鼻づまり・膿・のどの腫れ…漢方で改善?荊芥連翹湯を徹底解説

鼻づまり・膿・のどの腫れ…漢方で改善?
荊芥連翹湯を徹底解説

鼻づまりとして『荊芥連翹湯』を使っています。

荊芥連翹湯は「にきび・副鼻腔炎・慢性のど炎」などにマルチに対応でき、

かつ抗菌・抗アレルギー作用の報告もあるのが強みです。

荊芥連翹湯はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)とは

荊芥連翹湯は、鼻・のど・皮膚の慢性炎症に対して処方される漢方薬です。

漢方薬の効果は「証(しょう)=体質や体の状態」と深く関係しており、同じ症状でも人によって向いている処方は異なります。


荊芥連翹湯の特徴

もともと一貫堂の創方として伝わる処方をもとに、

  • 17種類の生薬(オウゴン、オウバク、オウレン、キキョウ、キジツ、ケイガイ、サイコ、サンシシ、ジオウ、シャクヤク、センキュウ、トウキ、ハッカ、ビャクシ、ボウフウ、レンギョウ、カンゾウ)を水のみで煎じて抽出

主な含有成分の例

  • バイカリン(オウゴン由来)
  • ベルベリン(オウレン・オウバク由来)
  • ゲニポシド(サンシシ由来)
  • グリチルリチン酸(カンゾウ由来)など

基礎薬理で確認された作用

  • 抗菌作用(細菌の増殖を抑える)
  • 活性酸素産生の抑制(酸化ストレスの軽減)
  • 抗アレルギー作用(マウス実験で確認)

出典:医療用添付文書(2023年12月改訂)、赤松ら(1994)、夏秋ら(1997)


効能・効果(医療用として認可)

  • 蓄膿症(慢性副鼻腔炎)
  • 慢性鼻炎
  • 慢性扁桃炎
  • にきび(尋常性ざ瘡)

※効果は「証」に合うかどうかが重要です。


用法・用量

  • 通常用量:成人は1日7.5gを2〜3回に分け、食前または食間に服用
  • 食間とは:食後2〜3時間後が目安
  • 水または白湯で服用してください

※年齢・体重・症状に応じて医師が調整します。


使用に注意が必要な方

以下に該当する方は、慎重投与事前相談が必要です。

  • 胃腸が非常に弱い方(食欲不振・悪心・下痢などが出やすい)
  • すでに吐き気や嘔吐のある方(悪化の可能性あり)
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある方(治療上の有益性が危険性を上回るときのみ使用)
  • 授乳中の方(母乳への影響と治療の有益性を考慮)
  • 小児(臨床試験なし)
  • 高齢者(一般に生理機能が低下しているため、減量などの配慮が必要)

飲み合わせに注意が必要な薬

●リスク

  • グリチルリチン酸の影響で、低カリウム血症→偽アルドステロン症・ミオパチーのリスクが上がります

●併用に注意すべき例

  • 漢方薬:芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散など(甘草含有)
  • 一般薬:グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン配合薬、L-システイン/DL-メチオニン含有薬など

※医師・薬剤師に相談のうえ、併用を判断してください。


副作用(頻度不明)

●重篤な副作用

症状名内容・対応
間質性肺炎咳・息切れ・発熱など → 服用中止し、胸部検査へ
偽アルドステロン症むくみ・体重増加・血圧上昇など → 血清カリウムの測定を
ミオパチー脱力・けいれん・麻痺など → カリウム補正を含む対応
肝機能障害・黄疸AST/ALT/γ-GTPの著明上昇、黄疸など
腸間膜静脈硬化症腹痛、便秘・下痢、腹部膨満、便潜血 → CTや大腸内視鏡で評価

特に腸間膜静脈硬化症は、サンシシ含有薬の長期使用(5年以上)で報告されています。

●その他の副作用

  • 発疹・かゆみ
  • 食欲不振、胃の不快感、吐き気、嘔吐、下痢 など

受診の目安

次のような場合は、継続投与を中止し、すぐに医師にご相談ください。

  • 明らかな副作用が出た場合
  • 数日使っても効果を感じない場合

まとめ

必ず体質や他の薬との兼ね合いを踏まえて使用を行っています。
気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

荊芥連翹湯は、慢性的な鼻・のど・皮膚の炎症に使われる漢方処方

抗菌・抗酸化・抗アレルギー作用が基礎薬理で確認されている

「証」に合えば有効性が高いが、効果がない場合は早めに見直しを

偽アルドステロン症・ミオパチーなど、甘草の副作用に注意

腸間膜静脈硬化症(長期使用時)など、稀な副作用にも警戒を


参考文献・出典

添付文書(ツムラ、2023年12月 第1版改訂)

KEGG DRUGデータベース:D06938(KEGG Link

赤松浩彦ら, 漢方医学, 18(2):51-54, 1994年

夏秋優ら, 和漢医薬学雑誌, 14(4):388-389, 1997年

『ツムラ医療用漢方製剤インタビューフォーム』

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の漢方薬との違い・強みは?

荊芥連翹湯は、慢性的な鼻・のど・皮膚の炎症にバランスよく対応できることが特徴です。

同じように「膿」「炎症」「にきび」などに使われる処方に「清上防風湯」「十味敗毒湯」などがありますが、

漢方名主な適応特徴
荊芥連翹湯蓄膿症、にきび、慢性鼻炎・扁桃炎炎症・熱感・膿に対応、生薬17種で構成
清上防風湯顔の赤いにきび、炎症熱を冷ます方向に特化、比較的体力のある人向け
十味敗毒湯膿がたまる湿疹、できもの解毒・排膿に優れるが、鼻炎適応はなし

荊芥連翹湯は「にきび・副鼻腔炎・慢性のど炎」などにマルチに対応でき、かつ抗菌・抗アレルギー作用の報告もあるのが強みです。

荊芥連翹湯はいつ発売されたの?(先発薬の発売年)

ツムラの医療用「荊芥連翹湯エキス顆粒(医療用)」は1985年(昭和60年)に承認されています。

これは「厚生省薬務局 薬審2第120号(S.60.5.31付)」に基づき、製造承認されたものです。
もともとの処方は、一貫堂医学の創方として明治時代から使用されてきた歴史があります。

1か月処方でかかる費用は?(薬価と実際の負担)

製品名価格(薬価基準)1か月分(7.5g×30日)自己負担額(3割)
ツムラ荊芥連翹湯18.6円/g約4,185円約1,255円

※薬価は2023年時点。
※調剤料・技術料などは別途かかる可能性あり。

効果が出るまでどのくらい?作用の出方や持続時間は?

効果の出方には個人差がありますが、早ければ数日〜1週間で改善を感じるケースもあります。

  • 急性の炎症(にきびなど)には早めに反応が見られることもありますが、
  • 慢性の症状(蓄膿症、慢性鼻炎など)では、2〜4週間以上の服用が目安とされます。

💡西洋薬と違って即効性は強くないため、「体質に合っているか」が重要です。

妊娠中に荊芥連翹湯を使っても大丈夫?

妊娠中の使用は「治療上の有益性が危険性を上回る」と判断された場合に限り、慎重に使います。

自己判断での使用は避け、必ず医師に相談を。

明確な禁忌ではありませんが、含有生薬に子宮収縮作用を懸念するもの(例:サイコなど)が含まれるため注意が必要です。

授乳中に使っても大丈夫?

授乳中の使用は、医師が「母体の治療と母乳栄養のバランス」を見ながら判断します。

授乳を継続するか一時中断するかは、個別判断となります。

生薬由来の成分が母乳に移行する可能性はゼロではないですが、重大な影響があるとはされていません。

子どもでも使える?小児での安全性は?

小児に対しての明確な承認はありません。臨床試験も未実施です。

ただし、実際の臨床現場では小児科医の判断で処方されることもあります
使用する場合は、

  • 年齢や体重に応じた分割投与
  • 副作用の出やすさに注意
  • 甘草(グリチルリチン酸)含有にともなう偽アルドステロン症などへの注意

が必要です。