月経前に悪化するニキビに|桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)の効果と使い方

桂枝茯苓丸加薏苡仁とは?繰り返すニキビ・シミ・月経前のゆらぎに効く体質と飲み方

生理前になると決まってニキビが悪化します。シミやニキビ跡も気になっていて…漢方で改善できる薬はありますか?

桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)は、月経前に悪化するニキビ、シミ、肌荒れに使われる代表的な漢方薬です。

もともと女性の「瘀血(おけつ)=血のめぐりの滞り」を改善する代表方剤「桂枝茯苓丸」に、肌のターンオーバーを助ける「薏苡仁(よくいにん/はと麦)」を加えたもので、ニキビと肌トラブルにより特化した処方です。

のぼせやすく足が冷える、月経前に肌荒れする、シミやニキビ跡がなかなか消えない…そんな体質の女性に処方されることが多い漢方薬です。日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」でもニキビへの漢方の一つとして紹介されています。

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「桂枝茯苓丸加薏苡仁」とは

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、瘀血(おけつ)改善の代表方剤「桂枝茯苓丸」に薏苡仁(よくいにん)を加えた漢方処方です。のぼせ・足冷え・月経前不調をもつ女性の、ニキビ・シミ・しもやけ・関節痛に幅広く用いられます。

桂枝茯苓丸が「血のめぐりを整える」ベースを担い、追加された薏苡仁が「皮膚のターンオーバーを助け、ニキビやイボに働く」ことから、肌トラブル特化型の桂枝茯苓丸と捉えることができます。

「桂枝茯苓丸加薏苡仁」の特徴

合う体質(証)

次のような体質・症状の方によく合います。

  • 比較的体力は普通〜やや実証寄り
  • のぼせやすく、足は冷える
  • 月経前にニキビ・肌荒れ・乳房の張り・イライラが出やすい
  • 月経痛、月経不順、月経時の頭痛がある
  • シミやニキビ跡がなかなか引かない
  • 下腹部の張りや圧痛がある(瘀血のサイン)
  • 肩こり、頭重感を伴いやすい

合わない体質

  • 虚弱でやせ型、強い貧血や疲労感が強い方
  • 体力が極端に低下している方
  • 冷え症が強く、のぼせを伴わない方

合うか合わないかは「瘀血があるか/のぼせと足冷えのコントラストがあるか」が判断のポイントです。

配合生薬と働き

6種類の生薬から構成されます。基本の「桂枝茯苓丸」5生薬に薏苡仁を加えた処方です。

  • 桂皮(けいひ):血行を促し、のぼせや上半身の不調を整える
  • 茯苓(ぶくりょう):水分代謝を整え、むくみ・めまいを軽減
  • 牡丹皮(ぼたんぴ):瘀血を取り、炎症や月経痛をやわらげる
  • 桃仁(とうにん):血のめぐりを改善し、月経不順・腹痛に働く
  • 芍薬(しゃくやく):筋肉のこわばりや痛みを和らげる
  • 薏苡仁(よくいにん):皮膚のターンオーバーを助け、ニキビ・イボ・肌荒れに働く

「瘀血の改善」+「皮膚のケア」を同時にねらえるのが、加薏苡仁の最大の特徴です。

効能・効果

添付文書に記載されている効能・効果は次のとおりです。

「比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症」

  • にきび
  • しみ
  • 手足のあれ
  • 月経不順、月経異常、月経痛
  • 更年期障害
  • 血の道症
  • 肩こり、めまい、頭重
  • 打ち身(打撲症)、しもやけ

女性の月経まわりのトラブルから皮膚症状まで、幅広くカバーするのが特徴です。

有効性

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、桂枝茯苓丸の血行改善作用に加え、薏苡仁の皮膚への作用を組み合わせた処方です。これまでの臨床経験では、次のような場面で効果が報告されています。

  • 月経前に悪化するニキビや肌荒れの改善
  • 炎症がおさまった後のシミ・ニキビ跡の色素沈着の改善サポート
  • のぼせ・下腹部痛・月経痛など月経まわりの不調の軽減
  • 冷えのぼせのある女性の肩こり、頭重感の緩和

効果の出方には個人差がありますが、漢方は数週間〜数か月単位で「体質を整える」イメージで使うのが基本です。

用法・用量

通常、成人は1日7.5gを2〜3回に分けて、食前または食間に服用します。年齢・体重・症状により調整します。

食間とは「食事と食事の間」、目安として食後2時間ほどです。空腹時に飲むことで吸収が安定します。

飲み方のポイント

  • 食前または食間に、白湯やぬるま湯で飲む
  • 1日分を3回に分けて飲むのが基本(朝・昼・夕)
  • 熱湯で溶かして飲むと、香りが立って飲みやすい
  • 効果実感までは数週間〜2〜3か月かけてみる
  • 塗り薬(ベピオ・ディフェリンなど)との併用も可
  • 体質が変わってきたら、医師と相談しながら処方を調整

特に気をつけたい副作用

比較的安全性の高い漢方薬ですが、次のような副作用が報告されています。

消化器症状

  • 胃部不快感、食欲不振、悪心、下痢など
  • 空腹時の服用で胃が弱い方は、食後に変更することも

過敏症

  • 発疹、かゆみなど
  • 出現したら服用を中止し、医師にご相談ください

肝機能障害

  • 稀ですが、AST・ALTの上昇が報告されています
  • 黄疸や強い倦怠感を感じたら早めに受診を

使用できない方・注意が必要な方

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往がある方
  • 妊婦または妊娠の可能性のある方(桃仁・牡丹皮を含むため、医師の判断で使用可否を決定)
  • 授乳中の方(必要性を慎重に検討)
  • 虚弱体質の方、極度に体力が低下している方
  • 高齢者(一般的に生理機能が低下しているため少量から)
  • 小児(治療上の有益性を考慮して使用)

飲み合わせに注意

桂枝茯苓丸加薏苡仁は甘草を含みませんが、他の漢方薬と併用する際は、合計甘草量が増えないよう注意が必要です。

  • 他の漢方薬(甘草を含むもの:芍薬甘草湯・小青竜湯など)との併用は、医師・薬剤師に相談
  • 抗血小板薬・抗凝固薬(ワルファリン等)服用中は念のため申告
  • 市販薬・サプリメントとの併用も、念のため伝える

受診を考えたい症状

次のようなときは早めに受診してください。

  • 服用後、発疹・かゆみ・むくみが出てきた
  • 強い倦怠感、食欲不振、黄疸など肝機能異常を疑う症状
  • 胃部の強い不快感が続く
  • ニキビが急に悪化し、しこりや膿が深く広がっている
  • 月経痛・出血量に明らかな変化がある
  • 2〜3か月続けても症状の改善が感じられない

まとめ

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、のぼせと足冷えのコントラストがあり、月経まわりの不調をもつ女性の繰り返すニキビ・シミ・肌荒れに処方される漢方薬です。

血のめぐりを整える「桂枝茯苓丸」に、肌の代謝を助ける「薏苡仁」を加えた組み合わせで、ニキビ治療では塗り薬と併用することで体質ごと整えていくイメージで使います。

体質との相性が大切なので、自己判断ではなく医師の診察を受けたうえで処方してもらうのがおすすめです。

重要なポイント

  • 瘀血(血のめぐりの滞り)を改善する漢方の代表「桂枝茯苓丸」+「薏苡仁」の組み合わせ
  • 月経前に悪化するニキビ・シミ・肌荒れに向く
  • のぼせ・足冷え・月経痛・下腹部圧痛がある女性に適応されやすい
  • 虚弱体質・強い貧血の方には合わない
  • 塗り薬(ベピオ・ディフェリンなど)との併用が可能
  • 効果は数週間〜数か月かけて体質を整えるイメージ
  • 妊娠中・授乳中は医師の判断のもとで

参考文献・出典

  • PMDA 医薬品添付文書「ツムラ桂枝茯苓丸加薏苡仁エキス顆粒(医療用)」
  • 日本皮膚科学会編「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」
  • Minds ガイドラインライブラリ「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」
  • 日本東洋医学会「漢方医学教育コアカリキュラム」

よくある質問(Q&A)

桂枝茯苓丸(加薏苡仁なし)とは何が違いますか?

桂枝茯苓丸は瘀血を改善する代表方剤で、月経痛・月経不順・更年期障害・肩こり・のぼせなど女性特有の不調に幅広く使われます。

桂枝茯苓丸加薏苡仁は、それに薏苡仁(はと麦)を加えたもので、肌のターンオーバーを助ける作用が加わります。ニキビ・シミ・肌荒れに重点を置きたいときは加薏苡仁、月経まわりの不調が主体のときは桂枝茯苓丸、と使い分けます。

どれくらい飲み続ければ効果がわかりますか?

漢方は西洋薬と違い、即効性ではなく「体質を整える」ことを目的に使います。

ニキビ・肌荒れであれば、目安として1〜2か月で肌の調子の変化を感じ、3か月ほどで効果を判定するのが一般的です。続けても変化がなければ、体質に合っていない可能性があるので処方の見直しをご相談ください。

ベピオやディフェリンなど、ニキビの塗り薬と一緒に使えますか?

はい、塗り薬と桂枝茯苓丸加薏苡仁の併用は問題ありません。

むしろ、塗り薬で炎症やつまりにアプローチしつつ、漢方で「ニキビができにくい体質」に整えていく、という組み合わせはよく行われます。

ニキビ治療薬全体の選び方は「ニキビの薬を徹底比較」もご参照ください。

低用量ピルとの併用は大丈夫ですか?

併用自体は可能ですが、ピルとの相互作用やリスクは個別に確認が必要です。

婦人科でピルを処方されている場合は、桂枝茯苓丸加薏苡仁を始めるときに「ピル服用中」と必ず申告してください。両方で月経まわりの不調を整えていくのが目的になります。

妊娠中・授乳中に飲んでもいいですか?

桂枝茯苓丸加薏苡仁には桃仁・牡丹皮が含まれており、これらは瘀血を強く動かす作用があるため、妊娠中は基本的に処方を控えることが多い漢方です。

妊娠の可能性がある場合や授乳中の場合は、必ず医師に伝えてからご使用ください。

飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

気づいた時点で次の服用までに余裕があれば1回分だけ飲み、次回が近いときは1回スキップしてください。2回分をまとめて飲むのは避けてください。

漢方は1回飲み忘れたからといって効果が大きく落ちることはないので、無理せず続けやすいペースで継続するのが大切です。

副作用はどんなものに気をつければいいですか?

多いのは胃部不快感・食欲不振などの消化器症状です。空腹時に飲むと胃に負担がかかる方は、食後に変更することもあります。

稀に発疹やかゆみ、肝機能異常(倦怠感・黄疸など)が報告されているので、気になる症状があればすぐに服用を中止し、医師にご相談ください。

他のニキビ用漢方とどう使い分けますか?

ニキビに使う漢方はいくつかあり、体質によって使い分けます。

清上防風湯:顔の赤ら顔・炎症性ニキビが目立つタイプ。

十味敗毒湯:化膿しやすくジュクジュクするタイプ。

荊芥連翹湯:思春期ニキビで皮膚が浅黒く、鼻づまりや扁桃炎を起こしやすいタイプ。

桂枝茯苓丸加薏苡仁月経前に悪化する、シミ・ニキビ跡が気になる女性のタイプ。

オンライン診療でも処方してもらえますか?

はい、当院ではオンライン診療で桂枝茯苓丸加薏苡仁を処方しています。体質や月経周期、現在のニキビの状態を診察したうえで、ご自宅に薬をお届けします。

塗り薬(ベピオ・ディフェリンなど)と併用したい方も、まとめてご相談ください。

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この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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