「水虫がかゆい…」そんなときに塗る薬『エクセルダーム』ってどんな薬?
「水虫がかゆい…」
そんなときに塗る薬『エクセルダーム』ってどんな薬?

水虫で『スルコナゾール(エクセルダーム®)』を使っています。

休止期のカンジダ菌にも作用し、
殺菌作用に加えて一部のグラム陽性菌にも抗菌活性がある
スルコナゾール(エクセルダーム®)はオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
スルコナゾール(エクセルダーム®)とは
スルコナゾール硝酸塩(販売名:エクセルダーム®クリーム1%/外用液1%)は、皮膚のかゆみや赤みをともなう真菌症(白癬・カンジダ症・癜風など)の治療に使われる外用抗真菌薬です。
イミダゾール系とは? イミダゾール系とは、真菌(カビ)の細胞膜を構成する物質「エルゴステロール」の合成を妨げる薬剤のグループです。エルゴステロールが作れなくなることで、細胞膜の働きが乱れ、真菌が死滅します。
このスルコナゾールもイミダゾール系に属し、効果的にカビの増殖を抑えます。
1986年に国内発売され、今も保険診療で広く使われています。
スルコナゾールの特徴
開発のルーツ
- 米国シンテックス社(現ロシュ社)により全合成で創製
- 日本では田辺製薬(現田辺三菱製薬)が臨床開発を実施
- 1986年に「エクセルダーム」として発売
名称変更の経緯
- 医療事故防止通知(2000年)に基づき、2008年に現在の名称で再承認・薬価収載されました。
作用機序(はたらき方)
- 真菌の細胞膜にあるATPaseという酵素の働きを変えて、細胞膜の透過性や輸送機能を壊し、菌を死滅させると考えられています。
剤形と薬価
| 剤形 | 薬価 |
|---|---|
| エクセルダームクリーム1% | 17.7円/g |
| エクセルダーム外用液1% | 17.7円/mL |
▶ 使用の目安
- 乾燥した部位にはクリーム、湿った部位や毛の多い場所には外用液が使われます。
血中への移行(吸収率)
- 経皮吸収率は約8.7%(外国人・正常皮膚データ)
- → 体内にはほとんど吸収されず、副作用の心配は少ないとされています。
効能・効果
以下のような皮膚真菌症に使用されます。
白癬(はくせん)
- 足白癬(いわゆる水虫)
- 股部白癬(いんきんたむし)
- 体部白癬(体のたむし)
カンジダ症
- 間擦疹(皮膚と皮膚がこすれ合う部分の発疹)
- 乳児寄生菌性紅斑
- 指の間のびらん症
- 爪まわりの炎症(爪囲炎)
癜風(でんぷう)
- 胸や背中に白っぽい斑点が出る皮膚感染症
有効性(臨床試験成績)
臨床試験での改善率
- クリーム:724/803例(90.2%)
- 外用液:343/389例(88.2%)
▶ 特に改善率が高かった疾患例:
- 股部白癬:95.1%(クリーム)
- 乳児寄生菌性紅斑・指間びらん症:100%(両剤形)
用法・用量
- 1日2〜3回、適量を患部に塗布
▶ 注意点
- 症状がなくなっても1〜2週間は継続して塗布しましょう(再発防止のため)
使用時の注意点
- 目や粘膜、びらん・亀裂のある部位は避ける
- 外用液は刺激が出やすいため、ひび割れのある患部ではクリームが適しています。
使用できない方(禁忌)
- スルコナゾール成分にアレルギーの既往がある方
飲み合わせ(相互作用)
外用薬のため、全身的な飲み合わせの問題は少ないですが、
- 同じ部位に他の外用薬(抗真菌薬やステロイド)を重ねて使うと、刺激や効果の妨げになることがあります。 → 医師の指示がある場合以外は同時使用を避けるのが無難です。
副作用と発生頻度
よくある副作用(0.1〜5%未満)
- かゆみ
- 刺激感・熱感
- 接触皮膚炎
- 赤み(発赤)
まれな副作用(0.1%未満)
- 腫れ(腫脹感)
- ふやけ(浸軟)
- 丘疹(ぶつぶつ)
- 乾燥
▶ 症状が強いときはすぐに使用を中止し、受診してください。
まとめ
スルコナゾール(エクセルダーム®)はこんな薬
- 白癬・カンジダ症・癜風に高い有効性(約90%)
- 1日2〜3回の塗布でOK
- 症状がなくなっても少し続けて塗ると再発防止に◎
- 副作用は軽度な皮膚症状が中心。重大な副作用は報告なし
- 目・粘膜やひどいびらん面には使わない
- 他の外用薬との併用は慎重に
ご相談はお気軽に
皮膚のかゆみや赤みが長引くときは、市販薬をだらだら使い続けるよりも医師の診察と適切な薬を使う方が早く治ります。 オンライン診療にも対応しておりますので、気になる症状があればぜひご相談ください。良くなります。
当院では、オンライン診療・対面診療の両方でご相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
参考文献・出典
PMDA添付文書(最終改訂:2023年7月 第1版D4)
KEGG DRUG:D00886
KEGG DGROUP:DG01883(イミダゾール系抗真菌薬)
インタビューフォーム(田辺三菱製薬)
国内臨床試験データ(白癬・カンジダ症・癜風における有効性報告あり)
よくある質問(Q&A)
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この薬(エクセルダーム)の同じ系統の薬と比べた強みは?
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スルコナゾール(エクセルダーム®)は、幅広い真菌(白癬菌・カンジダ・癜風)に強い殺菌的作用を持つことが特長です。
特に、休止期のカンジダ菌にも作用する点は、ミコナゾールやクロトリマゾールなど一部の既製薬品と比較して優位とされています。
また、殺菌作用に加えて一部のグラム陽性菌にも抗菌活性があることも示されており、二次感染を防ぎやすいのも利点です。
-
先発薬(エクセルダーム)はいつ発売されたの?
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日本では1986年に「エクセルダーム」として初めて発売されました。
その後、医療事故防止の観点から2008年に現在の販売名で再承認・薬価収載されました。
-
1か月(30日)分処方された場合の薬価と実際の自己負担額は?
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薬価は以下のとおりです:
- エクセルダームクリーム1%:17.7円/g
- エクセルダーム外用液1%:17.7円/mL
例)1回1gを1日2回使うと仮定 → 1か月約60g使用
→ 薬価:1,062円(60g×17.7円)
→ 3割負担の自己負担額:約320円+調剤料など※患部の範囲や回数によって増減しますます
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どのくらいで効いて、効果はどのくらい続くの?
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スルコナゾールは1日2〜3回の塗布で効果を発揮し、継続的な使用で1〜2週間以内に症状が改善することが多いです。
ただし、真菌の完全除去には最低でも2〜4週間の使用が必要とされ、症状が治まってからも1〜2週間の継続が推奨されます。
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妊娠中に使っても大丈夫?
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妊娠中の使用については、**「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ使用すること」**とされています。
→ つまり、やむを得ず必要な場合は使えるが、慎重な判断が必要という位置づけです。
臨床試験では妊婦を対象とした安全性データはなく、自己判断での使用は避けてください。医師に相談しましょう。
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授乳中に使ってもいいの?
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授乳中の使用について明記はありませんが、経皮吸収率が低く、母乳への移行リスクは極めて低いと考えられます。
ただし、授乳部位に直接塗布するのは避けるべきであり、使用後はしっかり拭き取るなどの配慮が必要です。
念のため、医師に使用可否を確認するのが安全です。
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子どもにも使える?何歳からOK?
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乳児・幼児を含めた使用実績はありますが、低出生体重児や新生児を対象とした試験は行われていません。
そのため、使用する場合は医師の指示のもと慎重に行う必要があります。▶ 特に注意すべき点:
乳児に自己判断で塗布しないこと
皮膚が薄くデリケートな部位に塗る場合
おむつかぶれとの区別が難しい場合



