にきび・顔の赤みに出される病院の漢方|清上防風湯ってどんな薬?

にきび・顔の赤みに出される病院の漢方
清上防風湯ってどんな薬?

にきびの薬として『清上防風湯』を使っています。

清上防風湯は顔面にこもった炎症性のにきびに処方される医療用漢方です。

清上防風湯はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)とは

顔や頭にこもった熱(=炎症)をさまして、皮膚症状を改善することを狙う漢方薬です。

  • 「清上」は“上部(顔・頭)にこもる熱を清める”の意
  • 主薬は防風(ぼうふう)
  • 古典『万病回春』に収載された処方が元

構成生薬(12種)

以下の12種の生薬を煎じて有効成分を抽出しています:

  • オウゴン、キキョウ、サンシシ、センキュウ、ハマボウフウ、ビャクシ
  • レンギョウ、オウレン、カンゾウ、キジツ、ケイガイ、ハッカ

代表的な含有成分:

  • バイカリン(オウゴン由来)
  • ゲニポシド(サンシシ由来)
  • ベルベリン(オウレン由来)
  • グリチルリチン酸(カンゾウ由来)


効能・効果

  • にきび

→ 特に赤みや腫れを伴う炎症性のにきびに処方されます。


有効性(薬理試験など)

  • 抗菌作用が薬理試験で確認
  • 含有成分にも抗炎症・抗菌成分(バイカリン、ベルベリンなど)

※ただし、大規模な人での比較試験(RCTなど)は明確には示されていません。


用法・用量

  • 通常、成人は1日7.5gを2~3回に分けて食前または食間に内服
  • 年齢・体重・症状により増減可能

使用中の注意

  • 体質(証)を考慮して使うことが前提
  • 改善が見られなければ、漫然とした継続投与は避けるべきです

使用を避けたい・慎重にすべき人

※明確な「禁忌」ではありませんが、以下は慎重使用(医師へ要相談)

胃腸が弱い方:

  • 食欲不振、胃もたれ、下痢などが出やすい

悪心・嘔吐などの症状がある方:

  • 症状が悪化する恐れあり

妊婦・妊娠の可能性がある方:

  • 治療上の有益性が危険性を上回るときのみ投与

授乳中の方:

  • 授乳を続けるか中止するかは医師と相談

小児:

  • 小児対象の臨床試験データなし

高齢者:

  • 生理機能が低下していることを踏まえて減量など慎重に

飲み合わせに注意が必要な薬

カンゾウ(甘草)含有漢方:

  • 芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散 など

グリチルリチン酸含有医薬品:

  • グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・L-システイン
  • グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・DL-メチオニン配合薬

併用による副作用リスク:

  • 偽アルドステロン症(ぎあるどすてろんしょう)
     → むくみ、血圧上昇、低カリウム血症(電解質異常)
  • ミオパチー(筋力低下、けいれん、まひ)

メカニズム:

  • グリチルリチン酸によりカリウム排出が促進され、血清カリウム低下→筋障害のリスク

副作用

【重大な副作用(頻度不明)】

  • 偽アルドステロン症:むくみ、血圧上昇、体重増加、低カリウム血症
  • ミオパチー:筋力低下、四肢のけいれん、脱力感
  • 肝機能障害・黄疸:AST/ALT上昇、黄疸(皮膚や白目の黄色化)
  • 腸間膜静脈硬化症(ちょうかんまくじょうみゃくこうかしょう)
     → 長期(5年以上)服用で、腹痛・便秘・下痢・腹部膨満・便潜血など
     → CT・大腸内視鏡による評価が必要/腸切除の報告もあり

【その他の副作用(頻度不明)】

  • 過敏症:発疹、かゆみ、じんましん等
  • 消化器:胃もたれ、食欲不振、下痢、腹痛など

受診の目安

以下のような症状が出たらすぐ受診を

  • むくみ、体重の急な増加、筋力低下、けいれん、動悸
  • 腹痛、便通異常、血便

まとめ

  • 清上防風湯は顔面にこもった炎症性のにきびに処方される医療用漢方です。
  • 主薬は防風、生薬12種のバランス処方で構成。
  • 体質(証)に合った場合に効果が期待されます。
  • 継続投与は改善があるかどうかを観察しながら判断
  • 副作用・飲み合わせには要注意
     特にカンゾウ含有薬との併用は慎重に
     腸間膜静脈硬化症などのリスクを考慮し、長期連用は医師の管理のもとで

参考文献・出典

資料内容
医療用添付文書(PMDA)効能効果、用法用量、副作用など
KEGG DRUG(D06996)構成生薬・構造式・薬効分類など
JAPIC添付文書検索添付文書のPDF閲覧・薬価情報も
ツムラ公式IF(インタビューフォーム)薬理試験・構成成分・使用実態データあり
CiNii Articles医中誌Web「清上防風湯 AND にきび」などで国内論文を検索可

よくある質問(Q&A)


清上防風湯ってどんな症状に使われるの?

主に「顔の赤みや腫れを伴うにきび」に使われる医療用漢方薬です。
皮膚の炎症や熱感が目立つタイプのニキビに向いています。
皮膚科や内科で処方されることがあります。

同じ系統の既成漢方薬と比べて、清上防風湯の強みは?

「赤み・炎症が強めのにきび」にピンポイントで処方される点が最大の特徴です。

他の漢方(例:荊芥連翹湯・十味敗毒湯)も皮膚疾患に使われますが、

  • 清上防風湯は熱を冷ます(清熱)作用が強め
  • 抗菌作用・抗炎症作用が確認されている成分(バイカリン、ベルベリンなど)が含まれている
    といった点で差別化されます。

清上防風湯っていつ発売されたの?

医療用漢方製剤としての「ツムラ清上防風湯エキス顆粒(医療用)」は、
1985年5月31日付で製造承認申請され、以後、医療現場で使われています。

清上防風湯の薬価と自己負担の目安は?

製品名薬価(1gあたり)1日7.5g×30日分自己負担(3割負担)
ツムラ清上防風湯12.4円/g2790円837円
オースギ清上防風湯7.7円/g1732.5円519円

※調剤料など別途必要。目安としてお考えください。

清上防風湯ってどれくらいで効き始めて、どれくらい効き目が続くの?

作用発現:1〜2週間程度で徐々に皮膚の赤みや腫れが改善してくる例が多い

持続時間:漢方薬は体質に働きかける性質があるため、即効性より“継続的な改善”が期待されます

→ 数日で明確な改善が見られない場合も、2週間程度は継続服用して様子を見ることが多いです。

妊娠中に清上防風湯を飲んでも大丈夫?

妊娠中の使用は、医師が「必要性が危険性を上回る」と判断した場合に限られます。

医師と相談の上、慎重に判断してください

サンシシやカンゾウを含むため、長期服用や自己判断の服用は避けるべき

授乳中に清上防風湯を飲んでも大丈夫?

添付文書上は、授乳を続けるか中止するかは「医師と相談の上で決める」とされています。

  • 成分が母乳中に移行する可能性は否定されていないため、
  • 授乳の有益性と治療の必要性を天秤にかけて判断

→ 授乳中に使用したい場合は、医師にその旨を必ず伝えてください。

清上防風湯は子どもにも使えるの?

現時点では、小児を対象とした臨床試験は行われていません。

医師の判断によっては処方されることもありますが、

慎重な体重換算投与や副作用のモニタリングが必要ですがあります。