胃の痛みや胸やけに「ガスター」は効く?薬の効果・副作用をわかりやすく解説

胃の痛みや胸やけに「ガスター」は効く?
薬の効果・副作用をわかりやすく解説

胸やけに『ガスター』を使っています。

ガスターは副作用が少ないわりに

胃酸を抑える効果が強いお薬です

ガスターはオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ガスター(ファモチジン)とは

ガスター®は、**H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)**に分類される胃酸分泌抑制薬です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍・逆流性食道炎など、胃酸が関与する疾患の治療や出血コントロールに使用されます。

有効成分はファモチジン。現在はLTLファーマが製造販売承認を保有しています(2018年10月に承継)。


**そもそも「H2受容体」って?

  • 胃の壁には「H2受容体」というスイッチのような部分があります。
  • ここが刺激されると胃酸がたくさん分泌され、胸やけや胃痛の原因に。

**H2ブロッカーのしくみ

H2ブロッカーは、このスイッチ(H2受容体)をブロック=ふさぐお薬。

スイッチが押されなくなるので、胃酸の量がグッと減り、胃粘膜が守られます。


特徴

開発の背景

1970年代後半、**山之内製薬(現アステラス製薬)**が「より強力で副作用の少ないH2ブロッカー」を目指して開発。
1979年に、スルファモイルアミジノ基とグアニジノチアゾール環の組み合わせによるファモチジンが合成されました。

持続力と安全性

  • 効き目が長もち:服用してから 半日以上 胃酸をしっかり抑えます
  • 体への負担が少ない:ホルモンバランスや体内の酵素には ほとんど影響しません
  • 寝る前に1回でOK:40 mgを就寝前に飲むだけで高い治療効果が得られるため、薬を飲む回数が減ります

剤形の豊富さ

  • 錠剤(10mg・20mg)
  • 散剤(2%・10%)
  • 注射液(10mg・20mg)

外来~救急対応まで広く活用できます。


効能・効果

  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍・吻合部潰瘍
  • 上部消化管出血(消化性潰瘍、ストレス潰瘍、出血性胃炎)
  • 逆流性食道炎
  • Zollinger‑Ellison 症候群
  • 急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期における胃粘膜病変(びらん・出血・発赤・浮腫)の改善

有効性(臨床試験より)

疾患用法内視鏡治癒率 / 改善率
胃潰瘍20mg × 2回/日84.1%(n=1,233)
胃潰瘍40mg × 1回/日80.1%(n=457)
十二指腸潰瘍20mg × 2回/日86.4%(n=674)
十二指腸潰瘍40mg × 1回/日86.0%(n=358)
急・慢性胃炎10mg × 2回/日81.8%(n=391)

※いずれも二重盲検試験にて有効性確認済み。

注射用製剤(20mg × 2回/日)は、**止血成功率91%(n=100)**と、緊急時にも有効です。


用法・用量(成人)

潰瘍・逆流性食道炎など

  • 20mgを1日2回(朝食後・就寝前)
  • または40mgを1日1回(就寝前)

急性胃炎・慢性胃炎急性増悪

  • 10mgを1日2回
  • または20mgを1日1回(就寝前)

腎機能低下時

  • Ccr 30mL/min以下では用量を半減または投与間隔を延長
  • 透析患者には透析後の投与を推奨

注射液

  • 経口が困難な上部消化管出血に、20mgを1日2回 静脈内投与
  • 止血後は経口へ切り替えます

使用できない方(禁忌)

  • ファモチジンまたは同成分製剤で過敏症の既往がある方

飲み合わせに注意が必要な薬

併用薬問題点対策
アゾール系抗真菌薬(例:イトラコナゾール)胃酸低下により吸収低下 → 効果が弱まる投与時間をずらす/点滴投与へ切替検討

副作用と発生頻度

全体発現率:1.8%(20,137例)

【重大な副作用】※頻度は極めて低い

  • ショック、アナフィラキシー
  • 血液障害(再生不良性貧血、無顆粒球症、血小板減少)
  • 皮膚障害(TEN、Stevens‑Johnson症候群)
  • 肝障害・黄疸
  • QT延長、不整脈、痙攣、意識障害

【比較的よく見られる軽度な副作用】

  • 発疹、便秘、下痢、頭痛、眠気、倦怠感など

※安全に使用するため、治療開始後は血液検査・肝腎機能のモニタリングを行います。


まとめ

  • ガスター®(ファモチジン)は強力・持続的に胃酸を抑えるH2ブロッカー
  • 1日1回の投与で済む場合もあり、服薬が楽
  • 潰瘍・逆流性食道炎・急性胃炎など適応が広く、注射剤も対応可
  • 副作用は少ないが重篤なケースに注意
  • 腎機能に応じた調整と、抗真菌薬との併用注意が必要

当院からのご案内

当院では、患者様一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせて、最適な投与法を提案しています。
胃痛や胸やけなどでお困りの際は、お気軽にご相談ください


参考文献・出典

PMDA医薬品添付文書(検索:「ガスター錠 ファモチジン」)

KEGG DRUG:D00318(ファモチジン)

日本消化器病学会ガイドライン

医中誌Web/PubMed(学術論文検索サイト)

よくある質問(Q&A)


ガスターはどんな薬?どんなときに使われるの?

ガスターは「H2ブロッカー」という種類の胃酸を抑える薬です。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、ストレスによる胃出血、急性胃炎などに使われます。
胃酸の分泌を抑えることで、胃の粘膜を保護し、症状を改善・予防します。

この薬の同じ系統の既成薬(H2ブロッカー)と比べて、ガスターの強みは?

ガスター(有効成分:ファモチジン)は、従来のH2ブロッカーと比較して以下のような強みがあります:

  • 胃酸抑制効果がより強力(シメチジンなどの数倍以上)
  • **作用が長く持続(12時間以上)**し、1日1回でも効果が得られる
  • 副作用が少なく、ホルモンバランスや体内の酵素には ほとんど影響しません(抗男性ホルモン作用などもほぼない)
  • 注射剤もあり、緊急時の止血にも対応可能

これらの特性から、使いやすさと安全性のバランスが評価されています。

ガスター(先発薬)の発売年はいつ?

ガスターは1985年1月に初めて承認されました。
その後、適応拡大や製剤追加を経て、現在に至ります。2018年からはLTLファーマが承認を承継しています。

1か月(30日)分の薬価と実際の目安価格は?

最も一般的な処方であるガスター錠20mg × 1日2回で計算すると以下の通りです:

  • 薬価:13.4円 × 2錠 × 30日 = 804円
  • 自己負担額(3割負担の場合):約240円/月

※調剤技術料や薬剤管理料などは別途かかりますが、薬剤本体は安価です。
後発品(ファモチジン錠)ではさらに安くなります。

ガスターの効果はいつから現れる?どれくらい持続するの?

作用発現時間:服用後1~2時間以内に効果が出始めます

作用持続時間:およそ12時間以上
夜間の胃酸分泌にも対応でき、就寝前の1回投与でも十分な効果が得られます。

妊娠中にガスターを使っても大丈夫?

妊娠中の使用は、**「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限り使用」**とされています。
ファモチジンは胎児への影響を示す明確なデータは少ないものの、慎重な判断が必要です。
医師の判断のもとで、必要最低限の期間・用量で使用されます。

授乳中にガスターを使っても大丈夫?

ファモチジンは母乳中に移行することが報告されています。
そのため、授乳中に使用する場合は、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を天秤にかけて、授乳を続けるか中止するかを検討します。

実際には「一時的に授乳を中断する」「授乳後すぐに服薬し、次の授乳まで時間をあける」などの対応がされることがあります。

子どもにガスターを使うことはできる?

ガスターは小児に対する有効性や安全性が確立されていません。
ただし、医師の裁量で必要と判断される場合には慎重に使われることもあります。
年齢や体重、症状に応じた適正な量を厳密に管理し、副作用のリスクにも十分注意が必要です。