のどに違和感が続く人へ|半夏厚朴湯ってどんな漢方?

のどに違和感が続く人へ
半夏厚朴湯ってどんな漢方?

気分のふさぎ感と喉のつかえがあり『半夏厚朴湯』を使っています。

半夏厚朴湯は、のどのつかえ感(異物感)、気分のふさぎ、

不安感、吐き気、動悸、めまい、不眠などに用いられる漢方薬です。

とくに、のどに何か詰まったような違和感がある場合に適応します。

半夏厚朴湯はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。


■ 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)とは

漢方の古典『金匱要略(きんきようりゃく)』に記載された処方をもとにした、5種類の生薬からなる漢方薬です。

◉ 構成生薬(5種類)

  • 半夏(ハンゲ)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 厚朴(コウボク)
  • 蘇葉(ソヨウ)
  • 生姜(ショウキョウ)

■ 特徴

◎ 古典処方を現代製剤に

『金匱要略』の処方をもとに、飲みやすい顆粒剤として開発されました。

◎ 適応する主な症状

  • 気分のふさぎ
  • 咽喉(いんこう)〜食道の「つかえ感」
  • 吐き気
  • 動悸(どうき)
  • めまい
  • 不安感

これらの複数の症状が重なる人に適しています。

◎ 抗不安作用の裏づけ

薬効薬理試験で抗不安作用が確認されています(※臨床試験の具体的なデータは未掲載)。


■ 効能・効果

以下の症状に対して効果があります:

  • 不安神経症
  • 神経性胃炎
  • つわり
  • せき
  • しわがれ声
  • 神経性食道狭窄症
  • 不眠症

✅ とくに「梅核気(ばいかくき)」=のどに何かが詰まったような違和感がある人に、よく使われる処方です。


■ 有効性の根拠(基礎・臨床)

  • 基礎研究:抗不安作用が薬理学的に確認されています。
  • 臨床データ:今回の資料には、試験の対象数や効果の数値などは掲載されていません。

✔ 実臨床では、「のどのつかえ感」と「気分の落ち込み」が同時にある方に体質(証)に応じて処方されることが多いです。


■ 用法・用量

  • 通常の成人:1日7.5g2〜3回に分けて食前または食間に服用
  • 年齢・体重・症状に応じて適宜増減可能

💡補足ポイント

  • 「食間」とは:食後2〜3時間後のことを指します。
  • 飲み忘れた場合:気づいた時点で1回分のみ服用。重ねて服用しないよう注意。
  • 効果が見られない場合:漫然と継続せず医師と相談を。

■ 使用できない方(慎重投与)

明確な「禁忌(きんき)」の記載はありませんが、以下の方は慎重に使用すべきです。

対象注意点
妊婦・妊娠の可能性がある方有益性が危険性を上回る場合のみ使用
授乳中の方母乳への影響を考慮して継続を検討
小児臨床試験データがないため慎重に判断
高齢者一般的に生理機能が低下しているため、減量などの配慮を
証が合わない方無理に継続せず医師に相談を

■ 飲み合わせに注意すべき薬

◎ 他の漢方薬との併用に注意

以下の生薬が含まれる漢方薬と重複する可能性があります:

  • 半夏(はんげ)
  • 茯苓(ぶくりょう)
  • 厚朴(こうぼく)
  • 蘇葉(そよう)
  • 生姜(しょうきょう)

過剰摂取になる恐れがあります。
→ 処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントも含めて一覧で提示してください。


■ 副作用と発生頻度

分類症状の例
皮膚発疹・発赤・かゆみ(そう痒)
肝臓肝機能異常(AST・ALTの上昇)

⚠ いずれも発生頻度は不明です。

✔ 以下のような症状が出た場合はすぐに服用を中止し、受診を

  • 湿疹やかゆみが出た
  • 体がだるい
  • 尿の色が濃くなった
  • なんとなく調子がおかしい

■ まとめ

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、以下のような方に適しています:

  • のどのつかえ感がある
  • 不安感・気分の落ち込みを感じる
  • 複数の症状が体質(証)に一致している

◉ 使用上の注意点

  • 抗不安作用あり(薬理データにて確認)
  • 証(体質)との適合が重要
  • 改善がなければ漫然と継続しない
  • 他の漢方薬との併用に注意
  • 副作用(皮膚症状・肝機能異常)が出たら中止して受診を

参考文献・出典

添付文書(ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒)https://www.tsumura.co.jp/products/

KEGG DRUG:D07032(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066244)

ツムラ公式サイトの製品情報ページ

「漢方処方解説」などの臨床応用書籍

論文検索サイト(CiNii、PubMed)での検索キーワード:「Hangekobokuto」「梅核気」「漢方 抗不安」

よくある質問(Q&A)


半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)はどんな症状に効きますか?

のどのつかえ感(異物感)、気分のふさぎ、不安感、吐き気、動悸、めまい、不眠などに用いられる漢方薬です。
とくに、のどに何か詰まったような違和感がある「梅核気(ばいかくき)」に適応します。

先発薬の発売年はいつですか?

ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒(医療用)は、1985年(昭和60年)5月31日に「厚生省薬務局薬審2第120号通知」に基づき承認されました。

1か月(30日)処方時の薬価と自己負担額の目安は?

【薬価】:14.6円/g(ツムラ製品)

【1日用量】:7.5g(通常成人量)

【30日分の薬価】:14.6円 × 7.5g × 30日 = 3,285円

自己負担額の目安(3割負担):約 985円/月
※調剤料や管理料は別途かかります。

妊娠中に半夏厚朴湯は使えますか?

妊婦または妊娠している可能性がある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ使用できます。

妊娠中の服用は必ず医師に相談のうえ行ってください。

動物実験レベルでは催奇形性の報告はありませんが、十分なヒトデータがないため注意が必要です。

特に妊娠初期(12週未満)は慎重に判断します。

授乳中に使っても大丈夫ですか?

授乳中の使用については、治療上の有益性と母乳栄養の有益性のバランスをみて判断します。

ただし、乳児への影響が否定できないため、医師と相談のうえ、授乳継続または一時中止を検討することが推奨されます。

現時点で、母乳中への有効成分の明確な移行データはありません。

子どもには使えますか?使える場合の注意点は?

小児を対象とした臨床試験は行われていません。
そのため、医師が個別に体重・体質を見て慎重に判断します。

異常があればすぐに服用を中止し、受診してください。

投与量は通常よりも減量されることが多いです。

小児の体質(証)との適合が重要です。

半夏厚朴湯は飲んでからどれくらいで効きますか?持続時間は?

作用発現時間(目安):体質に合えば、数日〜1週間程度で症状の軽減を感じることが多いです。

持続時間:半夏厚朴湯の成分は即効性よりもじわじわ効くタイプで、1日2~3回に分けて服用を継続することで効果を維持します。

※漢方薬は「合う体質(証)」であることが前提で、合っていないと効果は得られにくくなります。

半夏厚朴湯とほかの漢方薬を一緒に飲んでも大丈夫?

**同じ生薬(半夏・茯苓・厚朴・蘇葉・生姜)**を含む他の漢方薬と併用すると、重複による過量摂取の恐れがあります。
必ず医師・薬剤師に相談してください。

どのようなときに服用を中止すべきですか?

発疹、かゆみ、赤みなどの皮膚症状

だるさ、食欲不振、尿の色が濃い

効果を感じられず、2週間以上症状が続くとき

➡ 上記のような異変があれば、すぐに服用をやめて医師に相談しましょう。