高血圧の合剤「ザクラス(アジルサルタン+アムロジピン)」とは?1錠で2成分の効き方を医師が解説

ザクラスとは?効く病気・飲み方・注意点まとめ

高血圧で処方された『ザクラス』とはどんな薬ですか

ザクラスは、アジルサルタン(アジルバ)+アムロジピン(ノルバスク)の2成分が1錠に入った高血圧の合剤です。

系統が違う2種類の降圧薬を組み合わせることで、

強力に血圧を下げつつ、1錠で済むのが特徴です。

日本で承認されているザクラス配合錠はLD(アジルバ20mg+アムロジピン2.5mg)とHD(アジルバ20mg+アムロジピン5mg)の2種類

この記事では、PMDA公開の添付文書に基づき、薬の特徴をやさしくお伝えします。

「ザクラス」とは

ザクラスは、武田薬品工業が発売する高血圧治療用の配合剤です。中身は次の2成分。

  • アジルサルタン20mg(製品名:アジルバ)— ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
  • アムロジピン2.5mgまたは5mg(製品名:ノルバスク)— Ca拮抗薬

どちらも単独でよく使われる代表的な降圧薬を、1錠にまとめた合剤。降圧治療の中でも特に頻用される「ARB+Ca拮抗薬」の組み合わせです。

「ザクラス」の特徴

ザクラスの特徴は、異なるしくみの2剤で強力に血圧を下げること、そして1錠だから飲み忘れにくいことです。

2つの作用で血圧を下げる

血圧が下がる仕組みが違う薬を組み合わせると、お互いの効果が補い合って血圧をしっかり下げられます。

  • アジルサルタン(ARB):血圧を上げる物質「アンジオテンシンII」の働きをブロックして血管を広げる。腎臓も保護する
  • アムロジピン(Ca拮抗薬):血管平滑筋のカルシウム流入を抑えて血管を直接広げる

「血管を広げる」という目標は同じでも、違うルートからアプローチするので、単剤での効果が不十分なときに合剤が選ばれます。

合剤のメリット

  • 1錠で済む(毎朝の薬の数が減る)
  • 飲み忘れが減る
  • 薬の管理がラク(特に高齢者)
  • 同じ成分を2剤バラバラで飲むより薬剤費がやや安い
  • アドヒアランス(治療継続)が高まる

剤形の種類

  • ザクラス配合錠LD:アジルサルタン20mg+アムロジピン2.5mg(低用量)
  • ザクラス配合錠HD:アジルサルタン20mg+アムロジピン5mg(高用量)

効果を見ながら、LDで足りなければHDへ、と段階的に調整します。

効能・効果

ザクラスの承認された効能・効果は高血圧症です。

添付文書では、

  • アジルサルタン20mgとアムロジピン2.5mgまたは5mgで効果不十分な方
  • すでにこれら2剤を別々に飲んでいて、安定している方

が対象とされています。最初から合剤で治療を始めるのではなく、単剤で効果を確認してから切り替えるのが基本です。

有効性(臨床試験データ)

国内臨床試験では、ザクラスを高血圧患者に8週間投与した時、

  • LD群(20mg/2.5mg):収縮期血圧 平均 -21mmHg、拡張期血圧 平均 -12mmHg
  • HD群(20mg/5mg):収縮期血圧 平均 -25mmHg、拡張期血圧 平均 -14mmHg

と、しっかりした降圧効果が確認されました。アジルバ単剤・アムロジピン単剤と比べて10〜15mmHg多く下げられる結果になっています。

1日1回の服用で24時間安定した降圧が得られ、特に早朝の血圧上昇を抑える効果に優れているのが、ARBとCa拮抗薬の組み合わせの強みです。

用法・用量

添付文書に記載されている飲み方はシンプルです。

通常、成人に1日1回1錠を経口投与。LDまたはHDのいずれかを使用。

飲み方のポイント

  • 1日1回、毎日決まった時間に
  • 食前・食後どちらでもOK(食事の影響を受けない)
  • 朝の服用が一般的(24時間効くので就寝中も血圧を抑える)
  • 飲み始めや増量時はめまい・立ちくらみに注意
  • 血圧が下がりすぎたら医師に相談して用量調整

LDとHDの使い分け

  • LD(2.5mg):アムロジピン2.5mgで管理できていた方、軽症〜中等症
  • HD(5mg):アムロジピン5mgが必要だった方、より強い降圧が必要な方

使用できない方(禁忌)

  • 本剤の成分に過敏症の既往歴がある方
  • 妊婦・妊娠の可能性がある女性
  • アリスキレン(ラジレス)を投与中の糖尿病患者(一部例外あり)

使う前に特に注意が必要な方

  • 両側性腎動脈狭窄または片腎で腎動脈狭窄のある方
  • 高カリウム血症のある方
  • 重篤な腎機能障害のある方
  • 重篤な肝機能障害のある方
  • 脳血管障害のある方:過度の降圧で症状が悪化することがある
  • 高齢者:低用量から開始
  • 減塩療法中の方:初回投与で血圧が下がりすぎることがある
  • 授乳婦:動物実験で乳汁中への移行が報告

飲み合わせに注意が必要な薬

  • カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトン等)・カリウム補給剤:高カリウム血症のリスク
  • 他のARB・ACE阻害薬:腎機能障害・高カリウム血症のおそれ
  • NSAIDs(ロキソニン・ボルタレン等):降圧作用が弱まる、腎機能が悪化
  • リチウム製剤:血中濃度が上がる可能性
  • シンバスタチン(リポバス):アムロジピンと併用するとシンバスタチンの血中濃度が上昇
  • CYP3A4阻害剤(クラリスロマイシン等)・誘導剤(リファンピシン等):アムロジピンの効果に影響
  • グレープフルーツジュース:アムロジピンの血中濃度が上昇

副作用と発生頻度

アジルバとアムロジピン、それぞれの副作用が出る可能性があります。

主な副作用

  • めまい・立ちくらみ・ふらつき
  • 頭痛
  • むくみ(特に足のむくみ):アムロジピンの代表的副作用
  • ほてり・顔の紅潮
  • 動悸
  • 便秘
  • 肝機能の数値の異常
  • 血清カリウム値の上昇

注意したい重大な副作用

  • 血管浮腫(頻度不明):顔・舌・声門・喉頭が腫れる
  • ショック・失神・意識消失
  • 高カリウム血症
  • 急性腎障害
  • 肝機能障害・黄疸
  • 無顆粒球症・血小板減少
  • 横紋筋融解症
  • 間質性肺炎
  • スティーブンス・ジョンソン症候群

受診を考えたい症状

次のような症状があるときは、自己判断せず早めに受診してください。

  • 顔・唇・舌・のどの腫れ、呼吸困難(血管浮腫)→ すぐ救急受診
  • 立ちくらみが強い・気が遠くなる・失神(血圧が下がりすぎ)
  • 足のむくみが急に強くなった
  • 尿量の極端な減少(腎機能の悪化)
  • 手足のしびれ・脱力感(高カリウム血症)
  • 白目や肌が黄色っぽい(肝機能障害)
  • 発熱・のどの痛み・口内炎が続く(血液障害)

まとめ

ザクラスは、アジルサルタン(ARB)+アムロジピン(Ca拮抗薬)の合剤で、日本で頻用される降圧薬の組み合わせを1錠にまとめた薬です。1日1回の服用で24時間しっかりと血圧を抑えます。

単剤で血圧が下がりきらない方、すでに2剤を別々に飲んでいる方が対象。1錠にまとまることで飲み忘れが減り、薬剤費もやや安くなるのがメリットです。

重要なポイント

  • 1日1回1錠、毎日決まった時間に服用
  • 食前・食後どちらでもOK
  • 妊娠中は禁忌。妊娠の可能性がある方は事前に申告
  • 飲み始めや増量時はめまい・立ちくらみに注意
  • 足のむくみが気になったら医師に相談
  • NSAIDs(痛み止め)の併用は要注意
  • 定期的に血液検査(カリウム値・腎機能)を確認
  • 症状が出ない病気なので自己判断で中止しない

高血圧は症状が出ないまま進む病気で、放置すると脳卒中・心筋梗塞・腎臓病のリスクが上がります。長く飲み続けることが大切な治療なので、安定して内服を続けている方はオンライン診療での継続処方も活用してください。

参考文献・出典

  • PMDA(医薬品医療機器総合機構):ザクラス配合錠LD/HD 添付文書
  • 武田薬品工業株式会社:ザクラス配合錠 製品情報
  • KEGG MEDICUS:医療用医薬品 ザクラス
  • 日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン

よくある質問(Q&A)


ザクラスはアジルバ・ノルバスクと何が違うの?

中身は同じです。

  • アジルバ20mg(ARB)とノルバスク2.5mgまたは5mg(Ca拮抗薬)を別々に2錠飲む
  • ザクラス配合錠:上記2成分が1錠にまとまったもの

効き目は同じですが、1錠で済むのが最大のメリット。「朝の薬が多くて忘れがち」「2つの薬を管理するのが面倒」という方には合剤が向いています。一方で、片方の用量だけ細かく調整したい場合は別々に飲む方が便利です。


なぜARBとCa拮抗薬を組み合わせるの?

降圧薬は系統が違う薬を組み合わせると、お互いの欠点を補い、副作用も抑えやすいとされています。

  • ARB単独:腎臓を保護する効果はあるが、降圧効果は中等度
  • Ca拮抗薬単独:強力に血圧を下げるが、足のむくみが出やすい
  • 2剤併用:強い降圧効果+ARBによりむくみが軽減される

特に「ARB+Ca拮抗薬」の組み合わせは日本人の高血圧治療で最もよく使われる組み合わせとされ、ガイドラインでも推奨されています。


ザクラスの1か月の費用はいくらくらい?

薬価の目安:

  • ザクラスLD:約100円/錠
  • ザクラスHD:約120円/錠

1日1回服用なので:

  • 1か月(30日):約3,000〜3,600円(薬価ベース)
  • 3割負担で約900〜1,080円/月、1割負担で約300〜360円/月

アジルバ+アムロジピンを別々に飲むより数百円安くなります。ジェネリック合剤も増えてきており、さらに安くなる選択肢もあります。


効果はどれくらいで出る?

降圧効果は飲み始めて数日〜2週間で見え始め、4週間で安定します。1日1回の服用で24時間しっかり血圧を抑え続けてくれるのが特徴です。

家庭血圧計を持っている方は、毎朝起床後・就寝前に測って記録すると、効果や用量調整の参考になります。「収縮期130未満・拡張期85未満」が一般的な目標です。


足のむくみが出てきた。どうしたらいい?

アムロジピンの代表的な副作用です。Ca拮抗薬は末梢血管を広げるため、特に足首・すねにむくみが出やすくなります。

対処法:

  • 軽い場合はそのまま様子見(時間とともに慣れる方も)
  • 就寝前に足を高くして寝る
  • むくみが強い場合はHD→LDへの減量や別の合剤への切り替え
  • ARBには血管拡張に伴うむくみを抑える作用がある(合剤ならむくみが軽減する傾向)

急にむくみが強くなったり、息切れを伴うときは心不全の可能性もあるので、早めに受診してください。


妊娠中・授乳中は飲める?

妊娠中は禁忌です。ARBは妊娠中期・末期に胎児の腎不全・羊水過少症・頭蓋形成不全などのリスクがあると報告されており、妊娠初期にも胎児奇形のリスクが指摘されています。

妊娠の可能性がある方は事前に必ず申告してください。妊娠を計画する場合は、別系統の降圧薬(メチルドパなど)への切り替えを医師と相談します。

授乳中は、動物実験で乳汁中への移行が報告されているため、医師と相談のうえ判断します。


NSAIDs(ロキソニン)を一緒に飲んでも大丈夫?

NSAIDs(ロキソニン・ボルタレン・市販の鎮痛剤など)は、ザクラスとの併用に注意が必要です。

  • 降圧効果が弱まる可能性
  • 腎機能が悪化することがある(特に高齢者)

市販の頭痛薬・生理痛薬を毎日のように使う方は、必ず医師・薬剤師に伝えてください。痛み止めはアセトアミノフェン(カロナール)の方が併用しやすい場合もあります。


グレープフルーツを食べてもいい?

アムロジピンはグレープフルーツジュースで血中濃度が上がると報告されており、注意が必要です。ただし、一般的な食事範囲(小さい一切れ程度)であれば臨床上問題になることは少ないとされています。

毎日コップ1杯以上のグレープフルーツジュースを飲んだり、グレープフルーツそのものをよく食べる習慣がある方は、医師・薬剤師に相談してください。


飲み忘れたらどうすればいい?

気づいた時の状況により対応が変わります。

  • 気づいた時 → その日のうちに1回分を服用
  • 次の服用時間が近い → 1回分は飛ばして次から再開(2回分まとめてNG

2回分をまとめて飲むと血圧が下がりすぎる可能性があります。


血圧が落ち着いてきたら薬をやめてもいい?

高血圧は慢性的な体質的問題で、薬で下がっているのは「薬の効果」によるもの。自己判断で中止すると、数日〜数週間で血圧が元に戻ることがほとんどです。

ただし、減量や中止を検討できるケースもあります。たとえば:

  • 食事・運動・節酒・減塩などの生活習慣の改善がしっかりできている
  • 家庭血圧が安定して目標値以下を維持できている
  • 体重が大きく減った

といった条件が揃った場合は、医師と相談しながら徐々に減量を試みることがあります。急にやめると反動で血圧が跳ね上がることがあるため、必ず医師の指示のもとで調整してください。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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