妊婦・授乳婦が使える薬 Vol.2|アレルギー・花粉症・鼻炎・じんましん

妊婦・授乳婦が使える薬 Vol.2|アレルギー・花粉症・鼻炎・じんましん

第2世代抗ヒスタミン薬・鼻噴霧ステロイド・点眼薬・漢方を妊娠時期別で整理

妊娠中ですが花粉症で目がかゆくて、鼻水も止まりません。市販の花粉症薬を飲んでもいいんでしょうか?

妊娠中・授乳中でも、花粉症やアレルギー性鼻炎・じんましんは普通に起こります。我慢して睡眠が取れない、ストレスが溜まる方が母児にとってマイナスなことも。

実は第2世代抗ヒスタミン薬の一部は妊娠中・授乳中に比較的安全に使えます。鼻噴霧ステロイドや点眼薬も局所作用なので影響が少ないです。

本シリーズ「Vol.1 風邪・咳・発熱・頭痛・関節痛」もご参照ください。

🌟 アレルギー症状別 安全な薬の早見表

症状妊娠中の第一選択授乳中の第一選択避ける/注意
くしゃみ・鼻水(全身)クラリチン/鼻噴霧ステロイドクラリチン/鼻噴霧ステロイド第1世代抗ヒスタミン薬
鼻づまり鼻噴霧ステロイド(アラミスト等)同左—
目のかゆみ・充血パタノール点眼/アレジオン点眼同左市販ステロイド点眼
じんましんクラリチン/ジルテック/ザイザル同左長期ステロイド内服
皮膚のかゆみクラリチン/ヒルドイド同左—

① 抗ヒスタミン薬(飲み薬)

薬剤妊娠中授乳中備考
クラリチン(ロラタジン)◯◯妊婦・授乳婦の第一選択
ジルテック/ザイザル(セチリジン/レボセチリジン)◯◯クラリチンが効かない時
アレグラ(フェキソフェナジン)◯◯データ豊富
アレジオン(エピナスチン)△△データ少なめ
ビラノア(ビラスチン)△推奨せず△推奨せず妊娠中の安全性データ不足
デザレックス(デスロラタジン)◯◯ロラタジンの活性代謝物
アレロック(オロパタジン)△△データ限定的
タリオン/ルパフィン△△データ限定的
ポララミン・レスタミン(第1世代)△推奨せず△推奨せず眠気・乳児への影響

「クラリチン」が第一選択の理由

クラリチン(ロラタジン)は、世界中で最もデータが豊富な第2世代抗ヒスタミン薬。妊娠・授乳のいずれの時期でも安全性が比較的高いとされます。

オーストラリア基準でカテゴリーB1。

日本産婦人科医会・日本周産期新生児医学会でも妊娠中の抗ヒスタミン薬の第一選択として紹介されています。

授乳中も乳汁中への移行が極めて少なく、安心して使えます。

「ビラノア」が妊娠中推奨されない理由

ビラノア(ビラスチン)は2016年と比較的新しい薬で、妊娠中・授乳中の安全性データが少ないのが現状。

効きと眠気のなさは魅力ですが、長年の使用実績があるクラリチン・ジルテック・ザイザル・アレグラを選ぶ方が安全です。

② 鼻噴霧ステロイド:鼻づまりに最強

全身吸収はごくわずかで、胎児・乳児への影響はほぼないと考えられている選択肢。鼻づまりがつらい妊婦さんにはまず試したい治療です。

薬剤妊娠中授乳中備考
アラミスト(フルチカゾンフランカルボン酸)◯◯24時間効果
ナゾネックス(モメタゾン)◯◯効果安定
フルナーゼ(フルチカゾンプロピオン酸)◯◯長く使われる定番
エリザス(デキサメタゾン)◯◯粉末タイプ
市販の血管収縮点鼻薬(プリビナ等)△短期のみ△連用で「点鼻薬性鼻炎」

鼻噴霧ステロイドの使い方

① 効果実感まで2〜3日、本領発揮は2週間

② 鼻をかんでから噴霧

③ ノズルを鼻中隔(鼻の真ん中の壁)から外側に向ける(鼻出血予防)

④ 全身吸収はごくわずか。長期使用しても妊婦・授乳婦に安全

③ 点眼薬:目のかゆみに

薬剤妊娠中授乳中備考
パタノール点眼(オロパタジン)◯◯即効性
アレジオン点眼(エピナスチン)◯◯市販版あり
アレジオンLX点眼◯◯濃度2倍、1日2回
リボスチン点眼(レボカバスチン)◯◯—
市販ステロイド点眼△△長期使用で眼圧上昇、感染症悪化
フルメトロン(医療用ステロイド点眼)△短期△重症時のみ、産科・眼科と相談

④ じんましん

妊娠中はホルモン変化や免疫変化で新たにじんましんが出る方も。基本は抗ヒスタミン薬で対応します。

薬剤妊娠中授乳中備考
クラリチン◯◯第一選択
ジルテック/ザイザル◯◯効果しっかり
アレグラ◯◯—
軽症の塗り薬(亜鉛華軟膏など)◯◯保湿剤と組み合わせ
ステロイド外用薬◯部位による◯弱〜中等度を短期
ステロイド内服△短期のみ△短期のみ重症のじんましん/急性発作のみ、産科と相談

⑤ 漢方薬

漢方妊娠中授乳中向く方
葛根湯◯(少量短期)◯風邪のひき始め・鼻水。麻黄含む
小青竜湯△(麻黄含む)◯水様性鼻汁・くしゃみ
麻黄附子細辛湯✕◯麻黄+附子で妊婦は避ける
葛根湯加川芎辛夷△(少量)◯鼻づまり・後鼻漏
苓甘姜味辛夏仁湯◯(麻黄なし)◯虚弱体質の長引く鼻症状
桔梗湯◯◯喉の痛み
消風散◯◯じんましん・湿疹

漢方を使うときの注意

麻黄を含む漢方(葛根湯・小青竜湯・麻黄湯・麻黄附子細辛湯・五虎湯・越婢加朮湯など)はエフェドリンを含み、血圧上昇・心拍数増加・子宮収縮の作用があります。

妊娠中は「少量・短期」が原則。麻黄附子細辛湯は附子も含むため妊娠中は基本避けます。

甘草を含む漢方は長期で偽アルドステロン症リスク。

⑥ 舌下免疫療法(シダキュア・ミティキュア)

妊娠中の「新規開始」は避けるのが原則。すでに維持量で安定している方は、産科と相談しながら継続できることがあります。妊娠が分かったら必ず申告を。

⚠ 妊娠中・授乳中に「避けたい」市販薬

  • パブロン鼻炎カプセル/コンタック600プラス/アネトンアルメディなどの第1世代抗ヒスタミン薬を含む鼻炎薬
  • セレスタミン(市販ではないが)などのステロイド合剤を漫然と
  • 市販の血管収縮点鼻薬(プリビナ・ナザール)の連用 → 点鼻薬性鼻炎
  • 抗ヒスタミン目薬で「第1世代」を含むもの

「すぐ受診」が必要なサイン

  • 呼吸困難・喉の腫れ・舌の腫れ(アナフィラキシー)
  • 全身じんましんが急に出てきた・繰り返す
  • 目の腫れ・強い充血・視力低下
  • 抗ヒスタミン薬で改善しない強いじんましん
  • 原因薬が思い当たる発疹(薬剤性)

受診予約方法

オンライン診療で妊娠中のアレルギーの薬は出してもらえますか?

はい、クラリチン・ジルテック・ザイザル・アレグラ・鼻噴霧ステロイド(アラミスト等)・点眼薬・じんましん用ステロイド外用などを、妊娠時期と授乳状況に合わせて処方しています。

舌下免疫療法(シダキュア・ミティキュア)は妊娠中の新規開始はおすすめせず、維持中の方は産科と相談のうえ継続を判断します。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。

よくある質問

妊娠中に飲める花粉症薬は?

クラリチン(ロラタジン)が第一選択。データが豊富で、妊娠・授乳のいずれにも安全。

クラリチンが効かない場合はジルテック・ザイザル・アレグラを検討。

鼻噴霧ステロイド(アラミスト等)は全身吸収がごくわずかで、鼻づまりに最も効きます。

ビラノアは妊娠中ダメ?

はい、ビラノアは比較的新しい薬で妊娠中・授乳中のデータが少ないため、推奨されません。

長年の実績があるクラリチン・ジルテック・ザイザル・アレグラを選びましょう。

鼻噴霧ステロイドは赤ちゃんに影響しない?

全身吸収はごくわずかで、胎児・乳児への影響はほぼないと考えられています。長期使用も安全。

鼻づまりがつらい妊婦さんには、まず試したい選択肢です。

授乳中にクラリチンを飲んでも、母乳をあげていいですか?

はい、母乳への移行量はごくわずかで、赤ちゃんへの影響はほぼありません。

念のため授乳直後に薬を飲むと、母乳中の薬物濃度ピークの時間を避けられます。

葛根湯を飲んでも大丈夫?

葛根湯は麻黄を含むため、心臓・血圧への影響があります。妊娠中は「ひき始めだけ・少量・短期」ならOKとされますが、長期や高用量は避けるのが安全。

心疾患・高血圧の方は控えてください。

じんましんが出ましたが、ステロイドは大丈夫?

ステロイド外用薬(塗り薬)は弱〜中等度を短期間使う分には安全。

ステロイド内服は重症のじんましん・急性発作のみ、産科と相談のうえ短期使用。長期は避けます。

点眼薬の使い方のコツは?

点眼後すぐに目頭を1分間軽く押さえると、薬が鼻涙管から全身に流れにくくなり、母乳への移行も減らせます。

点眼後すぐに目をパチパチさせるのは効率が落ちるのでNG。

舌下免疫療法(シダキュア)を続けていますが、妊娠が分かりました

新規開始は妊娠中NGですが、すでに維持量で安定している方は産科と相談のうえ継続できることがあります。

妊娠が分かったらすぐに主治医にお伝えください。

市販の鼻炎薬(パブロン鼻炎・コンタックなど)は?

多くの市販鼻炎薬には第1世代抗ヒスタミン薬が含まれており、眠気が強く、妊娠中・授乳中は推奨されません。

医療機関でクラリチンなどの処方を受けるほうが安全です。

オンライン診療で妊娠中のアレルギーの薬は出してもらえますか?

はい、クラリチン・ジルテック・ザイザル・アレグラ・鼻噴霧ステロイド・点眼薬・漢方などを妊娠時期と授乳状況に合わせて処方しています。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。

参考文献・出典

  • 国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」
  • 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会「鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版」
  • Briggs GG, Freeman RK. Drugs in Pregnancy and Lactation. 11th ed.
  • PMDA 医薬品添付文書 各抗ヒスタミン薬/鼻噴霧ステロイド/点眼薬

シリーズ一覧

  • Vol.1 風邪・咳・発熱・頭痛・関節痛
  • Vol.2(本記事) アレルギー・花粉症・鼻炎・じんましん
  • Vol.3 胃腸症状(つわり・胃もたれ・便秘・下痢)
  • Vol.4 皮膚トラブル(湿疹・かゆみ・ニキビ・ヘルペス)
  • Vol.5 感染症(膀胱炎・性器カンジダ・歯科)
  • Vol.6 不眠・不安・気分の落ち込み

▼ シリーズの他の回(妊婦・授乳婦が使える薬・全6回)

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この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)を修了し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/公衆衛生修士(MPH)/産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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