ステロイドを顔に塗っても大丈夫?副作用の有無や正しい塗り方について

「顔の赤みが治らないから薬を塗りたいけれどステロイドを顔に塗るのは怖い」

「ステロイドは皮膚が黒くなると聞いたことがある…」

ステロイドに関しては、ネット上の様々な噂により、漠然とした恐怖心をお持ちの方も少なくありません。

ステロイドは医師の指示通りに使用する分には安全ですが、自己判断で漫然と使い続けることにリスクがあることも確かです。

今回は、そもそもステロイドとはどんな薬なのか、なぜ顔への使用には注意が必要なのか、正しい塗り方と合わせて解説します。

ステロイドとはどんな薬?

ステロイド外用薬の正式名称は「副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン」と言います。

ホルモン」と聞くと何か特殊な薬品のように感じるかもしれませんが、私たちの体内(腎臓の上にある副腎という臓器)で、毎日作られているホルモンを人工的に薬にしたものです。

ステロイドの主な働きは、過剰な免疫反応や炎症を強力に抑えることです。

皮膚の赤み、腫れ、痒みといった症状は、いわば皮膚で火事が起きている状態です。

ステロイドはこの火事を消し止める、優秀な「消防士」のような役割を果たしてくれます。

火の手が小さいうちに、適切な強さの放水(ステロイド)で一気に消火すれば、皮膚へのダメージ(跡残りなど)を最小限に抑えられます。

なぜ「顔」へのステロイド使用は注意が必要なの?

では、なぜ「顔に塗るときは注意」と言われるのでしょうか?

それは、体の部位によって「薬の吸収率」が違うことに起因します。

人間の体のうち腕の内側の吸収率を「1」とした場合、顔(頬)の吸収率は「約13倍」にもなります。

部位吸収率
前腕(腕の内側)1倍
頭皮3.5倍
顔(頬)13倍
まぶた・陰部42倍
手のひら・足の裏0.1〜0.8倍

顔のように皮膚が薄い部位は、薬が浸透しすぎてしまい、必要以上に効きすぎたり、副作用が出やすくなったりするのです。

そのため、顔には体よりもランク(強さ)を落とした薬を選ぶのが鉄則です。

出典:日本皮膚科学会ガイドライン|アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024

ステロイドの副作用について

処方されたステロイドは、医師の指示通り使用すれば、副作用を過度に心配する必要はありません。

しかし、指示を守らずに数ヶ月〜年単位で使い続けてしまうと以下のような「局所副作用」が現れることがあります。

1. 酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん)

ステロイドの長期使用で最も注意すべき症状です。

  • 顔が常に赤い(赤ら顔)
  • 皮膚が薄くなり、毛細血管が透けて見える
  • ニキビのようなブツブツができる

自己判断で急に薬をやめると一時的に症状が悪化することもあるため、医師の管理下で薬を切り替えていくなどの治療が必要です。

2. 皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)

コラーゲンの生成が抑制され、皮膚がペラペラに薄くなってしまうことがあります。

3. ニキビ・感染症ができやすくなる

ステロイドは過剰な免疫を抑えてくれますが、同時に「肌を守るバリア」としての免疫も抑えてしまいます。

その結果、ニキビ菌(アクネ菌)やカビ(真菌)が繁殖しやすくなり、別の皮膚トラブルを招くことがあります。

なお、よく噂される「ステロイドを塗ると肌が黒くなる」というのは誤解です。

炎症が長く続いたことによる「色素沈着」であることがほとんどで、薬のせいで黒くなるわけではありません。

ステロイドの正しい塗り方

顔のトラブルを早く、きれいに治すためには、メリハリのある使い方が重要です。

1. 適切な「強さ」を選ぶ

ステロイドには5段階のランクがあります。

ランク強さの目安顔への使用代表的な薬剤例
Weak弱いプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン
Medium普通リドメックス、ロコイド
Strong強い要注意フルコート、リンデロンV
Very Strongとても強い原則NGアンテベート、マイザー
Strongest最も強い原則NGデルモベート

顔には通常、「Medium」または「Weak」のランクが処方されます。

症状が重い場合は、医師の判断で一時的に強い薬を使うこともありますが、短期間に限られます。

自己判断で、家にあった体用の強い薬を顔に塗るのは避けましょう。

2. こすらず「優しく乗せる」

薬をすり込むように塗ると摩擦で肌を痛めてしまいます。

指の腹を使って、優しく乗せるように広げてください。

3. ダラダラと続けない(やめどきが肝心)

ステロイドは「症状を抑える薬(対症療法)」であり、肌を丈夫にするスキンケアクリームではありません。

赤みや痒みが治まったら徐々に塗る回数を減らすか、保湿剤に切り替えましょう。

目安として、1〜2週間塗っても改善しない場合は、薬が合っていない可能性があるため医師に相談してください。

まとめ

ステロイドは、正しく使えば皮膚トラブルを短期間で治してくれる頼もしい薬です。

  • 体用の強い薬を勝手に塗らない
  • 漫然と長期間塗り続けない
  • 副作用が心配なら早めに受診する

これらを守れば、顔への使用も安全です。

市販薬で治らない場合や、薬の選び方に迷った場合は、悪化させてしまう前にオンライン診療などでお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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