生活習慣病とその対策 Vol.2|高血圧の生活対策(減塩・減量・運動・節酒)

家庭血圧で140台が続いていて、健診でも引っかかりました。減塩しろって言われるけど、何からやればいいのか…

高血圧は「無症状のうちに血管を傷つける」代表選手です。生活対策で収縮期血圧を5mmHg下げると心血管イベントが約10%、10mmHg下げると約20%減ります。

Vol.2は、減塩を中心に「家庭でできる血圧対策」を整理します。詳しい疾患解説と薬の比較は高血圧総論・高血圧薬比較もご覧ください。

目標血圧(家庭で測ったときの値)

対象家庭血圧の目標
成人(年齢によらず。自力で外来通院でき日常生活が自立している75歳以上を含む)125/75未満
※「高血圧管理・治療ガイドライン2025」で、診察室130/80未満・家庭125/75未満に統一されました
妊娠中の方135/85未満(医師相談)

診察室血圧より家庭血圧のほうが信頼性が高いとされています。朝起きてすぐ+寝る前に座って測定するのが基本。

対策① 減塩(最重要)

日本人の高血圧の最大の原因は塩分過多。1g減らすだけで血圧は1mmHg下がるとされ、累積効果が大きい対策です。

目標日本人の現状
1日6g未満(高血圧学会)男性平均10.7g/女性平均9.1g(令和5年 国民健康・栄養調査)(=ほぼ倍)
取り組み効果の目安
加工食品・インスタント食品を週1〜2回に減らす約-2g
ラーメンの汁を残す(半分以下)約-2g/杯
醤油は「かける」→「つける」へ約-1〜2g
味噌汁は1日1杯まで/だしを濃く約-1g
漬物・梅干しは小さく1個まで約-1g
外食は「うどん・そば・丼・定食」より「魚定食」など

「薄味=美味しくない」は誤解。

舌は2〜4週間で薄味に慣れます。最初の1か月を頑張ると、その後は薄味のほうが美味しく感じるようになります。

だし・酸味・香辛料・薬味を上手に使うと、塩分を減らしても物足りなく感じません。

対策② 体重を減らす

体重1kg減で血圧は約1mmHg下がるとされています。BMI 25以上の方は3〜5%の減量が目標。

  • 70kg→66.5kg(5%減)で3〜5mmHg程度の降圧効果
  • 内臓脂肪が減るとレニン-アンジオテンシン系の活性が下がる
  • 体重を減らすだけで降圧薬を減らせる方もいる

対策③ 運動

種類推奨量降圧効果
有酸素運動(ウォーキング、サイクリング、水泳)毎日30分以上/週180分以上(JSH)-5〜8mmHg
筋トレ(スクワット、腕立て)週2〜3回-3〜5mmHg
ストレッチ・ヨガ週3〜5回-3〜5mmHg

「息が少し弾むが会話はできる」程度の中強度がおすすめ。1日10分でもいいので毎日続けることが大切です。

対策④ 節酒

対象上限の目安
男性純アルコール20g/日以下(ビール中ジョッキ1杯まで)
女性純アルコール10g/日以下(ビール約250mL=コップ1杯まで)
週2日以上の休肝日

お酒は飲んだ直後は血圧が下がるように見えますが、長期的には上昇方向。「ストロング系チューハイ500ml=純アルコール36g」は単独で目安を大きく超えます。

対策⑤ 禁煙

  • タバコは1本で収縮期血圧が10〜20mmHg上昇し、その後30分以上続く
  • 血管内皮を傷つけ、動脈硬化を加速
  • 禁煙して1年で心血管リスクが半減
  • 当院では禁煙外来(チャンピックス自費)に対応しています

対策⑥ ストレス・睡眠

  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS) 詳しくはSAS検査の記事へは二次性高血圧の原因。いびき・日中の眠気がある方は当院または専門外来で評価を
  • 睡眠は7時間前後を目安に
  • 深い呼吸(4秒吸って8秒吐く)、瞑想、軽い散歩などで交感神経をクールダウン
  • 寒い朝の急な起き上がりは血圧が急上昇するので、布団の中で深呼吸してからゆっくり起きる

家庭血圧の正しい測り方

  • 朝:起床後1時間以内・トイレ後・服薬前・朝食前
  • 夜:就寝前
  • 姿勢:椅子に座って1〜2分安静、足を組まない、上腕にカフを巻く
  • 2回測って平均(または2回目の値を使う)
  • 毎日続けて1〜2週間の平均で判断(1日だけの値で一喜一憂しない)

生活改善だけで届かないときは

  • 家庭血圧135/85以上なら、生活改善を1か月続けて再評価し、届かなければ降圧薬の開始を検討(JSH2025)
  • 家庭血圧155/95以上(診察室160/100以上)、糖尿病・CKDがある方は早めに薬を開始
  • 降圧薬の種類・選び方は高血圧薬比較記事を参照

当院での高血圧対応

  • すでに内科主治医がいる方の継続処方を中心に対応。家庭血圧手帳の確認、減塩・運動指導が可能。
  • 新規導入は対面で二次性高血圧の除外を受けた方が対象。
  • 定期採血(腎機能・カリウム)でのフォローアップは当院では行えません。年1〜2回はかかりつけ医で。

よくある質問

減塩で味気ないご飯にしたくありません

だし・酢・レモン・スパイス・薬味・ごまなど「塩以外の味」を増やすと、塩を減らしても満足度は保てます。

減塩しょうゆ・減塩味噌・減塩だしを使うのも一手。最初の2〜4週間がいちばん辛いですが、慣れると逆に普通の味が「しょっぱく」感じるようになります。

健診の血圧だけ高くて家庭血圧は普通です

白衣高血圧と呼ばれる状態かもしれません。緊張で診察室だけ血圧が上がるタイプ。

即治療開始ではなく、まず1〜2週間の家庭血圧記録で平均値を判断します。家庭で135/85未満なら経過観察、超えるなら治療検討。

降圧薬を始めると一生やめられないと聞きました

生活改善で血圧が大きく下がれば、減薬・中止できる方もいます。特に若年で軽症の方、減量で改善した方など。

ただし自己判断で止めると数週間で血圧が戻ることが多いので、必ず主治医と相談を。

朝の血圧だけ高いのですが

早朝高血圧は脳卒中の重要な引き金。

原因は降圧薬の効果切れ、睡眠時無呼吸、自律神経の乱れなど。薬の時間調整や長時間作用型への変更が有効なことも。主治医にご相談を。

もう少し詳しく

DASH食(高血圧に効くと言われる食事)の基本

DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食は、米国NIHが提唱した高血圧対策の食事パターン。

・野菜と果物をたっぷり(1日合わせて8〜10皿)

※ただし、腎機能が低下している方(CKD)や、カリウムを上げるお薬(ARB・ACE阻害薬、MR拮抗薬、カリウム保持性利尿薬)を飲んでいる方は、野菜・果物の積極的な摂取で高カリウム血症を起こすことがあります。必ずかかりつけ医にご確認ください。糖尿病・肥満の方は果物の摂りすぎ(糖質)にもご注意を。

・全粒穀物(玄米・全粒粉パンなど)

・低脂肪乳製品

・赤身肉より魚・鶏肉・豆

・ナッツ・種子類を週数回

・加工食品・砂糖入り飲料を控える

日本の和食(魚・野菜・大豆中心)でも近い効果が得られます。

二次性高血圧(他の病気が原因の高血圧)

若年(35歳未満)の高血圧、急に発症した、薬3剤でも下がらない、低カリウム血症などがある場合は二次性高血圧を疑います。

原因疾患:原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群、腎血管性、睡眠時無呼吸など。

一度は対面の内科・専門外来で精査を受けることをお勧めします。

まとめ

  • 高血圧と診断されるのは家庭血圧135/85以上。治療で目指すのは家庭血圧125/75未満
  • 減塩・減量・運動・節酒・禁煙・睡眠の6本柱
  • 塩は1日6g未満、お酒は男性20g/女性10g以下
  • 家庭血圧は毎朝+寝る前、2週間の平均で判断
  • 届かなければ早めに薬を併用

参考文献・出典

▼ シリーズの他の回(生活習慣病とその対策・全6回)

\ 来院不要・スマホで完結 /

このお薬の相談は、オンライン診療で

スマホで診察を受ける 初めての方|初診 1,000円〜(保険適用) いつものお薬を続ける 2回目以降の方|再診 450円〜・最短翌日着

料金と受診の流れを1分で確認できます

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)を修了し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/公衆衛生修士(MPH)/産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら