生活習慣病とその対策 Vol.5|高尿酸血症・痛風の生活対策(体重・アルコール・水分)

尿酸が8.2で「痛風になりやすい」と言われました。お酒を控えればいいんですよね?プリン体は気にしてるんですけど…

尿酸対策で意外と効くのは「体重」「アルコール総量」「水分」の3つ。プリン体の制限よりインパクトが大きいことが分かっています。

尿酸値の目標は発作・結節がある方は6.0未満、合併症ありで7.0以下。生活対策で0.5〜1.5 mg/dL下げられます。

詳しい疾患解説と薬の比較は痛風・尿酸の薬を徹底比較もご覧ください。

まず数値の見方

区分目標介入
正常男女とも7.0未満
高尿酸血症(無症候)7.0以上生活改善を開始
痛風発作・結節あり6.0未満尿酸降下薬
無症状でも尿酸 9.0以上、または 8.0以上+合併症(腎障害・尿路結石・高血圧・虚血性心疾患・糖尿病・メタボリックシンドローム等)薬物療法を検討

対策① 体重を減らす(最重要)

  • 体重1kg減で尿酸 -0.1〜0.2 mg/dL
  • 5kg減量でおおむね -0.5〜1.0 mg/dL
  • 内臓脂肪を減らすとインスリン抵抗性が改善し、尿酸排泄も増える
  • 急激なダイエットは逆効果(ケトン体が尿酸排泄を妨げて発作リスク)

対策② アルコール(量と種類)

酒類尿酸への影響備考
ビールプリン体+アルコール影響で最も悪影響中ジョッキ1杯=20gアルコール
日本酒・ワインプリン体は少なめだがアルコールで尿酸上昇1合=22g
焼酎・ウイスキー(蒸留酒)プリン体ほぼゼロだが、アルコール自体で尿酸上昇量に注意
プリン体ゼロビールプリン体は減るがアルコール影響は残る量を増やしては意味なし

「お酒の種類より総アルコール量」がキーポイント。

焼酎なら大丈夫、と思って量を増やしても尿酸は上がります。目安は純アルコール男性20g・女性10g/日、週2日の休肝日

対策③ 水分を1日2L

  • 尿量を増やすと尿酸が体外へ出やすい
  • 目安は1日2L程度(心・腎機能が良い方)。水・お茶・無糖炭酸水でOK
  • 砂糖入り飲料は逆に尿酸を上げる(特に果糖)
  • 尿が薄い黄色になる程度が目安

対策④ 食事のポイント(プリン体だけじゃない)

控えたい理由
果糖(清涼飲料・ジュース)肝臓で代謝されて尿酸を直接増やす
レバー・白子・あん肝・煮干し・かつお節プリン体が非常に多い
赤身肉の食べ過ぎ尿酸上昇に関連
菓子・甘いもの過剰体重増加経由で悪化
積極的に理由
野菜・乳製品(低脂肪)・コーヒー疫学研究で尿酸を下げる方向
サクランボ・チェリージュース痛風発作リスクを下げるとの報告
ビタミンC尿酸を下げる方向(500mg/日程度)

かつての厳格なプリン体制限は、最新ガイドラインでは「総カロリーと体重コントロールほどの効果はない」とされています。

対策⑤ 運動(やりすぎ注意)

  • 中強度の有酸素運動は尿酸排泄を増やす
  • 激しい無酸素運動(短距離ダッシュ・高強度筋トレ)は逆に尿酸を上げる
  • 脱水を伴う運動は痛風発作の引き金になる → 運動中はこまめに水分を
  • 週150分の中強度有酸素+週2回の軽い筋トレが目安

発作時の応急処置

  • NSAIDs(ロキソプロフェン、ナプロキセン等)を短期間で十分量
  • コルヒチン(前兆〜12時間以内が有効)
  • 患部を冷やして安静。お酒・サウナ・激しい運動は厳禁
  • 発作中は尿酸降下薬を新規開始しない(悪化するため)。すでに服用中なら中断せず継続
  • 詳しい薬の使い分けは痛風・尿酸の薬を徹底比較

当院での高尿酸血症・痛風対応

  • 痛風発作の急性期対応(NSAIDsの短期処方、コルヒチン)は当院で可能
  • 尿酸降下薬(フェブリク・ユリス・アロプリノール等)は、内科で診断・精査が済んでいる方の継続処方を主に対応
  • 定期採血フォロー(尿酸・肝機能・腎機能)は当院では行えません。年1〜2回はかかりつけ医で
  • 初めて尿酸降下薬を始める場合は対面の内科で病型分類を受けてから

よくある質問

プリン体を頑張って減らしているのに尿酸が下がらない

食事由来のプリン体は尿酸の20%程度。残り80%は体内で作られます。

体内産生に効くのは体重減・アルコール減・果糖の制限。プリン体制限だけでは限界があります。

「尿酸値が高いだけ」で薬は必要ですか?

無症候性高尿酸血症では、まず生活改善が原則。

8.0以上+合併症あり、または9.0以上では薬物療法を検討。

痛風発作を一度起こした方は薬で6.0未満を目指すのが標準です。

ストロング系チューハイは尿酸的にどうですか?

500ml1本で純アルコール約36g。1本で目安(男性20g)を超えます。

プリン体は少なめでもアルコール総量が多いため尿酸は上がります。

飲むなら3〜5%のチューハイ350mlまで+週2日の休肝日。

果糖(フルクトース)が体に悪いってどういうこと?

果糖は肝臓で代謝されてATPを消費し、その過程で尿酸が増えます。

清涼飲料・スポーツドリンク・お菓子の異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)に多い。

果物そのものは食物繊維と一緒なので適量(200g/日)はOK。ジュースとドライフルーツは控えめに

もう少し詳しく

尿酸はなぜ「日本人に多い」のか

日本人男性の20%以上が高尿酸血症とされ、欧米よりも頻度が高い。

背景には遺伝(尿酸排泄低下型が多い)+食習慣(ビール中心の飲酒文化、塩分多い)+体重増加があります。

尿酸排泄低下型が多いため、URAT1阻害薬(ユリス、ベンズブロマロン)が有効な方も多いです。

痛風以外のリスクも知っておく

高尿酸血症は痛風だけでなく、尿路結石・痛風腎・慢性腎臓病・心血管病(心筋梗塞・脳卒中)のリスクを上げます。

尿酸値だけ「ちょっと高め」と侮らず、生活改善を始めるのがおすすめ。

まとめ

  • 尿酸対策の三本柱:体重・アルコール総量・水分
  • プリン体制限より果糖と総カロリーの見直し
  • 痛風発作中はNSAIDs/コルヒチン+安静+水分
  • 尿酸降下薬は継続処方のみ当院で対応(採血は対面医院で)

▼ シリーズの他の回(生活習慣病とその対策・全6回)

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この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)を修了し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/公衆衛生修士(MPH)/産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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