フルティフォームってどんな薬?喘息で毎日吸う吸入薬をくわしく解説

フルティフォームってどんな薬?
喘息で毎日吸う吸入薬をくわしく解説

喘息で『フルティフォーム』を使っています。

ICS(吸入ステロイド)+LABA(長時間作用型β2刺激薬)の配合薬は、

DPI(ドライパウダー吸入器)が主流ですが、フルティフォームはpMDI(加圧噴霧式)

吸気の勢いが弱い高齢者や小児にも使用しやすい吸入薬です。

フルティフォームはオンライン診療で処方可能です

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

フルチカゾン/ホルモテロール〈フルティフォーム®〉の効果と使い方【喘息の長期管理薬】


フルチカゾン/ホルモテロール〈フルティフォーム®〉とは

フルティフォーム®は、以下2つの薬を組み合わせた吸入タイプの配合薬です:

  • フルチカゾンプロピオン酸エステル(吸入ステロイド薬=ICS):炎症を抑える
  • ホルモテロールフマル酸塩水和物(長時間作用型β₂刺激薬=LABA):気道を広げる

この2成分を同時に吸入できるようにしたpMDI(加圧噴霧式定量吸入器)製剤で、吸う力が弱い方でも使いやすいのが特徴です。


特徴

● 1剤で炎症と狭窄(きょうさく)両方に作用

  • ICS:慢性的な気道の炎症を抑える
  • LABA:気道の狭窄(気道がせまくなる状態)を改善
    → 両方に同時に働きかけることで、継続しやすさも向上します

● 吸入が難しい場合にも対応

吸うタイミングと噴霧のタイミングを合わせにくい方には、スペーサー(補助具)の併用が可能です


効能・効果

  • 気管支喘息(ぜんそく)
    (ICSとLABAの併用が必要と判断される場合)

⚠ 症状が比較的安定しているときに使用を開始します
⚠ 発作時や急激な悪化時には使用できません


有効性(臨床試験から)

🔹 成人:8週間試験

  • 朝のピークフロー(PEF)
    → 息を思いきり吐いたときの最大の勢い(呼気流量)を測るもので、喘息のコントロール指標です
  • フルティフォーム(100/10μg×1日2回):+30.5 L/min
    対照薬(ICS単剤):+9.9 L/min
    差:+20.63 L/min(p<0.0001)

🔹 成人:52週間投与試験

  • 翌日からPEFが上昇(395.3 → 408.1 L/min)
  • 1年間、概ね改善を維持

🔹 小児:2週間クロスオーバー試験

  • クロスオーバー試験とは:
    同じ被験者が期間を分けて2つの薬を使い比べる試験で、個人差の影響を少なくし、公平に比較できます。
  • フルティフォーム:+20.1 L/min(朝のPEF)
  • 対照薬:+19.1 L/min

→ 効果に大きな差がなく効果のある薬と確認されました
(差:+0.93 L/min, 95%CI:−4.57〜+6.43)

🔹 小児:24週間投与

  • 朝のPEF:+21.4 L/min

用法・用量

● 成人

  • 通常:フルティフォーム50(50/5μg)を1回2吸入、1日2回
  • 状況により125(125/5μg)を1回2~4吸入に調整可

● 小児(5歳以上)

  • 使用可能なのは50/5μgのみ
  • 1回2吸入、1日2回

使用時の注意点

  • コントロールできたら必要最小限の用量に調整
  • 自己判断で中止・増量しない
  • 吸入後はうがい必須(口の中のカビや声がれ予防)
  • pMDIは吸入と噴霧のタイミングが重要 → スペーサーの活用も◎
  • 保管:30℃以下、マウスピースは週1回以上の乾拭き

禁忌(使えない人)

  • 有効な抗菌薬のない感染症、深在性真菌症
  • フルティフォームにアレルギーのある方
  • デスモプレシンを使用中の方(夜間頻尿治療)
     → 低ナトリウム血症を引き起こす恐れあり

相互作用に注意すべき薬

種類影響・リスク例
CYP3A4阻害薬(リトナビルなど)フルチカゾンの血中濃度↑ → クッシング症候群・副腎抑制
アドレナリン製剤不整脈・心停止のリスク増
テオフィリン・利尿薬・ステロイド低カリウム血症による不整脈
β遮断薬(アテノロールなど)ホルモテロールの効果を打ち消す可能性
QT延長薬(抗不整脈薬、三環系抗うつ薬など)心室性不整脈のリスク

※受診時には市販薬・サプリも含めてすべての薬を申告してください


副作用と頻度

● 重大な副作用(頻度不明)

  • ショック、アナフィラキシー
  • 重度の低カリウム血症

● 肺炎:0.42%

● よくある副作用

頻度症状例
5%以上嗄声(させい:声がれ)
1~5%未満感染症、口内炎、動悸、不整脈、CK上昇
1%未満ふるえ、めまい、肝機能異常、コルチゾール低下
頻度不明咳、味覚異常、吐き気・嘔吐など

● 副作用を防ぐには

  • 吸入後のうがいを忘れずに
  • 決められた回数のみ吸入(吸いすぎ注意)
  • SABA(頓用)の使用頻度が増えたら早めに受診

まとめ

  • フルティフォーム®はICS+LABAの配合薬
  • pMDIタイプで吸う力が弱い方にも使用しやすい
  • 発作時の薬ではなく、毎日継続して使うことでコントロール効果を発揮
  • 成人・小児ともに、朝のPEF改善効果が確認
  • 飲み合わせや副作用に注意
  • 症状悪化時は自己判断せず医師へ相談

参考文献・出典

添付文書(2024年5月改訂第6版):PMDA 医薬品情報

医薬品リスク管理計画(RMP):2023年11月2日提出分

臨床試験成績:

国内第III相試験(成人・小児)での有効性と副作用発現率

朝のPEF改善効果、非劣性試験成績あり

文献例:

大田健 他「アレルギー・免疫」20巻(2013年)

Cheer, S.M. et al., Am J Respir Med, 1(4), 285–300 (2002)

Pearce, R.E. et al., Drug Metab Dispos, 34, 1035–1040 (2006)

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の薬と比べて、フルティフォームの強みは何ですか?

吸う力が弱い人にも使いやすいpMDIタイプであることが大きな特徴です。
ICS(吸入ステロイド)+LABA(長時間作用型β2刺激薬)の配合薬は、DPI(ドライパウダー吸入器)が主流ですが、フルティフォームはpMDI(加圧噴霧式)
吸気の勢いが弱い高齢者や小児にも使用しやすく、スペーサー(補助器具)にも対応しています。

また、朝晩2回の規則的な吸入で、発作予防と症状コントロールが一度にできる点もメリットです。
国内データでは、小児でも他のICS/LABA製剤に対して非劣性が示されています。

フルティフォームの先発薬はいつ発売されましたか?

日本では2013年9月に成人適応で承認され、2020年に小児適応(50/5製剤)が追加されました。
欧州ではそれ以前に販売されており、英国Vectura社(旧SkyePharma)が開発した製剤です。
日本では
杏林製薬
が開発・販売しています。

1か月(30日)処方された場合の薬価と自己負担額の目安は?

以下は2024年5月時点の薬価に基づく概算です(1日4吸入×30日で120吸入使用の場合)。

製剤薬価(1瓶あたり)自己負担(3割)
フルティフォーム50エアゾール120吸入用4,169円約1,250円
フルティフォーム125エアゾール120吸入用4,340.4円約1,300円

※実際の価格は、調剤料・技術料などを含めて上下します。

この薬の作用はいつから効き始め、どれくらい持続しますか?

吸入後、速やかに効果が現れます。持続時間は12時間程度です。

  • ホルモテロールは数分で気道を広げ始め、即効性あり
  • フルチカゾン継続的な抗炎症作用があり、長期的に効果を発揮します
  • 血中濃度は投与後約8〜15時間で半減します(半減期より)

※即効型ではあるものの、「頓用薬(リリーバー)」としては使用不可です

妊娠中にフルティフォームは使えますか?

原則として、医師が「必要」と判断した場合に限り使用されます。

特に妊娠初期や重度の気管支喘息を有する場合は、自己判断で中止しないようにしましょう

動物実験では、胎児の発育抑制や催奇形性が報告されています(ウサギ)

妊娠中に使用する場合は、利益とリスクを慎重に評価して決定されます

授乳中に使っても大丈夫ですか?

授乳の継続・中止を医師と相談の上で判断されます。

授乳を続けるかどうかは、薬の必要性とリスクを考慮して判断しますださい。

吸入薬であるため全身移行は少ないとされますが、乳児への影響がゼロとは言えません

子どもにも使える薬ですか?使用時の注意点は?

小児(5歳以上)でも使用可能です。

24週間を超える国内試験データはありません(現時点)

承認されたのは「フルティフォーム50エアゾール」のみ(1回2吸入、1日2回)

使用にあたっては、吸入手技をきちんと指導する必要があります

小児に長期投与する場合は、身長の経過観察が推奨されています

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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