高血圧の薬を徹底比較|ARB・ACE阻害薬・Ca拮抗薬・β遮断薬・利尿薬・配合剤
高血圧の薬を徹底比較|ARB・ACE阻害薬・Ca拮抗薬・β遮断薬・利尿薬・配合剤
日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」に基づく選び方

高血圧の薬を出されましたが、いろんな種類があるみたいで、なぜこの薬なのか分かりません。

高血圧の薬は5グループ+配合剤+特殊型に整理できます。「強い/弱い」というより「合うか合わないか」の選択。
年齢・他の病気・副作用の出やすさ・飲みやすさで選びます。総論は「高血圧の総論」をどうぞ。
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目次
🌟 降圧薬の全体像 早見表
| 分類 | 下げ方 | 向く方 | 注意 |
|---|---|---|---|
| ① ARB | RA系をブロック | 糖尿病、腎臓病、心不全 | 妊娠禁忌・高K |
| ② ACE阻害薬 | RA系をブロック | 心筋梗塞後、心不全 | 空咳、妊娠禁忌 |
| ③ Ca拮抗薬 | 血管を広げる | 高齢者、脳卒中後 | 足のむくみ・頭痛 |
| ④ β遮断薬 | 心拍を抑える | 頻脈、心不全、狭心症、片頭痛 | 喘息禁忌・徐脈 |
| ⑤ 利尿薬 | 水分・Naを排出 | 塩分多い、心不全、高齢者 | 低K、痛風悪化 |
| ⑥ 配合剤 | 複数成分1錠 | 3剤併用が必要な方 | — |
| ⑦ MR拮抗薬 | アルドステロン拮抗 | 治療抵抗性、原発性アルドステロン症 | 高K |
| ⑧ α遮断薬 | 末梢血管を広げる | 前立腺肥大合併 | 起立性低血圧 |
「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では「第一選択薬」という区分そのものが廃止され、主要降圧薬がG1a(長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬・ARB・ACE阻害薬)とG1b(少量のサイアザイド系利尿薬・β遮断薬)に整理されました。
① ARB:いま最もよく使われる降圧薬
血管を収縮させる「アンジオテンシンⅡ」をブロック。降圧効果が確実・副作用が少ない・心臓と腎臓を守る。
| 薬剤 | 一般名 | 特徴 |
|---|---|---|
| ニューロタン | ロサルタン | 尿酸低下作用、価格安い |
| ディオバン | バルサルタン | 長年の定番 |
| ブロプレス | カンデサルタン | 心不全にも適応 |
| ミカルディス | テルミサルタン | 作用時間が長い、肝代謝 |
| オルメテック | オルメサルタン | 効果しっかり |
| アバプロ | イルベサルタン | 国内の適応は高血圧症のみ(糖尿病性腎症の適応をもつARBはロサルタン=ニューロタン) |
| アジルバ | アジルサルタン | 現時点で最も強力なARB |
詳細は「ARB7種類を比較」も参照。妊婦は禁忌(授乳婦は「授乳を避けさせること」とされ、禁忌ではありません)。
② ACE阻害薬
ARBと目指す効果は近いが、空咳が10〜30%と多い。心筋梗塞後・心不全では実績長く第一選択になることも。代表はレニベース(エナラプリル)、タナトリル、エースコール、コバシル。妊娠・授乳中禁忌。
③ Ca拮抗薬:血管を広げて下げる
| 薬剤 | 一般名 | 特徴 |
|---|---|---|
| ノルバスク/アムロジン | アムロジピン | 最も処方される、効果穏やか |
| アダラートCR | ニフェジピン | 効果しっかり、徐放型 |
| アテレック | シルニジピン | 頻脈にも |
| カルブロック | アゼルニジピン | 心拍は上がりにくい |
| コニール | ベニジピン | 長時間、狭心症に |
| ヘルベッサー | ジルチアゼム | 心拍も下げる、不整脈に |
Ca拮抗薬の注意点
副作用:足のむくみ、顔のほてり、頭痛、便秘、歯肉腫脹。
アダラート・アムロジピンの一部はグレープフルーツジュースで効果が強くなる。
ロスバスタチン(クレストール)・ピタバスタチン(リバロ)・プラバスタチン(メバロチン)は影響なし。
④ β遮断薬:心拍を抑える
| 薬剤 | 一般名 | 特徴 |
|---|---|---|
| メインテート | ビソプロロール | β1選択、心不全に推奨 |
| テノーミン | アテノロール | 定番 |
| アーチスト | カルベジロール | α+β遮断、心不全第一選択 |
| インデラル | プロプラノロール | 片頭痛予防にも |
| セロケン | メトプロロール | β1選択 |
β遮断薬の注意点
禁忌:気管支喘息、徐脈・房室ブロック、ショック。
副作用:徐脈、倦怠感、手足の冷え、勃起障害、脂質・糖代謝への影響。
急にやめない:リバウンド頻脈・狭心症悪化のリスク。
⑤ 利尿薬
| 分類 | 代表薬 | 特徴 |
|---|---|---|
| サイアザイド系 | フルイトラン/ヒドロクロロチアジド | 降圧第一選択の一つ、低用量 |
| 類似系 | ナトリックス | 副作用少なめ |
| ループ利尿薬 | ラシックス(フロセミド)/ルプラック | 効果強力、心不全・腎機能低下時 |
| K保持性 | スピロノラクトン/セララ/ミネブロ | 治療抵抗性高血圧など。原発性アルドステロン症に適応があるのはスピロノラクトン(セララ・ミネブロは高血圧症のみ) |
利尿薬の注意点
低K血症:足のつり、不整脈。血液検査の定期チェックを。
高尿酸血症・痛風悪化:痛風の方は注意。
糖代謝悪化:糖尿病で血糖が上がる可能性。
⑥ 配合剤:1錠で複数成分
| 配合剤 | 成分 | タイプ |
|---|---|---|
| ザクラス | アジルサルタン+アムロジピン | ARB+CCB |
| ミカムロ | テルミサルタン+アムロジピン | ARB+CCB |
| ユニシア | カンデサルタン+アムロジピン | ARB+CCB |
| エックスフォージ | バルサルタン+アムロジピン | ARB+CCB |
| レザルタス | オルメサルタン+アゼルニジピン | ARB+CCB |
| エカード | カンデサルタン+ヒドロクロロチアジド | ARB+利尿薬 |
| プレミネント | ロサルタン+ヒドロクロロチアジド | ARB+利尿薬 |
| ミカトリオ | テルミサルタン+アムロジピン+ヒドロクロロチアジド | 3成分 |
飲み忘れ減少と薬代節約に。すでに2剤併用中で安定している方/3剤必要な方に使うのが基本。
⑦⑧ MR拮抗薬・α遮断薬
- MR拮抗薬:スピロノラクトン(アルダクトンA)/セララ(エプレレノン)/ミネブロ(エサキセレノン)。治療抵抗性高血圧に。原発性アルドステロン症の適応があるのはスピロノラクトンのみで、セララ・ミネブロは高血圧症の適応です。なおケレンディア(フィネレノン)は降圧薬ではなく、効能は「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」「慢性心不全」です
- α遮断薬:カルデナリン(ドキサゾシン)。前立腺肥大を合併する高血圧に使うことがあります。ハルナール・ユリーフは前立腺肥大症に伴う排尿障害の薬で、降圧薬ではありません
- 中枢性:カタプレス/ワイテンス/アルドメット(妊娠高血圧で)
- 血管拡張薬:ヒドララジン(妊娠高血圧で)
🩺 ケース別:私にはどの薬?
| ケース | 第一選択 | 上乗せ |
|---|---|---|
| 若年〜中年・合併症なし | ARB or Ca拮抗薬 | 利尿薬 |
| 高齢者 | Ca拮抗薬 | ARB/利尿薬 |
| 糖尿病・腎臓病(蛋白尿) | ARB or ACE阻害薬 | Ca拮抗薬/利尿薬 |
| 心筋梗塞後・心不全 | ARB or ACE阻害薬+β遮断薬 | MR拮抗薬 |
| 頻脈・狭心症 | β遮断薬 | Ca拮抗薬 |
| 痛風合併 | ニューロタン(ロサルタン) | Ca拮抗薬 |
| 前立腺肥大 | α遮断薬 | ARB/Ca拮抗薬 |
| 原発性アルドステロン症 | MR拮抗薬 | 他剤 |
| 治療抵抗性 | 利尿薬/MR拮抗薬 | 原因の再評価 |
| 妊娠中 | メチルドパ(アルドメット)/ラベタロール(産科) | — |
「合う薬」を見つけるコツ
- ① まず1剤を低用量で開始
- ② 2〜4週間で効果判定(家庭血圧の記録が大事)
- ③ 効果不十分なら増量 or 別の系統を追加(機序の違う系統を追加)
- ④ 3剤必要なら配合剤を検討
- ⑤ 副作用が出たら別の系統に変更(例:ACE阻害薬の空咳→ARBへ)
「すぐ受診」が必要なサイン
- 収縮期180以上 or 拡張期110以上が続く
- 強い頭痛・めまい・吐き気・視力障害
- 胸の痛み・息切れ
- 麻痺・ろれつが回らない
- 妊娠中に140/90を超えた
受診予約方法

オンライン診療で高血圧の薬は出してもらえますか?

はい、当院ではARB7種、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、利尿薬、MR拮抗薬、各種配合剤を処方しています。初診時に1週間程度の家庭血圧の記録をご準備いただくとスムーズです。
二次性高血圧が強く疑われる場合や妊娠中の高血圧は対面医療機関へご紹介します。総論は「高血圧の総論」もご参照。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。
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よくある質問
-
降圧薬を一生飲み続けないとダメ?
-
本態性高血圧では多くの方で長期継続が必要。生活改善で大きく下がった場合は減量・中止できることもあります。自己判断で中止せず医師と相談しながら段階的に減らしましょう。
-
ARBとACE阻害薬、どちらがいい?
-
効果はほぼ同等。違いは「ACE阻害薬は空咳が出やすい(10〜30%)」。空咳が気になる方はARB、心筋梗塞後・心不全では実績の長いACE阻害薬。
-
Ca拮抗薬でむくみが出ました
-
効果が出ている証拠でもありますが、強い場合は、① 別のCa拮抗薬に変更(アムロジピン→アゼルニジピンなど)、② ARBや利尿薬と併用、③ 減量・中止を検討。
-
β遮断薬を急にやめたら危ない?
-
はい、長期服用後の急な中止でリバウンドの頻脈・血圧上昇・狭心症悪化のリスク。1〜2週間かけて段階的に減量します。
-
血圧の薬とグレープフルーツジュースは飲んでいい?
-
Ca拮抗薬(特にアダラート、アムロジピンの一部)はグレープフルーツジュースで効果が強くなりすぎることがあります。
ARB・ACE阻害薬・β遮断薬・利尿薬はほぼ影響なし。
-
NSAIDs(ロキソニン)と一緒に飲んでも大丈夫?
-
短期間ならほぼ問題なしですが、NSAIDsを連用すると降圧薬の効果が弱まり、腎機能にも影響。痛みが続く場合はカロナールへ切替えや医師相談を。
-
「薬を飲むなら塩分制限はしなくていい」って本当?
-
誤解です。降圧薬と減塩は両輪。減塩で同じ薬の効きが大きく変わります。減塩を怠ると薬の量と副作用が増えます。
-
飲み忘れた時は?
-
気づいた時点で1回分を飲み、次までに時間が短ければスキップ。2回分まとめて飲むのは避けて。配合剤や長時間作用型は飲み忘れに強いです。
-
朝測ると高くて、夜は普通。問題ある?
-
朝の血圧が高い「早朝高血圧」は脳卒中・心筋梗塞リスクが高いタイプ。長時間作用型のARB/Ca拮抗薬を就寝前に、または朝・夜の分服を検討します。
-
オンライン診療で高血圧の薬は出してもらえますか?
-
はい、ARB・Ca拮抗薬・利尿薬・配合剤などを処方しています。家庭血圧の記録(1週間ほど)をご用意いただくと診察がスムーズです。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。
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参考文献・出典
- 日本高血圧学会編「高血圧管理・治療ガイドライン2025」
- PMDA 医薬品添付文書 各降圧薬
- Williams B, et al. 2018 ESC/ESH Guidelines for the management of arterial hypertension. Eur Heart J. 2018;39(33):3021-3104.
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この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
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【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)を修了し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/公衆衛生修士(MPH)/産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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