蓄膿症・鼻づまりに効く漢方「葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)」とは?使い方と注意点を医師が解説
葛根湯加川芎辛夷とは?効く体質・症状・飲み方まとめ

鼻づまりや蓄膿症がつらい…『葛根湯加川芎辛夷』って効きますか

葛根湯加川芎辛夷は、「体力中等度以上の方の鼻づまり・蓄膿症・慢性鼻炎」に使われる漢方薬です。
風邪薬で有名な葛根湯に、川芎(せんきゅう)と辛夷(しんい)の2生薬を追加した処方で、
肩〜首〜頭周りの巡りを改善し、鼻の通りを良くする働きがあります。
蓄膿症(副鼻腔炎)や慢性的な鼻づまりで「いつもティッシュが手放せない」という方によく処方される定番漢方。
この記事では、どんな方に向いている漢方か、効果・注意点をわかりやすくお伝えします。
\ 来院不要・スマホで完結 /
このお薬の相談は、オンライン診療で
スマホで診察を受ける 初めての方|初診 1,000円〜(保険適用) いつものお薬を続ける 2回目以降の方|再診 450円〜・最短翌日着料金と受診の流れを1分で確認できます
目次
「葛根湯加川芎辛夷」とは
葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)は、その名前のとおり「葛根湯」に「川芎」と「辛夷」を加えた処方です。江戸時代の漢方医・本間棗軒(ほんまそうけん)の著書に記載されているとされる、日本でよく使われる漢方の一つ。
現在はツムラ・クラシエ・コタローなどから医療用エキス製剤として販売されており、保険診療で処方できます。市販薬としても薬局・ドラッグストアで購入可能。
「葛根湯」は風邪の引き始めで有名ですが、これに鼻炎・蓄膿症に効く生薬を加えたのが葛根湯加川芎辛夷で、慢性的な鼻のトラブルに特化しています。
「葛根湯加川芎辛夷」の特徴
合う体質(証)
葛根湯加川芎辛夷が合うのは次のような方です。
- 体力中等度以上(実証〜中間証)
- 慢性的な鼻づまり・後鼻漏(鼻水がのどに流れる)
- 蓄膿症(副鼻腔炎)
- 肩こり・首こり
- 頭重感・前頭部の重い感じ
- 顔面部の圧迫感
- 寒気を感じる時もある
漢方の言葉では「太陽病」(体の表面のトラブル)+「気滞・血滞」(巡りの悪さ)のタイプ。「肩から首・頭にかけて巡りが悪く、鼻の周りに膿や粘液がたまっている」状態です。
合わない体質
- 体力虚弱な虚証タイプ
- 胃腸が弱い方(葛根湯系は胃にもたれやすい)
- 汗をたくさんかいて疲れている時
- 熱がこもって顔が真っ赤、暑がりタイプ
配合生薬と働き
葛根湯加川芎辛夷は次の9種類の生薬から作られています(葛根湯7種類+川芎・辛夷の2種類)。
- 葛根(かっこん):肩・首のこわばりをほぐす
- 麻黄(まおう):発汗を促す、鼻づまりを改善
- 桂皮(けいひ):体を温める
- 芍薬(しゃくやく):筋肉のこわばりを和らげる
- 生姜(しょうきょう)・大棗(たいそう):胃腸を整える
- 甘草(かんぞう):他の生薬の働きを調和
- 川芎(せんきゅう):血の巡りを改善、頭部の症状に
- 辛夷(しんい):鼻の通りを良くする(蓄膿症の特効生薬)
全体として、体を温め・肩こりをほぐし・血の巡りを良くして、鼻の通りを改善する方向に働きます。辛夷は「鼻の漢方薬」の主薬として知られる生薬です。
効能・効果
医療用エキス製剤の添付文書に記載されている効能・効果は、
「鼻づまり、蓄膿症、慢性鼻炎」
シンプルですが、「鼻」の症状に絞り込まれた漢方です。実際の臨床では:
- 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
- 慢性鼻炎
- 後鼻漏(鼻水がのどに流れる)
- アレルギー性鼻炎(特に鼻づまりが中心のタイプ)
- 鼻茸(はなたけ)の補助療法
- 風邪後の鼻づまりが残る場合
といったケースで処方されます。
有効性
葛根湯加川芎辛夷は慢性副鼻腔炎・慢性鼻炎に対する漢方として、伝統的に効果が知られています。
- 慢性副鼻腔炎:鼻づまりの改善、後鼻漏の減少、頭重感の軽減
- 慢性鼻炎:鼻症状全般の改善
- 急性副鼻腔炎の補助:抗菌薬と併用
- アレルギー性鼻炎(鼻づまり優位タイプ):補助療法として
副鼻腔炎の現代医学的標準治療(マクロライド少量療法、洗浄、内視鏡手術等)と併用することで、症状軽減・QOL改善が期待できる漢方です。
効果実感までには2〜4週間程度必要なことが多く、「体質改善的に長期間使う」場合もあれば、「症状が強い時期だけ使う」場合もあります。
用法・用量
医療用エキス製剤の標準的な飲み方は次のとおりです。
通常、成人に1日7.5g(2.5g×3包)を、食前または食間に水または白湯で経口投与。年齢・症状により適宜増減。
飲み方のポイント
- 食前(食事の30分前)または食間がベスト
- 水または白湯で飲む(白湯で飲むと体が温まって鼻の通りも良くなる)
- 効果判定は2〜4週間
- 慢性副鼻腔炎での体質改善目的なら1〜3ヶ月の継続
- 麻黄を含むため夕方以降の服用は不眠の原因に
- 抗菌薬・点鼻薬と併用OK
特に気をつけたい副作用
麻黄による副作用
葛根湯加川芎辛夷には「麻黄(まおう)」(エフェドリンを含む)が入っています。
- 動悸・頻脈
- 血圧上昇
- 不眠(特に夕方以降の服用)
- 発汗過多
- 排尿困難(前立腺肥大の方)
- 手足の震え、興奮
特に心疾患・高血圧・甲状腺機能亢進症・前立腺肥大の方は慎重に使う必要があります。
偽アルドステロン症
甘草を含むため、長期使用で偽アルドステロン症(手足のだるさ・しびれ・こむら返り・血圧上昇)のリスクもあります。
使用できない方・注意が必要な方
- 本剤の成分に過敏症の既往がある方
- 麻黄を含む他の薬を服用中の方(他の麻黄含有漢方、市販の風邪薬・鼻炎薬など)
- 心疾患(特に虚血性心疾患)のある方
- 重症の高血圧
- 甲状腺機能亢進症
- 前立腺肥大による排尿困難
- 糖尿病(血糖が上がることがある)
- 虚弱体質・極度の胃腸虚弱
- 妊婦・授乳婦:医師と相談
- 高齢者:心血管リスクが高い方は慎重に
飲み合わせ
- 他の麻黄を含む漢方(葛根湯、小青竜湯、麻黄湯、越婢加朮湯など):エフェドリンの重複に注意
- 市販の風邪薬・鼻炎薬・喘息薬:エフェドリン系成分の重複(特にプソイドエフェドリン・メチルエフェドリン)
- 降圧薬:効果が弱まる可能性
- カテコールアミン製剤:作用増強
- 抗ヒスタミン薬(アレジオン、アレグラ等):併用可(鼻炎で)
- 抗菌薬(クラリスロマイシン少量療法等):副鼻腔炎では併用が一般的
受診を考えたい症状
次のような症状があるときは、漢方ではなく病院を受診してください。
- 高熱・激しい顔面痛・目の腫れ(急性副鼻腔炎の悪化)
- 強い頭痛・視力低下(合併症の可能性)
- 動悸・脈の乱れ・胸の痛み(麻黄の副作用)
- 急激な血圧上昇
- 排尿困難
- 手足のだるさ・こむら返り(偽アルドステロン症)
- 空咳・息切れ・発熱が続く(間質性肺炎)
- 全身に広がる発疹・水ぶくれ
まとめ
葛根湯加川芎辛夷は、「体力中等度以上の方の鼻づまり・蓄膿症・慢性鼻炎」に使われる定番の漢方薬です。風邪薬で有名な葛根湯に、鼻の特効生薬「辛夷」と血流改善の「川芎」を加えた処方。
慢性副鼻腔炎・後鼻漏・アレルギー性鼻炎(鼻づまりタイプ)に幅広く使われ、抗菌薬・点鼻薬・抗ヒスタミン薬との併用も可能です。
一方で麻黄による動悸・血圧上昇・不眠のリスクがあるため、心疾患・高血圧・甲状腺機能亢進症・前立腺肥大のある方は慎重に。
重要なポイント
- 1日3回、食前または食間に服用(白湯で飲むと効きやすい)
- 体力中等度以上・鼻づまり・蓄膿症・肩こりタイプに向いている
- 効果判定は2〜4週間
- 麻黄含有のため動悸・血圧上昇・不眠に注意
- 心疾患・高血圧・甲状腺亢進・前立腺肥大の方は慎重に
- 夕方以降の服用は不眠の原因に
- 他の麻黄含有薬・市販風邪薬との重複に注意
- 抗菌薬・点鼻薬との併用は可能
慢性副鼻腔炎・鼻づまりに悩む方の選択肢として、体質に合えば長く使える漢方。安定して内服を続けている方は、オンライン診療での継続処方も活用できます。
参考文献・出典
- PMDA(医薬品医療機器総合機構):ツムラ葛根湯加川芎辛夷エキス顆粒(医療用)添付文書
- 日本東洋医学会:漢方処方解説
- 本間棗軒:『瘍科秘録』(漢方古典)
- 日本耳鼻咽喉科学会:副鼻腔炎診療ガイドライン
よくある質問(Q&A)
-
葛根湯と葛根湯加川芎辛夷、どう違うの?
-
ベースは同じ「葛根湯」ですが、目的が違います。
- 葛根湯:風邪の引き始め、肩こり、頭痛、初期感染症
- 葛根湯加川芎辛夷:葛根湯に「川芎・辛夷」を加え、鼻の症状(蓄膿症・鼻づまり)に特化
「風邪のとき」は葛根湯、「鼻づまり・蓄膿症が続く」なら葛根湯加川芎辛夷、と使い分けます。風邪のあと鼻づまりだけが残ったときに、葛根湯から葛根湯加川芎辛夷に切り替えるパターンもあります。
-
葛根湯加川芎辛夷の費用はいくらくらい?
-
医療用エキス製剤の薬価は、ツムラの場合1包2.5gで約15円。1日3包なので、
- 1日:約45円
- 1か月(30日):約1,350円(薬価ベース)
- 3割負担で約410円/月、1割負担で約140円/月
※診察料は別途。市販でも販売されていますが、保険診療の方が経済的です。
-
どれくらいで効きはじめる?
-
鼻づまり・後鼻漏の改善は2〜4週間で実感する方が多いです。慢性副鼻腔炎の体質改善には1〜3ヶ月の継続が必要なこともあります。
「飲んだら一発で治る」風邪薬のような効き方ではなく、続けて体質を整えていくイメージ。1ヶ月飲んで全く変化を感じない場合は、合っていない可能性があるので医師に相談してください。
-
抗菌薬と一緒に飲んでもいい?
-
併用OKです。慢性副鼻腔炎では、クラリスロマイシン少量療法(マクロライド少量長期投与)や、急性増悪時の抗菌薬と漢方を併用するのが一般的。お互いの作用を打ち消すことはありません。
点鼻薬(フルナーゼ、ナゾネックス等)や抗ヒスタミン薬(アレジオン、アレグラ等)との併用も可能。「西洋薬と漢方の合わせ技」で症状コントロールを目指す形になります。
-
妊娠中・授乳中は飲める?
-
麻黄を含むため、妊娠中・授乳中は基本的に避ける方が安全です。妊娠中の鼻づまりは漢方より、生活改善・鼻洗浄・点鼻薬(医師処方)で対応することが多いです。
授乳中も、エフェドリンが母乳に移行するため別の選択肢を医師と相談してください。
-
夕方に飲んだら眠れなくなった…
-
麻黄のエフェドリン作用で不眠が出やすい漢方です。夕方以降の服用は避けてください。
対策:
- 朝・昼・夕方(17時頃まで)の3回に
- 夜の分は服用しない(1日2回に減らす)
- それでも不眠が続くなら他の漢方への変更を検討
-
高血圧があるけど飲める?
-
慎重に判断します。麻黄に含まれるエフェドリンが血圧を上げる可能性があるためです。
降圧薬でコントロールできている軽症高血圧なら短期間使うことはありますが、コントロール不良や重症高血圧では他の漢方(麻黄を含まない辛夷清肺湯など)を選ぶ方が安全。必ず医師と相談してください。
-
子どもにも使える?
-
子どもにも使えます。小児の慢性副鼻腔炎・鼻づまりにはよく処方される漢方の一つです。ただし、
- 体重・年齢に応じた減量が必要(添付文書に小児量の規定あり)
- 味が苦手な子もいるので、白湯で飲ませる・少量ずつ分けるなど工夫
- 麻黄の影響(興奮・不眠)に注意
必ず医師に処方してもらって、用量を確認してください。
-
他の漢方と一緒に飲んでもいい?
-
麻黄を含む他の漢方(葛根湯、小青竜湯、麻黄湯、越婢加朮湯など)との併用は基本NG。エフェドリン量が重なって動悸・血圧上昇・不眠が出やすくなります。
市販の風邪薬・鼻炎薬にもエフェドリン系が入っていることが多いので注意。「漢方は安全」と思い込んで併用しないように。
-
手術が必要なほど蓄膿症がひどい場合は?
-
慢性副鼻腔炎が薬で改善しない場合、内視鏡下副鼻腔手術(ESS)が選択肢になります。耳鼻咽喉科で評価してもらい、
- 鼻茸(はなたけ)が大きい
- 骨の構造異常がある
- 薬を半年以上続けても改善しない
- 視力・嗅覚の障害が出てきた
といった場合は、漢方だけで粘らず耳鼻科専門医に紹介してもらいましょう。手術後の再発予防として漢方を継続することもあります。
\ 来院不要・スマホで完結 /
このお薬の相談は、オンライン診療で
スマホで診察を受ける 初めての方|初診 1,000円〜(保険適用) いつものお薬を続ける 2回目以降の方|再診 450円〜・最短翌日着料金と受診の流れを1分で確認できます
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
最新の投稿
コラム2026年7月21日とびひ(伝染性膿痂疹)の見分け方と治療|抗菌薬は「飲み切る」が原則
コラム2026年7月21日妊婦・授乳婦が使える薬 Vol.1|風邪・咳・発熱・頭痛・関節痛
コラム2026年7月20日赤ちゃんのかゆみを抑えるには?保湿・スキンケア・ステロイドの正しい使い方を医師が解説
お薬の知識2026年7月19日お薬の飲み忘れを防ぐ工夫|1日1回処方・一包化・スマホアプリ・忘れた時の対処を医師が解説






