「皮膚が赤い・かゆい」それ、菌かも?エンペシドで治療するケースとは

「皮膚が赤い・かゆい」それ、菌かも?
エンペシドで治療するケースとは

水虫で『クロトリマゾール(エンペシド®)』を使っています。

世界初のイミダゾール系外用薬に位置づけられるお薬です

クロトリマゾール(エンペシド®)はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

クロトリマゾール(エンペシド®)とは

イミダゾール系(カビを退治するグループ)の外用抗真菌薬で、白癬(水虫など)・カンジダ症・癜風(でんぷう)など皮膚のカビ感染に用いられます。日本では1976年発売。

イミダゾール系とは? 抗真菌薬の一種で、真菌(カビ)の細胞膜を作る酵素をブロックして増殖を止めるしくみを持ちます。幅広い種類のカビに効果があります。

  • 先発品:エンペシドクリーム1%(バイエル薬品)
  • 後発品:クロトリマゾールクリーム1%「イワキ」 など

クロトリマゾールの特徴

  • 世界初のイミダゾール系外用薬: ドイツ・バイエル社が900種以上から選び抜いた有効成分。
  • 幅広い抗真菌スペクトル: 皮膚糸状菌(水虫の原因菌)・カンジダ菌・癜風菌までカバー。
  • 皮膚になじみやすい: 角質層に浸透し、血液にはほぼ入らない → 全身副作用が少ない。
  • 2つの作用
    • 低濃度:菌の増殖をストップ(静真菌作用)
    • 高濃度:菌を直接倒す(殺真菌作用)

効能・効果(添付文書より)

分類主な適応疾患
白癬足水虫(趾間・汗疱状・斑状小水疱性)、頑癬 など
カンジダ症指間ただれ、間擦疹、おむつかぶれ、皮膚カンジダ、爪周囲炎
癜風皮膚の色がまだらになる癜風

有効性(臨床試験データ)

疾患有効率*
足部白癬70.2%
頑癬92.5%
斑状小水疱性白癬85.4%
白癬全体81.4%
カンジダ症全体92.4%
癜風92.7%

*有効率=症状が改善した人の割合。計865例の試験で確認。


用法・用量

1日 2〜3回、患部を洗って乾かしたあとに適量を塗布。

ポイント

  • 症状が良くなっても 最低2週間 続けると再発防止に◎。
  • 爪白癬や頭の白癬は薬が届きにくいので、飲み薬や別治療が必要なことがあります。

使用できない方(禁忌)

  • 本剤成分にアレルギーがある方

飲み合わせ・併用時の注意

  • 油脂性基剤がラテックス製品(コンドーム・ペッサリー)を劣化させる可能性あり。 → 同時使用を避ける・別素材を選ぶなど配慮。

副作用と発生頻度

頻度主な症状
0.1〜5%未満発赤・紅斑、かゆみ、刺激感、丘疹、びらん
頻度不明接触皮膚炎

対処: 軽い刺激は一過性のこともありますが、発疹や強いかゆみが続く場合は中止し受診。


妊娠中の使用

  • 妊娠3 か月以内は「benefit(利点)が risk(危険性)を上回る場合のみ」使用。
  • 心配なら必ず医師に相談。

授乳中の使用

  • 血液にほとんど入らないため母乳への移行はほぼなし。
  • 乳頭周辺に塗る場合は 授乳前にやさしく拭き取る と安心。

子どもへの使用

  • 乳児のおむつかぶれなどでも処方実績あり。
  • 顔やびらん部位は慎重に。自己判断せず受診を。

まとめ

  • 水虫・カンジダ・癜風に幅広く効く歴史ある外用薬。
  • 1日2〜3回、続けて塗ることが再発防止のカギ。
  • 副作用は少ないが、刺激や発疹が出たら中止して医師へ。
  • 妊娠中・授乳中・小児は必ず医師と相談しながら安全に使用。

症状が長引く場合や自己ケアで不安なときは、早めに皮膚科や当院オンライン診療へご相談ください。



参考文献・出典

【添付文書】医療用医薬品データベース(JAPIC)→「エンペシドクリーム1%」

【KEGG DRUG】クロトリマゾール(D00282)

【PMDA】医薬品医療機器総合機構の承認情報やRMP(リスク管理計画)

【日本皮膚科学会】皮膚真菌症診療ガイドライン

よくある質問(Q&A)


この薬(エンペシド)の同じ系統の薬と比べたときの強みは?

エンペシド(有効成分:クロトリマゾール)は、イミダゾール系の抗真菌薬の中でも特に幅広い菌に効くのが強みです。
白癬(水虫など)、カンジダ症、癜風に加えて、糸状菌や酵母菌など複数の真菌に効果が確認されています。

また、皮膚の角質層にしっかり浸透し、血液中にはほとんど移行しないため、全身的な副作用が出にくいのもポイントです。

エンペシド(先発薬)の発売年はいつ?

エンペシドは1975年に日本で承認され、1976年1月に発売されました。
世界初のイミダゾール系抗真菌外用薬として登場し、長年にわたって使用されている実績があります。

1か月(30日)処方されたときの薬価と自己負担額の目安は?

エンペシドクリーム1%の薬価は以下の通りです。

  • 先発品(バイエル薬品):11.3円/g
  • 後発品(クロトリマゾールクリーム「イワキ」など):8.1円/g

通常30gチューブが1本処方されると仮定すると:

  • 先発品の薬剤費:339円(3割負担で約100円)
  • 後発品の薬剤費:243円(3割負担で約70円)

※診察料や処方箋料は別途必要です。ります

作用の発現時間と効果の持続時間はどのくらい?

作用発現時間(効き始め)
数日間の使用でかゆみや赤みの改善を感じる方が多いです。ただし、菌を完全に退治するには数週間の継続使用が必要です。

効果の持続時間
1日2〜3回の使用で、24時間を通して皮膚に薬効がとどくよう設計されています。

妊娠中でも使えるの?

妊娠中(特に初期3ヶ月以内)の方が使用する場合は、医師の判断が必要です。
動物実験では明確なリスクは報告されていませんが、「治療の必要性がリスクを上回るときにのみ使用する」とされています。

不安な場合は必ず医師に相談しましょう。

授乳中でも使えるの?

外用薬としてのクロトリマゾールは血液中へ吸収されにくいため、母乳への移行もほぼないと考えられています
そのため、授乳中でも通常は使用できますが、乳頭や乳輪周辺に使う場合は授乳前にふき取るなどの注意が必要です。

子どもにも使える?

赤ちゃんや小児にも使われています。実際、乳児の「カンジダ性おむつかぶれ」などにも使用実績があります。
ただし、顔やびらん(ただれ)の強い部分には慎重な使用が必要なので、小児に使う場合も一度医師に相談するのが安心です。