しびれ・足の痛み・疲れがとれない…そんなときの選択肢、牛車腎気丸
しびれ・足の痛み・疲れがとれない…
そんなときの選択肢、牛車腎気丸

しびれと夜の多尿があり『牛車腎気丸』を使っています。

牛車腎気丸は、
「疲れやすく、四肢が冷えやすい」「尿量の減少 or 多尿」「口渇を伴う」体質に使います。
牛車腎気丸はオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
牛車腎気丸とは
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、漢方の古典『済生方(さいせいほう)』に記載された処方をもとにした医療用漢方薬です。
✅ 処方構成(10種の生薬)
- 地黄(じおう)
- 牛膝(ごしつ)
- 山茱萸(さんしゅゆ)
- 山薬(さんやく)
- 車前子(しゃぜんし)
- 沢瀉(たくしゃ)
- 茯苓(ぶくりょう)
- 牡丹皮(ぼたんぴ)
- 桂皮(けいひ)
- 附子末(ぶしまつ)
「疲れやすく四肢が冷えやすい」体質に伴う症状の改善が主な目的です。
目次
牛車腎気丸の特徴
● 含有する有効成分例
- ロガニン(さんしゅゆ由来)
- ペオニフロリン・ペオノール(牡丹皮由来)
- ベンゾイルメサコニン(附子由来)
これらの成分により、鎮痛・血流改善・頻尿改善などの薬理作用が報告されています。
効能・効果(どんな症状に使うか)
「疲れやすく、四肢が冷えやすい」「尿量の減少 or 多尿」「口渇を伴う」体質に使います。
該当する症状は以下の通りです:
- 下肢痛(脚の痛み)
- 腰痛
- しびれ
- 老人のかすみ目
- かゆみ
- 排尿困難・頻尿
- むくみ(浮腫)
💡 体質に合っていない場合は、副作用が出やすくなります。
有効性(臨床や薬理試験の結果)
● ヒトでの作用確認
- しびれ・冷感に対する改善効果
- 糖尿病患者に2.5gを服用 → 約1.5〜2時間後に
- 皮膚血流増加
- 手のひらの体温上昇
→ 末梢循環の改善が示唆されます。
● 動物での薬理試験(参考)
- 鎮痛作用:κ(カッパ)オピオイド受容体やNO(一酸化窒素)経路の関与が示唆
- 神経伝導改善:坐骨神経の伝導速度低下を防止
- 頻尿改善:サブスタンスP、TRPV1、P2X3など神経ペプチド・受容体の発現を抑制
- 血流改善:末梢の血流改善が確認
💡 漢方は「証(体質)」に合って初めて十分な効果が出るものです。当院では短期間で効果判定を行い、効果がなければ他の治療へ切り替えます。
用法・用量(のみ方)
- 通常、成人は1日7.5g
- 2〜3回に分けて、食前または食間に内服
- 年齢・体重・体調により増減することがあります
使用を避けるべき方(禁忌・慎重投与)
❌ 妊婦・妊娠の可能性がある方
- 牛膝・牡丹皮に流早産のリスク
- 附子末による副作用も懸念 → 原則、使用しない
❌ 体力がありすぎる人・のぼせやすい人
- 心悸亢進(動悸)・のぼせ・しびれ・悪心などが出やすい
❌ 胃腸虚弱・消化器症状がある人
- 消化器症状(胃もたれ・下痢・便秘)が悪化するおそれ
❌ 小児・高齢者
- 附子末含有のため慎重に
- 高齢者は減量を検討
❌ 効果が見られない場合
- 漫然と継続投与は避ける
飲み合わせに注意する薬・サプリ
⚠ 他の漢方製剤との併用
- 同じ生薬の重複に注意
- 特に附子(ブシ)を含む製剤との併用は副作用リスクが上がります
💡 市販薬やサプリを含め、自己判断での“漢方の足し算”はNG。必ず医師にご相談ください。
副作用について
● 重大な副作用(頻度不明)
- 間質性肺炎
咳・息切れ・発熱・胸部の異常音など
→ 服用中止してすぐ受診 - 肝機能障害・黄疸
AST・ALT・ALP・γ-GTP上昇、目や皮膚の黄ばみなど
● その他の副作用(頻度不明)
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 過敏症 | 発疹・発赤・かゆみなど |
| 消化器 | 食欲不振・悪心・嘔吐・腹痛・下痢・便秘 |
| その他 | 心悸亢進・のぼせ・舌のしびれ |
⚠ 咳・発熱・息切れ、強い倦怠感や黄疸、消化器症状が長引く場合は、すぐに服用をやめて医師に相談を。
まとめ
牛車腎気丸は、冷えやすく疲れやすい体質で、しびれ・下肢の痛み・排尿トラブルなどがある方に用いられる医療用漢方です。
- 体質(証)に合えば、鎮痛・血流改善などの効果が期待されます。
- 妊娠中は原則避けるべきで、附子(ブシ)含有製剤との併用にも注意。
- 効果が出ない場合は漫然と継続しないのが鉄則。
📌 医師からのアドバイス
初めての方、すでに他の漢方薬・サプリを飲んでいる方、胃腸が弱い方や高齢の方は、必ず医師に相談してください。
当院では:
- 体質診断(証の確認)
- 服用後の副作用チェック
- 一定期間での効果判定
を行ったうえで、安全に治療を進めています。
気になる症状がある方は、現在服用中の薬・サプリのリストを持参のうえご相談ください。ください。
参考文献・出典
● 公的文書
- JAPIC 添付文書(最新版:2023年12月改訂)
- KEGG DRUG Database:D06957(Goshajinkigan)
- ツムラ医療用漢方製剤インタビューフォーム
● 主な参考論文(PubMed等で検索可能)
Zhang X.Y. et al., Am. J. Chin. Med., 2006:神経障害モデルへの応用
Suzuki Y. et al., Jpn. J. Pharmacol., 1999:鎮痛・血流改善の機序
Gotoh A. et al., J. Pharmacol. Sci., 2004:神経機能への効果
Mizuno K. et al., J. Pharmacol. Sci., 2014:抗アロディニア作用
よくある質問(Q&A)
-
この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?
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牛車腎気丸は「八味地黄丸」に牛膝(ごしつ)と車前子(しゃぜんし)を加えた処方です。
これにより、下肢のしびれ・痛み、頻尿などの泌尿器症状や神経障害への適応が広がっている点が特徴です。薬理試験においても、鎮痛作用・血流改善作用・神経伝導改善作用・頻尿抑制作用などが示されており、エビデンスの面でも信頼性が高いです。
-
この薬の先発品はいつ発売されましたか?
-
「ツムラ牛車腎気丸エキス顆粒(医療用)」は、
1985年(昭和60年)に厚生省の通知(薬審2第120号)に基づいて製造承認を受けた製品です。処方の元となる古典「済生方」に記載されている漢方薬ではありますが、
医療用エキス製剤としての形で承認・発売されたのはこの時期です。
-
1か月(30日)処方された場合の薬価と自己負担額の目安は?
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ツムラ牛車腎気丸の薬価は
17.7円/g です。用法通りに1日7.5g服用すると:
- 30日分で225g → 薬価合計:約3,982円
- 自己負担額(3割負担):約1,195円
分包(2.5g×3包/日)タイプでも金額は同じです。
なお、調剤料や薬剤管理指導料は別途加算されます。
-
効果が出るまでの時間や持続時間は?
-
医療用漢方薬全般に共通しますが、作用発現までには数日~2週間程度かかることが多いです。
- 急性疾患ではなく慢性症状に対して穏やかに効くため、即効性よりも体質改善が目的
- 頻尿・しびれ・冷えなどに対しては、1~2週間で改善傾向がみられることも
持続時間に関して明確なデータはありませんが、通常は1日2~3回に分けて服用するため、6~12時間程度の効果持続を想定した設計です。
-
妊娠中は服用しても大丈夫ですか?
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妊娠中は原則として使用を避けるべきとされています。
理由は以下のとおりです:
- 含有する牛膝・牡丹皮が子宮収縮を促進し流早産のリスク
- 附子末による中枢神経・循環系への副作用のリスク
添付文書でも「妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい」と明記されています。
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授乳中の服用はどうですか?
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授乳婦については、添付文書上、「治療上の有益性と授乳の有益性を比較検討した上で使用可否を判断する」と記載されています。
- 牛車腎気丸の成分が母乳中に移行するかは明確なデータなし
- ただし、附子を含むため慎重に使用すべきです
→ 医師と相談の上、必要なら授乳中断を検討するのが原則です。
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子どもには使えますか?
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小児への使用は慎重に投与とされています。
理由:
- 含有する附子末(ぶしまつ)に中枢興奮作用・心毒性があるため
- 安全性評価が成人ほど十分でない
医師が体重や症状をもとに判断し、低用量から慎重に使う場合はありますが、原則的には小児は適応外と考えるべきです。



