不眠症の薬を徹底比較|当院で出せる薬・出せない薬と選び方
不眠症の薬を徹底比較|当院で出せる薬・出せない薬と選び方
Bz系・非Bz系を当院で出さない理由と、オレキシン拮抗薬4剤・ロゼレム・漢方の使い分け

眠れない日が続いて、市販薬じゃダメだったので病院でちゃんと睡眠薬を出してほしいんですが、いきなりオンライン診療でもらえますか?

当院では「ベンゾジアゼピン系(Bz系)」と「非ベンゾジアゼピン系(非Bz系・Z-drugs)」の睡眠薬は処方していません。マイスリー・ハルシオン・レンドルミン・サイレース・ルネスタ等がこれに当たります。
理由は① 厚労省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で初診からの向精神薬処方が原則禁止であること(当院はこれに加え、再診・継続の場合も処方しない方針です)、② 依存・反跳性不眠・転倒・健忘などのリスクです。
代わりに、依存しにくく初診から処方可能な睡眠薬と漢方を組み合わせます。
目次
🚫 当院で「処方しない」睡眠薬
| 分類 | 代表薬 | 当院 |
|---|---|---|
| 非Bz系(Z-drugs) | マイスリー/アモバン/ルネスタ | ✕ |
| Bz系 | ハルシオン/レンドルミン/リスミー/サイレース/ロヒプノール/ベンザリン | ✕ |
| Bz系抗不安薬の流用 | デパス/ソラナックス | ✕ |
処方しない2つの理由(詳細)
① 厚労省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(令和6年改訂):初診のオンライン診療で向精神薬(睡眠薬を含む)の処方は原則行わない方針。関連記事「初診オンライン診療で処方できない薬とは?」もご参照。
② 依存・反跳性不眠・転倒・健忘などのリスク:身体的・精神的依存、反跳性不眠(やめると元より悪化)、耐性、高齢者の転倒・骨折、健忘・もうろう状態、認知機能への影響、アルコールとの相互作用など。
世界的にも「できれば使わない」方向にガイドラインが変わってきています。
不眠の4タイプ
| タイプ | 症状 | 多い世代 |
|---|---|---|
| 入眠困難 | 寝つきに30分以上かかる | 若年・不安が強い方 |
| 中途覚醒 | 夜中に何度も目が覚める | 中高年・高齢者 |
| 早朝覚醒 | 希望より早く目が覚める | うつ病・高齢者 |
| 熟眠障害 | ぐっすり眠った感じがしない | 睡眠時無呼吸 詳しくはSAS検査の記事への可能性 |
🌟 当院で出せる薬の全体像
| 分類 | 代表薬 | 向く不眠 | 依存性 |
|---|---|---|---|
| オレキシン拮抗薬 | ベルソムラ/デエビゴ/クービビック/ボルズィ | 入眠困難・中途覚醒の両方 | 少ない |
| メラトニン受容体作動薬 | ロゼレム | 体内時計のずれ・入眠困難 | ほぼなし |
| 漢方薬 | 酸棗仁湯/加味帰脾湯/抑肝散/桂枝加竜骨牡蛎湯/柴胡桂枝乾姜湯 | 体質ごと | なし |
① オレキシン受容体拮抗薬:脳の覚醒スイッチをオフ
オレキシンは脳を覚醒させるホルモン。これをブロックして自然な眠りに近づけます。Bz系のような身体的依存・反跳性不眠が少なく、初診からの処方も可能です。
| 薬剤 | 一般名 | 承認 | 半減期 | 標準用量 |
|---|---|---|---|---|
| ボルズィ | ボルノレキサント | 2025年 | 約1.3〜3.3時間(最短) | 5mg(最大10mg) |
| クービビック | ダリドレキサント | 2024年 | 約8時間 | 50mg |
| ベルソムラ | スボレキサント | 2014年 | 約10時間 | 15〜20mg |
| デエビゴ | レンボレキサント | 2020年 | 約47時間(長め) | 5mg(最大10mg) |
「効きの強さ」はデエビゴ>ベルソムラ、「翌朝の残りの少なさ」はボルズィ>クービビック>ベルソムラ>デエビゴのイメージです。
4剤の使い分けポイント
ボルズィ(第4世代・2025年):半減期最短。「寝つきが悪い/翌朝のだるさを残したくない」軽症〜中等症に。
クービビック(第3世代・2024年):短時間型。翌朝の眠気が少なめ。
ベルソムラ(第1世代):穏やかな効き目。
デエビゴ(第2世代):効果が強め。中途覚醒・早朝覚醒にも。
共通注意:CYP3A阻害薬(クラリス・イトリゾール等)と相互作用。
② メラトニン受容体作動薬:ロゼレム
体内時計を「眠る時間ですよ」と知らせる薬。1〜2週間かけて自然な睡眠リズムが整うイメージ。即効性ではなく、体内時計のずれ・昼夜逆転・高齢者の浅い眠りに特に有効。依存性ほぼなし。
ロゼレムの注意点
用量:1日1回8mgを就寝前。食後すぐの服用は効果が落ちる。
フルボキサミン(ルボックス/デプロメール)併用禁忌。
最低2週間は続けてから効果判定を。
③ 漢方薬:体質と背景に合わせる
| 漢方 | 向く方 |
|---|---|
| 酸棗仁湯 | 疲れているのに眠れない/心身の疲労感 |
| 加味帰脾湯 | 精神的疲労・不安・もの忘れ・抑うつ |
| 抑肝散 | イライラ・怒りっぽさ・気の高ぶり |
| 抑肝散加陳皮半夏 | 抑肝散の体質+胃腸が弱い |
| 桂枝加竜骨牡蛎湯 | 神経過敏・動悸・不安で寝つけない |
| 柴胡桂枝乾姜湯 | 体力低下+寝汗・微熱・口渇・神経過敏 |
即効性はなく1〜3か月かけて整えるイメージ。甘草を含む漢方は長期で偽アルドステロン症に注意。
🩺 タイプ別の選び方
| タイプ・背景 | まず | 漢方併用 |
|---|---|---|
| 寝つけない(入眠困難) | ロゼレム or デエビゴ/ボルズィ | 酸棗仁湯/桂枝加竜骨牡蛎湯 |
| 中途覚醒 | デエビゴ or ベルソムラ | 酸棗仁湯/柴胡桂枝乾姜湯 |
| 早朝覚醒 | デエビゴ(要:抑うつチェック) | 加味帰脾湯 |
| イライラ強い | 漢方主体(抑肝散) | +ロゼレム or デエビゴ |
| 不安・落ち込み | 加味帰脾湯/ロゼレム | 加味帰脾湯/柴胡桂枝乾姜湯 |
| 高齢者 | ロゼレム or デエビゴ低用量 | 酸棗仁湯/加味帰脾湯 |
| 昼夜逆転 | ロゼレム+朝の光浴 | — |
| 寝汗・動悸を伴う | 柴胡桂枝乾姜湯 | +ロゼレム |
| Bz系から切替えたい | 対面の精神科で減薬計画 | 当院では対応しておりません(処方元でご相談ください) |
「薬の前」の睡眠衛生指導
- 起きる時間を一定に(休日も前後1時間以内)
- 朝の光を浴びる(5〜30分)
- 午後3時以降のカフェイン・夜の寝酒NG
- 寝る前のスマホ・PCを控える
- 寝床=眠る場所。眠れなければ20〜30分で一度起きる
- 就寝1〜2時間前の入浴・夕方の軽い運動
「ただの不眠」じゃないかもしれないサイン
- 強い気分の落ち込み・興味の喪失・希死念慮(うつ病)
- 大きないびき・無呼吸・日中の強い眠気(睡眠時無呼吸)
- 足のムズムズ(むずむず脚症候群)
- 動悸・体重減少・手の震え(甲状腺機能亢進症)
- 寝言・夜中の異常行動(レム睡眠行動障害)
- 頻尿で何度も目が覚める(過活動膀胱等)
すでにBz系・非Bz系を飲んでいる方へ

長期Bz系を自己判断で急にやめると、激しい反跳性不眠・離脱症状が出ることがあり危険です。
当院では「① 元の処方医(精神科・心療内科)と減薬計画」「② オレキシン拮抗薬・漢方を併用しながら置き換え」「③ 睡眠衛生・CBT-Iを並行」という流れが一般的です。ただし当院では、この減薬の伴走を含め、ベンゾ系・非ベンゾ系睡眠薬に関わる対応を行っておりません。
Bz系・非Bz系そのものは元の主治医(対面)にお任せください。
受診予約方法

オンライン診療で不眠の相談はできますか?

はい、24時間オンライン予約受付中。ロゼレム・ベルソムラ・デエビゴ・クービビック・ボルズィ・各種漢方から症状に合わせてご提案します。
問診票に「眠れない症状の中身」「困っている期間」「日中への影響」「これまでに使った薬」「他の通院・処方薬」をお書きください。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。
よくある質問
-
なぜマイスリーやハルシオンを処方してもらえないんですか?
-
当院ではBz系・非Bz系の睡眠薬は処方していません。理由は① 厚労省「オンライン診療指針」で初診からの向精神薬処方は原則不可、② 依存・反跳性不眠・転倒・健忘などのリスクです。
代わりに依存しにくいオレキシン拮抗薬・ロゼレム・漢方をご提案します。
-
ベルソムラ・デエビゴ・クービビック・ボルズィ、どれが一番効きますか?
-
4剤いずれもオレキシン拮抗薬で依存しにくく、初診オンライン処方も可能です。半減期で使い分けます。
ボルズィ(2025年・最短)/クービビック(短)/ベルソムラ(中)/デエビゴ(長め・効果強め)。
「効きの強さ」はデエビゴ>ベルソムラ、「翌朝の残りの少なさ」はボルズィ>クービビック>ベルソムラ>デエビゴ。
-
新しいオレキシン拮抗薬にも依存はある?
-
Bz系のような身体的・精神的依存はほとんど報告なし。「これがないと眠れない気がする」という心理的依存は誰でも起こりうるので、必要な時に必要な分だけ使うのがおすすめです。
-
ロゼレムって本当に効きますか?
-
即効性ではなく1〜2週間かけて自然な睡眠リズムを整えるタイプ。体内時計のずれ・昼夜逆転・高齢者の浅い眠りに特に有効。最低2週間は続けて効果判定を。
-
漢方薬だけで不眠は治りますか?
-
軽症〜中等度なら漢方単独で改善することもあります。中等症以上ではオレキシン拮抗薬やロゼレムと漢方を組み合わせるのがバランスがよいです。
-
市販の睡眠改善薬(ドリエルなど)との違いは?
-
ドリエル・ナイトールなどは抗ヒスタミン薬。耐性ができやすく、口の渇き・翌日のだるさ・尿の出にくさが出やすい。
1〜2週間以上続く不眠は医療機関で相談したほうが安全です。
-
不眠でうつ病かも?
-
不眠が2週間以上続き、加えて「興味が湧かない」「楽しめない」「気分が落ち込む」「食欲がない」などがあれば、うつ病の可能性も考えます。
当院では睡眠衛生指導・初期評価・精神科や心療内科への紹介をご案内。希死念慮がある場合は対面の精神科へ。
-
寝酒(晩酌)で眠れています。続けて大丈夫?
-
絶対に避けてください。最初は眠気を誘いますが、明け方に眠りが浅くなり、中途覚醒・早朝覚醒・睡眠時無呼吸が悪化します。連用するほど量が増え依存にも。
-
Bz系を10年以上飲んでいます。当院で減薬を相談できる?
-
Bz系そのものの処方・減薬計画は元の処方医(精神科・心療内科)にお任せください。
当院ではベンゾ系・非ベンゾ系睡眠薬の減薬支援を行っておりません。処方元の医療機関で減薬計画をご相談ください。
-
オンライン診療で不眠の薬は出してもらえますか?
-
はい、当院ではロゼレム・ベルソムラ・デエビゴ・クービビック・ボルズィ・各種漢方を初診から処方しています。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。
参考文献・出典
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(令和6年改訂)
- 日本睡眠学会「成人の不眠症に対する睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン」
- PMDA 医薬品添付文書「ロゼレム/ベルソムラ/デエビゴ/クービビック/ボルズィ」
▼ こちらもおすすめ
\ 来院不要・スマホで完結 /
このお薬の相談は、オンライン診療で
スマホで診察を受ける 初めての方|初診 1,000円〜(保険適用) いつものお薬を続ける 2回目以降の方|再診 450円〜・最短翌日着料金と受診の流れを1分で確認できます
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)を修了し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/公衆衛生修士(MPH)/産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
最新の投稿







