タケキャブってどんな薬?胃酸・胸やけに効くって本当?
タケキャブってどんな薬?
胃酸・胸やけに効くって本当?

胸やけで『タケキャブ』を使っています。

胃酸を抑える近年発売された薬で1日1回タイプのお薬です。
PPIという過去の薬に比べても一番効果が高いことが特徴です。
タケキャブはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
タケキャブとは
**タケキャブ®(一般名:ボノプラザンフマル酸塩)は、従来のプロトンポンプ阻害薬(PPI)とは異なる新しいタイプのカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)**に分類される胃酸分泌抑制薬です。
- 酸による活性化を必要とせず、プロトンポンプに可逆的に結合
- カリウムイオンと競合することで、強力かつ持続的に胃酸分泌を抑制
- 2015年に日本で発売され、以降海外でも承認拡大中
タケキャブの特徴(ボノプラザン)
タケキャブは、**武田薬品工業が開発した日本発の新しいタイプの胃薬(P‑CAB)**です。
P‑CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)は、胃酸の分泌を強力に抑える薬で、従来のPPI(プロトンポンプ阻害薬)よりも速く、長く効くのが特徴です。
胃の中が酸性でもしっかり効く
タケキャブは、胃の中が強く酸性でも分解されずに安定して作用します。
胃の壁(胃壁細管)に高い濃度で集まり、血液中の濃度が下がった後も効果が続きます。
胃酸をしっかり抑える
1日1回飲むだけで、胃内のpHを4以上に保つ割合(pH4保持率)は以下の通りです:
- 10 mg:約63%
- 20 mg:約83%
これは、胃酸の分泌を抑える効果が高いことを示しています。
従来薬(PPI)よりも効果が高いことも
ランソプラゾールなどのPPIと比較した臨床試験で、非劣性(劣っていないこと)または優越性(より優れていること)が示されています。
飲みやすいタイプもあり
水なしで口の中で溶ける「OD錠(口腔内崩壊錠)」もあります。
これにより、高齢の方や飲み込みが苦手な方でも安心して服用できます。
効能・効果(保険で認められている使い方)
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 逆流性食道炎(治療・再発予防のための維持療法)
- 低用量アスピリンやNSAIDs(ロキソニンなど)を飲んでいる人の潰瘍予防
- ピロリ菌の除菌治療の補助(一次除菌・二次除菌)
- 除菌が必要な病気(胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、早期胃がんの内視鏡治療後など)でのピロリ除菌補助
有効性:主要臨床試験の結果
対象 | 用量・期間 | 主要結果 | 結論 |
---|---|---|---|
逆流性食道炎(CCT‑002) | 20 mg × 4〜8週 | 治癒率99.0%(LPZ30 mgは95.5%) | 非劣性/実質的に優越 |
維持療法(CCT‑003) | 10/20 mg × 24週 | 再発率5.1%/2.0%(LPZ15 mgは16.8%) | 10 mgでも高い維持効果 |
ピロリ一次除菌(CCT‑401) | 20 mg+AMPC+CAM × 7日間 | 除菌率92.6%(LPZ群は75.9%) | 非劣性→優越の示唆 |
ASA潰瘍再発予防(CCT‑302) | 10 mg × 24週 | 再発率0.5%(LPZ15 mgは2.8%) | 非劣性達成 |
※上記以外でも、胃・十二指腸潰瘍治癒率93~97%、NSAIDs潰瘍再発抑制などでも良好な成績を示しています。
用法・用量(成人)
- 胃潰瘍/十二指腸潰瘍:20 mgを1日1回
(胃潰瘍:最大8週/十二指腸潰瘍:最大6週) - 逆流性食道炎:20 mgを1日1回(通常4週、最大8週)
維持療法:10 mg/日 → 効果不十分なら20 mgへ増量可 - 潰瘍再発抑制(低用量アスピリン・NSAIDs):10 mgを1日1回
- ピロリ一次除菌:20 mg+アモキシシリン750 mg+クラリスロマイシン200〜400 mgを1日2回・7日間
- 二次除菌:クラリスロマイシンをメトロニダゾール250 mgに変更
禁忌(使用できない方)
- 本剤成分に対する過敏症の既往がある方
- アタザナビル/リルピビリンを服用中の方
→ 血中濃度が低下し、抗ウイルス効果が阻害されるおそれ
飲み合わせに注意が必要な薬
併用薬 | 影響・理由 |
---|---|
クラリスロマイシン等CYP3A4阻害薬 | ボノプラザンの血中濃度が上昇 |
ジゴキシン | 胃酸抑制で吸収↑ → 中毒リスク |
イトラコナゾール、ゲフィチニブ等 | 胃酸抑制で吸収↓ → 効果低下 |
ミダゾラム等 | CYP3A4阻害により血中濃度上昇 |
リファンピシン、エファビレンツ等 | 本剤の血中濃度が低下 |
副作用と発生頻度
よくある副作用(0.1〜5%)
- 便秘・下痢・腹部膨満・吐き気
- 発疹、肝機能検査値の軽度上昇、むくみ
重大な副作用(頻度不明)
- ショック・アナフィラキシー
- 汎血球減少、無顆粒球症、肝障害
- TEN・スティーブンス‑ジョンソン症候群
- 偽膜性大腸炎(除菌時の抗菌薬により発症することあり)
まとめ
- タケキャブは1日1回で持続的に胃酸を抑える新しいP‑CAB
- 逆流性食道炎・潰瘍・ピロリ除菌補助など幅広い適応
- 従来PPIより速効性・治癒率に優れる場面も多い
- 禁忌・相互作用に注意し、自己判断での併用は避ける
- 副作用は少ないが、長期服用時には定期検査が推奨
参考文献・出典
医薬品インタビューフォーム(武田薬品工業発行)
添付文書(PMDA/JAPICで公開)
日本消化器病学会「胃食道逆流症診療ガイドライン」
日本ヘリコバクター学会「ピロリ菌除菌ガイドライン」
PubMed・ClinicalTrials.gov(英語)
よくある質問(Q&A)
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この薬(タケキャブ)は、他の胃酸を抑える薬とどう違うの?
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従来のPPIと違い、より速く・強く・長く効くのが特徴です。
タケキャブは「P-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)」という新しいタイプで、従来のPPI(プロトンポンプ阻害薬)とは違い、胃の中の酸がなくてもすぐ効き始めます。
また、胃の壁細胞に長くとどまる性質があり、1日1回でしっかり効き目が続く点が、ランソプラゾールやオメプラゾールなど従来薬より優れている点です。
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タケキャブって、いつ発売された薬?
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日本では2015年に発売されました。
タケキャブ錠は2014年に承認を取得し、**2015年から日本で使用されています。その後、2022年には口の中で溶けるタイプ(OD錠)**も追加されました。
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1か月(30日)処方された場合の薬価と自己負担額は?
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製品名 薬価(1錠) 30日分の薬価合計 自己負担目安(3割) タケキャブ錠10mg 94.3円 2,829円 約850円 タケキャブ錠20mg 141円 4,230円 約1,270円 ※実際の負担額は調剤料などを含むため、多少前後します。
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タケキャブの効果が出るまでの時間や、どれくらい持続しますか?
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飲んで1〜2時間ほどで効き始め、24時間以上持続します。
・**作用発現時間(Tmax)**は約1.5時間
・効果の持続時間は24時間以上
・胃内pHを4以上に保つ時間(pH4 HTR)は
- 10mgで約63%
- 20mgで約83%つまり、「1日1回の服用」で胃酸をしっかりコントロールできます。
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妊娠中にタケキャブは飲んでも大丈夫ですか?
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原則として、妊娠中の使用は慎重に判断されるべきです。
動物実験では胎児への影響(奇形など)が報告されており、妊娠中に使う場合は、医師が「どうしても必要」と判断したときに限られます。
自己判断での使用は避け、必ず主治医に相談してください。当院ではお出ししません。
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授乳中にタケキャブを飲んでもいいですか?
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授乳中の使用は慎重に。医師と相談のうえ使用を検討してください。
動物試験では母乳中に薬が移行することが確認されています。
授乳を続けるか、タケキャブの使用を優先するかは、医師とよく話し合って決めましょう。当院ではお出ししません。
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子どもにタケキャブは使えますか?
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現時点では、小児への使用は推奨されていません。
タケキャブは小児を対象にした十分な臨床試験が実施されておらず、安全性や効果が確立していないため、使用は基本的に成人に限られます。
お子さんの症状には、年齢に応じた薬の処方が必要です。当院ではお出ししません。
