胸やけ・胃もたれがつらい…そんなときの薬『アシノン』とは?
胸やけ・胃もたれがつらい…
そんなときの薬『アシノン』とは?

胃もたれで『ニザチジン(アシノン)』を使っています。

ニザチジン(アシノン)は 「胃酸を抑える+胃を動かす」二刀流のH₂ブロッカーです。
ニザチジンはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ニザチジン(アシノン)とは
ニザチジンは ヒスタミンH₂受容体拮抗薬(H₂ブロッカー) に分類される胃薬です。
胃酸の分泌を抑えるだけでなく、胃の動き(胃排出)や唾液分泌を促進する作用もあり、
「胃酸+運動機能」の両面から胃を守るのが特徴です。
ニザチジンの特徴
- 開発元:米国イーライリリー社
- 臨床開始:米国で1981年、日本で1985年に開発スタート
国内での承認歴
- 1990年:カプセル150 mg(胃潰瘍・十二指腸潰瘍・逆流性食道炎向け)
- 1996年:カプセル75 mg(急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期向け)
- 2007年:服薬しやすいフィルムコーティング錠75 mg/150 mg
薬理上の強み
- 胃酸分泌抑制作用はシメチジンの数倍規模
- 胃排出促進・唾液分泌促進作用も併せ持つ
- 速やかな吸収(Tmax 約1.1時間)、バイオアベイラビリティ約98%
効能・効果
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 逆流性食道炎
- 胃粘膜病変の改善(びらん・出血・発赤・浮腫)
- 急性胃炎
- 慢性胃炎の急性増悪期
有効性(主な臨床試験結果)
疾患 | 投与法 | 主要評価指標 | 成績 | 副作用発現率 |
---|---|---|---|---|
胃潰瘍 | 150mg×2/日・8週 | 内視鏡治癒率 | 82.0% | 1.4% |
十二指腸潰瘍 | 150mg×2/日・6週 | 内視鏡治癒率 | 87.8% | 同上 |
逆流性食道炎 | 150mg×2/日・8週 | 内視鏡治癒率 | 80.0% | 5.3% |
急性・慢性胃炎急性増悪期 | 75mg×2/日・2週 | 症状改善率 | 87.1% | 0% |
※ 全14,592例で副作用頻度0.95%。主なもの:発疹・便秘・下痢・肝機能異常。
用法・用量(成人)
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 150 mgを朝食後+就寝前の1日2回
- または 300 mgを就寝前1回
逆流性食道炎
- 150 mgを朝食後+就寝前の1日2回
急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期
- 75 mgを朝食後+就寝前の1日2回
※ 年齢・症状・腎機能に応じて適宜調整
使用できない方(禁忌)
- 本剤または他のH₂ブロッカーに過敏症の既往がある方
※ 添付文書上、絶対禁忌は上記のみですが、重篤な肝障害・腎障害では用量調整または投与中止を検討します。
飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意)
胃内pHの上昇により吸収が低下するおそれのある薬剤:
- ゲフィチニブ(抗EGFR抗がん薬)
- アタザナビル(抗HIV薬)
- プルリフロキサシンなど一部ニューキノロン系抗菌薬
※ いずれも効果減弱の可能性あり。併用は避けるか、投与間隔の調整が必要です。
副作用と発生頻度
よくある副作用(0.1%以上)
- 発疹・そう痒感などの過敏症状
- 便秘、下痢、口渇
- 肝機能検査値上昇(AST/ALT/γ‑GTP)
重大な副作用(頻度不明〜0.1%未満)
- ショック、アナフィラキシー
- 再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症
- 肝機能障害、黄疸
- 間質性腎炎
- 中毒性表皮壊死症(TEN)
- 房室ブロック
※ 対策:投与初期と定期的に血液・肝腎機能をチェックし、異常時は速やかに中止します。
まとめ
ニザチジン(アシノン)は 「胃酸を抑える+胃を動かす」二刀流のH₂ブロッカーです。
潰瘍や逆流性食道炎だけでなく、胃炎の急性期にも75 mg剤が使用可能で、臨床試験により高い治療効果が確認されています。
副作用は全体として少ない一方で、まれに重篤な副作用が出現する可能性もあるため、以下の方は特に注意が必要です:
- 腎・肝機能が低下している方
- 高齢者
- 他剤を併用している方
参考文献・出典
以下の公的・信頼性の高い情報源を参考にしています:
PubMed や CiNii(日本語医学論文)
医薬品インタビューフォーム(アシノン IF) ※製薬企業提供の医師向け詳細資料
[日本消化器病学会ガイドライン]:胃潰瘍・逆流性食道炎の治療アルゴリズム
よくある質問(Q&A)
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この薬(ニザチジン)の同じ系統の薬と比べた強みは?
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ニザチジンは同じH₂ブロッカーの中でも以下のような強みがあります。
抗男性ホルモン作用が少ない:シメチジンで問題となった女性化乳房などが報告されにくいのが特徴です。
胃酸抑制力が高い:同系統のシメチジンに比べ、数倍強い胃酸分泌抑制作用を持つと報告されています。
消化管運動・唾液分泌の促進作用があり、機能性ディスペプシアや食後の不快感にも向いています。
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ニザチジン(アシノン)の発売年はいつ?
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日本での承認・発売は以下の通りです。
2007年:アシノン錠75mg・150mg(服薬しやすいフィルムコーティング錠)
1990年:アシノンカプセル150mg(胃潰瘍・十二指腸潰瘍・逆流性食道炎向け)
1996年:アシノンカプセル75mg(急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期向け)
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1か月分(30日)の薬価は?実際にかかる金額は?
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処方される製剤ごとの薬価と、自己負担額(3割負担想定)は以下の通りです。
製品名 薬価(1錠/カプセル) 30日分(60錠) 自己負担額(3割) アシノン錠150mg 14.9円 894円 約270円 ニザチジン錠150mg「YD」 10.4円 624円 約190円 アシノン錠75mg 10.0円 600円 約180円 ※用量・処方日数によって変動します。処方料や調剤料は別途かかります。
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ニザチジンの効果はいつから出る?持続時間は?
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ニザチジンは内服後1〜1.5時間で血中濃度がピークとなり、胃酸抑制作用も始まります。
1回の投与で8時間以上の胃酸抑制効果が持続しますが、夜間の胃酸分泌を抑える目的で、就寝前の服用が推奨されることもあります。
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妊娠中にニザチジンは使える?
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基本的には慎重投与とされており、以下の点に注意が必要です。
- 動物実験で流産や胎児体重の低下が確認されている
- 医師が「治療上の有益性が危険性を上回る」と判断した場合に限り処方されます
- 自己判断での服用は避け、必ず医師に相談してください
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授乳中にニザチジンは使える?
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授乳中の使用も慎重投与とされています。
投与中は赤ちゃんの様子(哺乳力や元気さなど)にも注意が必要です
動物実験では乳汁への移行が確認されており、新生児の発育障害が報告されています
授乳の継続または中止については、医師と相談して判断します
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子どもにも使える薬ですか?
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ニザチジンは小児への適応はありません。
医師が必要と判断する場合に限り、年齢・体重に応じて慎重に使用されることがあります
国内では小児を対象とした臨床試験は実施されておらず、安全性・有効性は確認されていません
