水虫・カンジダ・癜風に効く塗り薬『アスタット』|1日1回でラクに続けられる理由
水虫・カンジダ・癜風に効く塗り薬『アスタット』
1日1回でラクに続けられる理由

水虫で『アスタット』を使っています。

アスタットは、既存の薬よりも広い抗真菌スペクトル(さまざまなカビに効く)をもちます
アスタットはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
アスタット(ラノコナゾール)とは?
アスタットは、真菌(カビ)による皮膚の感染症に使われる外用抗真菌薬です。 1日1回の塗布で治療できる点が大きな特長です。
使用できる剤形は次の3種類:
- クリーム
- 外用液
- 軟膏
有効成分はラノコナゾールで、薬の分類ではイミダゾール系に属します。
■ イミダゾール系とは?
イミダゾール系とは、皮膚のカビを治療する薬のグループ名です。
- カビの細胞膜を作るために必要な酵素の働きをブロックして、
- カビの成長を止めたり、殺したりする仕組みです。
📌 イメージ:カビの壁(細胞膜)を作る工場にブレーキをかけるような働きです。
この系統の薬には、ミコナゾール、クロトリマゾール、ルリコナゾールなどがあります。
開発の経緯
- 開発者:ツムラと日本農薬の共同開発
- 狙い:既存の薬よりも広い抗真菌スペクトル(さまざまなカビに効く)と、角質層にとどまる性質(貯留性)を目指して研究開始
■ 承認の流れ
- 1994年:アスタットクリーム・外用液が承認
- 1996年:アスタット軟膏が追加承認
- 2009年:製造販売元がマルホへ変更
- 2000年〜2003年:再審査で適正と認められる
特徴
✔ 幅広い抗真菌作用
- 対象:白癬菌(Trichophytonなど)・カンジダ・癜風菌(Malassezia)
- **低MIC値(最小発育阻止濃度)**でよく効く → 少量でもしっかり効果を発揮
✔ 高い浸透力と貯留性
- 角質層にとどまりやすく、塗布を中止しても再増殖しにくい
✔ 血中移行が少ない
- 体内への吸収が非常に少ないため、全身の副作用はほとんどなし
効能・効果(適応症)
以下のような皮膚真菌症に効果があります:
● 白癬(いわゆる水虫の一種)
- 足白癬
- 体部白癬
- 股部白癬
● カンジダ症
- 間擦疹(皮膚がこすれて炎症を起こす)
- 指間びらん症(指の間がただれる)
- 爪囲炎(爪のまわりに炎症が起こる)
● 癜風(でんぷう)
- 背中や首にうろこ状の皮むけが起こる真菌症
有効性(臨床試験の結果)
それぞれの剤形で高い有効率が報告されています(「有効以上」とされた割合)
| 疾患 | クリーム | 外用液 | 軟膏 |
|---|---|---|---|
| 足白癬 | 78.9% | 80.0% | 71.4% |
| 体部白癬 | 84.3% | 84.8% | 77.1% |
| 股部白癬 | 90.6% | 92.0% | 87.5% |
| 間擦疹 | 90.7% | 81.8% | 87.5% |
| 指間びらん症 | 92.6% | 88.5% | 100% |
| 癜風 | 96.7% | 90.0% | 97.0% |
用法・用量
- 1日1回、入浴後または就寝前に、患部よりやや広めの範囲に塗布
- 症状が消えてもすぐにやめないことが大切 → 再発防止のため、症状がなくなっても1〜2週間の継続使用が望ましい
使用できない人(禁忌)
- 本剤や同じ系統(イミダゾール系)の薬にアレルギーの既往がある方
飲み合わせに関する注意点
- 基本的に飲み合わせで問題となる薬はありません。
- ただし、次のような場合は医師・薬剤師へ相談を:
- ステロイド外用薬との併用
- 傷が深い、びらんや亀裂が広い部位への塗布
副作用と頻度
主に軽度な皮膚のトラブルが中心です。
■ よくある副作用(頻度別)
| 症状 | 頻度 |
| 接触皮膚炎、刺激感、発赤 | 0.1〜5%未満 |
| 小水疱、かゆみ、乾燥、ひび、腫れ | 0.1%未満 |
※症状が悪化する場合は使用を中止し、早めに医療機関を受診しましょう。
まとめ
ラノコナゾール(アスタット®)は、
- 1日1回の塗布
- 広い抗真菌スペクトル
- 高い角質貯留性
- 低い副作用リスク
といった特長を持つ、使いやすい抗真菌外用薬です。
📌「市販薬では治らなかった」「毎日塗るのが面倒」「再発が心配」などの方におすすめです。 気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
参考文献・出典
PMDA 医薬品医療機器総合機構(添付文書・インタビューフォーム)
KEGG DRUG データベース(ラノコナゾール:D01092)
KEGG DGROUP(DG01883):イミダゾール系抗真菌薬グループ
マルホ公式サイト(医療関係者向け):アスタット製品情報あり
よくある質問(Q&A)
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アスタットはどんな塗り薬ですか?
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アスタットは「水虫・カンジダ・癜風」などの皮膚真菌症に使われる塗り薬で、1日1回の塗布でOKな外用薬です。主成分はラノコナゾールで、真菌の細胞膜を壊して菌を死滅させます。
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この薬の同じ系統(イミダゾール系)の塗り薬と比べて、どんな強みがありますか?
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アスタット(ラノコナゾール)の主な強みは以下の3点です:
- 広い抗真菌スペクトル(白癬・カンジダ・癜風にしっかり対応)
- 角質層に長くとどまる性質があり、再発を抑えやすい
- 血中移行がごくわずかで、全身的な副作用がほぼない
他のイミダゾール系(例:ビホナゾール、クロトリマゾールなど)と比較しても、殺菌力と持続性のバランスが良いという評価があります。
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アスタット(先発品)はいつ発売されましたか?
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アスタットクリーム・外用液:1994年7月に承認
アスタット軟膏:1996年3月に承認
その後、2009年にマルホが製造販売を承継し、現在も皮膚科で広く使われています。
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1か月(30日分)処方されたときの薬価と、自己負担額の目安は?
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アスタットの薬価(先発品)は以下の通りです(すべて1gまたは1mLあたり):
- クリーム:19.1円/g
- 外用液:19.1円/mL
- 軟膏:19.1円/g
1回の塗布量や範囲によって使用量は変わりますが、**1日1g使用 × 30日で約573円(薬価ベース)**です。
▼ 自己負担額の目安(3割負担)
約 170〜180円/月ほどで使用できます(1日1g程度使用の場合)。
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アスタットの効果はいつから感じられますか?どのくらい持続しますか?
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多くの場合、数日〜1週間ほどでかゆみなどの症状が軽くなってきます。
しかし、菌自体はまだ皮膚の奥に残っていることが多く、見た目が治っても1〜2週間は塗り続ける必要があります。
ラノコナゾールは角質層に長くとどまるため、効果の持続性が高く、再発を抑えやすいという特長があります。
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妊娠中にアスタットは使えますか?
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はい、授乳中でも使用は可能とされています。
妊娠中の使用については、**「医師が必要と判断した場合のみ使用可能」**とされています。
妊娠中は必ず医師の判断を受けてください。
動物実験では催奇形性(赤ちゃんへの影響)は確認されていませんが、ヒトでの十分なデータはないため慎重に使われます。
広範囲やびらん面には使用しない方が安全です。
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授乳中でも使って大丈夫ですか?
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授乳中も、基本的には使用可能とされています。
ただし、乳房や乳輪付近に塗る場合は注意が必要です。授乳の直前には薬をふき取るなどの配慮が必要となります。
ラノコナゾールは血中にほとんど移行しないため、母乳への影響は非常に少ないと考えられています。
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子どもにも使えますか?
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基本的には使用可能です。
気になる場合は小児科または皮膚科の医師に相談してください。
小児に対して特別な禁忌や制限はありません。
ただし、皮膚が薄く敏感な部位への使用や、乳幼児への広範囲塗布には注意が必要です。



