神経障害性疼痛の薬「タリージェ(ミロガバリン)」とは?リリカとの違いと注意点を医師が解説

タリージェとは?効く症状・飲み方・注意点まとめ

神経の痛みで処方された『タリージェ』とはどんな薬ですか

タリージェは、ミロガバリンを有効成分とする神経障害性疼痛の治療薬で、しびれや「ピリピリ」「ジンジン」した神経の痛みに使われます。

リリカ(プレガバリン)と同じ仲間の薬ですが、

眠気・めまいの副作用がやや少ないとされ、リリカで合わなかった方の選択肢になります。

日本で承認されているタリージェ錠は2.5mg・5mg・10mg・15mgの4種類と、口腔内崩壊錠(OD錠)があります。

この記事では、PMDA公開の添付文書に基づき、薬の特徴をやさしくお伝えします。

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「タリージェ」とは

タリージェは、有効成分『ミロガバリンベシル酸塩』を含む神経障害性疼痛治療薬。第一三共が創製した日本発の薬で、2019年に承認されました。

分類はリリカと同じ「α2δリガンド」と呼ばれる薬で、神経の過剰な興奮を抑えて痛みを和らげます。リリカに次いで登場した「第2世代」のα2δリガンドという位置づけです。

適応は:

  • 末梢性神経障害性疼痛(2019年承認)
  • 中枢性神経障害性疼痛(2022年追加)

「タリージェ」の特徴

タリージェの特徴は、リリカと同じ作用機序でありつつ、副作用がやや少なめに設計されていることです。

リリカとの違い

α2δサブユニットには「α2δ-1」と「α2δ-2」という2つのタイプがあります。

  • α2δ-1:痛みの伝達に関わる
  • α2δ-2:眠気・ふらつきなどの中枢性副作用に関わる可能性

リリカは両方に同程度結合しますが、タリージェはα2δ-1への選択性が高い設計になっており、理論上は副作用が出にくいとされています。実際の臨床でも、リリカで眠気・ふらつきが強かった方がタリージェで楽になる例が報告されています。

こんな痛みに使われる

  • 帯状疱疹後の神経痛
  • 糖尿病の神経障害に伴うしびれ・痛み
  • 脊髄損傷後の痛み、脳卒中後の痛み
  • 頸椎症・腰椎症などによる神経痛
  • 手術後の神経損傷による痛み

剤形の種類

  • タリージェ錠 2.5mg / 5mg / 10mg / 15mg
  • タリージェOD錠 2.5mg / 5mg / 10mg / 15mg(水なしで飲める)

効能・効果

タリージェの承認された効能・効果は神経障害性疼痛です。

リリカと違い、線維筋痛症の適応はありません。一方で、リリカは2010年承認時に「末梢性」のみだったのに対し、タリージェは比較的早期から中枢性神経障害性疼痛(脊髄損傷後・脳卒中後等)も含めて承認されているのが特徴です。

有効性(臨床試験データ)

糖尿病性末梢神経障害での効果

国内の14週間プラセボ対照試験で、痛みのスコア(0〜10)の改善が、

  • プラセボ群:-1.31
  • タリージェ20mg/日群:-2.10(p=0.001)
  • タリージェ30mg/日群:-2.21(p<0.001)

と、プラセボより有意に痛みを軽減することが確認されました。

帯状疱疹後神経痛での効果

国内の14週間試験でも、タリージェ20mg/日・30mg/日群がプラセボ群と比較して有意に痛みを軽減(p<0.001)。

中枢性神経障害性疼痛での効果

脊髄損傷後の痛みを対象とした16週間試験で、タリージェ群がプラセボ群より有意に痛みを軽減。これによりリリカと並んで脊髄損傷後・脳卒中後痛にも使えるようになりました。

用法・用量

添付文書に記載されている飲み方は次のとおりです。

通常、成人にミロガバリンとして1回5mgを1日2回経口投与から開始。1週間以上の間隔をあけて1回用量として5mgずつ漸増し、1回15mg、1日2回まで増量できます。

  • 開始:1回5mg×1日2回(朝・夕)
  • 1週間後以降:1回10mg×1日2回
  • 維持量:1回15mg×1日2回(標準的な維持量)

腎機能が低下している方

タリージェも腎排泄なので、腎機能(eGFR/クレアチニンクリアランス)に応じた減量が必要です。

  • 中等度腎障害:1回2.5〜7.5mg×1日2回
  • 高度腎障害:1日1回2.5〜7.5mg(投与間隔の延長)

飲み方のポイント

  • 1日2回、毎日決まった時間に
  • 食前・食後どちらでもOK
  • 急に中止しない:1週間以上かけて段階的に減量
  • 運転・高所作業は注意(眠気・めまいの可能性)
  • 腎機能・年齢に応じて開始用量を調整

使用できない方(禁忌)

  • 本剤の成分に過敏症の既往歴がある方

使う前に特に注意が必要な方

  • 腎機能障害のある方:減量・投与間隔の調整が必要
  • 高齢者:転倒のリスクが高いので少量から
  • 妊婦・妊娠の可能性がある女性:有益性が危険性を上回る場合のみ
  • 授乳婦:動物実験で乳汁中への移行が報告
  • 心血管疾患(うっ血性心不全等)のある方:浮腫・心不全悪化のリスク

飲み合わせに注意が必要な薬

  • 中枢神経抑制薬(オピオイド・抗不安薬・睡眠薬等):眠気が強くなる
  • アルコール:眠気・ふらつきが増強
  • ロラゼパムなどベンゾジアゼピン

副作用と発生頻度

リリカと同様の副作用が出ることがありますが、頻度はやや低めの傾向があります。

1%以上の主な副作用

  • 傾眠(眠気)
  • 浮動性めまい
  • 体重増加・浮腫(むくみ)
  • 便秘
  • 霧視(ぼやけて見える)

注意したい重大な副作用

  • めまい・傾眠・意識消失(転倒事故の報告あり)
  • 心不全:心疾患のある方で発現することあり
  • 肝機能障害
  • スティーブンス・ジョンソン症候群(重症皮膚障害)
  • 間質性肺炎

受診を考えたい症状

次のような症状があるときは、自己判断せず早めに受診してください。

  • 意識が遠のく・転倒(特に高齢者)
  • 強い息切れ・むくみが急に悪化(心不全)
  • 尿量の極端な減少(腎機能の悪化)
  • 白目や肌が黄色っぽい(肝機能障害)
  • 全身に広がる発疹・水ぶくれ(重症皮膚障害)
  • 空咳・息切れ・発熱が続く(間質性肺炎)

まとめ

タリージェは、有効成分『ミロガバリン』を含む神経障害性疼痛の治療薬。第一三共が創製した日本発の薬で、リリカに続く第2世代のα2δリガンドです。

しくみはリリカと同じですが、α2δ-1への選択性が高い設計のため、理論上は眠気・めまいなどの副作用がやや少ないとされています。「リリカで眠気が強くて続けられなかった」という方への選択肢として活躍しています。

重要なポイント

  • 1日2回、毎日決まった時間に服用
  • 5mg×2回から開始 → 1週間以上で段階的に増量、最大15mg×2回
  • 運転は慎重に(眠気・めまいに注意)
  • 急にやめない(1週間以上かけて段階的に)
  • 腎機能が悪い方・高齢者は少量から
  • 体重増加・むくみに注意
  • 対症療法なので痛みの原因疾患の治療も並行

神経の痛みは長く続くことが多いですが、適切な薬と生活管理で和らげられます。安定して内服を続けている方は、オンライン診療での継続処方も活用できます。

参考文献・出典

  • PMDA(医薬品医療機器総合機構):タリージェ錠/OD錠 添付文書
  • 第一三共株式会社:タリージェ錠 製品情報
  • KEGG MEDICUS:医療用医薬品 タリージェ
  • 日本ペインクリニック学会:神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン

よくある質問(Q&A)


タリージェとリリカ、どっちがいいの?

同じα2δリガンドですが、特徴に違いがあります。

  • リリカ(プレガバリン):2010年承認、線維筋痛症にも使える、ジェネリックあり(安い)
  • タリージェ(ミロガバリン):2019年承認、α2δ-1選択性が高く眠気・ふらつきが少なめ、ジェネリックなし(高め)

「リリカで眠気が強くて生活に支障」「リリカで効果が今ひとつ」という方にタリージェへの切り替えが行われます。逆に、線維筋痛症はタリージェの適応外なのでリリカを使います。費用優先ならリリカジェネリックが有利です。


タリージェの1か月の費用はいくらくらい?

薬価の目安:

  • 2.5mg:約46円/錠
  • 5mg:約70円/錠
  • 10mg:約115円/錠
  • 15mg:約170円/錠

標準的な維持量1回15mg×2回/日(=30mg/日)の場合:

  • 1日:約340円
  • 1か月(30日):約10,200円(薬価ベース)
  • 3割負担で約3,060円/月、1割負担で約1,020円/月

※診察料は別途。リリカのジェネリックと比べると割高な薬です。


効果はどれくらいで出る?

飲み始めて1〜2週間で痛みの軽減を実感する方が多いです。臨床試験では、14週間継続でしっかりとした痛みの改善が確認されました。

注意点として、最初の1〜2週間は眠気・めまいなどの副作用が出やすい時期。逆に、これを乗り越えると体が薬に慣れて副作用も軽くなります。「効くまで・慣れるまで」を医師と相談しながら焦らず増量するのがコツです。


運転や仕事に影響は?

リリカと比べると眠気・めまいは出にくいとされていますが、添付文書では「眠気・めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には注意する」と注意喚起されています。

仕事で運転が必須な方は、医師と相談して:

  • 少量からゆっくり増やして眠気を確認
  • 夜に多めに飲む(日中の眠気を減らす)
  • 体が慣れるまで運転を控える

などの工夫が必要です。


妊娠中・授乳中は飲める?

妊娠中は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ」投与されます。動物実験でデータが限られているため、原則として避けます。

授乳中は、動物実験で乳汁中への移行が報告されているため、授乳の継続または中止を医師と相談します。妊娠を計画する方は別の薬への切り替えを医師と相談してください。


高齢者でも使える?

使えますが、転倒・骨折のリスクが高いため少量から始めます。腎機能も落ちていることが多いので、用量・投与間隔の調整が必要です。

  • 2.5〜5mg×1日2回程度から開始
  • 腎機能(eGFR)を確認して維持量を決定
  • 家族にも副作用について知ってもらう
  • 夜間の転倒対策(手すり・足元の照明など)

飲み忘れたらどうすればいい?

気づいた時の状況により対応が変わります。

  • 気づいた時 → その回の分を飲む
  • 次の服用時間が近い → 1回分は飛ばして次から再開(2回分まとめてNG

やめたい時はどうすればいい?

絶対に自己判断で急に中止しないでください。リリカと同様、急に止めると不眠・悪心・頭痛・不安などの離脱症状が出ることがあります。

中止する場合は必ず医師の指示のもと、1週間以上かけて段階的に減量します。痛みが落ち着いて減量を考える時も、必ず受診して相談してください。


体重が増えてきました。どうしたらいい?

リリカと同様、タリージェでも体重増加は副作用として知られています。原因はむくみ・食欲の変化・代謝の変化が組み合わさっていると考えられます。

対策:

  • 定期的な体重・むくみのチェック
  • 食事・運動の見直し
  • 急なむくみが出たら早めに受診(心不全の可能性)
  • 用量調整や別の薬への切り替えを医師と相談

お酒は飲んでもいい?

添付文書ではアルコールとの併用注意があります。アルコールと一緒に飲むと眠気・ふらつきが強く出ます

タリージェ服用中は、飲酒量を控えめにし、飲酒した日は服用後に長く起きていない、車を運転しないなどの配慮が必要です。「薬を飲んだ日のお酒は控える」が安全です。

\ 来院不要・スマホで完結 /

このお薬の相談は、オンライン診療で

スマホで診察を受ける 初めての方|初診 1,000円〜(保険適用) いつものお薬を続ける 2回目以降の方|再診 450円〜・最短翌日着

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この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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