「疲れて眠れない…」に効く漢方
酸棗仁湯（さんそうにんとう）とは？

酸棗仁湯（さんそうにんとう）とは？

酸棗仁湯（さんそうにんとう）は、心と体がともに疲れて眠れない状態に用いられる漢方薬です。

• 単なる「心の不調」ではなく、「体力の消耗」も伴うような不眠が対象
• 漢方の視点から体質を整えることで、自然な眠りを導くことを目的としています

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酸棗仁湯ってどんな漢方？

• 『金匱要略（きんきようりゃく）』という古代中国の医学書に記載された処方です
• 心と体の両方が疲れて眠れないときに使われます

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成分と構成：5つの生薬

この漢方は、以下の5種類の生薬からできています：

• 酸棗仁（さんそうにん）
• 茯苓（ぶくりょう）
• 川芎（せんきゅう）
• 知母（ちも）
• 甘草（かんぞう）

特徴的な成分：

• 知母に含まれる「マンギフェリン」
• 甘草に含まれる「グリチルリチン酸」

※有機溶媒や余計な添加物を使わず、自然な薬効を大切にしています。

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効果・効能

「心身がつかれ弱って眠れない状態」に効果があります。

対象となる症状の例：

• 日々のストレスで精神的に疲れている
• 体力も落ちて、夜に眠れない
• 睡眠薬に頼らず、自然に眠れるようにしたい

※酸棗仁湯は、体全体のバランスを整えることで眠りを改善します。

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有効性と使い方のポイント

漢方薬は「誰にでも効く」わけではありません。

• 「証（しょう）」という漢方独自の体質・症状のタイプに合うことが大前提
• 医師が体調を観察し、合っているかを判断する必要があります

効果が見られない場合には、他の漢方薬へ変更することもあります。

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飲み方・用量

• 通常、1日7.5gを2〜3回に分けて服用します
• 食前または食間（食後2〜3時間後が目安）

※年齢・体格・症状により、医師が量を調整します

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注意が必要な方

明確な「服用禁止」はありませんが、以下のような方には注意が必要です：

• 胃腸が弱く、食欲がない方
• 吐き気や嘔吐のある方
• 妊娠中または妊娠の可能性がある方
• 授乳中の方
• 小児（臨床試験が未実施のため慎重に）
• 高齢者（体の機能が低下していることが多く、減量が必要な場合あり）

また、甘草（かんぞう）が含まれているため：

• 高血圧の方
• カリウムが下がりやすい体質の方

は、体調変化に注意が必要です。

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飲み合わせに注意が必要な薬

以下の薬と併用することで副作用リスクが上がる場合があります。

甘草を含む漢方薬：

• 芍薬甘草湯（しゃくやくかんぞうとう）
• 補中益気湯（ほちゅうえっきとう）
• 抑肝散（よっかんさん）など

グリチルリチン酸を含む薬：

• 一部の風邪薬や保湿剤
• グリチルリチン酸一アンモニウム含有製剤

これらを併用すると…

• 低カリウム血症
• むくみ・血圧上昇
• 筋肉のけいれん・脱力感

などが生じることがあります。

必ず、医師に服用中の薬を伝えるようにしてください。

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副作用について

◆◆ 重篤な副作用（まれに発生）

• 偽アルドステロン症
  　むくみ・血圧上昇・体重増加など
• ミオパチー（筋肉の異常）
  　筋力の低下・手足のけいれん・しびれなど

これらは低カリウム血症が原因となって起こることがあります。

◆◆ その他の副作用（頻度不明）

• 胃の不快感
• 食欲不振
• 吐き気
• 下痢
• 腹痛

※体調に異変を感じたら、すぐに服用を中止して医師に相談してください。

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まとめ：酸棗仁湯は「心身の疲れによる不眠」にやさしく効く

• 酸棗仁湯は、睡眠薬とは異なるアプローチで作用する漢方薬です
• 「疲れて眠れない」「眠りが浅い」と感じる方に適しています
• ただし、併用薬や体質には注意が必要です

効果がないときは無理に続けず、医師と相談しながら調整していくことが大切です。

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医師からのひとこと

「眠れない」とき、原因は単なる不眠症だけでなく、体の疲れ・心の乱れが背景にあることが多いです。

当院では、患者さまの体質や日常の疲れ具合を丁寧に見極めたうえで、最適な漢方薬をご提案しています。
気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。ひご相談ください。

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参考文献・出典

ツムラ 酸棗仁湯エキス顆粒 添付文書（最新版）
→ PMDA 医薬品医療機器総合機構

KEGG DRUG データベース
→ KEGG D06968

JAPIC医療用医薬品集
→ 添付文書PDFあり

医中誌Web・CiNii Articles（漢方薬・酸棗仁湯で検索）
→ 国内の漢方関連研究多数

よくある質問（Q&A）