イソバイドは何の薬?効果と副作用をわかりやすく説明
イソバイドとは?
効く病気・飲み方・注意点まとめ

メニエール病に処方された『イソバイド』とはどんな薬ですか

イソバイドは、イソソルビドを有効成分とする経口浸透圧利尿薬で、メニエール病をはじめ複数の病気で使われています。
この薬は体内でほとんど代謝されない性質を活かして、
血液の浸透圧を高めて、組織にたまった余分な水分を尿として排出する作用があります。
その結果、頭蓋内圧・眼圧・内リンパ圧などが下がり、めまい・耳鳴り・難聴などの症状緩和が期待されます。
日本で承認されているのはイソバイドシロップ70%で、1968年から長年使われてきた薬です。
この記事では、PMDA(医薬品医療機器総合機構)公開の添付文書および興和株式会社のインタビューフォーム(2023年4月改訂・第11版)に基づき、特徴・飲み方・副作用などをわかりやすくまとめます。
目次
「イソバイド」とは
イソバイドは、イソソルビドを有効成分とする経口浸透圧利尿薬・メニエール病改善剤です。
体内でほとんど代謝されないという性質があり、服用後に血液の浸透圧を高めることで、組織中の余分な水分を血液中に引き寄せ尿として排出します。その結果、頭蓋内圧・眼圧・内リンパ圧が低下し、それぞれに対応する症状の改善が期待できます。
日本で承認されているのは「イソバイドシロップ70%」というシロップ製剤で、500mL瓶のほか、20mL・23mL・30mLのスティック分包品もあります。
「イソバイド」の特徴
イソバイドの大きな特徴は、体内でほとんど代謝されないことと、用量を細かく調整できる剤形があることです。
有効成分のイソソルビドはD-ソルビトールから2分子の水が脱水された糖アルコールで、1927年にMüller & Hoffmanにより合成されました。日本では1968年4月にイソバイドとして承認され、その後1988年にメニエール病の適応が追加されています。現在は『メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2020年版』にも掲載され、主にメニエール病の治療薬として使われています。
なぜ独特の味がするのか
イソバイドシロップには、有効成分のイソソルビドに加えて、乳酸・D-ソルビトール・サッカリンNa水和物・パラオキシ安息香酸プロピル・パラオキシ安息香酸ブチル・香料などが含まれています。シロップ自体は甘み・酸味のあと、やや苦味が残るのが特徴で、人によっては「飲みにくい」と感じます。
添付文書では、必要に応じて冷水で2倍程度に希釈して服用できると記載されています。冷蔵庫で冷やしてから飲むと飲みやすくなることが多いです。
剤形の種類
- イソバイドシロップ70%(500mLプラスチックボトル):用量を細かく調整したい場合に
- イソバイドシロップ70%分包20mL/23mL/30mL:スティック包装で携帯に便利
効能・効果
イソバイドの承認された効能・効果は、添付文書に以下のように記載されています。
- 脳腫瘍時の脳圧降下
- 頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下
- 腎・尿管結石時の利尿
- 緑内障の眼圧降下
- メニエール病
外来で処方されるケースとしては、メニエール病・緑内障・腎尿管結石が中心です。脳圧降下を目的とする用途は主に入院での使用となります。
有効性(臨床試験データ)
承認時の国内臨床試験では、効能ごとに以下のような有効率が報告されています(添付文書記載)。
- 脳腫瘍時の脳圧降下:有効率84.3%(75/89例)
- 頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下:有効率96.9%(63/65例)
- 腎・尿管結石時の利尿:有効率72.9%(43/59例)
- 緑内障の眼圧降下:有効率94.0%(63/67例)
- メニエール病:有用以上40.2%(86/214例)、やや有用以上66.4%(142/214例)
メニエール病については二重盲検試験を含む臨床試験で有用性が確認されています。動物実験(モルモット)では内リンパ水腫の軽減が示されており、これがメニエール病に対する作用機序の根拠となっています。
また、薬物動態試験では、健康成人男性に本剤30mLを単回経口投与したところ、半減期(T1/2)は約6.84時間で、投与24時間後には投与量の約80%が未変化体のまま尿中に排泄されることが確認されています。
用法・用量
添付文書に記載されている用法・用量は次のとおりです。
<脳圧降下/眼圧降下/利尿が目的の場合>
通常、成人1日量70〜140mLを2〜3回に分けて経口投与します。症状により適宜増量します。
<メニエール病の場合>
1日体重あたり1.5〜2.0mL/kgを標準用量とし、通常、成人1日量90〜120mLを毎食後3回に分けて経口投与します。症状により適宜増減します。
いずれも、必要に応じて冷水で2倍程度に希釈して服用することができます。
飲み方のポイント
- メニエール病では毎食後の3回に分けて飲む
- 飲みにくい場合は冷水で2倍程度に希釈する/冷蔵庫で冷やす
- 分包品は服用直前まで開封せず、開封後の残液は廃棄する
- 500mL瓶は開封後に密栓し冷所で保存する
なぜ継続して飲むことが大切なのか
メニエール病に対するイソバイドは、内リンパ水腫を徐々に軽減することで症状をコントロールする薬です。1回飲んですぐに劇的な効果が出るタイプの薬ではなく、継続して血中濃度を保つことで効果が安定します。
「飲んでもすぐ変わらない」と感じて自己判断で中止してしまうと、症状が再燃することがあります。症状が落ち着いてきても、医師の指示なく中止しないようにしてください。
使用できない方(禁忌)
添付文書では、以下の方には投与しないことと定められています。
- 本剤および本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある方
- 急性頭蓋内血腫のある方(脳圧低下により再出血のおそれがあるため)
使う前に特に注意が必要な方
禁忌ではなくても、添付文書「9. 特定の背景を有する患者に関する注意」では、以下の方は注意が必要とされています。
- 脱水状態の方:利尿作用で症状を悪化させるおそれ
- 尿閉のある方:利尿作用で症状を悪化させるおそれ
- うっ血性心不全のある方:循環血液量が増えて心臓に負担
- 腎機能障害のある方:利尿作用で症状を悪化させるおそれ
- 妊婦または妊娠の可能性がある方:治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ投与
- 高齢者:一般に生理機能が低下しているため減量するなど注意
これらに当てはまる場合は、必ず医師に申告してください。なお、現行の添付文書には併用禁忌・併用注意の項目は設定されていませんが、他に服用中の薬がある場合は念のため医師・薬剤師に伝えるようにしてください。
副作用と発生頻度
添付文書に記載されているその他の副作用(発現頻度0.1〜5%未満)は次のとおりです。
- 消化器症状:嘔気・悪心・下痢・嘔吐・食欲不振
- 精神神経系:不眠・頭痛
頻度不明の副作用としては、発疹・紅斑(過敏症)、長期連用による電解質異常が挙げられています。
メニエール病を対象とした国内臨床試験では、214例中20例(9.3%)に副作用が報告されており、主な副作用は頭痛(1.9%)、胃のもたれ(1.4%)、嘔気(1.4%)、不眠(1.4%)でした。
注意したい重大な副作用
頻度は不明ですが、重大な副作用としてショック・アナフィラキシーが報告されています。
発疹・呼吸困難・血圧低下・動悸などの異常が現れた場合は、ただちに服用を中止し、適切な処置を受ける必要があります。
受診を考えたい症状
服用中に次のような症状があるときは、自己判断で続けず、早めに受診してください。
- 発疹・かゆみ・じんましんが出た
- 息苦しさ・動悸・血圧低下を感じる
- 嘔吐・下痢がひどく、水分が取れない
- 尿が出ない、または極端に少なくなった
- めまい・耳鳴り・難聴の症状がかえって悪化した
まとめ
イソバイドは、1968年に承認されて以来長く使われている経口の浸透圧利尿薬です。メニエール病・脳圧降下・眼圧降下・腎尿管結石時の利尿などに用いられ、内耳のむくみを軽減することでめまい・耳鳴り・難聴の改善が期待できます。
効果をしっかり引き出し、副作用を防ぐためには、用法・用量を守って継続することが大切です。
重要なポイント
- メニエール病では毎食後3回に分けて服用する
- 飲みにくいときは冷水で2倍に希釈/冷蔵庫で冷やす
- 急性頭蓋内血腫のある方は禁忌
- 脱水・尿閉・うっ血性心不全・腎機能障害・妊娠の可能性がある場合は事前に医師へ申告
- 異常があれば自己判断せず早めに受診する
めまいで外出が難しい方、耳鼻科に行く時間がない方は、オンライン診療でも処方医に相談できます。
参考文献・出典
- PMDA(医薬品医療機器総合機構):イソバイドシロップ70% 添付文書(2023年4月改訂・第2版)
- 興和株式会社:イソバイドシロップ70% 医薬品インタビューフォーム(2023年4月改訂・第11版)
- KEGG MEDICUS:医療用医薬品 イソバイド(JAPIC code: 00059586)
- 日本めまい平衡医学会編:メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2020年版(第2版)
よくある質問(Q&A)
-
イソバイドは他の利尿薬や抗めまい薬と何が違うの?
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イソバイドは「経口の浸透圧利尿薬」かつ「メニエール病改善剤」として承認されている薬で、体内でほとんど代謝されないという特徴があります。
同じめまいに使う薬の中でも、
- 抗めまい薬(ベタヒスチン製剤など) → 前庭機能や血流を調整する
- イソバイド → 血液の浸透圧を高めて内リンパ水腫を軽減する
と、はたらき方そのものが異なります。1968年から承認されている薬で、現在もメニエール病ガイドライン(2020年版)に掲載されています。
-
イソバイドはいつから使われている薬?
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有効成分のイソソルビドは、1927年にMüller & Hoffmanにより合成されました。
日本では
- 1968年4月18日:イソバイド製造販売承認
- 1968年12月12日:頭部外傷に起因する脳圧亢進時の脳圧降下・緑内障の眼圧降下の効能追加
- 1988年2月22日:メニエール病の効能追加
- 2008年:携帯性を考慮したスティック分包品を発売
- 2023年4月:添付文書改訂(第2版)/インタビューフォーム第11版
-
イソバイドの1か月の費用はいくらくらい?
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イソバイドシロップ70%の薬価は、製剤により以下のとおりです(2023年4月時点)。
- 500mL瓶:2.6円/mL
- 分包20mL:52.4円/包
- 分包23mL:53.4円/包
- 分包30mL:70円/包
メニエール病で1日90mL服用する場合(500mL瓶換算)の目安は、
- 1日:約234円
- 1か月(30日):約7,020円(薬価ベース)
自己負担の目安は
- 3割負担:約2,100円/月
- 1割負担:約700円/月
※診察料・処方料は別途。用量によって変動します。
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効果はどれくらいで出る?
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イソバイドは内耳のむくみ(内リンパ水腫)を少しずつ軽減することで作用するため、即効性のある薬ではありません。
薬物動態としては、健康成人が30mLを服用すると
- 半減期(T1/2):約6.84時間
- 投与24時間後、約80%が未変化体のまま尿中に排泄
つまり1回ごとには利尿作用が出る薬ですが、めまいや耳鳴りといった症状の改善を実感するまでには数週間〜数か月かかることがあります。自己判断で中止しないことが大切です。
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妊娠中でも飲める?
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添付文書では、妊婦または妊娠している可能性のある女性については
「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」
と定められています。
妊娠中・妊娠の可能性がある場合は必ず医師に申告し、継続するかどうかを相談してください。
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授乳中は飲める?
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授乳婦への投与については、添付文書に特別な制限は設定されていません。
ただし母乳への移行データが十分でない薬であるため、授乳中の方は医師に相談の上で服用を判断してください。
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高齢者でも使える?
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使用できますが、添付文書では
「一般に生理機能が低下しているため、減量するなど注意すること」
と定められています。腎機能低下や脱水傾向に注意が必要なため、医師の判断で用量を調整します。
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飲み忘れたらどうすればいい?
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気づいた時の状況により対応が変わります。
- 気づいた時 → その回の分を服用
- 次の服用時間が近い → 1回分だけ飲む(2回分まとめてNG)
2回分をまとめて飲むと、消化器症状や脱水のリスクが高まります。判断に迷うときは医師・薬剤師に相談してください。
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なぜシロップで、味も独特なの?
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イソバイドは有効成分のイソソルビドが水に極めて溶けやすい性質を持ち、濃厚な液体製剤として体内に届ける必要があるため、シロップ剤として製造されています。
添加剤として乳酸・D-ソルビトール・サッカリンNa水和物・パラオキシ安息香酸エステル・香料などが含まれており、初めに甘み・酸味、あとから苦味が残るのが特徴です。
「飲みにくい」と感じる方には、
- 冷水で2倍程度に希釈する
- 冷蔵庫で冷やしてから飲む
といった工夫が添付文書でも認められています。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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