ(パルミコート タービュヘイラー)**は、1999年に日本で承認、2002年に発売されました。
ネブライザー用吸入液タイプ(現在のパルミコート吸入液)は、2006年に6か月〜5歳未満の小児向けに承認・発売され、その後2010年に5歳以上や成人にも適応が広がりました。
-
1か月(30日)使用した場合の薬価と自己負担額の目安は?
-
■ 先発品(アストラゼネカ)薬価(2024年時点):
- パルミコート吸入液0.25mg:104.9円/管
- パルミコート吸入液0.5mg:142.5円/管
■ 後発品(武田テバファーマ):
- 0.25mg:39.6円/管
- 0.5mg:58.4円/管
たとえば「0.5mgを1日2回」で30日使用すると…
- 先発品使用時:約8,550円(薬価ベース)
- 後発品使用時:約3,504円(薬価ベース)
※3割負担の場合、自己負担は約2,500円〜1,050円程度。
※調剤料・技術料は別途かかります。です。
-
パルミコート吸入液はどれくらいで効きはじめ、どのくらい効果が持続しますか?
-
効果発現(効きはじめ)は、吸入開始から2〜8日程度
最大効果が出るまでには約4〜6週間の継続使用が必要です。
即効性はなく、毎日の継続使用が前提の“炎症をおさえる薬”です。
すでに起きた発作には効果がないため、急な息切れや喘鳴にはβ2刺激薬などの頓用薬を使用します。
-
妊娠中でも使える薬ですか?赤ちゃんへの影響は?
-
ブデソニドは、妊娠中でも「必要性が上回る場合に限って使用できる」薬です。
動物実験では一部で催奇形性の報告がありますが、人での重大な影響は確認されていません。妊娠中の喘息悪化の方が母体・胎児ともにリスクが高いため、主治医が治療継続を判断するケースが多いです。
使うかどうかは、必ず医師と相談して決めてください。
-
授乳中でも使えますか?母乳への影響は?
-
はい、母乳中に薬の成分(ブデソニド)が移行することは確認されていますが、
海外の研究では赤ちゃんに影響が出たという報告はほとんどありません。そのため、授乳を続けながら使用することも可能ですが、医師と相談のうえ、
- 使用の必要性
- 赤ちゃんの状態
- 授乳の方法(タイミング調整など)
を踏まえて判断することが大切です。
-
子どもにも使える薬ですか?どんなことに注意すべきですか?
-
はい、パルミコート吸入液は生後6か月から使用可能な吸入ステロイド薬です。
特に乳幼児では、DPIなどが使えないケースで重宝されます。ただし、以下の点に注意が必要です:
- 吸入後はうがい・口の洗浄を忘れずに
- フェイスマスク使用時は顔も洗浄
- 長期使用ではまれに“成長の遅れ”が出ることがあるため、身長などの経過観察が推奨されます
副作用としては、口の中のカンジダ症や咽頭痛などが報告されていますが、きちんとした使い方で予防可能です。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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