胃潰瘍がなかなか治らない…そんなときの「ガスロンN」ってどんな薬?
胃潰瘍がなかなか治らない…
そんなときの「ガスロンN」ってどんな薬?

胃が荒れて痛むので『ガスロンN』を使っています。

胃を守るタイプの胃薬です。
胃の傷が治りにくかったり、薬の影響で胃が弱っているときに処方されます。
ガスロンNはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ガスロンN(イルソグラジンマレイン酸塩)とは
ガスロンNは 胃潰瘍や急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期で傷んだ胃粘膜を守り、治りを早める「粘膜防御系」胃薬です。
日本新薬が1975年から研究を開始し、1988年に新薬として承認。その後、改良が重ねられ、現在は**飲みやすい口腔内崩壊錠(OD錠)**も選択できます。
ガスロンNの特徴
- 胃粘膜を守る独自の働き
胃の表面の細胞同士が手をつなぎやすくなり、血の巡りも保たれるので、酸や炎症からしっかりガードします。 - 1日1~2回でOK
朝と寝る前など少ない回数で続けられるので、飲み忘れしにくいのがメリットです。 - “治りやすい胃”をつくる
胃のバリアを強くして、潰瘍をきれいに治す力をサポートします。 - ヨーグルト風味のOD錠
口に入れるとすぐ溶け、水がなくても飲みやすく、苦みも感じにくい工夫がされています。
効能・効果
- 胃潰瘍
- 胃粘膜病変(びらん・出血・発赤・浮腫)の改善
┗ 対象:急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期
臨床試験での有効性
- 胃潰瘍
・国内165施設での治験
・8週間後の内視鏡治癒率:62.6%(311/497例)
・症状改善率:74.4% - 急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期
・201施設での試験
・症状改善率:85.2%(283/332例)
※いずれも二重盲検試験にて、有効性が確認されています。
用法・用量
- 通常:1日4mg
┗ OD錠2mgなら2錠、OD錠4mgなら1錠 - 服用回数:1~2回に分けて経口投与
- 高齢者:2mg/日から慎重に開始
- 年齢・症状に応じて用量調整可能
使用できない方(禁忌)
添付文書に明記された絶対的禁忌はなし。
ただし、以下の方は主治医にご相談ください。
- 重い肝機能障害のある方(副作用リスクあり)
- 本剤成分に過敏症の既往がある方
飲み合わせに注意が必要な薬
- 特定の重要な相互作用は報告されていません。
- ただし、他の胃薬や痛み止め(NSAIDs)と一緒に使うときは、薬の効きすぎや副作用が出やすくなることがあります。必ず医師に相談してください。
副作用と発生頻度
発生頻度:1%未満
- 消化器:便秘、下痢、吐き気・嘔吐
- 皮膚 :発疹
- その他:胸部圧迫感
発生頻度:不明
- 肝機能検査値上昇(AST、ALTなど)
- そう痒感、発赤、湿疹 など
※重い症状が出た場合は、すぐに服用を中止し医療機関へ受診してください。
まとめ
ガスロンNは、「胃粘膜を守りながら治す」ことに特化した防御因子増強剤です。
- 1日1~2回の服用で継続しやすい
- OD錠で服用しやすく、飲み込みが苦手な方にも対応
- 臨床試験で胃潰瘍・胃炎に対する高い改善率を確認
「潰瘍がなかなか治らない」「胃が荒れて痛む」
そんな方は、一度主治医にガスロンNの適応を相談してみてください。
当院でも、患者さんの状態に合わせて処方を検討しています。お悩みの方はお気軽にご相談ください。
参考文献・出典
医薬品インタビューフォーム(日本新薬提供)
PMDA(医薬品医療機器総合機構)添付文書
KEGG DRUGデータベース(ID:D01658)
医中誌・JAPIC(日薬連)などで検索可能な国内臨床論文
よくある質問(Q&A)
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ガスロンNってどんな薬?何に効くの?
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ガスロンNは、胃粘膜を守る働きのある薬で、「胃潰瘍」や「胃炎(急性・慢性の急性増悪期)」に使われます。
胃酸などの刺激から粘膜を保護し、傷ついた部分の治りを早める作用があります。
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ガスロンNは他の胃薬とどう違う?どんな強みがある?
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一般的な胃薬(胃酸を抑えるタイプ)と異なり、ガスロンNは「粘膜を守る」防御因子増強型の薬です。
とくに強みとして:
服薬回数が少なく、1日1〜2回で済むのも特徴です
胃の細胞同士のつながりを助け、粘膜の働きを整える作用があり、バリア機能を高める
胃粘膜の血流を改善
抗炎症作用も併せ持つために
傷がなかなか治らないときや、痛み止めなどで胃が荒れやすいときに使われることが多いです。
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ガスロンNの先発薬はいつから販売されてるの?
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ガスロンNは1988年に新薬として承認され、翌1989年4月に発売されました。
その後、2007年にOD錠(口腔内崩壊錠)2mgが、2009年に4mgが追加されています。
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1か月(30日)分処方されたら薬価はいくらくらい?自己負担額も知りたい
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先発品の薬価(2025年6月時点)は以下の通りです:
製剤名 薬価 30日分(1日1回)薬価合計 自己負担(3割) ガスロンN・OD錠2mg 11.1円/錠 333円(30錠) 約100円 ガスロンN・OD錠4mg 11.7円/錠 351円(30錠) 約105円 ※実際の支払い額は院内処方・調剤料・診療報酬点数により変動します。
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効果はどれくらいで出る?どのくらい持続するの?
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単回投与では、服用後約3.5時間で効果がピーク(Tmax)に達します。
血中濃度の消失半減期は150時間前後と非常に長く、服用を続けることで約2週間程度で定常状態に達し、安定した効果が期待できます。
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ガスロンNは妊娠中に飲んでも大丈夫?
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妊娠中は、治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合に限り使用可能とされています。
動物実験で催奇形性の報告はなく、添付文書上は「慎重投与」扱いです。心配な場合は主治医に相談してください。
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授乳中にガスロンNを使ってもいい?
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授乳中の安全性については十分なデータがありません。
添付文書では「授乳継続か中止かを医師と相談」とされています。
一般的には必要があれば使用されることもありますが、自己判断での使用は避けましょう。
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子どもでも使える薬なの?
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ガスロンNは、小児を対象とした臨床試験が行われていないため、原則として使用されていません。
処方の可否は、年齢や体格、病状によって医師の判断にゆだねられます。



