蕁麻疹や湿疹がくり返す人へ|飲んで効く漢方「消風散」の効果とは
蕁麻疹や湿疹がくり返す人へ
飲んで効く漢方「消風散」の効果とは

かゆみで『消風散』を使えますか?

消風散は、分泌物が多く、かゆみの強い慢性の皮膚疾患に効果があります。
・皮膚そう痒症(かゆみを伴う皮膚病)
・湿疹
・蕁麻疹(じんましん)
・水虫
・あせもなどです
消風散はオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
消風散(しょうふうさん)とは
消風散は、漢方の古典『外科正宗』に記載されている処方をもとに、製剤化した医療用漢方薬です。
構成生薬と製剤の特徴
13種類の生薬が配合されています:
ジオウ/セッコウ/トウキ/ゴボウシ/ソウジュツ/ボウフウ/モクツウ/ゴマ/チモ/カンゾウ/クジン/ケイガイ/センタイ
効能・効果(適応)
次のような分泌物が多く、かゆみが強い慢性の皮膚病に用いられます。
- 湿疹
- 蕁麻疹(じんましん)
- 水虫
- あせも
- 皮膚そう痒症(ひふそうようしょう)
※一方で、患部が乾燥しているタイプの皮膚疾患では悪化の報告もあります。使用にあたっては体質(証)の見極めが重要です。
薬理作用(有効性)
抗炎症作用
- ヒトの好中球や化学反応系での活性酸素(O₂⁻、H₂O₂、OH・)の産生抑制
- 細胞内のカルシウム濃度上昇も抑える作用が確認されています
抗ヒスタミン作用
- 犬を用いた動物試験で、ヒスタミンによる皮膚の膨らみ反応を抑制
抗アレルギー作用
- 感作マウスにおいて、抗原塗布後の二相性皮膚反応(浮腫)を抑制
これらの作用は試験レベルで確認されていますが、実際の効果は患者さんの体質や症状の経過によって異なります。
証(体質)が合わない場合は継続使用を避けるべきとされています。
用法・用量
- 通常、成人は1日7.5gを2〜3回に分けて、食前または食間に服用します。
- 年齢・体重・症状により、用量は調整されます。
使用上の注意
投与に際して重要な基本的注意
- 証(体質や症状)を考慮し、経過観察を十分に行うこと。
- 効果がみられない場合は、継続投与を避けること。
含有成分カンゾウ(甘草)による注意点
- 血清カリウム値や血圧への影響があるため、モニタリングが重要です。
- 他の漢方製剤との併用で生薬の重複がないか注意が必要です。
注意が必要な方(慎重投与)
| 対象者 | 理由・注意点 |
|---|---|
| 胃腸が弱い方 | 食欲不振、胃もたれ、吐き気、下痢などが出やすい |
| 食欲不振・悪心・嘔吐がすでにある方 | 症状の悪化リスクあり |
| 体力が著しく衰えている方 | 副作用が強く出やすい |
| 妊婦または妊娠の可能性がある方 | 有益性がリスクを上回る場合のみ使用可 |
| 授乳中の方 | 母乳栄養とのバランスを考慮し、使用を検討 |
| 小児 | 臨床試験未実施のため慎重に |
| 高齢者 | 生理機能低下が想定されるため減量などの配慮が必要 |
相互作用(飲み合わせの注意)
併用注意薬(甘草・グリチルリチン酸製剤)
- 芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散などの漢方薬
- グリチルリチン酸一アンモニウム配合製剤
(例:グリシン・L-システインやDL-メチオニン配合剤)
併用により起こり得る副作用
- 偽アルドステロン症(むくみ、体重増加、高血圧、電解質異常)
- ミオパチー(筋力低下、けいれん、まひ)
メカニズム:グリチルリチン酸は、カリウムの排泄を促進する作用があり、低カリウム血症を引き起こしやすくなります。
副作用
重大な副作用(頻度不明)
- 偽アルドステロン症
低カリウム血症、浮腫、血圧上昇、体液貯留、体重増加など
→ 症状が出た場合は投与を中止し、カリウム補給など適切な対応を。 - ミオパチー(筋障害)
脱力感、けいれん、四肢のまひなど
→ 早期発見・早期中止が重要です。
その他の副作用(頻度不明)
- 過敏症状:発疹、赤み、かゆみ、蕁麻疹
- 消化器症状:食欲不振、吐き気、下痢など
名前の由来
- 「消風散」の“風”は、皮膚のかゆみを引き起こす要因の象徴
- “かゆみを消して改善する処方”という意味が込められています
まとめ
- 消風散は、かゆみが強く分泌物が多い皮膚疾患に適応した漢方薬です。
- 抗アレルギー・抗炎症・抗ヒスタミン作用が研究で示されています。
- 乾燥が目立つ病変や体質に合わない場合は、悪化の可能性も。
- 甘草(カンゾウ)由来の副作用や薬との相互作用に要注意。
- 用法・用量を守り、異常があればすぐに医療機関へ。
当院では患者さん一人ひとりの体質・背景・併用薬を丁寧に確認し、消風散が適切かどうかを判断いたします。気になる皮膚症状があれば、いつでもお気軽にご相談ください。ます。
気になる症状がある方は、お早めにご相談ください。
参考文献・出典
ツムラ添付文書(最新版)
KEGG DRUG:D06989(化学構造・薬効分類など掲載)
医学書院『皮膚科における漢方治療の現況』(赤松浩彦ほか、1994年)
Tsunematsu M, et al. 和漢医薬学雑誌 13(1): 66-72, 1996
日本獣医師会雑誌 48(9): 673-676, 1995(岡田啓司ら)
よくある質問(Q&A)
-
消風散はどんな症状に効果がありますか?
-
消風散は、分泌物が多く、かゆみの強い慢性の皮膚疾患に効果があります。具体的には以下のような症状が対象です。
・皮膚そう痒症(かゆみを伴う皮膚病)
・湿疹
・蕁麻疹(じんましん)
・水虫
・あせも
-
消風散は、同じ系統の漢方薬と比べてどんな強みがありますか?
-
同じく皮膚のかゆみや湿疹に使われる漢方薬には、黄連解毒湯や十味敗毒湯などがありますが、消風散の特徴は以下の通りです。
「風邪(ふうじゃ)=皮膚のかゆみの原因」を消すという、痒みに特化した処方
分泌物が多くジクジクしているタイプの皮膚疾患に強い
抗ヒスタミン・抗アレルギー・抗炎症作用の三重の薬理効果を持つ
-
消風散の発売年(承認年)はいつですか?
-
「ツムラ消風散エキス顆粒(医療用)」は、1985年(昭和60年)5月31日付の「厚生省薬務局薬審2第120号通知」に基づいて製造承認を取得しています。
-
薬価と実際の価格は?30日分ではいくらくらい?
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ツムラ消風散エキス顆粒(医療用)の薬価は12.1円/gです。
通常量は1日7.5gなので、30日分で:- 3割負担の自己負担額:約820円〜850円(院内処方・処方箋料・調剤料などで上下あり)
- 薬価ベース:2727円(12.1円 × 7.5g × 30日)
-
この薬は飲んですぐ効く?効果が出るまでにどれくらいかかる?
-
漢方薬は即効性よりも体質改善を重視する薬です。
ただし消風散は一部でかゆみの緩和が数日で実感されることもあります。- 効果発現:数日〜1〜2週間程度
- 効果持続:継続服用で安定的な効果を目指す処方
症状や体質(証)によって、効果の現れ方には個人差があります。
-
妊娠中に「消風散」を飲んでも大丈夫ですか?
-
妊娠中の服用は「有益性が危険性を上回ると判断された場合に限る」とされています。
妊娠中のかゆみ(妊娠性痒疹など)で処方されることもありますが、産婦人科医と要相談です。
安全性データは十分でないため、自己判断での服用はNG
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授乳中の服用は大丈夫?母乳への影響は?
-
授乳中は、
- 母乳への移行性は明確に確認されていませんが、
- 治療の有益性と授乳の重要性をバランスよく判断することが求められます。
母乳育児を続けたい方は、医師と相談のうえ、必要に応じて授乳中断や代替薬の検討も行われます。
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子どもに飲ませてもいい薬ですか?
-
ツムラ消風散は、小児に対する臨床試験が行われていません。ただし、医師の判断で体質・症状に応じて処方されるケースもあります。
小児に使用する場合は、用量の調整や副作用への注意が必要です。



