日焼け止め・サンスクリーンの選び方|SPF・PA・ノンケミカル・赤ちゃん用まで医師が解説

日焼け止め、種類が多すぎてどれを選べばいいかわかりません。SPFの数字は高いほどいいんですか?子どもにも同じものを使っていいですか?

日焼け止めは「誰が・どこで・どんなシーンで使うか」で正解が変わります。

SPFは「サンバーン(赤くなる日焼け)」を防ぐ強さ、PAは「肌の老化・シミ」を引き起こすUV-Aを防ぐ強さ。両方の指標を見て選びます。

この記事では、UV-A/UV-Bの違い、SPF・PAの読み方、ノンケミカル/ケミカルの選び分け、赤ちゃん用、塗り方の量、日焼け後のケアまで整理します。

まず:紫外線UV-AとUV-Bは別物

種類波長肌への影響対策
UV-A長い(315〜400nm)肌の奥(真皮)まで届く。シワ・たるみ・シミ・色素沈着。曇りでも窓越しでも届くPA値で防ぐ
UV-B短い(280〜315nm)表皮で吸収される。赤くなるサンバーン、ヒリヒリ、皮膚がんのリスクSPF値で防ぐ
UV-C非常に短い(〜280nm)オゾン層で遮断。地表には届かない

日焼け=赤くなること」とだけ思っているとUV-A対策が抜けがち。

曇りの日も、車のフロントガラス越しも、UV-Aは強く届きます。年中対策が必要です。

SPFとPAの意味

指標意味レベル
SPF(Sun Protection Factor)UV-Bを防ぐ時間の倍率。SPF30なら無防備の30倍まで赤くなりにくいSPF15〜30:日常、30〜50:屋外活動、50+:海・山・スポーツ
PA(Protection grade of UV-A)UV-Aを防ぐ強さ。+の数で表すPA+〜PA++++(4段階)
  • SPFは「30」と「50」で実用上の差は小さい(SPF30で約97%、SPF50で約98%のUV-Bカット)
  • むしろ「ちゃんと塗る量」と「塗り直し」が効果を決める
  • PA++以上あれば日常使いとして十分
  • 高SPF・高PAほど肌負担も増える傾向

シーン別おすすめのSPF・PA

シーン目安
家の中・近所の買い物SPF15〜30、PA++
通勤・通学・日常の外出SPF30〜50、PA+++
軽い屋外活動(公園・散歩)SPF30〜50、PA+++
長時間屋外・スポーツ・海・山SPF50+、PA++++(耐水性タイプ)
真夏の海・スキー場SPF50+、PA++++、こまめな塗り直し

ノンケミカルとケミカルの違い

タイプ成分メリットデメリット
ノンケミカル(紫外線散乱剤)酸化チタン、酸化亜鉛肌に優しい、敏感肌・乳幼児・アトピー向け、紫外線吸収による熱反応なし白浮きしやすい、塗り心地が重い、汗で落ちやすい
ケミカル(紫外線吸収剤)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オキシベンゾン など透明感、伸びがよい、汗水に強いタイプも多い肌負担、稀にアレルギー、サンゴ礁への影響が指摘されているものも
ハイブリッド両方混合バランス型
  • 乳幼児・アトピー・敏感肌はノンケミカル一択
  • マスクやマフラーで擦れる時期はケミカルの軽さが心地よい
  • ハワイなどサンゴ礁の海では一部成分(オキシベンゾン、オクチノキサート)が規制されている。「リーフセーフ」表示を確認

赤ちゃん・子ども向けの選び方

  • 生後6か月未満は日焼け止め非推奨服・帽子・日陰で物理的にUVを避ける
  • 生後6か月以降は赤ちゃん用日焼け止めを使ってOK
  • 選び方:ノンケミカル(酸化チタン・酸化亜鉛)SPF15〜30、PA++無香料・無着色・パラベンフリー
  • 顔は薄めに、塗り残しに注意(耳・首・足の甲)
  • 入浴時は石鹸でやさしく洗い落とす。残ると毛穴詰まり・湿疹の原因に
  • 汗をかいたらこまめに塗り直し
  • 3歳以下は強い直射日光を避け、午前10時〜午後3時はなるべく外出を控える
  • 関連:赤ちゃんのかゆみ

正しい塗り方(実は8割の人が量不足)

  • 目安量:顔全体で500円玉大(パール粒2個分)。「少ない=SPF表示の効果が出ない
  • 2cm四方に1点ずつ置いてから伸ばすと均一に
  • 耳・首・襟元・手の甲を忘れずに
  • 外出15〜30分前に塗る(ケミカルは塗ってすぐ効果、ノンケミカルもよく馴染ませる)
  • 2〜3時間ごとに塗り直し。汗・水・タオル拭きの後は都度
  • 化粧の上から塗り直しは、UVカット効果のあるパウダーや日焼け止めスプレーが便利
  • 下地・ファンデの「SPF表示」だけでは不十分(薄塗りで効果が出にくいため、日焼け止めも併用)

日焼け後(サンバーン)のケア

  • まず冷やす:濡れタオル、保冷剤(直接当てない)、シャワーの冷水でクールダウン
  • 保湿:ヘパリン類似物質(ヒルドイド)、ワセリン、低刺激ローション。アルコール入りはNG
  • 水分・電解質補給:軽い脱水を伴うので意識的に
  • 痛みが強い時:カロナール(アセトアミノフェン)
  • 水ぶくれが出たら受診。潰さない、清潔に
  • 避けたいこと:熱いお湯、ゴシゴシ洗い、ピーリング、刺激の強い化粧品
  • 2〜3日のヒリつき・赤み→1週間で皮むけ→数週間で色素沈着が典型経過

当院での日焼け・紫外線対策の相談

  • 軽症の日焼け(サンバーン)のケア相談、ステロイド外用や保湿剤の処方が可能
  • シミ・くすみの相談はオンラインで対応の範囲は限られます。美容・自費メニュー(ハイドロキノン・トレチノイン等)は当院では取り扱いません
  • 水ぶくれを伴う重症の日焼け、広範囲の熱傷、感染を伴う場合は対面の皮膚科をお勧めします
  • 子どもの日焼けケア・保湿剤の処方はオンラインで可能
  • 関連:酒さの記事(紫外線が悪化因子)/ヒルドイドの剤形比較

よくある質問

SPF50+を毎日使うと肌に悪い?

適切に使う限り肌への悪影響は限定的とされています。むしろ紫外線による肌ダメージ(シミ・シワ・皮膚がんリスク)を防ぐメリットのほうが大きい。

ただしSPF50+で日常使いはオーバースペックなことも。日常はSPF30〜50で十分、海・山・長時間外出時にSPF50+を使い分けると肌負担が減ります。

窓越しでも日焼けしますか?

UV-Aは窓ガラスを通過します。在宅勤務や車運転でも肌には届きます。

在宅・通勤でもSPF15〜30+PA++〜+++を塗る習慣を。

飲む日焼け止めは効きますか?

ニュートロックスサン、ヘリオケアなど「飲む日焼け止め」は抗酸化サプリで、塗る日焼け止めの代わりにはなりません。

塗る+(補助的に)飲む」が現実的な使い方。

日焼け止めとファンデの順番は?

スキンケア → 日焼け止め → 化粧下地 → ファンデの順が基本。

日焼け止めを馴染ませてから(1〜2分)次に進むと、よれにくく効果も保てます。

日焼け止めスプレーはどう?

塗り直しに便利ですが、下地としては量が足りないことが多い

朝はクリーム・乳液タイプでしっかり、外出中はスプレーで塗り直しがベターな使い分け。

日傘・帽子・サングラスで日焼け止めは省けますか?

物理的なUV対策は最強。日傘+つば広帽子+UVカットサングラスで顔・目への紫外線を大きく減らせます。

ただし地面・水面・雪面の反射でUVは下からも来るため、日焼け止めとの併用が理想です。

日焼け止めで湿疹が出ます

紫外線吸収剤(ケミカル)にアレルギーが出ることがあります。

ノンケミカル(酸化チタン・酸化亜鉛)に切り替えを。

原因物質特定にはパッチテストが必要で、皮膚科の対応領域です。

もう少し詳しく

SPF・PAの計算

SPF:UV-Bを浴びて赤くなるまでの時間が、無防備で20分の人がSPF30を塗ると20×30=600分≒10時間(理論値)。

実際は汗・摩擦・量不足で半減することが多く、2〜3時間ごとの塗り直しが現実的

PA+:UV-A1〜2倍、PA++:3〜4倍、PA+++:8倍以上、PA++++:16倍以上。

紫外線と皮膚がんリスク

紫外線は基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫(メラノーマ)のリスク因子。

日本人は欧米人より発症率は低いが、近年増加傾向。

子どもの頃の日焼けが将来のリスクに影響するため、小さい頃からの紫外線対策が大事。

酒さ・アトピー・色素性疾患と紫外線

酒さ記事へ)、肝斑光線過敏症SLE(全身性エリテマトーデス)などは紫外線で悪化。

これらの方は年中・室内・曇天でも日焼け止めが必須

アトピーの方はノンケミカル+保湿の重ね塗りがおすすめ。

飲み薬と「光線過敏症」

一部の薬で日光に当たると皮疹・かぶれが出ることがあります。

代表:ニューキノロン系抗菌薬(クラビット等)、テトラサイクリン系、サイアザイド系利尿薬、NSAIDs外用、フロセミド、アミオダロン

内服中に皮膚に異常が出たら主治医に相談を。

参考文献・情報源

  • 日本皮膚科学会「光線過敏症診療ガイドライン」
  • WHO. Ultraviolet radiation and human health.
  • 日本化粧品工業連合会「SPF・PAについて」
  • American Academy of Dermatology. Sunscreen FAQs.

まとめ

  • 紫外線はUV-A(PA)とUV-B(SPF)の両方を防ぐ
  • シーンで選ぶ:日常SPF30、屋外SPF50+、敏感肌・赤ちゃんはノンケミカル
  • 量と塗り直しが効果を決める。顔全体で500円玉大、2〜3時間ごとに
  • 日焼け後は冷却・保湿・水分。水ぶくれは受診
  • 当院は軽症の日焼けケア・保湿剤・小児の相談に対応

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この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)を修了し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/公衆衛生修士(MPH)/産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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