ベピオってどんな薬?ニキビへの効き目・塗り方・注意点まとめ
ベピオってどんな薬?
ニキビへの効き目・塗り方・注意点まとめ

ニキビで『ベピオ』を使っています。

ベピオは、
「活性酸素による殺菌作用」と
「古い角質を自然にはがすピーリング作用」という2つの働きを持つ、
日本初の過酸化ベンゾイル単剤の外用薬です。
ベピオはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ベピオとは
ベピオ®(一般名:過酸化ベンゾイル)は、ニキビの原因菌「アクネ菌(Cutibacterium acnes)」を殺菌し、毛穴の詰まり(角層肥厚)を改善する2つの作用をもつ外用タイプのニキビ治療薬です。
この2つの作用がある理由は、過酸化ベンゾイルの化学的な性質にあります。
- 肌の上で酸素を発生させてアクネ菌を殺菌
- 同時に、古い角質の結びつきをゆるめて自然に剥がすことで、毛穴の詰まりを防ぎます
つまり、ベピオは「菌をやっつける」「毛穴を掃除する」というダブルの効果でニキビにアプローチする薬です。
ベピオの特徴
◆ 耐性菌対策として開発された薬
欧米では1960年代から使われていた薬ですが、日本では長らく未承認でした。
2010年、日本皮膚科学会が「抗菌薬による耐性菌の増加を防ぐには、BPO(過酸化ベンゾイル)の導入が必要」と厚労省に要望書を提出。これを受けて、マルホ社が日本での開発を始めました。
◆ 抗菌薬に頼らない新しい治療法
過酸化ベンゾイルのみを有効成分とする国内初の単剤製剤として、抗菌薬の代替選択肢になっています。
◆ 剤形のバリエーションで使いやすく
| 剤形 | 特徴 |
|---|---|
| 水性ゲル(2.5%) | さらっとした使用感で、べたつかない |
| 乳剤性ローション(2.5%) | 乾燥しにくく、広い範囲に塗りやすい |
| ウォッシュゲル(5%) | 洗い流すタイプ(※使用は医師の指示で) |
効能・効果
- 尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)=ニキビ
- 白ニキビ・黒ニキビ(=非炎症性)
- 赤ニキビ(=炎症性)
※ 結節や嚢腫(しこりのある重度のニキビ)には、他の治療の併用が必要です。
有効性:臨床試験の結果
| 試験 | 対象/期間 | 効果の指標 | ベピオ群 | プラセボ群 | 統計的有意差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 国内第Ⅱ/Ⅲ相比較試験(ゲル) | 404例 / 12週 | 炎症性皮疹の減少率 | 72.7% | 41.7% | p < 0.001 |
| 国内第Ⅲ相長期試験(ゲル) | 231例 / 52週 | 総皮疹数の推移 | 改善を維持 | ― | ― |
| 国内第Ⅲ相比較試験(ローション) | 222例 / 12週 | 総皮疹数の減少率 | 63.0% | 26.5% | p < 0.0001 |
💡 効果は使用2週目から現れ始め、12週以降も持続します。
用法・用量
- 1日1回、洗顔後に薄く均一に塗布
- 目、口、粘膜、傷口には使用不可
- 初回は少量から始めて、肌の反応を見ながら調整
- 髪や衣類に付着すると漂白作用があるため注意
使用できない方(禁忌)
- 本剤の成分にアレルギーや過敏症の既往歴がある方
併用に注意が必要な薬・製品
| カテゴリ | 例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 外用レチノイド | アダパレン、トレチノイン | 刺激・乾燥が増す可能性あり |
| 外用抗菌薬 | クリンダマイシン、ナジフロキサシンなど | 刺激症状が強くなることがある |
| サリチル酸・硫黄含有製品 | 一部の化粧品 | 重複作用で赤みや乾燥が悪化することがある |
| 紫外線照射 | 日焼け・治療用ランプ | 刺激や色素沈着の恐れあり |
※ 使用中のスキンケアや薬については、医師または薬剤師に相談を
副作用と頻度
主な副作用(ゲル・12週試験/n=204)
- 皮膚の剥け・カサカサ(皮膚剥脱):19.1%
- 赤み(紅斑):13.7%
- 刺激感(ヒリヒリなど):8.3%
ローションでは比較的副作用が少なく、発現率は**11.9%**です。
❗ 顔全体や首に赤みが広がる、強いヒリヒリ感がある場合はすぐに使用を中止して受診しましょう。
まとめ
ベピオは、
「活性酸素による殺菌作用」と「古い角質を自然にはがすピーリング作用」という2つの働きを持つ、日本初の過酸化ベンゾイル単剤の外用薬です。
これにより、ニキビの根本原因であるアクネ菌の増殖と毛穴の詰まりの両方に同時にアプローチできます。
✅ ポイントまとめ
- 1日1回の使用でOK
- 12週間で60〜70%の皮疹を改善
- 耐性菌リスクが少ない
- 刺激性があるため、使い始めは少量から慎重に
- 他の外用薬や紫外線との併用に注意
気になることがあれば、診察の際にご相談ください。
参考文献・出典
インタビューフォーム(マルホ株式会社発行)
→ 製剤の詳細、安全性、臨床試験データが豊富
医薬品添付文書(PMDA公式サイト)
→ 成分・用法・副作用・禁忌など基本情報
日本皮膚科学会の尋常性ざ瘡治療ガイドライン(2017年版)
→ ベピオを含む治療方針が記載
PubMed等の論文データベース(キーワード「Benzoyl Peroxide Acne」など)
→ 海外の比較試験、耐性菌に関する情報も多数
よくある質問(Q&A)
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ベピオって、他のニキビ薬とどう違うの?強みは?
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ベピオの一番の強みは、耐性菌ができにくいことです。
同じニキビ治療薬でも、抗菌薬(例:ダラシンTやナジフロキサシンなど)は使い続けると効かなくなる(耐性菌が増える)リスクがあります。ベピオは「酸化作用」で菌を殺す仕組みなので、耐性菌がほとんど出ないのが最大の特徴です。
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ベピオの発売年はいつ?
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ベピオゲル2.5%:2014年12月に国内で承認
ベピオローション2.5%:2022年12月に追加承認
いずれもマルホ株式会社から販売されています。
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ベピオって1か月分でいくらくらい?保険が効いたら自己負担額は?
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ベピオは保険適用の処方薬です。
剤形 薬価(1gあたり) 30g使用時の薬価 自己負担3割の目安 ベピオゲル2.5% 87.1円/g 約2,613円 約784円 ベピオローション2.5% 94.9円/g 約2,847円 約854円 ※診察料や調剤料を含めると、実際の支払いは1,500〜2,000円前後が目安です。
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ベピオの効果って、いつから出るの?どのくらい続くの?
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効果の現れ始め:使い始めて約2週間で赤ニキビが減り始めたとのデータあり
効果のピーク:**12週間(約3か月)**で炎症性皮疹数が70%以上減少
持続性:52週(1年)にわたって効果が維持された試験結果もあり、長期使用にも対応しています。
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妊娠中でもベピオは使えるの?
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妊娠中は原則、医師と相談のうえで使用してください。
- 動物試験では胎児への影響は確認されていません
- 人での安全性データは不十分
- 医師が「治療上の利益がリスクを上回る」と判断したときに限って使います
💡 つまり、どうしても必要な場合は使えることもありますが、自己判断での使用はNGです。
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授乳中だけど、ベピオを塗っても赤ちゃんに影響ない?
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授乳中も医師と相談してから使いましょう。
- ベピオの成分(過酸化ベンゾイル)は血液中にはほとんど吸収されず、母乳への移行はほぼないと考えられています
- とはいえ、赤ちゃんへの接触リスク(抱っこ時など)は考慮する必要があります
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子どもにも使える?何歳から?
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12歳未満の子どもに対する臨床試験は実施されていません
そのため、通常は12歳以上のニキビに使われる薬です
子どもに使いたい場合は、必ず皮膚科で相談を。



