更年期障害の薬を徹底比較|HRT・漢方・SSRI/SNRI・サプリの使い分け

更年期障害の薬を徹底比較|HRT・漢方・SSRI/SNRI・サプリの使い分け

ホルモン補充療法/漢方/向精神薬/エクオール…症状ごとの選び方を表で整理

40代後半に入って、急に火照ったり、汗が出たり、イライラしたり…これって更年期?病院では何の薬を出してもらえますか?

更年期障害は、女性ホルモン(エストロゲン)の急な低下が引き起こす多彩な不調です。

治療は大きく分けて① HRT(ホルモン補充療法)② 漢方薬 ③ SSRI/SNRI(抗うつ薬)④ エクオールなどのサプリの4本柱。症状や体質、希望に合わせて組み合わせます。

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更年期障害ってどんな状態?

閉経の前後5年(おおむね45〜55歳)に起こる、ホルモンの急変動による多彩な症状の総称。典型症状は10種類以上あります。

カテゴリ症状
血管運動神経症状ホットフラッシュ(のぼせ)・発汗・寝汗・動悸
精神神経症状不眠・イライラ・不安・抑うつ・集中力低下
運動器症状肩こり・腰痛・関節痛・倦怠感
泌尿生殖器症状膣の乾燥・性交痛・尿もれ・頻尿
消化器症状胃もたれ・便秘・下痢
皮膚・粘膜症状乾燥・かゆみ・皮膚のくすみ

「更年期かな?」セルフチェック

簡略更年期指数(SMI)を使って、自分の症状を客観評価できます。

① ほてり・のぼせ・発汗、② 息切れ・動悸、③ 不眠、④ 怒りっぽい・イライラ、⑤ くよくよ・うつ、⑥ 頭痛・めまい・吐き気、⑦ 疲労感、⑧ 肩こり・腰痛・関節痛、⑨ 性交痛、⑩ しびれ・知覚異常 — それぞれを強・中・弱・無で点数化。

合計50点以上は治療を検討。

当院では問診時に症状を整理して、HRT・漢方・サプリの組み合わせをご提案します。

🌟 更年期治療の全体像

治療向く症状メリットデメリット当院
① HRT(ホルモン補充療法)ホットフラッシュ・寝汗・膣の乾燥・骨粗鬆症予防エビデンス豊富、効果しっかり乳がん・血栓のリスク◯(婦人科で開始済みの継続が望ましい)
② 漢方薬幅広い症状・体質・ホルモン使えない方副作用少・体質改善効果実感まで2〜4週間◎(当院の中心)
③ SSRI/SNRIホットフラッシュ+抑うつ・不安が強いHRT使えない方の選択肢新規導入は対面評価が必要。当院は初診処方不可✕(初診不可・継続のみ)
④ サプリ(エクオール)軽症・自費でOKな方副作用少・自己管理効果はマイルド—(市販/自費)

① HRT(ホルモン補充療法)

減ったエストロゲンを補う治療。ホットフラッシュ・寝汗・膣の乾燥・骨粗鬆症に最も効果的で、エビデンスが豊富です。

当院では、すでに婦人科でHRTを開始されている方の継続処方を主に対応します。新規導入は子宮筋腫・乳腺の評価などが必要なため、対面の婦人科でのご相談がベストです。

剤形薬剤特徴
飲み薬(エストロゲン)ジュリナ/プレマリン/エストリール効果しっかり、肝臓に負担
貼り薬(エストロゲン)エストラーナテープ/メノエイドコンビパッチ肝臓を経由しないので血栓リスク低・腹部に貼る
塗り薬(エストロゲン)ル・エストロジェル/ディビゲル腕や太ももに塗る、量を調整しやすい
飲み薬(黄体ホルモン)エフメノ子宮がある方はエストロゲンと併用必須(子宮内膜増殖症の予防)。この目的で保険適応があるのはエフメノで、プロベラは適応外です
合剤パッチメノエイドコンビパッチエストロゲン+黄体ホルモン1枚で

HRTの注意点(要相談)

禁忌:乳がん・子宮内膜がんの既往、重症の肝機能障害、血栓塞栓症の既往、心筋梗塞および冠動脈に動脈硬化性病変の既往、脳卒中の既往、原因不明の性器出血、妊娠中。

慎重投与:子宮筋腫、子宮内膜症、片頭痛、糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満、喫煙者、家族歴に乳がん。

子宮がある方は黄体ホルモンの併用が必須(エストロゲン単独で子宮内膜過形成・子宮体がんのリスク上昇)。子宮摘出済みならエストロゲン単独でOK。

5年以上長期では乳がんリスクが軽度上昇するため、定期的なマンモグラフィー・子宮体がん検査が大事。

開始は婦人科の対面診療で(乳腺・婦人科系の評価が必要)。当院では継続処方を担当。

② 漢方薬:当院の中心

体質と症状の組み合わせで使い分け。HRTが使えない方・症状が比較的軽い方・複数の不調がある方に向きます。

漢方向く方
加味逍遙散(かみしょうようさん)イライラ・不安・抑うつ・のぼせ・不眠を伴う/ホルモン変動が中心の方
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)のぼせと足冷えのコントラスト・月経痛・打ち身が残りやすい
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)冷え症・むくみ・貧血気味・体力やや低下
女神散(にょしんさん)のぼせ・めまい・動悸が強い/血の道症
温経湯(うんけいとう)冷えとほてり混在・手のひらのほてり・口唇乾燥
柴胡桂枝乾姜湯体力中等度以下・神経過敏・寝汗・不眠
抑肝散(よくかんさん)イライラ・怒りっぽさ・気の高ぶり・不眠
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)のぼせ・顔の赤み・イライラ
三黄瀉心湯のぼせ・便秘・イライラ
四物湯体力低下・乾燥が強い

当院おすすめ「3大漢方」

① 加味逍遙散:イライラ・気分の波・のぼせ・不眠を伴う「気滞」タイプ。更年期に最もよく使われる第一選択。

② 桂枝茯苓丸:のぼせ・足冷え・月経痛・血のめぐりの悪さ「瘀血」タイプ。

③ 当帰芍薬散:冷え・むくみ・貧血気味の「気血水のバランスが乱れ」たタイプ。

まずこの3つから体質に合うものを試し、効果不十分なら他の漢方を組み合わせます。

甘草を含む漢方の注意

加味逍遙散・抑肝散・黄連解毒湯などは甘草を含み、長期で偽アルドステロン症(むくみ・血圧上昇・低カリウム血症)のリスクがあります。

他の漢方や利尿薬との併用、長期使用では定期的な血液検査(K値)がおすすめ。

③ SSRI/SNRI(抗うつ薬):当院では初診処方不可

ホットフラッシュ+抑うつ・不安が強い方に、SSRI/SNRIが効くことが知られています(適応外使用)。HRTが使えない方の選択肢にもなります。

薬剤分類備考
サインバルタSNRI痛みにも効く
リフレックス/レメロンNaSSA不眠合併
パキシル/ジェイゾロフト/レクサプロSSRI抗うつ・抗不安

これらは向精神薬に指定された薬ではありませんが、うつ病・不安障害は診断と治療開始に対面での評価が必要なため、当院では初診での処方を行っていません。すでに対面で処方されている方の継続処方のみ対応可能です。

④ サプリ(エクオール・大豆イソフラボン)

エクオールは大豆イソフラボンが腸内細菌で変換された成分。エストロゲン様の作用があり、軽症〜中等症のホットフラッシュに有効性が報告されています。

  • 市販品(自費):エクエル(大塚製薬)など。※「命の母A」は生薬とビタミンを配合した第2類医薬品で、エクオールや大豆イソフラボンのサプリメントではありません
  • 効果実感までは1〜3か月
  • HRTほどの効果はないが、副作用がほぼなく自己管理しやすい
  • 医療用医薬品ではないため、当院では処方しません(市販品をご検討ください)

🩺 症状別:私にはどの治療?

症状第一選択併用
ホットフラッシュが強いHRT(婦人科)/加味逍遙散/桂枝茯苓丸—
夜の寝汗が中心柴胡桂枝乾姜湯/加味逍遙散—
イライラ・気分の波加味逍遙散/抑肝散—
抑うつ・不安が強い婦人科でHRT検討/精神科紹介—
冷え・むくみ・貧血気味当帰芍薬散—
のぼせ・足冷え・月経痛桂枝茯苓丸—
不眠が中心加味逍遙散/柴胡桂枝乾姜湯+ロゼレム
膣の乾燥・性交痛HRT(婦人科で局所エストロゲン)—
骨粗鬆症の予防HRT(婦人科)/エディロール—
軽症で自己管理エクオール(市販)—

「ただの更年期」じゃないかもしれないサイン

  • 異常な性器出血(不正出血・閉経後出血)→ 婦人科で子宮内膜評価
  • 急激な体重減少を伴う動悸・暑がり → 甲状腺機能亢進症
  • 強い抑うつ・希死念慮→ 精神科
  • 胸の痛み・息切れ→ 循環器内科

受診予約方法

オンライン診療で更年期の薬は出してもらえますか?

はい、当院では主に漢方薬中心に対応しています。加味逍遙散・桂枝茯苓丸・当帰芍薬散・女神散・温経湯・柴胡桂枝乾姜湯・抑肝散・黄連解毒湯などから体質と症状に合わせてご提案します。

HRT(ジュリナ・エストラーナテープ・ル・エストロジェル・ディビゲル等)は、すでに婦人科で導入済みの方の継続処方を対応します(新規導入は婦人科の対面診療をご案内)。

SSRI/SNRIなど向精神薬は初診処方できません。

骨粗鬆症の予防が必要な方は「エディロール」など対応可能。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。

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よくある質問

HRTは「がんになる」って怖いです。本当?

乳がんリスクはエストロゲン単独か、黄体ホルモンを併用するかで結果が異なります。WHI試験では、子宮を摘出した方に行うエストロゲン単独では乳がんは増えず(長期追跡ではむしろ低下)、併用療法では5年以上の使用で軽度上昇(1万人年あたり約8件増)と報告されています。いずれも絶対リスクは小さい範囲です。

一方、HRTには骨粗鬆症予防・大腸がんリスク低下・QOL改善のメリットも大きい。リスクとベネフィットを比較しながら使うのが大事。

定期的なマンモグラフィー・婦人科健診とセットで使えば安全性が高まります。

HRTはいつ始めて、いつまで使う?

閉経前後〜閉経後10年以内(60歳未満)で開始するのが推奨。「Window of opportunity」と言います。

使用期間に明確な上限はありませんが、少なくとも1年に1回、続ける目的とメリット・デメリットを医師と確認するのが原則です。

症状が落ち着いて使用を中止する場合は、急にやめずに段階的に減量します。

加味逍遙散・桂枝茯苓丸・当帰芍薬散、どう使い分ける?

加味逍遙散:イライラ・気分の波・のぼせ・不眠が中心の「気滞」タイプ。

桂枝茯苓丸:のぼせ+足冷え・月経痛・打ち身が残る「瘀血」タイプ。

当帰芍薬散:冷え・むくみ・貧血気味・体力低下の「気血水バランス乱れ」タイプ。

迷ったら、現代女性に最も合う頻度が高い加味逍遙散から始めることが多いです。

漢方の効果はどれくらいで実感できる?

個人差はありますが、2〜4週間で変化を感じ、しっかり整うまで2〜3か月かかります。即効性ではなく「体質を整える」イメージで根気強く。

効果が乏しければ別の漢方への切り替え、HRT併用も検討します。

エクエルやエクオールサプリは効きますか?

軽症〜中等症のホットフラッシュには有効性が報告されています。

ただしHRTほどの効果はマイルドで、効果実感に1〜3か月かかります。副作用がほぼなく自己管理しやすいのが利点。

すでに婦人科系の病気の治療を受けている方は、医師に相談してから使用を。

男性にも「更年期」はある?

あります。LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれ、テストステロン低下による倦怠感・性欲低下・抑うつ・筋力低下が出ます。

こちらは泌尿器科のテストステロン補充療法が中心。当院では血液検査・治療開始は行わず、専門医療機関へご紹介します。

抑うつや強い不安があります。SSRIは出してもらえる?

いいえ、SSRI/SNRIの新規処方は当院では行っていません。これらは向精神薬に指定された薬ではありませんが、うつ病・不安障害の診断と治療開始には対面での評価が必要なためです(すでに対面で処方されている方の継続処方のみ対応可能です)。

当院では漢方薬で対応するか、症状が強い場合は精神科・心療内科の対面診療をご紹介します。

膣の乾燥・性交痛は薬で治る?

HRTの局所製剤(エストリオール膣錠など)がよく効きます。全身性HRTでもある程度改善。

局所製剤は婦人科の対面処方が必要です。

更年期と健診で「骨粗鬆症の予備軍」と言われました。何ができる?

HRTは骨粗鬆症の予防にも有効。

当院では活性型ビタミンD(エディロール)や、骨粗鬆症と診断された方のビスホスホネート(ボンビバ・ベネット)などの処方も可能。骨密度測定は対面の医療機関で受けてください。

オンライン診療で更年期の薬は出してもらえますか?

はい、加味逍遙散・桂枝茯苓丸・当帰芍薬散・女神散・温経湯・柴胡桂枝乾姜湯・抑肝散・黄連解毒湯など漢方は初診から処方可能。

HRT(ジュリナ・エストラーナテープ等)は婦人科で導入済みの方の継続処方を対応します。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。

\ 来院不要・スマホで完結 /

このお薬の相談は、オンライン診療で

スマホで診察を受ける 初めての方|初診 1,000円〜(保険適用) いつものお薬を続ける 2回目以降の方|再診 450円〜・最短翌日着

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参考文献・出典

  • 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会「ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版」
  • 日本女性医学学会「更年期医療ガイドブック」
  • PMDA 医薬品添付文書 各HRT製剤/各漢方

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)を修了し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/公衆衛生修士(MPH)/産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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