熱や頭痛にカロナールってどう?アセトアミノフェンの効果・飲み方を解説

熱や頭痛にカロナールってどう?
アセトアミノフェンの効果・飲み方を解説

解熱剤として『カロナール』使っています

アセトアミノフェンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と異なり、

胃への負担や出血リスクが少ないのが最大の特徴です。

  • 胃潰瘍・腎障害・心血管系のリスクが低いです
  • 小児や妊婦でも比較的安全に使えます
  • 肝機能に注意すれば高齢者にも使いやすいです

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

アセトアミノフェン(カロナール)とは?

効能・用量・副作用を医師がやさしく解説


アセトアミノフェンとは

アセトアミノフェンは、発熱や痛みをやわらげる解熱鎮痛薬です。
胃や腸への刺激や出血リスクが比較的少ないのが特徴で、世界保健機関(WHO)の必須医薬品モデルリストにも掲載されています。


アセトアミノフェンの特徴

▶ 歴史と普及

  • 1893年:医薬品として使用開始
  • 1948年:アセトアニリド・フェナセチンの活性代謝物と認められ、世界的に普及

▶ 日本での製品展開

  • 1982~1984年:苦味を抑えた細粒20%が登場
  • 1996年:錠剤200mg/300mgが承認
  • 2003年:名称と規格を整理、**成人向け300mg錠や細粒50%**が追加
  • 2007年小児用の用法・用量が正式承認
  • 2011年:国際標準(最大4000mg/日)に合わせて国内の上限用量を拡大
  • 2014年:高用量対応の500mg錠が承認・収載
  • 2023年:関節リウマチ・術後疼痛なども含めた**「各種疾患・症状における鎮痛」**へ効能整理

▶ 剤形の工夫と特徴

  • 錠剤200/300/500mg:いずれも割線入り(500mgは楕円形)で用量調整しやすい
  • 細粒20%・50%:苦味を抑えた矯味(味を調えること)と良好な流動性で、秤量誤差が少なく、機械分包にも適している

効能・効果

  • 各種疾患・症状における鎮痛
     → 関節リウマチ、術後疼痛なども含まれます
  • 急性上気道炎(風邪・急性気管支炎など)の解熱・鎮痛
  • 小児の解熱・鎮痛

※年齢・体重・症状により適切な用量は変わります。
自己判断での長期使用は避け、医師や薬剤師にご相談ください。


有効性(臨床試験など)

▶ 歯科治療後の痛み

国内試験でカロナール錠200を2錠使用した結果、
有効率は約56~71%(小規模研究)

▶ かぜによる発熱・頭痛

  • 解熱の有効率:66~73%
  • 鎮痛の有効率:50~75%

※効果には個人差があります


用法・用量

▶ 成人(鎮痛目的)

  • 1回 300〜1000mg
  • 4〜6時間以上あけて服用
  • 1日最大 4000mgまで
  • 空腹時は避けることが望ましい

▶ 成人(風邪などの解熱・鎮痛)

  • 1回 300〜500mg を頓用
  • 原則 1日2回まで
  • 最大1日1500mg

▶ 小児(解熱・鎮痛)

  • 1kgあたり10〜15mg/回
  • 4〜6時間以上あける
  • 最大60mg/kg/日まで
    (ただし1回500mg、1日1500mg、成人量を超えないこと)

▼ 目安(例):

体重1回用量錠剤の目安
10kg100〜150mg錠200の半錠
20kg200〜300mg錠200×1〜1.5錠/錠300×1錠
30kg300〜450mg錠300×1錠

特記事項(注意点)

  • アスピリン喘息の既往歴:1回300mg以下に制限
  • 高用量(1500mg超/日)・長期使用:定期的な肝機能検査が必要
  • 市販薬や総合感冒薬との重複服用は避けてください(成分名:アセトアミノフェン)

使用できない方(禁忌)

  • 重い肝障害のある方
  • 過敏症の既往がある方(成分アレルギー)

服用前に医師へ相談が必要な方

  • 肝機能障害・栄養不良・脱水・多量飲酒者
  • 腎機能障害のある方(減量や間隔調整が必要)
  • 気管支喘息、出血傾向、心機能異常がある方
  • 感染症を伴う方(症状を隠すおそれ)
  • 妊娠中・授乳中の方(医師とリスク評価を)

飲み合わせに注意すべき薬

  • ワルファリン(クマリン系抗凝固薬):作用が強くなる可能性
  • 肝代謝酵素誘導薬:カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシンなど
    → 肝障害のリスクが上がることがあります
  • アルコール(飲酒):肝毒性代謝物が増え、リスク増加
  • 一部の抗菌薬:過度な体温低下の報告あり
  • アセトアミノフェン配合薬(市販の風邪薬など):重複内服に注意

副作用と発生頻度

▶ 重大な副作用(頻度不明)

  • ショック・アナフィラキシー:息苦しさ・蕁麻疹・全身の赤み
  • 皮膚障害:TEN(中毒性表皮壊死融解症)、Stevens-Johnson症候群 など
  • 肝障害:劇症肝炎、黄疸、肝機能値の異常
  • 血液障害:顆粒球減少
  • 間質性肺炎・腎障害
  • 薬剤性過敏症症候群(DRESS):発疹・発熱・リンパ節の腫れなど、遅れて重くなる反応

▶ その他の副作用

  • 消化器症状:吐き気、嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢(高用量時)
  • アレルギー反応・出血時間延長など

受診の目安

以下の症状が出た場合は、服用を中止してすぐ受診してください。

  • 息苦しさ、強い発疹、高熱
  • 尿の色が濃くなる、目や皮膚が黄色い(黄疸)
  • 強いだるさや持続する吐き気

まとめ

アセトアミノフェン(カロナール)は、発熱や痛みの第一選択薬として幅広く使用されています。
胃腸への負担が少ない一方で、肝臓への影響には注意が必要です。

  • 成人は:1回300〜1000mg、最大4000mg/日
    (かぜなどは1回300〜500mgを頓用、1日2回まで)
  • 小児は:体重あたり10〜15mg/回で調整

他薬との重複内服(とくに市販の風邪薬)には注意
ワルファリン、飲酒、肝代謝酵素誘導薬との併用は要注意です。

参考文献・出典

PMDA 添付文書(最終改訂:2023年10月 第4版)
 → https://www.pmda.go.jp

KEGG DRUG:D00217(薬効・代謝経路データベース)
 → https://www.kegg.jp

WHO Essential Medicines List(必須医薬品リスト)

薬事・食品衛生審議会議事録(小児・高用量適応の公知申請審査)

国内臨床試験(基礎と臨床、ペインクリニック誌など)

よくある質問(Q&A)


この薬(アセトアミノフェン)の同じ系統の薬と比べた強みは何ですか?

アセトアミノフェンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と異なり、胃への負担や出血リスクが少ないのが最大の特徴です。
NSAIDsと比べて:

  • 胃潰瘍・腎障害・心血管系のリスクが低い
  • 小児や妊婦でも比較的安全に使える
  • 肝機能に注意すれば高齢者にも使いやすい

特にカロナールは、細粒・錠・原末・坐剤など豊富な剤形が揃っており、患者の年齢や状況に応じた柔軟な処方が可能です。

カロナール(先発薬)の発売年はいつですか?

1984年:カロナール細粒20% 発売

1996年:カロナール錠200・300 発売

2003年:名称整理・細粒50%など追加

2014年:高用量に対応するカロナール錠500が発売

2023年:公知申請により「各種疾患・症状における鎮痛」へ効能追加

1か月(30日)処方時の薬価と、実際の自己負担額の目安は?

以下は30日間(1日3回)内服した場合の**カロナール錠の薬価と自己負担額の目安(3割負担)**です。

錠剤薬価1日3回×30日自己負担額(3割)
錠2006.7円6錠×30日=180錠 → 1,206円362円
錠3007円3錠×30日=90錠 → 630円189円
錠50011.3円3錠×30日=90錠 → 1,017円305円

※目安金額です。調剤料・薬局ごとの価格設定で異なります。

効果が出るまでの時間と、効果が続く時間は?

  • 作用発現時間(効き始め):服用後 30分〜1時間程度
  • 持続時間(効果の持続)4〜6時間程度

→ このため、用法としても「4〜6時間以上の間隔」が基本となっています。

妊娠中にアセトアミノフェンは使えますか?

使用は可能ですが、医師と相談のうえで慎重に使います。

医師は「治療上の有益性がリスクを上回る場合に使用」という考え方で判断します

他のNSAIDsと比べて、胎児へのリスクが少ないとされる薬です

ただし、妊娠後期では動脈管収縮の可能性があるため、注意が必要です

授乳中に使っても大丈夫ですか?

はい、基本的には使用可能です。

ただし、高用量を長期にわたって使う場合などは、一時的な授乳の中断や医師への相談が推奨されます

母乳中への移行は少なく、WHOも**「授乳中でも使える薬」**としています

子どもに使っても大丈夫ですか?注意点は?

はい、小児の解熱・鎮痛薬として広く使われています。

過量投与や重複内服(市販薬との併用)に注意し、保護者の管理が重要ですさい。

体重1kgあたり10〜15mgを目安に、4〜6時間あけて服用

1日最大60mg/kgまで(1回500mg・1日1500mg、成人量を超えない)

シロップ・細粒・坐剤など剤形が選べるのも特長です