ヒルドイドの剤形と基材を比較|どれを選べばいい?
医師監修:原 達彦(梅田北オンライン診療クリニック 院長)
ヒルドイドの剤形と基材を比較|どれを選べばいい?
O/W乳剤性・W/O乳剤性・水性・油性…剤形ごとに使い心地が変わる理由と使い分け

ヒルドイドって、軟膏もクリームもローションもいろんなタイプがあって、薬局でジェネリックを選ぶときも「水性ローション」「乳剤性ローション」と書いてあって混乱します。

同じ「ヘパリン類似物質」でも、基材(薬を肌に運ぶ土台)によって使い心地・浸透・向く部位がまるで変わります。
ポイントを先に言うと、基材は「油」と「水」をどう混ぜているかで性質が決まります。① 油だけ(油性)→ ② 油の中に水(W/O乳剤性)→ ③ 水の中に油(O/W乳剤性)→ ④ ほぼ水(水性)の順に、軽くサラサラに、保湿力は控えめになっていきます。
この記事では、まず基材の基本を整理し、剤形ごとの違い・使い分け・部位/季節ごとの選び方まで、コンパクトな表中心でご案内します。
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この記事でわかること
- 基材は4タイプ(油性→W/O→O/W→水性の順に軽く・保湿は控えめに)
- 剤形ごとの使い心地と保湿力が早見表でわかる(軟膏・ソフト軟膏・クリーム・ローション・フォーム・スプレー)
- 部位・症状・季節別のおすすめ剤形
- 乳剤性ローションと水性ローションの違い
- 保湿効果を高める塗り方(入浴後5〜10分・1FTU)
- 保険で出せる適応と、美容目的が保険対象外な理由
目次
まず基本:基材4タイプの違い
| 基材 | 構成 | テクスチャ | 保湿力 | 落ちやすさ |
|---|---|---|---|---|
| 油性 | 油(白色ワセリン等)のみ | 重い・ベタつく | ★★★★★ | 落ちにくい |
| W/O乳剤性(油中水) | 油が多く水が分散 | しっとり・適度な伸び | ★★★★ | 落ちにくい |
| O/W乳剤性(水中油) | 水が多く油が分散 | 軽い・伸びやすい | ★★★ | 水で落ちる |
| 水性 | 水を主体(油はごく少量) | 水のようにサラッ | ★★ | 汗で流れやすい |
同じ「クリーム」「ローション」と呼ばれていても、W/Oか O/Wかで使用感はかなり違います。「乳剤性」と書いてあれば白く濁ったクリーム寄りの感触、「水性」と書いてあれば化粧水のような感触、と覚えるとイメージしやすいです。
ヒルドイドの剤形 早見表
| 剤形 | 基材 | テクスチャ | 保湿力 | 広範囲 |
|---|---|---|---|---|
| 軟膏(ヒルドイド軟膏) | 油性 | 重い・ベタつく | ★★★★★ | × |
| ソフト軟膏(ヒルドイドソフト軟膏) | W/O乳剤性 | しっとり | ★★★★ | ○ |
| クリーム(ヒルドイドクリーム) | O/W乳剤性 | 軽い | ★★★ | ◎ |
| 乳剤性ローション(ヒルドイドローション) | O/W乳剤性 | とろみのある乳液 | ★★★ | ◎ |
| 水性ローション(ジェネリックの一部) | 水性 | 化粧水のようにサラッ | ★★ | ◎ |
| フォーム(ヒルドイドフォーム) | O/W乳剤性(泡) | ふんわり泡 | ★★★ | ◎(速い) |
| スプレー(ジェネリック) | 水性〜O/W | 霧で噴霧 | ★★ | ◎(届きにくい所) |
ローションには2タイプあるので注意
① 乳剤性ローション(ヒルドイドローション・ビーソフテンローションなど):O/W乳剤性で、白く濁った乳液のような感触。適度な保湿力で、顔・体・四肢に幅広く使えます。
② 水性ローション(一部ジェネリック):油分はごく少なく、化粧水のようにサラッとした感触。広範囲・頭皮・脂漏性皮膚炎・夏の体に向く反面、保湿力は穏やかです。
処方箋を受け取った時は「乳剤性」「水性」の表記を確認すると、想像していた使用感とギャップが少なくなります。
当院でジェネリックを処方する際は、ご希望のテクスチャ(しっとり寄り/さっぱり寄り)を伺ったうえで指定します。
「ソフト軟膏」と「クリーム」の違いも基材から
ソフト軟膏(W/O乳剤性):油の中に水が散っている。しっとり・水で落ちにくい。冬や強い乾燥に強い。
クリーム(O/W乳剤性):水の中に油が散っている。軽く・水で落ちやすい。夏や顔の日中使いに向く。
同じ「クリーム状」に見えても、油が連続相か水が連続相かで使い心地はかなり違います。
部位・症状でどれを選ぶ?
| ケース | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 顔の乾燥(化粧前) | クリーム or 乳剤性ローション | 軽くて化粧に響かない |
| 顔の強い乾燥(夜) | ソフト軟膏 | 油性が水分を逃がさない |
| かかと・指先のひび割れ | 油性軟膏 | 水分を強くブロック |
| 手荒れ・主婦湿疹 | 油性軟膏 or ソフト軟膏 | 手洗いで落ちにくい |
| 体の広範囲保湿 | フォーム or クリーム or 乳剤性ローション | 短時間で塗り終わる |
| 背中・お尻など届きにくい所 | スプレー | 自分で噴霧できる |
| 頭皮(脂漏性皮膚炎) | 水性ローション | 髪に絡まずベタつかない |
| 子どもの全身ケア | フォーム or 水性ローション | 嫌がられにくい |
| 乳児・赤ちゃん | フォーム or 乳剤性ローション or ソフト軟膏 | 広範囲に手早く |
| 夏のベタつかせたくない時 | 水性ローション or フォーム | すぐ乾く |
| 冬の強い乾燥 | 油性軟膏 or ソフト軟膏 | 保湿力を最大化 |
| 傷跡(瘢痕)のマッサージ | ソフト軟膏 or 油性軟膏 | 長く貼り付く |
季節での切り替え
| 季節 | メイン | 補助 |
|---|---|---|
| 冬(12〜3月) | 油性軟膏 or ソフト軟膏 | クリーム |
| 春(3〜5月) | ソフト軟膏 or クリーム | — |
| 夏(6〜9月) | 水性ローション or フォーム or スプレー | クリーム |
| 秋(10〜11月) | クリーム → ソフト軟膏 | 乳剤性ローション |
「年中同じ剤形」より、季節で軽い→重い→軽いと変えてあげると、ベタつかず保湿不足にもならず、続けやすくなります。
保湿の効果を最大化する塗り方
- 入浴後5〜10分以内に塗る(水分を逃がす前に閉じ込める)
- 1FTU(人差し指の先〜第一関節分・約0.5g)を手のひら2枚分
- こすらず、ティッシュがくっつくくらいたっぷり
- 1日2回(朝+入浴後)が理想。乾燥が強い時期はもう1回
- ステロイドとの順番はどちらでもOK(厚労省研究班報告)
他の保湿剤との違い
| 保湿剤 | 働き | 向く方 |
|---|---|---|
| ヘパリン類似物質 | 保湿+血行促進+抗炎症 | 広く使える定番 |
| 白色ワセリン・プロペト | 被膜のみ・無刺激 | 傷の保護、刺激に弱い肌 |
| 尿素クリーム(パスタロン・ウレパール) | 角質を柔らかく | かかと・ひじ等の角化(湿疹部位はNG) |
| セラミド配合品(市販) | バリア機能の改善 | 長期的なバリア立て直し |
| アズノール軟膏 | 弱い抗炎症 | 赤み・かゆみのある所 |
尿素クリームを湿疹部位に使わない理由
尿素は角質を溶かす作用を持つので、すでに湿疹・ひび割れがある場所に塗ると、強くしみたり炎症を悪化させることがあります。
かかとや肘などのカチカチに固くなった角化部位には効果的ですが、顔・主婦湿疹・あかぎれにはNG。これらにはヘパリン類似物質か白色ワセリンを選びます。
保険診療で出せる適応
- 皮脂欠乏症(ドライスキン)
- 進行性指掌角皮症(手荒れの重症型)
- 凍瘡(しもやけ)
- 肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防
- 打撲・捻挫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎などの腫脹・血腫
- 外傷後の腫脹・血腫・浮腫
- 血栓性静脈炎
「美容目的の処方」は保険適応外
2018〜2019年に「ヒルドイドが高級保湿クリーム代わり」とSNSで話題になり、健康保険組合連合会は美容目的での処方は保険適応外と注意喚起しました。
「化粧下地として」「アンチエイジング目的で」のご希望には保険診療では対応できません。市販の保湿剤や自費の医療用化粧品をお選びください。
当院では医学的適応(皮脂欠乏症・瘢痕・凍瘡・指掌角皮症など)に該当する方のみ処方します。
使用時の注意点
- 出血している傷口・粘膜にはつけない
- 過敏症の既往がある方は使用不可
- 出血傾向のある疾患(血小板減少症・紫斑病等)は慎重に
- 抗血小板薬・抗凝固薬(ワルファリン・DOAC等)服用中の方は念のため申告
- 酒さの方では赤み・刺激が出ることがあり注意
受診予約方法

オンライン診療で出してもらえますか?

はい、当院ではヒルドイド軟膏/ソフト軟膏/クリーム/乳剤性ローション/フォーム/油性軟膏、およびジェネリックのヘパリン類似物質クリーム/乳剤性ローション/水性ローション/油性クリーム/スプレーを、医学的適応に該当する方を対象に処方しています。
「乳剤性がいい/水性がいい」「ベタつかない剤形がいい」など、使い心地のご希望もお伝えください。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。
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よくある質問
-
「乳剤性ローション」と「水性ローション」の違いは?
-
乳剤性ローションはO/W乳剤性で、白く濁った乳液のような感触。適度な保湿力があり、顔・体・四肢に幅広く使えます。ヒルドイドローションはこちらに該当します。
水性ローションは水を主体とした剤形で、化粧水のようにサラッとした感触。広範囲・頭皮・夏の体に向きますが、保湿力は穏やかです。一部のジェネリックがこちらに該当します。
処方箋を受け取った時に「乳剤性/水性」の表記を確認すると、想像とのギャップが少なくなります。
-
ジェネリックと先発品(ヒルドイド)の違いは?
-
主成分はどちらもヘパリン類似物質で同じです。違うのは基材(添加物・テクスチャ)と価格。
メーカーによってジェネリックの基材タイプが違うので、「ヒルドイドの○○と同じ使い心地のジェネリックを」とご希望いただくと薬局でも調整しやすいです。
-
ソフト軟膏とクリーム、どちらが良い?
-
ソフト軟膏(W/O乳剤性)は保湿力が高く、冬や強い乾燥向き。
クリーム(O/W乳剤性)は軽く、夏や顔の日中向き。
迷ったらソフト軟膏を基本にして、夏だけクリームに切り替えるのがおすすめです。
-
赤ちゃんに使えますか?
-
はい、ヘパリン類似物質は新生児・乳児にも使える保湿剤です。生後早期からの保湿はアトピー予防にもなるとされています。
剤形はフォーム・乳剤性ローション・ソフト軟膏が嫌がられにくく続けやすいです。
-
シミやアンチエイジングに効きますか?
-
保湿剤であり、シミ治療薬ではありません。血行促進と軽い抗炎症作用はあるため炎症後色素沈着の回復を多少助ける可能性はありますが、明確なシミ消し効果は科学的に証明されていません。
-
血が止まりにくくなりますか?
-
塗り薬としての使用では全身の凝固に影響することはほぼなく、心配ありません。
ただし抗凝固薬(ワルファリン・DOAC等)服用中、出血傾向のある疾患の方は念のため診察時に申告してください。
-
ステロイドと一緒に塗っていいですか?順番は?
-
併用OKです。順番はどちらが先でも効果は変わらないと厚労省の研究班でも結論が出ています。
広範囲は保湿が先、ピンポイントにステロイドを後、というやり方が実用的です。
-
酒さやニキビ肌に使って大丈夫?
-
酒さの方では、ヘパリン類似物質で赤みや刺激が強まることがあり注意が必要です(「酒さの記事」もご参照)。
ニキビ肌は基本問題なしですが、油性軟膏は毛穴詰まりのリスクがあるので水性ローション・フォーム・クリームのような軽い剤形がおすすめです。
-
1本でどのくらい使えますか?
-
塗る面積によりますが、全身に1日1回で約25gが目安。50g入なら2週間ほど、25gなら1週間ほどです。
乾燥が強い時期はもっと早くなくなります。1日2回塗ると倍速で消費します。
-
オンライン診療で処方してもらえますか?
-
はい、医学的適応に該当する方を対象に、ヒルドイド各剤形・ジェネリック各剤形を保険診療で処方しています。
ご希望の使い心地(しっとり寄り/さっぱり寄り)も診察時にお伝えください。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。
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参考文献・出典
- PMDA 医薬品添付文書「ヒルドイド軟膏0.3%/ソフト軟膏0.3%/クリーム0.3%/ローション0.3%/フォーム0.3%」(マルホ)
- PMDA 医薬品添付文書「ヘパリン類似物質クリーム/乳剤性ローション/水性ローション/油性クリーム/スプレー」(各社)
- 厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎におけるステロイド外用薬と保湿剤の塗布順序」報告
- 日本健康保険組合連合会「美容目的の医療用医薬品処方に関する見解」
- 関連記事:ヒルドイドってどんな薬? / アトピー性皮膚炎の薬を徹底比較 / ステロイド外用薬の強さを徹底比較
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この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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