ザルティアってどんな薬?前立腺肥大による排尿トラブルへの効果と副作用まとめ

ザルティアってどんな薬?
前立腺肥大による排尿トラブルへの効果と副作用まとめ

夫が夜間頻尿あり『ザルティア®』を使っています

ザルティアは1日1回で24時間作用が持続し、夜間頻尿や早朝の尿意にも効果があります。

また、勃起障害(ED)との合併にも効果があります。

血圧への影響が比較的少なく、ふらつきや立ちくらみが出にくいです。

ザルティアはオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。


ザルティア®(タダラフィル)とは?

ザルティア®は、前立腺肥大症による排尿トラブル(頻尿・尿の勢いの低下・残尿感など)を改善するお薬です。

1日1回の内服で、2〜4週間ほどで効果が出やすいのが特徴です。

ただし、ニトログリセリンなどの硝酸薬を使っている方は絶対に併用できません。


✅ この記事でわかること

  • ザルティアの特徴と作用のしくみ(PDE5阻害薬って何?)
  • 効果が出るまでの期間と臨床試験の結果(IPSSって何?)
  • 飲み方・費用の目安
  • 使用できない人(禁忌)と注意が必要な薬の組み合わせ
  • 副作用の頻度と、受診すべき症状の目安

ザルティア®の特徴

PDE5阻害薬って?

ザルティアは、「PDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬」というタイプの薬です。

この薬は、前立腺や膀胱のまわりの筋肉をゆるめることで、尿を出しやすくする働きがあります。
もともとはED(勃起不全)に使われていた成分ですが、排尿障害にも効果があることがわかり、ザルティアとして製品化されました。


その他の特徴

  • 2014年に発売開始、2020年には後発品も登場
  • 1日1回で効果が持続(半減期:約14〜15時間)
  • 食事の影響をほとんど受けないため、食前・食後いつでも服用可能
  • 前立腺自体を縮める薬ではないため、根本治療が必要な場合は手術などを検討する必要があります

効能・効果

  • 前立腺肥大症にともなう排尿障害の改善

有効性(臨床試験より)

IPSSスコアって?

IPSS(国際前立腺症状スコア)は、排尿のつらさや生活への影響を点数で評価する方法です。
夜間のトイレの回数や、尿の出にくさ、残尿感など7つの質問に答え、その合計点で症状の重さを数値化します。

スコアが高い=つらい状態
スコアが下がる=改善している
ことを意味します。


▶ 第III相試験(日本・韓国・台湾、n=309)

  • IPSSスコアの変化:
     プラセボ:−3.0 / ザルティア5mg:−4.7(差 −1.7、p=0.004)
  • 日本人のみのデータ(n=173)でも有意差あり(−1.7、p=0.036)
  • 服用開始2週目から改善が見られました

▶ 第III相試験(日本・韓国、n=610)

  • プラセボ:−4.5 / ザルティア:−6.0(差 −1.5、p<0.001)
  • 4週目以降には明確な効果

▶ 第II相試験(日本、n=422)

  • 2.5mgと5mgの両方に効果あり
     → 5mgの方がより改善が大きい傾向

▶ 長期投与試験(最大54週、n=394)

  • 長期でも効果が続き、副作用も少ない(忍容性良好

まとめ:

  • 2〜4週で効果が出始め、12週でより明確な改善
  • 長く飲み続けても安定して効果が得られる

用法・用量

  • 通常:1日1回 5mgを水で服用

▼ 以下の方は2.5mgからの開始を検討

  • 腎機能がやや低下している方
  • 強いCYP3A4阻害薬(※)を使用中の方
     ※例:イトラコナゾール、クラリスロマイシンなど

🍽 食前・食後、どちらでもOKです。


使用できない方(禁忌)

以下の方は、ザルティアを使用できません:

  • ザルティア成分にアレルギーがある方
  • 硝酸薬(ニトログリセリンなど)使用中
  • sGC刺激薬(リオシグアトなど)使用中
  • 重度の腎障害・肝障害がある方
  • 以下のような心臓・脳の病気がある方

 - 不安定狭心症
 - 心不全(NYHA分類でⅢ以上)
 - コントロールが不十分な不整脈・高血圧(170/100以上)・低血圧(90/50未満)
 - 3か月以内の心筋梗塞、6か月以内の脳卒中(脳梗塞・脳出血)


飲み合わせに注意が必要な薬

種類注意点
CYP3A4阻害薬イトラコナゾール、クラリスロマイシン、グレープフルーツジュースなど血中濃度が上がる → 2.5mg開始を検討
HIVプロテアーゼ阻害薬リトナビルなど同上
CYP3A4誘導薬リファンピシンなど効果が下がるおそれあり
α遮断薬ドキサゾシン(注意)、タムスロシン(影響少)血圧が下がりすぎることあり
降圧薬全般ARB、ACE阻害薬、Ca拮抗薬など降圧作用が強くなる可能性
アルコール特に大量摂取時めまいや立ちくらみのリスクが上昇

🚫 併用禁忌(絶対に併用してはいけない薬)
→ 硝酸薬・NO供与薬、リオシグアト(sGC刺激薬)


副作用と発生頻度

● よくある副作用(1%以上)

  • 頭痛
  • 消化不良

● 時々見られる副作用(1%未満)

  • 動悸(どうき)、顔のほてり・赤み
  • 胃もたれ、下痢
  • 筋肉痛、背中の痛み
  • めまい

● まれでも注意すべき副作用(頻度不明)

分類症状の例
視力低下、視野欠損、霧視、NAION(視神経の血流障害)など
突発性難聴、急な聴力低下(耳鳴り・めまいを伴うことあり)
心血管心筋梗塞、胸痛、失神、重い低血圧、突然死など
勃起異常勃起が4時間以上続く(持続勃起)
アレルギー反応発疹、顔の腫れ、息苦しさ、重い皮膚の副作用(SJSなど)

すぐに受診すべき症状

以下の症状が出たら、すぐに医療機関へ

  • 胸の痛み・動悸・失神
  • 勃起が4時間以上続く(持続勃起)
  • 視力が急に落ちた・失明した
  • 急な聴力低下
  • 息苦しさ、顔や喉の腫れなど強いアレルギー反応

💡 血圧が下がることがあります。服用後は、めまいや視界がぼやけるようなときには運転や機械操作を避けましょう。


まとめ

  • 1日1回の内服で、排尿症状の改善が期待できるお薬です
  • 2〜4週で効果が出始め、12週で明確な改善が見込めます
  • 硝酸薬やリオシグアトとの併用は絶対NG
  • 副作用は軽度なものが多いですが、重い症状には要注意
  • 改善が乏しい場合は、他の薬や手術を含めた治療方針の見直しも視野に

💬 排尿の不快感は生活の質(QOL)に直結します。

自己判断で薬を使わず、持病・服薬状況・体調をふまえて医師と相談の上で使用しましょう。

診察時には、市販薬やサプリメントも含め、すべての服用中の薬を申告してください。

参考文献・出典

【PMDA】医薬品インタビューフォーム(ザルティア錠)
https://www.pmda.go.jp/

【KEGG DRUG】D02008(タダラフィル)
https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr:D02008

【PubMed】国際共同試験に関する論文(例:Yokoyama O. et al. Int J Urol. 2013)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/

【添付文書】ザルティア錠(日本新薬)
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2590016F2027_2_07/

【薬価基準収載医薬品コード】2590016F2027

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の薬(前立腺肥大症治療薬)と比べて、ザルティアの強みは?

ザルティア(成分名:タダラフィル)は、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬という、比較的新しいタイプの薬です。
一般的な前立腺肥大症治療薬(ハルナール:タムスロシン、ユリーフ:シロドシン、フリバス:ナフトピジルなど)は、α1遮断薬と呼ばれるタイプで即効性に優れますが、持続時間は短めです。

それに対して、ザルティアは1日1回で24時間作用が持続し、夜間頻尿や早朝の尿意にも効果があるとされます。また、勃起障害(ED)との合併にも効果がある点は他薬にない特徴です。
さらに、血圧への影響が比較的少なく、ふらつきや立ちくらみが出にくいとされるのも高齢者にとってのメリットです。

先発薬(ザルティア)の発売年はいつ?

ザルティア錠は2014年に日本新薬から発売されました。
もともとはED治療薬「シアリス」として先に知られていましたが、**「前立腺肥大症に伴う排尿障害」**への効能で改めて承認を受けたのがザルティアです。

1か月分(30日処方)の薬価と自己負担額の目安は?

【先発品:ザルティア錠5mg】薬価:96.2円/錠

30日分(1日1錠)の薬価合計:2,886円

【自己負担額の目安(薬剤費のみ)】

  • 3割負担:約 860円/月
  • 1割負担(高齢者など):約 290円/月

※実際には、処方料・調剤料などが加算されます。

この薬の効果はどれくらいで出る?どのくらい続く?

効果発現時間:2〜4週間ほどで効果が現れやすいとされます(IPSSスコア改善は2週目から出現)。

持続時間:24時間程度(血中濃度が一定になるのは数日で、安定効果には1週間以上が目安)。

半減期が14〜15時間と長く、1日1回の内服で24時間以上の効果が続きやすい設計です。

子どもには使える?

ザルティア(タダラフィル)は18歳未満の小児に対する有効性・安全性は確立していません
また、前立腺肥大症は高齢男性に特有の疾患であり、小児への使用は認められていません

ザルティアを飲んではいけない人は?

硝酸薬やNO供与薬を使用中(ニトログリセリン等)

リオシグアトを使用中

重度の腎障害または肝障害がある

重度の心血管疾患(不安定狭心症、心不全、心筋梗塞直後など)

ザルティアのよくある副作用は?

よくある副作用(1%以上):頭痛、消化不良

ときどきある(1%未満):動悸、筋肉痛、ほてり、胃もたれ、めまいなど

まれだが重篤:視力・聴力障害、持続勃起、アナフィラキシー様反応(顔の腫れ、発疹、呼吸困難など)

まとめるとどんな人に向いている薬?

頻尿、夜間頻尿、尿の勢いが弱い方

EDの合併がある方(勃起不全)

立ちくらみや血圧低下が心配な方(α遮断薬より低リスク)

1日1回の服用で済ませたい方