パリエットはどんな症状に効く?胃酸が原因の不調に使われる薬の特徴とは
パリエットはどんな症状に効く?
胃酸が原因の不調に使われる薬の特徴とは

胃もたれで『パリエット』を使っています。

パリエットは胃潰瘍・逆流性食道炎・ピロリ除菌補助・アスピリン潰瘍予防などに
幅広く対応しています。
パリエットはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ラベプラゾール(パリエット®)とは
ラベプラゾール(製品名:パリエット®)は、**プロトンポンプ阻害薬(PPI)**に分類される胃薬です。
胃酸を分泌する酵素「H⁺/K⁺-ATPase(プロトンポンプ)」を抑えることで、胃潰瘍や逆流性食道炎などの酸関連疾患を治療・予防します。
- 1997年にエーザイが発売した先発品(5mg/10mg/20mgの腸溶錠あり)
- 現在は複数の後発品もあり、薬価負担を抑えたい方にも選択肢が広がっています
開発ストーリーと特徴
目指したのは「H₂ブロッカーを超える治癒速度」
1984年、エーザイは従来のH₂ブロッカーを上回る持続力と治癒速度をもつ薬の開発に着手。
約3年のスクリーニングを経て、酸刺激にも強く、H₂ブロッカーが効かない例にも有効な化合物としてラベプラゾールが選ばれました。
- 無酸症・高ガストリン血症を起こしにくい
- 1988年に臨床試験を開始し、1997年に承認・発売
- 発売後も適応拡大を重ね、ピロリ除菌や低用量アスピリンによる潰瘍予防にも対応
主な効能・効果
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍
- 逆流性食道炎(治療・維持)、非びらん性胃食道逆流症
- Zollinger‑Ellison 症候群(胃酸過多症)
- ヘリコバクター・ピロリ除菌の補助(3剤併用)
- 低用量アスピリン服用時の潰瘍再発抑制
主な臨床試験成績
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍:8週間以内に 95–98% が内視鏡的に治癒
- 逆流性食道炎:8週間で 約91% 治癒。PPI抵抗例でも 77–78% が改善
- 非びらん性胃食道逆流症:胸やけ完全消失率 44%、緩解率 55%(4週間)
- アスピリン潰瘍予防:24週後の再発率 1–3%(対照テプレノンは22%)
- ピロリ除菌補助:標準3剤併用で 86–89%、2次除菌でも 82%
用法・用量(成人例)
疾患・目的 | 通常量 | 投与期間の目安 |
---|---|---|
胃・十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Z–E症候群 | 10mg 1日1回(重症は20mg) | 胃・吻合部潰瘍:8週、十二指腸潰瘍:6週まで |
逆流性食道炎(治療) | 10mg 1日1回(重症は20mg) | 8週まで。PPI抵抗例は1日2回で追加8週 |
逆流性食道炎(維持) | 10mg 1日1回(抵抗例は1日2回) | 継続的(定期的な内視鏡評価) |
非びらん性胃食道逆流症 | 10mg 1日1回 | 4週まで |
アスピリン潰瘍再発抑制 | 5mg 1日1回(不十分時は10mg) | 長期可 |
ピロリ除菌補助 | 10mg + AMPC750mg + CAM200–400mg ×1日2回 | 7日間 |
使用できない方(禁忌)
- 本剤成分にアレルギー歴がある方
- **リルピビリン(エジュラント®)**を服用中の方(抗HIV薬の効果が減弱)
飲み合わせに注意が必要な薬剤
併用薬 | 影響 | 主な理由 |
---|---|---|
ジゴキシン類 | 血中濃度↑ | 胃内pH上昇で吸収促進 |
イトラコナゾール、ゲフィチニブ | 血中濃度↓ | pH上昇により吸収低下 |
高用量メトトレキサート | 血中濃度↑ | 排泄遅延の可能性あり |
アルミニウム・Mg系制酸剤 | ラベプラゾールAUC微減 | 臨床的影響は軽微 |
※市販薬やサプリにも制酸作用をもつものがあるため、必ず医師・薬剤師に相談を。
主な副作用とその頻度
よくある副作用(0.1–5%)
- 便秘、下痢、腹部膨満
- 頭痛、発疹、肝機能検査値の軽度上昇
まれだが重篤な副作用(頻度不明~0.1%未満)
- アナフィラキシー/ショック
- 汎血球減少、肝障害、間質性肺炎、急性腎障害
- SJS/TEN(重篤な皮膚粘膜障害)
- 横紋筋融解症
※長期高用量投与で骨折やClostridioides difficile腸炎のリスク報告あり
→ 維持療法中は定期的な診察・血液検査が推奨されます
まとめ
- ラベプラゾール(パリエット®)は、効き目が早く持続性のあるPPI
- 胃潰瘍・逆流性食道炎・ピロリ除菌補助・アスピリン潰瘍予防などに幅広く対応
- 標準用量は10mg 1日1回。重症例やPPI抵抗例では増量・分割投与が可能
- 副作用は少なめだが、他薬との相互作用や長期リスクには注意
参考文献・出典
医薬品インタビューフォーム(エーザイ:パリエット)
添付文書(PMDA/KEGG/JAPIC)
医療用医薬品データベース(KEGG DRUG: D00724)
臨床試験論文(例:胃潰瘍治療における治癒率・逆流性食道炎の維持療法に関する論文)
日本消化器病学会ガイドライン(GERDやH. pylori感染症治療)
よくある質問(Q&A)
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この薬(ラベプラゾール)は他のPPI(プロトンポンプ阻害薬)と比べて何が優れているの?
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酸に強く、効果の発現が早く、持続時間も十分にあることが特徴です。
パリエットは、他のPPI(オメプラゾール、ランソプラゾール等)と比較して以下の点が強みです:
- 酸に対する安定性が高い(腸溶錠加工により胃酸で分解されにくい)
- 効果の立ち上がりが早く、1日目から高い胃酸抑制作用を示します
- CYP2C19の代謝の影響を受けにくく、個人差が比較的少ない
- 長期投与でも血中ガストリン値の過剰上昇が少ない
→ PPIが効きにくい体質や重症例にも比較的安定した効果が期待されます。
-
ラベプラゾール(パリエット)の先発品はいつ発売されたの?
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1997年にエーザイから発売されました。
日本では1997年10月に製造販売承認され、**パリエット®**として発売されました。
その後、適応症や用法の拡大が進められています。
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1か月(30日)処方したときの薬価と実際の自己負担額はどれくらい?
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(下記のとおりです(2025年時点・薬価ベース)
製剤 薬価(1錠あたり) 30日分(薬価) 自己負担額(3割負担) パリエット錠10mg(先発) 35.8円 1,074円 約322円 パリエット錠20mg(先発) 61円 1,830円 約549円 ラベプラゾールNa錠20mg「JG」(後発) 32.1円 963円 約289円 ラベプラゾールNa錠5mg「サワイ」(後発) 13.3円 399円 約120円 ※調剤料や処方料は別途かかります。
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ラベプラゾールの効果が現れるまでどれくらいかかる?効果はどのくらい持続する?
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初回投与から1日目に明確な効果が現れ、1日1回の服用で24時間以上持続します。
**投与5日目には、胃内pH4以上の時間が1日の60~75%**を占めるようになります
通常、初日から酸分泌を70~90%以上抑制
血中半減期:約1~1.5時間ですが、酵素を不可逆的に阻害するため、効果は24時間以上続きます
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妊娠中でもラベプラゾールは使える?
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原則として慎重投与です。使用する場合は医師の判断が必須です。
どうしても必要な場合は、医師とリスクを相談した上での処方になります
**「妊娠中は利益が危険性を上回る場合のみ使用」**とされています
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授乳中に使っても大丈夫?
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医師と相談のうえ、授乳継続または中止を検討する必要があります。
ヒトでの詳細なデータは不十分なため、**「授乳を続けるか中止するかは医師と相談して決める」**ことが推奨されています
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子ども(小児)にも使える?
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日本では基本的に小児への使用は推奨されていません。
一部海外では適応例がありますが、国内では慎重に判断されます
小児を対象とした十分な臨床試験が実施されておらず、安全性は未確認
**添付文書でも「小児等に対する有効性・安全性は確立していない」**と明記されています
