痛風・高尿酸血症の薬「フェブリク」とは?尿酸を作らせない仕組みと飲み方を医師が解説
フェブリクとは?効く病気・飲み方・注意点まとめ

痛風や尿酸値が高いと言われて処方された『フェブリク』とはどんな薬ですか

フェブリクは、フェブキソスタットを有効成分とする尿酸を作らせないタイプの薬で、痛風や高尿酸血症の治療に使われます。
体内で尿酸が作られるときに働く「キサンチンオキシダーゼ」という酵素をピンポイントで抑えることで、
血液中の尿酸値を下げる作用があります。
日本で承認されているフェブリク錠は10mg・20mg・40mgの3種類で、1日1回の服用が基本。
この記事では、PMDA公開の添付文書(2024年9月改訂・第6版)に基づき、薬の特徴をやさしくお伝えします。
目次
「フェブリク」とは
フェブリクは、有効成分『フェブキソスタット』を含む高尿酸血症・痛風の治療薬です。2011年に承認された比較的新しい薬で、製造販売は帝人ファーマ株式会社です。
長く使われてきた『アロプリノール(ザイロリック)』と同じく、体の中で尿酸が作られる過程を抑えるタイプの薬。ただしフェブリクはアロプリノールとは違う構造で、尿酸を作る酵素だけをピンポイントで抑えるのが特徴です。
軽度〜中等度の腎機能の低下があっても投与量の細かい調整なしで使いやすく、現在では痛風・高尿酸血症の処方頻度の高い薬になっています。
「フェブリク」の特徴
フェブリクの大きな特徴は、1日1回飲めばOK、そして尿酸を作る酵素を強くピンポイントで抑えることです。
尿酸を「作らせない」しくみ
体の中で尿酸は、食事から取り込んだ『プリン体』をキサンチンオキシダーゼという酵素が分解することで作られます。フェブリクはこの酵素にしっかりはまり込んで、尿酸そのものが体内で作られにくくなるよう働きかけます。
似たような働きのアロプリノールと比べて、フェブリクは「尿酸を作る酵素だけ」を選んで抑える性質が強く、関係のない他の代謝への影響が少ない設計になっています。
剤形の種類
- フェブリク錠10mg:飲み始めの少量スタートに
- フェブリク錠20mg:増量の途中段階で
- フェブリク錠40mg:標準的な維持量
食事の影響を受けにくく、食前・食後どちらでも飲めます。大事なのは「毎日同じ時間に飲む」ことです。
効能・効果
フェブリクの承認された効能・効果は次の2つです。
- 痛風、高尿酸血症
- がん化学療法に伴う高尿酸血症
外来で一番よく使われるのは「痛風・高尿酸血症」のケース。痛風発作を起こしたことがある方、健康診断で尿酸値が高いと言われた方が対象です。生活習慣の見直し(食事・運動・節酒)と組み合わせて使うのが基本です。
有効性(臨床試験データ)
承認時の国内臨床試験では、しっかりと尿酸値を下げる効果が確認されています。痛風や高尿酸血症の治療では、血清尿酸値を6.0mg/dL以下まで下げることが一つの目安です。
尿酸値が「6.0mg/dL以下」になった人の割合
プラセボ(偽薬)を含む比較試験を16週続けた結果:
- プラセボ:2.6%(ほぼ下がらず)
- 20mg/日:46.5%
- 40mg/日:82.9%
- 60mg/日:83.3%
40mg/日が「標準的な維持量」として広く使われているのは、このデータから40mgあれば多くの人で目標達成できると分かるからです。
アロプリノールとの比較
長年使われてきたアロプリノール(200mg/日)と比べた8週時点のデータでは、
- フェブリク40mg/日:尿酸値の下がり方 約-41.5%、6.0mg/dL以下達成 82.0%
- アロプリノール200mg/日:尿酸値の下がり方 約-35.2%、6.0mg/dL以下達成 70.0%
と、フェブリク40mgはアロプリノール200mgと同等以上の効果が確認されています。
長く飲み続けても効くの?
52週(約1年)の長期投与試験でも、目標達成率は維持されています。
- 40mg/日群:86.4%
- 60mg/日群:87.5%
飲み始めから3日ほどで体内の薬の濃度が安定し、その後は1日1回飲み続けることで効果がしっかり続きます。
用法・用量
フェブリクの基本的な飲み方は、1日1回、毎日決まった時間に1錠を服用するだけ。
ただし、急に強く尿酸を下げると痛風発作が出やすくなるため、添付文書では少量から段階的に増やすスケジュールが定められています。
- 飲み始め:10mg/日
- 2週間後から:20mg/日
- 6週間後から:40mg/日(標準的な維持量)
- 必要に応じて:60mg/日(最大量)
なぜ少しずつ増やすのか
関節に結晶としてたまっている尿酸が、薬で血中の尿酸値が急に下がると動き出して炎症を起こすことがあるためです。これが「治療開始期の痛風発作」の原因。少量からゆっくり下げることで、こうした発作を抑えやすくなります。
飲み方のポイント
- 1日1回、毎日決まった時間に飲む
- 食前・食後どちらでもOK
- 痛風発作(関節の強い痛み・腫れ)が起きている時は、その発作中にフェブリクを新しく開始しない
- 服用中に発作が起きた場合は、用量を変えずに続けて飲み、コルヒチン・NSAIDs・ステロイドなどで対症療法
- 定期的に血液検査で尿酸値・肝機能をチェック
使用できない方(禁忌)
添付文書では、以下の方には投与しないことと定められています。
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある方
- メルカプトプリン(ロイケリン)またはアザチオプリン(イムラン、アザニン)を服用中の方
メルカプトプリンやアザチオプリンは、白血病・自己免疫疾患・臓器移植後などで使われる薬。フェブリクと同じ酵素で代謝されるため、一緒に飲むとこれらの薬の効果が強くなりすぎて、骨髄抑制などの副作用が出やすくなります。
使う前に特に注意が必要な方
禁忌ではなくても、以下の方は注意して使う必要があります。
- 重度の腎機能障害がある方:臨床試験データが限られているため慎重に
- 肝機能障害がある方:同じく臨床試験データが限られているため慎重に
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性:有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ
- 授乳中の方:動物実験で母乳への移行が認められているため、医師と相談
- 高齢者:状態を観察しながら慎重に
- 心臓・血管の病気がある方:海外試験で心血管死リスクが高かったとの報告あり(後述)
服用中は定期的な血液検査(肝機能・尿酸値)と、甲状腺関連の所見の確認が必要とされています。
飲み合わせに注意が必要な薬
併用禁忌は、上に書いたメルカプトプリン・アザチオプリン。それ以外で、併用に注意が必要な代表的な薬は次のとおりです。
- ビダラビン(抗ウイルス薬):副作用が強くなる可能性
- ジダノシン(抗HIV薬):血中濃度が上がる可能性
- ロスバスタチン(脂質異常症のスタチン):ロスバスタチンの血中濃度が上がるおそれ
他に飲んでいる薬・市販薬・サプリメントがある場合は、必ず医師・薬剤師に伝えてください。
副作用と発生頻度
添付文書に記載されているフェブリクの副作用で、比較的多いのは次のものです。
1〜5%未満
- 肝機能の数値の異常(AST・ALT・γ-GTPなどが上がる)
- 関節痛(痛風発作を含む)
1%未満では、下痢・腹部の不快感・吐き気、発疹・かゆみ、しびれ・めまい・眠気、心電図異常、倦怠感などが報告されています。
飲み始めや増量直後は、薬で尿酸値が動くタイミングなので、痛風発作の発現率が用量に応じて少し上がることが分かっています(20mg/日で約2.5%、40mg/日で約7.5%、60mg/日で約8.8%)。
注意したい重大な副作用
- 肝機能障害(頻度不明):AST・ALTなどが大きく上がる
- 過敏症(頻度不明):全身に広がる発疹など
また、海外で行われた心血管疾患のある痛風患者を対象にした試験では、アロプリノールと比べて心血管死がやや多かったとの報告があります。心臓・血管の病気がある方は、事前に必ず医師に伝えてください。
受診を考えたい症状
服用中に次のような症状があるときは、自己判断せず、早めに受診してください。
- 白目や肌が黄色っぽい、尿の色が濃いなど、肝機能障害を疑うサイン
- 全身に広がる発疹・蕁麻疹、粘膜にも症状が出る
- 胸の痛み・強い動悸・息切れなど、心臓・血管の症状
- 関節の痛み・腫れがいつもと違って強く、なかなか引かない
- 四肢のしびれ・脱力感が続く
まとめ
フェブリクは、有効成分『フェブキソスタット』を含む尿酸を作らせないタイプの薬です。1日1回の服用で、痛風や高尿酸血症の方の尿酸値を下げます。
少量から始めて段階的に増やすことで、治療開始期の痛風発作(痛風関節炎)の誘発を抑えるのがポイント。発作中の新規開始は避け、服用中に発作が起きたときは用量を変えずに飲み続けながら、痛み止めで対症療法を行います。
重要なポイント
- 10mgから始めて、2週後20mg、6週後40mgへと段階的に増量
- 1日1回、毎日決まった時間に服用
- 痛風発作中に新規開始しない/発作中も自己判断で中止しない
- メルカプトプリン・アザチオプリンとの併用は禁忌
- 定期的に肝機能・尿酸値の血液検査を
- 心臓・血管の病気がある方は事前に医師へ申告
尿酸値が高いと言われた方、痛風発作を起こしたことがある方は、生活習慣の見直しと一緒に医師と相談して治療を考えていきましょう。安定して内服を続けている方なら、オンライン診療で継続処方の相談もできます。
参考文献・出典
- PMDA(医薬品医療機器総合機構):フェブリク錠10mg/20mg/40mg 添付文書(2024年9月改訂・第6版)
- 帝人ファーマ株式会社:フェブリク錠 医薬品インタビューフォーム(2022年11月改訂・第10版)
- KEGG MEDICUS:医療用医薬品 フェブリク(JAPIC code: 00059341)
- くすりのしおり:フェブリク錠10mg[痛風・高尿酸血症]
よくある質問(Q&A)
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フェブリクはアロプリノール(ザイロリック)と何が違うの?
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どちらも尿酸を作る酵素を抑える薬ですが、いくつか違いがあります。
- 構造:アロプリノール → プリン骨格/フェブリク → 非プリン型
- 選択性:フェブリクは"尿酸を作る酵素だけ"を選んで抑える
- 用量調整:フェブリクは1日1回、軽度〜中等度の腎機能低下でも調整が少なくて済む
- 効果の比較試験:フェブリク40mg/日 ≧ アロプリノール200mg/日(同等以上)
一方で、海外試験では心臓・血管の病気がある方ではフェブリクの方が心血管死リスクがやや高かったとの報告もあり、その場合はアロプリノールが選ばれることもあります。どちらを使うかは医師と相談して決めます。
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フェブリクはいつから使われている薬?
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日本では、
- 2011年1月:痛風・高尿酸血症の薬として承認
- その後、がん化学療法に伴う高尿酸血症の効能が追加
- 2023年6月:小児用量が追加承認
- 2024年9月:添付文書 第6版改訂
製造販売は帝人ファーマ株式会社。10年以上の使用実績があります。
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フェブリクの1か月の費用はいくらくらい?
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フェブリク錠の薬価は次のとおりです(2024年時点)。
- 10mg:14.2円/錠
- 20mg:27.7円/錠
- 40mg:48.8円/錠
維持量の1日40mg(40mg錠×1)の目安:
- 1日:48.8円(薬価ベース)
- 1か月(30日):約1,464円
- 3割負担なら約440円/月、1割負担なら約150円/月
※診察料・処方料は別途。10mg・20mgで増量中の方はもう少し安くなります。
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効果はどれくらいで出る?
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血清尿酸値そのものは、服用開始から数日〜数週間で下がり始めます。1日1回の服用で3日後には血中濃度が安定するため、効果も比較的早く現れます。
添付文書の臨床試験データでは、
- 20mg/日:16週時点で 46.5%の方が6.0mg/dL以下を達成
- 40mg/日:16週時点で 82.9%が達成
- 40mg/日:52週時点でも 86.4%が維持
と、用量と期間に応じてしっかり下がり、長期にわたり効果が続くことが確認されています。
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飲み始めに痛風発作が出やすいって本当?
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本当です。尿酸降下薬を始めた直後は血中尿酸値が急に下がることで、関節にたまっていた尿酸結晶が動き出し、痛風発作が誘発されやすくなります。
このため、添付文書では段階的な増量が推奨されています。
- 開始:10mg/日
- 2週後以降:20mg/日
- 6週後以降:40mg/日
もし服用中に発作が起きた場合は、用量を変えずに服用を続け、コルヒチン・NSAIDs・ステロイドなどで痛みと炎症を抑えるのが基本。自己判断で中断すると尿酸値が再び上がり、かえって発作が長引くことがあります。
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妊娠中・授乳中は飲める?
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妊婦または妊娠している可能性のある女性については、添付文書で
「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」
と定められています。妊娠中・妊娠の可能性がある方は必ず医師に申告してください。
授乳婦については、動物実験で母乳への移行が報告されているため、授乳の継続または中止を医師と相談のうえ判断します。
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腎機能や肝機能が悪い方でも使える?
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軽度〜中等度の腎機能障害がある方では、フェブリクは比較的使いやすい薬です。一方、重度の腎機能障害や肝機能障害がある方を対象とした臨床試験は実施されておらず、添付文書では慎重に投与すべき患者として記載されています。
服用中は定期的な肝機能検査が推奨されており、AST・ALTの上昇が見られた場合は減量や中止が検討されます。
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飲み忘れたらどうすればいい?
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気づいた時の状況により対応が変わります。
- 気づいた時 → その日のうちに1回分服用
- 次の服用時間が近い → 1回分は飛ばし、次の服用から再開(2回分まとめてNG)
2回分を一度に飲むと、副作用が出やすくなる可能性があります。判断に迷うときは医師・薬剤師に相談してください。
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お酒は飲んでもいい?
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添付文書上、アルコールはフェブリクの併用禁忌にはなっていません。ただしアルコール自体が尿酸値を上げる働きを持っているため、痛風・高尿酸血症の治療中は飲酒量を控えることが大切です。
特にビールはプリン体が多く、さらにアルコール代謝の過程で尿酸の産生も増えます。「フェブリクを飲んでいるから安心」と過信せず、生活習慣の見直しと一緒に治療を続けるのが基本です。
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フェブリクは一生飲み続けないといけないの?
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絶対に一生というわけではありませんが、痛風・高尿酸血症の多くは生活習慣と体質に関係する慢性疾患であり、治療をやめると尿酸値が再び上がってくることが一般的です。
減量や中止を考える場合は、
- 食事・運動・節酒などの生活習慣の見直しがしっかりできている
- 尿酸値が長期間安定して目標値以下を維持できている
といった条件が揃ったうえで、医師と相談しながら慎重に検討するのが基本です。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
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【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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