便秘の薬を徹底比較|マグミット・モビコール・リンゼス・グーフィスの選び方

便秘の薬を徹底比較|マグミット・モビコール・リンゼス・グーフィスの選び方

浸透圧性/上皮機能変容薬/胆汁酸/刺激性/漢方をガイドライン2023ベースで整理

便秘の薬って種類が多くて違いがわかりません。下剤は癖になる、酸化マグネシウムも腎臓に悪いって聞いて不安です。

便秘薬は5グループ+漢方+浣腸・坐薬に整理できます。「慢性便秘症診療ガイドライン2023」では、浸透圧性下剤と上皮機能変容薬を毎日の土台刺激性下剤は頓用と位置付けが変わっています。

表中心で全体像と使い分けを整理します。

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「便秘」の定義(ローマⅣ)

「毎日出ないと便秘」とは限りません。次の6項目のうち2つ以上を満たす状態が機能性便秘です。

  • 4回に1回以上、強くいきむ
  • 4回に1回以上、便がコロコロ・カチカチ
  • 4回に1回以上、残便感がある
  • 4回に1回以上、肛門が詰まる感じ
  • 4回に1回以上、指で書き出すなどの介助が必要
  • 週に3回未満しか排便がない

「2〜3日に1回でもスッキリ出ていて苦しくない」なら治療不要。逆に「毎日出てもコロコロ便で残便感」なら治療対象です。

便秘のタイプ(4分類)

器質性便秘:腸の腫瘍・狭窄など物理的原因。血便・体重減少・急な始まりは要注意

症候性便秘:糖尿病・甲状腺機能低下・パーキンソン病など全身疾患による

薬剤性便秘:オピオイド・抗うつ薬・抗コリン薬・鉄剤の副作用

機能性便秘:上記がないもの。排便回数減少型排便困難型で薬の選び方が変わる

🌟 便秘薬の全体像 早見表

分類仕組み代表薬使い方
① 浸透圧性下剤腸に水を引き込み便を柔らかく酸化マグネシウム/モビコール/ラグノス毎日OK
② 上皮機能変容薬腸の壁から水分を出させるアミティーザリンゼス毎日OK
③ 胆汁酸トランスポーター阻害薬胆汁酸で便を柔らかく+便意誘発グーフィス毎日OK
④ 刺激性下剤腸を直接刺激センノシド/ラキソベロン頓用のみ
⑤ 漢方体質・症状に合わせて麻子仁丸/大黄甘草湯/大建中湯体質次第
⑥ 浣腸・坐薬即効性グリセリン浣腸/新レシカルボン頓用

① 浸透圧性下剤:便秘治療の土台

薬剤特徴注意
マグミット(酸化マグネシウム)調節容易・耐性なし・市販あり腎機能低下で高Mg血症
モビコール(PEG+電解質)2歳〜OK、妊婦・授乳婦も比較的安全水分必須・塩味あり
ラグノスNF(ラクツロース)ゼリー型、高アンモニア血症にもガラクトース血症は禁忌

酸化マグネシウムの「クセになる」「腎臓に悪い」は本当?

「クセになる」は誤解:習慣性が少なく、長期に使えるのが特徴です。

「腎臓に悪い」は条件付き:腎機能低下や高齢者では稀に高マグネシウム血症(吐き気・脱力・血圧低下)が起こることがあり、長期に飲む方は定期的な血液検査でMg・腎機能をチェックすると安心です。

飲み合わせ:テトラサイクリン・ニューキノロン系抗菌薬、ビスホスホネートとは2時間以上ずらすのが原則。

②③ 新しい便秘薬:アミティーザ・リンゼス・グーフィス

薬剤作用服用向く方
アミティーザ腸壁から水分分泌1日2回 食後慢性便秘症(妊婦禁忌)
リンゼス水分分泌+腹痛軽減1日1回 食前便秘型IBS/お腹の張り・腹痛を伴う
グーフィス胆汁酸で便意誘発1日1回 食前朝にスッキリ出したい/高齢者にも

単独では低血糖を起こさず、土台のマグミット+これらを組み合わせて毎日続けるのが現代の使い方です。

④ 刺激性下剤:「出ない時の頓用」に

センノシド(プルゼニド)/ラキソベロン。即効性ありますが、ガイドライン2023では「頓用・短期使用」に位置付け。毎日連用は耐性と下剤依存の原因になります。

大腸メラノーシス(大腸黒皮症)について

センナ・センノシド・大黄を含む漢方を長期使用すると、腸壁が色素沈着でヒョウ柄状に黒くなります。

① 何が起きる?:アントラキノン系下剤の影響でマクロファージが色素を取り込み沈着。

② がんになる?がん化はしません。ただし便秘自体の大腸がんとの関連は不明な部分もあり、定期的な大腸内視鏡でのチェックは大切。

③ 治る?:原因下剤をやめれば6〜12か月で色素は薄くなり可逆的。マグミット・モビコール・グーフィスなど非刺激性に切り替えながら徐々に。

④ 起こす薬:センノシド/センナ茶/大黄を含む漢方(大黄甘草湯・桃核承気湯・潤腸湯・防風通聖散・大承気湯・麻子仁丸・桂枝加芍薬大黄湯)。マグミット・モビコール・アミティーザ・リンゼス・グーフィス・大建中湯はメラノーシスを起こしません。

⑤ 漢方薬

漢方向く方大黄
麻子仁丸便がコロコロ・うさぎの便/高齢者含む
潤腸湯皮膚や腸が乾燥気味/高齢者・産後含む
大黄甘草湯体力あり、便秘で胸がつかえる/頓用含む
桃核承気湯月経痛・のぼせ・イライラを伴う便秘含む
大承気湯がっしりタイプの強い便秘・腹満含む
防風通聖散肥満+便秘+むくみ含む
桂枝加芍薬湯下痢と便秘を繰り返す/お腹の張りと腹痛含まない
桂枝加芍薬大黄湯上記+しっかり便を出したいとき含む
大建中湯冷え・お腹の張り・腸の動きが悪い含まない

大黄を含む漢方は刺激性下剤と同じく頓用寄り大建中湯は連用OK

⑥ 浣腸・坐薬

  • グリセリン浣腸:即効性、頓用のみ。連用は粘膜障害に
  • 新レシカルボン坐剤:炭酸ガスで穏やかに刺激。子どもや高齢者にも使いやすい

🩺 ケース別:私にはどの組み合わせ?

ケースまず効果不十分時
軽症(時々詰まる)酸化マグネシウム or モビコール漢方(麻子仁丸・潤腸湯)併用
中等症(毎日続く)酸化マグネシウム+頓用刺激性アミティーザ/グーフィスへ切替
お腹の張り・腹痛を伴うリンゼス(IBS-C)+酸化マグネシウム or 大建中湯
高齢者・腎機能悪いモビコール or グーフィス+大建中湯
月経・婦人科症状桃核承気湯+酸化マグネシウム
肥満+便秘+むくみ防風通聖散+酸化マグネシウム
頑固で出ない急性期刺激性下剤 or 浣腸土台の薬で再構築

薬の前にできること

  • 食物繊維:1日18〜20g(野菜・果物・きのこ・海藻・全粒穀物)
  • 水分:1日1.2〜1.5L
  • 運動:1日30分の歩行でも腸が動く
  • 朝のルーティン:起床後の水1杯+朝食+トイレタイム
  • いきまずに排便:足元に踏み台、前傾姿勢

「念のため検査」を考えるサイン

  • 50歳以降に新たに始まった便秘
  • 血便(黒い便も含む)
  • 体重が短期間で減ってきた
  • 便秘と下痢を交互に繰り返す
  • 便が細くなった、形が変わった
  • 夜中に目が覚めるほどの腹痛
  • 家族歴に大腸がん・大腸ポリープ

該当する場合は消化器内科・大腸内視鏡対応の医療機関をご紹介します。

受診予約方法

オンライン診療で便秘の薬は出してもらえますか?

はい、当院では酸化マグネシウム・モビコール・アミティーザ・リンゼス・グーフィス・ラキソベロン・センノシド・各種漢方薬を初診から処方しています。

50歳以降の新規便秘、血便、急な便通変化などは消化器内科・大腸内視鏡対応の医療機関へご紹介します。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。

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よくある質問

酸化マグネシウムは「クセになる」「腎臓に悪い」と聞きました

習慣性は少ないのでクセになりません。長期に飲んで「効かなくなる」こともほぼなし。

ただし腎機能低下や高齢者では稀に高Mg血症が起こるため、長期服用の方は定期的にMg・腎機能の血液検査をおすすめします。

モビコール・リンゼス・グーフィス、何が違う?

モビコール:PEG(ポリエチレングリコール)が水分を抱え込んで運ぶ。2歳〜OK、毎日の土台。

リンゼス:腸の水分分泌+腹痛軽減。「お腹の張り・痛みを伴う便秘」「便秘型IBS」に強い。

グーフィス:胆汁酸で便意も誘発。朝の排便リズム作り・高齢者に向く。

便秘薬は毎日飲んでも大丈夫?

毎日OK:マグミット/モビコール/ラグノス/アミティーザ/リンゼス/グーフィス/大建中湯。

頓用・短期で:センノシド/ラキソベロン/大黄を含む漢方。

毎日続けてよい薬を土台にし、出ない時だけ頓用、というのが基本ルール。

刺激性下剤の長期使用で大腸メラノーシスになると聞きました

はい、センナ・センノシド・大黄を含む漢方の長期使用で腸壁が色素沈着でヒョウ柄状に黒くなります。

がん化はしません。原因薬をやめれば6〜12か月で可逆的に元に戻ります。マグミット・モビコール・グーフィスなど非刺激性に切り替えながら徐々に減らしていきます。

子どもの便秘にはどんな薬が使えますか?

まずは食事・水分・排便習慣の見直しが最優先。それでも改善しない場合は、

モビコール:2歳〜。マルツエキス:乳児にも。新レシカルボン坐剤:穏やかに刺激。

刺激性下剤・大黄を含む漢方は小児には基本使いません

妊娠中・授乳中でも飲める便秘薬は?

比較的安全:酸化マグネシウム/モビコール/ラグノス(ラクツロース)

大黄を含む漢方、アミティーザ、リンゼス、グーフィスは妊娠中は基本避ける。必ず申告してください。

便秘とお腹の張り・腹痛がセットでつらいです

便秘型IBSの可能性があります。リンゼスが第一選択(腹痛軽減作用も併せ持つ)。

桂枝加芍薬湯などの腹痛緩和漢方を併用することもあります。

便秘薬と他の薬の飲み合わせ注意は?

酸化マグネシウムはテトラサイクリン系・ニューキノロン系抗菌薬、ビスホスホネートと併用で2時間以上ずらす

グーフィスは胆汁酸吸着剤(コレバイン・コレスチミド)と併用で効果が打ち消されます。

市販の便秘薬と病院の薬は何が違う?

市販はセンナ・大黄などの刺激性下剤か、酸化マグネシウムがほとんど。

病院では、モビコール・アミティーザ・リンゼス・グーフィスといった新しい薬や漢方を保険で処方できます。

オンライン診療で便秘の薬は出してもらえますか?

はい、酸化マグネシウム・モビコール・アミティーザ・リンゼス・グーフィス・ラキソベロン・センノシド・各種漢方薬を初診から処方しています。

50歳以降の新規便秘・血便などは大腸内視鏡対応医療機関へご紹介します。処方が確定すると、薬局から服薬指導のお電話をしたうえで宅薬便(ポスト投函)でお薬をお送りします。最短で翌日にお手元に届きますが、薬局の服薬指導の枠の状況によっては、お電話やお届けが翌日にずれ込むこともあります。あらかじめご了承ください。

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参考文献・出典

  • 日本消化管学会編「慢性便秘症診療ガイドライン2023」
  • PMDA 医薬品添付文書(マグミット/モビコール/ラグノスNF/アミティーザ/リンゼス/グーフィス/プルゼニド/ラキソベロン)
  • Rome IV 機能性消化管疾患の診断基準

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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