痛風・高尿酸血症の薬「ユリス(ドチヌラド)」とは?尿酸を尿から出すしくみと注意点を医師が解説
ユリスとは?効く病気・飲み方・注意点まとめ

痛風や尿酸値が高いと言われて処方された『ユリス』とはどんな薬ですか

ユリスは、ドチヌラドを有効成分とする選択的尿酸再吸収阻害薬で、痛風や高尿酸血症の治療に使われる薬です。
体内で作られた尿酸が腎臓で「再吸収」されてしまうのを抑え、
尿酸を尿からしっかり外に出すことで血中尿酸値を下げます。
日本で承認されているユリス錠は0.5mg・1mg・2mgの3種類で、1日1回の服用が基本。2020年に登場した比較的新しい薬です。
この記事では、PMDA公開の添付文書(2024年12月改訂・第6版)に基づき、薬の特徴をやさしくお伝えします。
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目次
「ユリス」とは
ユリスは、有効成分『ドチヌラド』を含む痛風・高尿酸血症の治療薬です。2020年に日本で承認された比較的新しい薬で、製造販売は富士薬品株式会社(販売は持田製薬)です。
尿酸を下げる薬には大きく分けて2タイプあります。
- 尿酸を「作らせない」薬:アロプリノール(ザイロリック)、フェブリク(フェブキソスタット)など
- 尿酸を「尿から出す」薬:ベンズブロマロン(ユリノーム)、ユリス(ドチヌラド)など
ユリスは後者の「尿酸を尿から出すタイプ」。古くから使われているベンズブロマロンより選択性が高く、肝障害のリスクが少ないと期待されている新しい尿酸排泄促進薬です。
「ユリス」の特徴
ユリスの大きな特徴は、1日1回でOK、そして尿酸を尿に逃がす働きをピンポイントで抑えることです。
尿酸を「尿から出す」しくみ
体内で作られた尿酸は、腎臓でいったん尿に出されますが、その後「URAT1」というトランスポーターを介してまた血液中に戻されてしまいます(再吸収)。痛風や高尿酸血症の方は、この再吸収が強すぎたり尿への排泄が弱かったりすることが多いです。
ユリスはこのURAT1を選択的にブロックすることで、尿酸が再吸収されずに尿の中に出ていくようにします。結果として血中尿酸値が下がるしくみです。
フェブリクやアロプリノールとの違い
- フェブリク・アロプリノール:尿酸の「生成」を抑える(プリン体から尿酸が作られる過程をブロック)
- ユリス:尿酸の「再吸収」を抑える(作られた尿酸を尿から出す)
痛風の方は「尿酸排泄低下型」が多いとされており、その場合はユリスのような排泄促進薬が理にかなっています。一方で、尿酸が過剰に作られている「産生過剰型」の方には、フェブリクやアロプリノールの方が向いていることもあります。どちらが適しているかは血液検査・尿検査で判断されます。
剤形の種類
- ユリス錠0.5mg:飲み始めの少量スタートに
- ユリス錠1mg:増量段階
- ユリス錠2mg:標準的な維持量
効能・効果
ユリスの承認された効能・効果は痛風、高尿酸血症です。
添付文書では「病型、最新の治療指針等を参考に患者を選択すること」と定められています。特に尿酸排泄低下型の方への使用が適しているとされています。なお、尿酸産生過剰型の方は臨床試験から除外されており、効果が確認されていません。
有効性(臨床試験データ)
痛風を含む高尿酸血症患者を対象とした国内第III相試験で、既存薬と比較して同等以上の効果が確認されています。
ベンズブロマロンとの比較(14週時)
- ユリス2mg/日:血清尿酸値低下率 -45.92%/6.0mg/dL以下達成率 86.27%
- ベンズブロマロン50mg/日:尿酸値低下率 -43.87%/達成率 83.67%
フェブキソスタット(フェブリク)との比較(14週時)
- ユリス2mg/日:尿酸値低下率 -41.82%/達成率 84.8%
- フェブキソスタット40mg/日:尿酸値低下率 -44.00%/達成率 88.0%
どちらの試験でも非劣性が示されており、既存の主要薬と同等の血清尿酸値低下効果が確認されています。
長期投与(34週〜58週)
- ユリス2mg/日:34週で 6.0mg/dL以下達成率 89.11%、58週で 91.30%
- 2mg/日で十分下がらない場合の4mg/日:34週 達成率 97.50%、58週 100%
長期にわたり9割以上の方が目標値を達成・維持できていることが分かります。
用法・用量
添付文書に記載されている飲み方は次のとおりです。
通常、成人にはドチヌラドとして1日0.5mgから開始し、1日1回経口投与。血中尿酸値を確認しながら必要に応じて段階的に増量します。維持量は通常1日1回2mg、最大投与量は1日1回4mg。
段階的な増量スケジュール
- 飲み始め:0.5mg/日
- 2週間後から:1mg/日
- 6週間後から:2mg/日(標準的な維持量)
- 効果が不十分なら:4mg/日まで(最大)
なぜ少しずつ増やすのか
尿酸降下薬を始めた直後は血中尿酸値が急に下がることで、関節にたまっていた尿酸結晶が動き出し、痛風発作(痛風関節炎)が誘発されやすいのは他の尿酸降下薬と同じ。少量からゆっくり下げることで、こうした発作を抑えやすくなります。
飲み方のポイント
- 1日1回、毎日決まった時間に服用
- 食前・食後どちらでもOK
- 水分をしっかり摂って尿量を増やす(尿路結石のリスク軽減)
- 痛風発作中は新規開始しない/服用中の発作は用量を変えずに対症療法
- 定期的に血液検査(尿酸値・肝機能)をチェック
特に気をつけたい「尿路結石」
ユリスは尿に出る尿酸の量を増やす薬なので、特に飲み始めの時期に尿路結石ができやすくなります。尿酸はもともと結晶になりやすい物質で、尿が酸性だとさらに結石ができやすくなる性質があります。
結石を防ぐためには:
- 1日2L以上の水分摂取を心がける
- 必要に応じて尿のアルカリ化薬(ウラリット、重曹等)が併用されることも
- 過去に尿路結石を起こした方は原則使えません(治療上やむを得ない場合を除く)
背中や脇腹に強い痛み・血尿が出た場合は、すぐに受診してください。
使用できない方(禁忌)
- 本剤の成分に過敏症の既往歴がある方
意外と禁忌は1つだけですが、次の方は慎重に投与される必要があります(実質的には避けるべき方)。
使う前に特に注意が必要な方
- 尿路結石を伴う方・既往のある方:原則として投与を避ける
- 重度の腎機能障害(eGFR 30未満)がある方:効果が減弱する可能性あり、別の薬が推奨
- 肝機能障害がある方:定期的な肝機能検査を
- 妊婦・妊娠の可能性のある女性:有益性が危険性を上回る場合のみ
- 授乳婦:動物実験で乳汁中への移行が報告
飲み合わせに注意が必要な薬
添付文書で併用注意とされている主な薬:
- ピラジナミド(結核治療薬):本剤の効果が弱まる可能性
- サリチル酸製剤(アスピリン等):本剤の効果が弱まる可能性。バイアスピリン100mgなどの低用量アスピリンも該当
市販薬の鎮痛剤(アスピリンを含むもの)にも注意。他に飲んでいる薬・市販薬は必ず医師・薬剤師に伝えてください。
副作用と発生頻度
5%以上で報告されているのは:
- 痛風関節炎(痛風発作):尿酸値が動くタイミングで起きやすい
1〜5%未満では関節炎・四肢不快感、1%未満では軟便・関節痛・γ-GTP増加・腎結石・腎石灰沈着症、頻度不明では下痢・悪心・AST/ALT増加・発疹・倦怠感などが報告されています。
長期投与試験では、飲み始めや増量直後に痛風関節炎の発現率が少し上がる傾向がありますが、用量を維持していると徐々に治まっていきます。
受診を考えたい症状
服用中に次のような症状があるときは、自己判断せず、早めに受診してください。
- 背中・脇腹の激しい痛み・血尿(尿路結石のサイン)
- 関節の痛み・腫れがいつもと違って強い、なかなか引かない
- 白目や肌が黄色っぽい、尿の色が濃いなど、肝機能障害を疑うサイン
- 全身に広がる発疹・かゆみ
- むくみが急に強くなった、尿量が極端に減った(腎障害のサイン)
まとめ
ユリスは、有効成分『ドチヌラド』を含む選択的尿酸再吸収阻害薬です。1日1回の服用で、尿酸を尿の中に逃がすことで血清尿酸値を下げます。
2020年に登場した比較的新しい薬で、既存のフェブリク・ベンズブロマロンと同等以上の効果が確認されているのが強み。特に「尿酸排泄低下型」の方に適しています。
一方で、尿路結石のリスクがあるのは尿酸排泄促進薬の宿命。水分をしっかり摂る・尿アルカリ化を意識する、過去の結石歴がある方は別の薬を選ぶ、といった配慮が大切です。
重要なポイント
- 0.5mgから始めて、2週後1mg、6週後2mgへと段階的に増量
- 1日1回、毎日決まった時間に服用
- 1日2L以上の水分摂取で尿路結石を予防
- 過去に尿路結石を起こした方は別の薬が推奨
- 痛風発作中は新規開始しない/発作中も自己判断で中止しない
- 定期的に肝機能・尿酸値の血液検査を
- アスピリン・市販の鎮痛剤との併用に注意
痛風・高尿酸血症は長く続ける治療が基本です。生活習慣の見直し(節酒、プリン体・砂糖を控える、体重管理)と一緒に薬物療法を続けていきましょう。安定して内服を続けている方は、オンライン診療での継続処方も活用できます。
参考文献・出典
- PMDA(医薬品医療機器総合機構):ユリス錠0.5mg/1mg/2mg 添付文書(2024年12月改訂・第6版)
- 富士薬品株式会社/持田製薬株式会社:ユリス錠 製品情報
- KEGG MEDICUS:医療用医薬品 ユリス(JAPIC code: 00068466)
- 日本痛風・尿酸核酸学会:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン
よくある質問(Q&A)
-
ユリスはフェブリクやアロプリノールと何が違うの?
-
どれも痛風・高尿酸血症の治療薬ですが、働き方が違います。
- フェブリク・アロプリノール:尿酸を「作らせない」薬(生成抑制)
- ユリス・ベンズブロマロン:尿酸を「尿から出す」薬(排泄促進)
どちらを使うかは「あなたが尿酸を作りすぎているタイプか、尿に出せていないタイプか」で決まります。日本人の痛風患者には排泄低下型が多いとされ、ユリスのような排泄促進薬が合うことが多いです。臨床試験でも、ユリス2mg/日はフェブリク40mg/日と同等の効果が確認されています。
古くからの排泄促進薬「ベンズブロマロン」と比べると、ユリスは肝障害リスクが低めで、より選択性の高い設計になっています。
-
ユリスはいつから使われている薬?
-
ユリスは、
- 2020年1月23日:日本で痛風・高尿酸血症の薬として製造販売承認
- 2024年12月:添付文書 第6版改訂
富士薬品が創製した日本発の新薬で、販売は持田製薬。比較的新しい薬ですが、4年以上の使用実績があります。
-
ユリスの1か月の費用はいくらくらい?
-
ユリス錠の薬価は次のとおりです(2024年時点)。
- 0.5mg:23.2円/錠
- 1mg:42.4円/錠
- 2mg:75.6円/錠
標準的な維持量の2mg×1日1回の場合の目安:
- 1日:75.6円
- 1か月(30日):約2,268円(薬価ベース)
- 3割負担なら約680円/月、1割負担なら約230円/月
※診察料・処方料・血液検査代は別途。フェブリクと比べるとやや高めの設定です。
-
効果はどれくらいで出る?
-
ユリスは服用後3時間ほどで血中濃度がピークに達し、半減期は約9〜11時間。1日1回の服用で4日後には血中濃度が安定します。
血清尿酸値の低下は数日〜数週間で見え始め、添付文書の臨床試験データでは、
- 2mg/日:14週時点で 84.8%の方が6.0mg/dL以下を達成
- 2mg/日:34週時点で 89.11%が達成
- 4mg/日:34週時点で 97.50%が達成
と、用量と期間に応じてしっかり下がります。「自覚症状がない病気の薬」なので、効果はあくまで採血の数値で確認していくことになります。
-
飲み始めに痛風発作が出やすいの?
-
本当です。これはユリスに限らずすべての尿酸降下薬に共通の現象です。血中尿酸値が急に下がると、関節にたまっていた尿酸結晶が動き出して痛風発作(痛風関節炎)が誘発されやすくなります。
このため、添付文書では段階的な増量が推奨されています。
- 開始:0.5mg/日
- 2週後以降:1mg/日
- 6週後以降:2mg/日
もし服用中に発作が起きた場合は、用量を変えずに服用を続け、コルヒチン・NSAIDs・ステロイドなどで痛みと炎症を抑えるのが基本。自己判断で中断すると尿酸値が再び上がり、かえって発作が長引くことがあります。
-
尿路結石が心配です。予防はできる?
-
ユリスは尿酸を尿に出す薬なので、尿の中の尿酸濃度が一時的に上がることで尿路結石ができやすくなります。これを防ぐためには:
- 1日2L以上の水分摂取(こまめに水を飲む)
- 必要に応じて尿のアルカリ化薬(ウラリットなど)を併用
- 動物性たんぱく質・プリン体を控えめに
- 過剰なビタミンCサプリは避ける
過去に尿路結石を起こしたことがある方は、ユリスではなく尿酸生成抑制薬(フェブリク・アロプリノール)の方が安全です。背中や脇腹に強い痛み・血尿が出たら、すぐに受診してください。
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妊娠中・授乳中は飲める?
-
妊婦・妊娠の可能性のある女性については、添付文書で
「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」
と定められています。動物実験で骨格変異が報告されているため、妊娠中・妊娠の可能性がある方は必ず医師に申告してください。
授乳婦については、動物実験で乳汁中への移行が報告されているため、授乳の継続または中止を医師と相談のうえ判断します。
-
腎機能や肝機能が悪いけど使える?
-
重度の腎機能障害(eGFRが30未満)の方では、ユリスは効果が弱まる可能性があります。腎臓で作用する薬なので、腎機能が落ちていると本来の効きが出にくいためです。この場合は他の薬(フェブリク等)が推奨されます。
肝機能障害がある方には慎重に使用します。同じ尿酸排泄促進薬「ベンズブロマロン」では重い肝障害が報告されており、ユリスでも定期的な肝機能検査が必要です。
-
飲み忘れたらどうすればいい?
-
気づいた時の状況により対応が変わります。
- 気づいた時 → その日のうちに1回分服用
- 次の服用時間が近い → 1回分は飛ばして次から再開(2回分まとめてNG)
2回分まとめて飲むと尿中尿酸濃度が急に上がり、尿路結石のリスクが高まります。判断に迷うときは医師・薬剤師に相談してください。
-
お酒は飲んでもいい?
-
添付文書上、アルコールはユリスの併用禁忌にはなっていません。ただしアルコール自体が尿酸値を上げる作用を持っているため、痛風・高尿酸血症の治療中は飲酒量を控えることが大切です。
特に注意したいのは:
- ビール → プリン体が多く、尿酸を上げやすい代表選手
- 蒸留酒(ウイスキー・焼酎等)も油断しない → アルコール代謝で尿酸が増える
- 飲酒は脱水を招き、尿路結石のリスクも高める
「薬を飲んでいるから安心」と過信せず、生活習慣の見直しと一緒に治療を続けるのが基本です。
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この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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